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2015/8/14 INNERVISIONS 2015 feat. Marcus Worgull @ Air
Dixon、Âme、Henrik Schwarzといったタレントを擁するInnervisionsは確かに現在のダンス・ミュージックに大きな影響を与えたレーベルではあるものの、前述のアーティストの活動ばかりが目立ち、それ以外のアーティストの来日はどうしても少ないのが現状だった。レーベルの初期から活動するアーティストの一人であるMarcus Worgullも未だ来日はなかったものの、しかしこの度ようやくの初来日を果たす事になった。Marcusの音楽性はInnervisionsらしい官能的なメロディーとソウルフルな歌を組み合わせたスタイルが多く、リリースする楽曲はどれもヒットしアーティストとしての存在感は言うまでもないが、そんな彼が一体どんなDJをするのか期待をせずにはいられない。
25時前には現地入りするとMotoki a.k.a. Shameのプレイが後半に差し掛かった頃で、フロアはお盆の時期だったからなのか外人率が高く良い状態で盛り上がっている。BPMは抑えながらねっとりと低重心のグルーヴと控えめに官能的な上物を用いながら、ディープなテック・ハウスでじわじわと浸食するような嵌め方だ。アッパーではなくとも波のように揺らぐグルーヴで自然と体が揺れる心地良いリズム感を作り、そして何よりもInnervisionsを意識したヨーロッパの耽美な世界観を生み出す幻惑的に微睡ませるようなムードが通底し、暗闇の中に甘美な美しさを浮かび上がらせる。大らかに引いては寄せる波のように揺れる展開の中でキックを抜いてブレイクも挟みながら、その間もしっかりとグルーヴをキープしながら緩やかな上げ下げによって上手く緊張を保つプレイで、フロアをピークタイムに向けて適切な熱量を持って盛り上げて行く事を実践していたと思う。

そしてHiroshi WatanabeことKaitoのライブセット。一ヶ月前のgroundrhythmから早くもライブで再登場で、前回と同様にPCとAIRA TR-8を用いてのライブだ。前回同様にオープニングはオルゴールのようなメロディーが反復する曲で、次第に壮大なパッドが伸び始め、そしてそんな空間を切り裂くように生々しいTR-8のハイハットが降り注ぐ。静かで落ち着いた佇まいから次第に激しさを増し、しかし荘厳な世界観はKaitoらしい。遂にキックのビートが入ってくると、Kaitoらしいスケールの大きい宇宙が広がる叙情的な世界へ突入するが、しかし粗いスネアやハイハットは荒れ狂うように激しいビートを刻み、そのアナログの生々しさが地響きとなって伝わる点は旧来のKaitoとは別物だろう。時にはメロディーは後退しそのリズムが前面に出て激しさを増す時もあるが、逆に美しいシンセがオーロラの如く放出されると大海原を揺蕩うような開放感に気持ちが満たされる。そして"Everlasting Dub"をプレイした瞬間、ディレイによるダビーな音響と情緒的で幻想的なシンセの重なりは狂おしい程に美しく、そしてTR-8によるライブ感のあるビートが加わる事で新たなる魅力が引き出され、そんな壮大な音響空間の創世によりフロアの盛り上がりは最高潮へと達していた。様々な音が入り組んだ混沌の中から圧倒的な激情が発せられるライブも、後半に差し掛かると平たくスムースなテック・ハウスで疾走する流れもあるが、やはり粗いリズムが刺々しく肉体を刺激し、叙情的のある上物との対比が特徴だ。終盤に近づくとしんみり切なさを誘発するピアノが特徴的な曲もプレイし、徐々にBPMは落としながらも感情の昂ぶりを強めていく。そしてラストは"Star Of Snow"のダウンテンポ・バージョンで、オリジナルとは違ったぐっとビートを抑えた事で郷愁をたっぷり吸い込んだメロディーがより強く心に染み入り、またここでもTR-8が強烈に連打するビートを叩き出す事で激しくも切ない攻めを展開し、全ての感情を吐露するエモーショナルなプレイを披露してKaitoのライブは終了した。

Marcus WorgullはKaitoでグンッと盛り上がった会場のテンションを切らす事もなく、しかし自分の世界観を作り上げるように初っ端ディープなエレクトニック・ハウスでゆったりと、そしてどっしり重いビートで緩やかな流れで始める。Innervisionsらしい荘厳で覚醒感のあるトラックを用い、焦らしながら粘り強く低空飛行を続けて中毒性の高い快楽的な沼へと嵌める。無闇に上げない、しかしグルーヴを切らす事なく程良い緊張感の中でドロドロとした粘性の高い流れを作り、ねっとりした沼から抜け出す事は出来やしない。闇の中でふらつくように蠢く酩酊感と覚醒的あるシンセのメロディーは妖艶な色気さえも放ち、ディープな音の中に黒光りする官能を添えるようだ。一時間位はそんな調子で上げずに根気よく引っ張りながら、中盤からは遂にはリズムにも激しさを付加しながら、深い闇の底から浮上しテンションを高めていく。それでも安定感は保ちながらしゃっきりとタイトな4つ打ちで緩やかに上げて、そしてInnervisions流アシッド・ハウスとでも呼ぶべき意識も融解するドラッギーな歌モノを投下すれば、フロアからは奇声も上がる程に盛り上がる。ややテクノ的な硬質な音質のリズムも現れ、更にはエモーショナルな歌モノ・ハウスやアシッドのラインが狂ったようにうねるアシッド・ハスウなど、多少は幅を持たせながらもスピード感を増していく。歌と言うかボイス・サンプルと言うか声の入った曲もふんだんに使って官能や覚醒感、そして毒気も感じさせるエグミやディープな感覚が入り乱れるも、汗の臭いを全く感じさせないクールなプレイはInnervisionsらしいというか、ヨーロッパから生まれた洗練された音楽性が感じられるものだった。3時間のプレイの中で激しいビートで引っ張るのではなく曲そのものメロディーや世界観の良さを活かして、自然とエモーショナルかつディープな世界へと誘い込む流れは彼が制作する曲とも共鳴するものがあり、Marcus Worgullに期待していた音楽性は十分に発揮されていた。

トリはDJ Shibataが登場。朝方になりフロアも空いてくる中でテンションは保ちつつもよりツール的というか、ごつごつと無骨なリズムを打ち出してメロディーを抑制した方向へ向かっていく。すっきりと硬くタイトなリズムはどこかトライバルで訝しく、そこに断片的かつ抽象的な奇妙な上物が鳴っていて、肌で感じる温度感も急激に下がっていく。この時間帯になってくるとフロアにも余裕が出来て、じっくり音に耳を傾けのびのびと踊る事が可能なので、派手な展開を作らずに緊張を保ち続けるプレイにより、じっくりと音へと集中し引き込まれていくのだ。次第に音質は硬くなり、間を活かしながら無駄は削ぎ落とされ、リズムによって引き寄せられるミニマル寄りなテクノの性質が強くなる。感情を排した淡々とした冷たい音、乾いた湿度感、色味の無い世界は、朝方にもかかわらずまだ深い闇の底にいるようで残った者達をまだまだ現実へと帰さえない。Marcusによってたっぷりと官能や雰囲気に色付けされた後のプレイだからこそ、DJ Shibataのテクノ寄りなクールな音による対比も印象的だった。

■Kaito - Until The End Of Time(過去レビュー)
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