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2015/11/27 DJ NOBU presents Holes @ Grassroots
今では国内だけでなく海外でも高い評価を受ける事で海外でのプレイも増え、国内では以前程に安定してDJを聴ける回数は減りつつあるDJ Nobu。そんな彼にとっても高円寺Grassrootsは特別な場所なのだろうか、そこで彼が新たに立ち上げたパーティーが『Holes』だ。DJ Nobuによって毎回一癖も二癖もあるDJ/アーティストを招いて、大箱における分かりやすいダンス・ミュージックとはベクトルが異なり、もっと個人の趣向や自由なプレイが尊重された音楽性を重視するパーティーにも思われる。今回はライブアクトにはギターによるドローン/アンビエントで評価を獲得しているHakobune、そしてBlack Smokerの頭領であるKiller-Bong、アーバンかつアダルトな選曲ならお任せの二見裕志、勿論主宰者のDJ Nobuが出演と、この組み合わせからは全く予想出来ない一夜に期待が高まる。
ジャンルレスで熱い感情とメロウネスが炸裂するKiller-Bongのプレイも聴きたかったので、早めに行こうと思ってはいたのに、当日は結局寝坊して現地入りは26時前。既にKiller-Bongのプレイは終わりかけで、直ぐにHakobuneのライブが開始する。アコースティックギター一本に多数のエフェクターや機材を繋ぎ、そしてどうやらテープで他の背景となる音を出していたようだ。ライブが始まるとそれまでのガヤガヤと賑やかなフロアは一気に静まり返り、Hakobuneの一挙手一投足を見つめながらフロアは静寂に包まれる。序盤は弦を弾いて優しく一音一音を鳴らしながら、それをリバーヴ等のエフェクターで加工し、リアルタイムで多重録音的な構築を行う。静寂が際立つように幻のような音の粒を浮かび上がらせ、そして少しずつ淡いドローンの音像が背景に投影される。アコースティックなアンビエントかシューゲイザーか、真夜中のクラブとは思えない安らぎを誘発する鎮静剤の効果として覿面で、じっくりと夢幻の音に耽溺してしまう。このライブから感じたのはFenneszのような耽美なノスタルジーもあれば、混沌に飲み込まれる色彩豊かなサイケデリアもあり、ぼやけて淡いドローン音響の中にメロディーが溶けていく流れは、同時に意識も融解させる。深い霧に覆われた夢の中を揺蕩う、彷徨う、今この場所さえも分からなくなる未知なる場所へ逃避する感覚だ。その淡くもメロウで美しいアコースティックギターとドローンの音響のゆったりとしか変化は、時間さえも止まったような錯覚を引き起こし、Grassrootsという小さなクラブの中だけで甘い現実逃避を作り上げていた。

真夜中の27時前、Hakobuneの素晴らしいライブにしっぽりとし、パーティーの興奮からは全く心が離れてしまったところに二見裕志が登場。出だしはEarthen Seaによる"Saharan Ocean"、ダビーな音響に微睡みのメロディーで静寂の雰囲気を引き継いだディープ・ハウスで、ゆったりとパーティーのモードを再構築する。しっぽりとした温かさを継続した滑らかなビートと穏やかな雰囲気は、大箱パーティーにおける激しい喧騒ではなく大人の社交場的なアーバンな感覚があり、その余裕さえも見せ付けるプレイが心憎い。透明感のある綺麗な音像もあって序盤からうっとりしていると、まさかの"Bells (Dream Sequence)"も飛び出して官能的なテック・ハウスで完全なるお色気モードが爆発。ようやくビートにも荒さが現れ始めパーティーのモードらしさが戻ってくるが、決して激しく揺さぶるような強迫的なものではなく、芯のあるビートを刻みながらもどこかアダルトで妖艶な色気を発する大人の時間帯だ。恍惚感のあるエレクトロ・ハウスやぎらついたプログレッシブ・ハウス、中にはアシッド・ベースが危うさを発する曲まで持ち出すが、フロアを叩き起こして刺激するのではなくあくまで感情の昂ぶりをコントロールしながら整然とした流れを作っている。そう、地に足の着いた安定感のあるグルーヴなのだ、"Friends (Detroit Swindle Friends On Acid Remix)"にしてもファンキーなのに汗臭くなる事はなく、毒気付いた危うい官能を発しているのだ。ハウスにエレクトロの風味を盛り込みエグみをアクセントとして加え、展開が極力抑えられたミニマルも挟んですっと伸びる持続感を生み、大きな展開に頼らず淡々と場をキープする。更にそこから控えめな情緒を伴うスムースなディープ・ハウスへと移行し、夜の色気で誘惑するアダルティーな味わいを軸に、飄々としたクールなプレイはフロアの空気を壊す事なく実にアーバンかつモダンな感覚でしっとりと染め上げていた。

そして朝が近くなった4時半、遂にDJ Nobuが登場だ。いきなり大箱では間違いなく聞けないであろう弛緩したビートとエレクトロニックな上物が恍惚を誘い、地面にへばり付くようなロウ・ハウスで開始。完全なるマシン・ビートは快楽的ではあるものの、その上モノの電子音は奇妙な鳴り方をしており、どたどたと辿々しいグルーヴ感と相まってトリップ感を強調する。2週間前のリキッドルームにおける緊張感張り詰めたプレイとは対照的に、全く上げないにもかかわらずささくれ立った刺のあるビートは肉体を強烈に刺激し、壊れたような電子音は精神を覚醒させ、心身の両方からパーティーの興奮を呼び起こす。小箱ならではこそのトリッキーな音楽性を自由に披露し、上げる事も全く強要されずに、のびのびとやりたいように楽しんでプレイしているようにも見受けられた。Acid Arabの"Sidi Gouja"による狂ったアシッド・ハウスも炸裂すれば空間を歪めるサイケなトリップ感に震撼し、そこからの古ぼけたエレクトリックなディスコでは一転してノスタルジーを誘う。がらくたを掘り返すようにロウで厳ついビートのロウ・ハウスが何といっても刺激的だが、朝方からはChillyによるイタロ・ディスコ調の"For Your Love"などの快楽的なディスコも飛び出して、そのハイエナジーなダンス・フロアには笑顔が満ちる展開だ。享楽的でさえもあるがパーティーとしての盛り上げ方はやはり熟知しており、ディスコの快楽主義さえも利用してフロアを抗えない多幸感に包み込む。それからはもうフリーダムに幅が振れながら、民族的な祈りのような歌や血潮たぎるプログレッシヴなファンクなど、生々しさを打ち出した温かくライブ感のある音が中心となっていく。けたたましく野生味溢れるドラミングが炸裂し温度感が高まったり、そしてGichy Danによるラテンなディスコの"On A Day Like Today"で哀愁を感じたり、DJ Nobuによる朝方のディスコやファンクの時間帯は普段のテクノセットとは異なり実に人間臭い温かさが持ち味だ。そんなこんなで朝になっても音楽好きなパーティーピープルはフロアに留まり、朝の7時を過ぎてもパーティーの喧騒は一向に止まらない。当方はいつの間にかうたた寝をしてしまい、目が覚めた頃には再度二見裕志がDJを行っていたが、9時前には帰宅。後で聞いた話では丁度9時頃にパーティーは終わったそうだが、DJ Nobu×Killer-Bong×二見裕志×Hakobuneなんていう出演陣はなかなか体験出来る事はなく、それが単なる意外性だけを狙ったものではなくパーティーとして違和感無く馴染んでいたのだから、もう文句の無い素晴らしいパーティーだったと言えよう。
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