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2016/4/23 Laurent Garnier @ Contact
オープニングパーティーからいきなりパーティー途中で営業中止となり、幸先が危ぶまれたContact。それから3週間が経過してようやくオールナイト営業へと戻り、久しぶりの来日となるLaurent Garnierのパーティーも準備は万全。テクノやハウスだけではなくジャンルを横断し、正に音楽の旅を表現するGarnierのプレイは今夜は一体どんな道を進むのか。
24時過ぎに入店し先ずはセカンドフロアのContactへ行くと、オープニングの時には設置されていなかったテーブルがフロアを陣取っており、明らかに風営法対策であろう風景に少々の踊りづらさを感じる。また若干音も小さくなったような気もするが、それでも普通のクラブ程の音量や雰囲気はあり、セカンドフロアと呼ぶには十分過ぎる場所だ。早い時間帯から盛況な中でAMA and GENKIは"Electric Garden"をプレイしており、浮遊感のある緩いテクノから湿り気を帯びたミニマル・ダブでずぶずぶと侵食するようなじんわりとした攻めを見せ、勢いに頼らない音響の快適性を発揮。それでも真夜中になるにつれて、少しずつビートは荒立ちながら体を揺さぶるプレイへと移行する。何か一本筋の通ったと言うよりは二人でプレイする分だけブレも感じられるが、変則ビートと4つ打ちを変遷する事で躍動感のある展開へと繋がっている。次のWord Of Mouthは変則的なビートながらも滑らかに揺れるダビーなテック・ハウスで始まり、色気も薫り立つアダルトなプレイだ。そこから"Avion (Marcel Dettmann Remix)"へと繋ぎ、ハードな質感ながらも水平方向に滑るような疾走感を生み出す。序盤に勢いのある流れでぐっと引き寄せると、そこから息を抜くように幻惑的な上モノが効果的な緩いディープ・ハウスで官能を誘い、如何にも彼らしさが伝わってくるプレイだ。そして再度パキッと引き締まったテック・ハウスへと回帰し、仄かな情緒を振り撒きながらハウスのグルーヴで心地良い揺れを誘発する。上げ過ぎず下げ過ぎず、お酒に酔った酩酊感を増長する官能に酔いしれる音楽性は、メインフロアに移動する前のウォーミングアップにも繋がるプレイだった。

そしてメインフロアのSTUDIOへと移動し、Laurent Garnierのプレイを聞く事に。開始は鳥の鳴き声など環境音を含んだアンビエントという意外な曲で、一旦前のDJからのプレイを切って再度始める事で、自分の世界観を創造するという意味合いもあるのだろう。そこら徐々に地響きの如く低音が響きだし、アシッドのベースとダブ・ステップ調の横揺れビートでぐらぐらと揺さぶり、のっけからテンション高めのプレイだ。そして武骨な4つ打ちのテクノで加速し激しい勢いで肉体を刺激しながらも、情緒的なメロディーで耳を惹き付け、早くもフロアの温度感は最高潮へと達する。また、激しく疾走するテクノ色強めなプレイの中にも、一気に緊張がブレイクするドラマチックなディープ・ハウスも落とし込み、単調さを回避するように大胆な流れも見受けられる。更にはEDM的な派手なシンセベースがうなるエレクトロ系もプレイし、そのハイテンションな雰囲気と相まって大仰な世界観がフロアを飲み込んでいく。しかし何だか哀愁が漂っているのは何故だろうか、意外にもメランコリックな音色が強く、愁いを誘う切なげで胸を締め付けるメロディーが強く感じられる。Rodriguez Jr.の"Petropolis"のようにミニマルなグルーヴはありつつも、しんみりするシンセのメロディーが強い曲も積極的にプレイし、真夜中の興奮の中に不思議な哀愁が溶け込むのだ。

しかし闇が深まるにつれそんな雰囲気よりもグルーヴ感重視の骨太なテクノ・セットへと移行し、真っ暗闇の底を疾走するアンダーグラウンドな雰囲気へと突入する。テクノを中心としたひたすら疾走するプレイの前に、酒も煙草もないフロアでは修行のようにただ音と向き合うフロアが生まれ、ただ音を浴びて踊る事のみで楽しみが生まれる。そして"They Says (Alexander Maier Dub)"の快楽的なアシッド・トランスでは、クラブらしい享楽とハードな世界観が共存し、Garnierも完全にアゲアゲで踊らせる事のみを目的としたセットで攻める。そんな中にもデトロイトの叙情が爆発する"Forever Untold (Satoshi Fumi Remix)"の光の粒が弾けるようなハイテックな曲は、闇に包まれたフロアを照らし祝福を告げるようだ。そこからは熱量の高いベース・ミュージックやR&B調の粗野なエレクトロ、ゲットー感もある卑猥なハウスなどを織り交ぜ、Garnierらしいジャンルを超越する世界観が出現し、遂に何でもありなプレイへ移行かと期待は高まっていく。が、そこから再度骨太で厳つい4つ打ちテクノへと戻り、有無を言わさぬ勢いで黙々とフロアを叱咤する。それでも要所でブレイクを入れて緩急を付ける事で劇的な展開も用意し、ひたすたアッパーなセットの単調さの回避もしている。

始発が始まる頃にはKolschのプログレッシヴ・ハウス調な"The Road"もプレイし、やや緊張感も緩んで音も色彩を増していく。そして恐らく多くの人が予想していたであろうが、Princeのエレクトロ・ファンクな"Controversy"を投下し、フロアは待ち侘びていた如く歓喜する。朝方に訪れた至福の時間帯を通過し、それ以降はハードな方向性から少しずつ開放へと向かうようにテンションは抑えつつ、デトロイト・テクノらしきメロディアスな曲やふわっとした浮遊感を伴うミニマルな曲、ぎらついたシンセが快楽的なプログレッシヴ・ハウスなど、ようやく音にも多様性が現れ期待していたGarnierらしいジャンルの横断が始まる。遂にはベースが膨れ上がって重低音でフロアが振動するレイヴ調のジャングルもプレイし、悪っぽい雰囲気と強烈なビートでミキサーのようにフロアは撹拌される。そして聞こえてくるベンダーを使ったシンセのメロディー…そう、Derrick Mayによる"Wiggin (Re-Mix)"だ。オールド・スクールなリズム感と情熱的なシンセのメロディーにうっとりしつつも、そこにHiroshi Watanabeの"The Leonids"を繋げてくるTransmat縛りのプレイには眠気が覚めない訳もなく、このパーティーの中で最もエモーショナルな瞬間だったのは言うまでもない。それ以降も"Don't Stop The Dance (Todd Terje Remix)"の全身を舐め回すようにエロティックなニュー・ディスコもプレイすれば、全くビートの入らない現代音楽だと思われる静謐なアンビエントでフロアを休ませ、あの手この手で夢幻の世界へと誘っていく。しまいには激しいラップと物哀しいメロディーが交錯するヒップ・ホップも飛び出して、やはり真夜中のアッパーで攻撃的なテクノセットよりも、朝方の自由な選曲の方がGarnierらしさは存分に発揮されていたと思う。そこから徐々にトーンダウンし一旦プレイが終了し、最後はアンコールに応えて激しい高速ビートが脈打つファンキーなドラムン・ベースで爽快な空気をフロアに巻き込み、パーティーの終わりを告げた。ようやくContactのオールナイトでのパーティを最後まで体験出来たのはGarnierによる飽きさせないプレイに惹き付けられた事もあるが、アルコールを摂取出来ないストイックなフロアだからこそ音と対峙し続ける特異な環境になっていたりと、それも音に集中する事に一役買っていたのでは。オープニングパーティーで喪失したパーティーへの期待が、ようやく戻ってきた一夜であった。

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