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Richie Hawtin - From My Mind To Yours (Plus 8 Records:PLUS825)
Richie Hawtin - From My Mind To Yours
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2015年10月末にベルリンのレコード店であるHard Waxに、突如としてRichie Hawtinが主宰するPlus 8の複数のホワイト盤が並んでいるという情報を見かけた時に、その奇妙さと共に何かしらの期待を感じた者は少なくないだろう。アーティスト名も記載されずにリリースされたそれらのEPは、後に全てがHawtinの作品である事が明らかになり、そしてそれらは全てこの本作であるアルバムに集約されたのだ。Richie Hawtin名義では実に10年ぶりとなる新作であり、これらは自然と再開された音楽制作の結果としてPlus 8の25周年記念を祝福する作品にもなり、近年はイビサでのエンターテイメント性の強いパーティーや日本酒への好奇心を示していた彼が純粋に音楽制作へ戻ってきた事を意味する。特にそれが顕著に現れているのは、敢えて彼が過去に使用していたPlastikmanのみならずRobotmanにFUSEとCircuit Breakerなどの変名で各曲を手掛けている事で、今になって「原点に帰ること」も意識しているのは間違いない。Richie Hawtin名義の"No Way Back"(シカゴ・ハウスの名曲を想像してしまう)からして暗く陰湿で、そして極力を無駄を削ぎ落としたミニマルなスタイルのアシッド・テクノは、これこそ多くのファンが本来求めていた音楽性ではないだろうか。FUSE名義の15分にも及ぶ大作の"Them"では、より中毒的なトリップ感を誘発する発振音のようなアシッド・ベースの使い方が見受けられ、長い時間をかけて深い闇を潜行する事で意識は朧気になっていく。元々かなり激しいテクノの名義だったCircuit Breakerによる"Systematic"は、確かに暴力的なベースや激しいハイハットの覚醒的なリズムが中心となって、フロアで踊っている人達を更に狂わせるであろうタフで攻撃的なトラックだ。Plastikmanの"Akrobatix"に至っては彼の代表曲でもある"Spastik"のアップデート版と呼んでもよいだろうか、ハイハットやタムなどのリズムの変化だけで展開を作る最小限の音によるDJツールで、Hawtinのミニマルの美学が表現されている。アルバムは各名義毎の特徴も仄かに匂わせつつ、どれもこれも確かにHawtinらしい無駄を排して機能性を高めた美学の感じられるテクノであり、昔からのファンも基本的には違和感を感じる事はないだろう。だがしかし、リリース前のからの期待に反して本作に過去の作品に感じ取れる初期衝動のような驚きを受ける事はない。何故ならば本作が未来に向かっているのではなく、ルーツを見つめ直した上での作品であり、またもうあの時代から20年は経過しているのだから。音としてはリスナーの期待を裏切る事はないが、前衛という観点からは未来的な何かを生み出す事は出来ずに、何かモヤモヤとした気持ちが残ってしまう。それでもこれが制作への復帰となるのであれば、今後はその両者を両立させたインパクトのある音楽を生み出す事を期待したい。



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