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2015/12/28 SLOWMOTION @ Grassroots
ネット上の案内によると「青山はManiac Loveで生まれたSlowmotionは当時のハードミニマルやドラムン・ベースへのカウントーとして開かれ、アゲアゲ路線のパーティーとは異なる方向を向き、ゆっくりと落ち着いた変化球なダンス・ミュージックを志向」としていた、それがSlowmotion(詳細はこちらを参照下さい)。90年代中盤から始まったこのパーティーはその時代には早過ぎたのか、結果的にはレギュラーパーティーとしては成功しなかったものの、ここ数年はようやく時代にはまってきたのか当時のメンバーであるMoodmanやMinoda、そしてSports-KoideやTangoも加わって不定期開催されており、そして2015年も終わりが近付いたこの時期にGrassrootsでの開催が決まった。上げる事を強要されない、そして寛容のある客層が多いGrassrootsだからこそ、Slowmotionがしっくりとはまるのは間違いない。


25時に現地入りすると、もう冬休みに入ったからか思っていたよりもフロアには人が溢れており、フロアはざわめきながら良い賑わいを見せていた。しかしその雰囲気は非常に緩く、DJが織りなすダンス・ミュージックをBGMとして聞き流し、それをツマミに酒と会話を嗜んでいるリラックスした空気だ。DJブースにはTangoが入ってプレイしており、音数が少なく音圧も軽めの弛緩したハウスをプレイしている。音圧による強迫感の代わりにさくさくと軽快なリズム感で闊歩する身軽なグルーヴを作り、ジャジー・ヴァイブスをも織り交ぜてどこか優美なムードが心地良い。BPMとしてはやはり遅いものの、闇が深まるにつれて少しづつどっしりと重みのあるキックを打ち出すが、爽快に滑るようなスムースな流れはしなやかで、フロアは熱狂ではなく和やかな団欒の中にある。Jichael Macksonによる気の抜けたような、しかしファンキーなマイクロ・ハウスの"Da Piepe"の流れを通過し、ぶつ切りとなってサンプリングがユーモラスなノリを生むファンキーハウスなど、一般的なパーティーの熱狂的な昂ぶりとは異なる遊び心溢れるふざけたようなダンス感が面白い。26時頃になって整った綺麗目のディープ・ハウスも投下し踊らせるモードへと移行し、いつしか激しくはないものの勢いを増したパーティーのモードが強くなると、フロアはより一層混み出して会話は幾分か減るのとは対照的に体を揺らして踊る層も増えていた。

そしてMoodmanにDJが交代すると相変わらずBPMとしては遅いものの、太い低音とタイトなグルーヴは地に根を張ったように安定しており、勢いに頼らずともフロアをしっかりと揺らす。ガラッとフロアの雰囲気は入れ替わり多くの客がダンスし出してフロア全体が波となって揺れ、真夜中の喧騒の中へと入っていく。シンセファンクのようなベースが強調されたハウスから、MCDEによる重心の低いねっとりしながらも美しいストリングスが華々しいビートダウンの"Monorail"、Tanzlifeによるファンキーなベースと耽美なピアノが絡むブギーな"Autumn Always Comes Twice”に、Tad Wilyによるチョッパーベースがうねってファンクネスを炸裂させるブギーな"After Dark (Cyclist Remix)"と、黒っぽさも仄かに混ぜながらうっとりとする官能が堪らない。するすると糸を手繰り寄せるように滑らかに色んなジャンルを持ち込み、いともたやすく異なる質感の曲をミックスし、お洒落に優雅な佇まいながら力強くフロアを刺激する。そして何とも懐かしいNuyorican Soulの"Mind Fluid"も飛び出し、生のざっくりしたブロークン・ビーツが柔軟なビートを奏で実に華麗に舞いつつ、そこからの甘い陶酔が続く安定したテック・ハウスへの繋がりは見事だ。緩やかな上げ下げで緩急自在に流れを作りながら、怒涛の揺さぶりをかけるプレイク・ビーツから極度にミニマルかつヒプノティックのテクノへとさらっと繋げたりと、言葉で聞くだけでは不自然な流れも実際には違和感なく聞かせてしまう上手さは流石ベテランの業。Fabio Genitoによるアフロなパーカッション乱れ打つ中に青空広がる爽快なハウスの"Papawenda (FG Main Mix)"から、トランス感にも似た覚醒的なリフが反復するミニマルなテクノへの繋ぎ、Slowmotionらしい変化球を繰り出して再度闇の中へと潜っていく。そこからはどっしりした安定感のあるイーブンキック中心のテクノやハウスで持続感を重視して、終盤ではButchによるディスコなサンプリングで派手派手しい大箱向けの"Dope"で爆発させ、そこに繋げたFoukによるメロウなファンク・ハウスの”Heavy On The Bacon”の流れは紛れもなくピークタイムの瞬間だった。

その後のMinodaはがつんと盛り上がったMoodmanから一転、フラットなテック・ハウス中心の洗練された選曲。さらっと情緒を発しつつもリズムは弾けながら軽快で、Jef K & Sasseの"Endless"などデトロイト的なエモーションも匂わせたり。色っぽく妖艶な歌が入ったディープ・ハウスから、ざらついたビートのあるテクノ、線の細さが美しさを際立たせるテック・ハウスと熱気を抑えたように淡々としたミックスながらも、淡く仄かな情緒を活かした展開だ。それだけではなく随分と骨太な4つ打ちに壮大なシンセのメロディーがギャラクティックなディープ・ハウスで突き抜ける瞬間もあり、ドスドスとした重圧でフロアに攻勢をかける。そして次第に朝の時間帯のまったりなモードに入りながら、ジャジーなトラックでより一層微睡むようにフロアを落ち着かせながらの、最後はHnnyによるふわふわとしたシンセ・ストリングスが夢現なサンプリング・ハウスの"Good"で健やかな目覚めを迎える。メロウかつファンキにゾーン広めに振れたプレイは、これもSlowmotionの醍醐味だ。

6時過ぎからはSports-Koideが登場し、洗練された情緒のあるテック・ハウスからディープ・ハウス気味のプレイをするが、少し癖がある曲を用いて上げるのではなく少しづつ開放感を持ち出す。爽やかな朝方の気分に染まりかけ熱狂の後のクールダウンとしても楽しめそうであったが、まだパーティーは継続中の6時半には現場を離脱した。大箱での一晩中アッパーなパーティーも悪くはないが、しかし逆に上げずに落ち着いた夜を過ごすパーティーがあっても良いのでは。もしそんな風に思っていて、尚且つ踊れる事も希望するのであれば、それはSlowmotionへと繰り出すべきだと思わせられるパーティーだ。

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