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2016/4/30 GET BETTER ANDREW !!!!! @ Womb
久しぶりの来日という事で楽しみにしていたAndrew Weatherallが、パーティー直前になり体調不良でキャンセルというショッキングな状態。そこで急遽組まれたパーティーは国内勢のアーティストのみという潔さが伝わってくる内容で、元々出演予定であったGonnoに加え、国内外で活躍し最近Transmatから新作をリリースしたHiroshi Watanabe、エレクトロニカ系の牛尾憲輔ことagraph、そしてWombでもレジデントを担当する石野卓球が参戦と一夜を楽しむには十分な面子が集結した。
パーティーのトップバッターはGonnoから。まだ人気も少ないフロアなので抑え目のプレイではあるが、フロアに入った時には丁度"Deepn'" (Gonno remix)でぐるぐると意識が撹拌されるような惑わし方を行っていた。低空飛行でねっとりと混ぜるように雰囲気を作っていき、しかしカラッとしたパーカッションが高揚を生むリズミカルなハウスで高揚感を高めていき、徐々に音数も増えてゆったりとしたビートながらも荒々しさが増していく。アッパーなビートのみに便る事はせずにヒプノティックなメロディーや歪な電子音が刺激を持ち込み、じわじわと舐めるような攻め方だ。Gonnoお得意の愉快なトリップ感のあるアシッドを用いたテクノも用いつつ、より攻撃的で不気味さを醸す"Walkaway (Fantastic Man's Atmospheric Dub)"のようなアシッド・ハウスもプレイし、奇妙な電子音響を伴いながら真夜中の廃退的な時間へと突入する。更にPrins Thomasによる"Trans 12" Version"でアシッド気味の快楽的な曲でぐっと俗世的になり、ビートはスピード感を伴いながら疾走を始める。が、突き抜ける事はなく上がったり下がったりを繰り返し、パーティーのオープニングの役目を理解したプレイを徹底する。そしてオールド・スクールな質もある感情的でソウルフルなハウスも飛び出してくるのはGonnoらしく、上下に跳ねるリズムで自然とフロアの揺れも強くなっていく。終盤には堰を切ったように勢いは濁流となり、激しく猛進するアシッド・テクノからGonnoによるサイケデリックな音響が開花した"To The End Slowly"など、意識もクラクラする作用と肉体的な無骨なグルーヴが融け合った流れが押し寄せる。自然な展開で上手くテンションを上げてパーティーの流れを作るのは、流石の卓越したプレイで文句無し。メインタイムのプレイではなかったが、Gonnoらしさもしっかりと表現されつつパーティーを作った点で期待通りであった。

次に登場したのはライブ参戦となったagraph。アーティストについてリスニング系の人なのかなというイメージ位しか持っていなかったのだが、いきなりフロアの底から振動するような重低音が伝わってきたのに驚きつつ、正統派ダンス・ミュージックというよりは、エレクトロニカを思わせるもの悲しい上物や崩れたビートが目立ち、それまでのフロアの雰囲気は一変する。チョップ気味のファンキーなビート感覚もあるが、持続性のあるグルーヴではなく緩急自在かつ変則的な動きが、はっと意識を覚まさせるようだ。殆んどストレートなダンス・トラックはなく細々としたリズムが動き周り、やたらと忙しなくもある躍動感が目立つものの、その一方ではエレガントなのか物哀しいようなメロディーも際立っていて不思議な音楽を聞かせていた。ネット上ではバロックとも称されていたり、確かに荘厳なオーケストラにも近いものは感じられた。

そしてHiroshi WatanabeのDJになると、再度クラブのパーティーらしいダンス・ミュージックの時間帯へと振り戻される。いきなりデトロイト・テクノのエモーショナルな感覚を含むテクノを投下すると、一気にテンションはピークへと到達しフロアは興奮の包まれて大きな波となる。Weatheallがキャンセルとなった喪失感を振り払う意識もあるのだろうか、高速のイーヴンキックによる突き抜ける疾走感と情熱で覆い尽くすパッドやシンセのメロディーに満たされ、まごうことなきのピークタイムの為のセットだ。ライティングも色鮮やかに空間を装飾し、Watanabeのスケール感の大きい音楽性と上手くシンクロし、盛り上がりは最高潮へと達している。過密なリズムと音色に奥深い音響が怒涛の流れとなって押し寄せ、その中から切ないピアノのフレーズも現れたり大胆なブレイクで弾けり、フロアに爆発を引き起こすプレイは盛り上がらがないわけがない。そんな激しい展開と共に、一旦静まったビートから自身の"Aperture Synthesis"で陶酔感が炸裂するエモーショナルな流れに入ると、そこからは熱き感情が溢れ出す。そこから残響に包まれるダビーなテクノを通過しつつ溜め感のある”Soul Transitions”で、どんどん感情の昂りは加速する。そしてアンビエント性の強い曲で一旦フロアを落ち着かせたところで、差し込まれたのは”The Leonids”だ。先日来日したばかりのフランソワやガルニエもプレイしたこの曲は、余りにも壮大で叙情的なピアノが胸を締め付けるエモーショナルなテクノで、この夜のパーティーでもフロア受けは抜群だ。それ以降も緊張感を保ったまま疾走し続けるテクノセットで、ドスドスと重いキックでフロアを叩き付けるように刺激し、90分という時間をあっと言う間に駆け抜けるプレイだった。

最後はWombを代表すると言っても過言ではない石野卓球。Watanabeからの勢いを失わずに膨れ上がる低音とパキッとしたミニマルなツール系のテクノで開始。凄い低音の出力でいきなり耳が痛かったが、それも徐々に落ち着きひんやりとしたベルリン色強めのテクノは如何にもらしい。流石はベテランだけあってグルーヴ感は抜群で、デケデケしたシンセベースが入ってくれば途端に旧来のベルリン色が強くなり、そこにファンキーなボイス・サンプルや細かいアシッド音も混ざってくると、何だかオールド・スクールな時代感が蘇ってくる。思っていたよりも堅実というか、卓球らしいエレクトロの要素が強いトラックを軸に、リズムの機能的な躍動で引っ張っていくプレイだ。もっと派手な選曲をするのかと思っていたけれど、引き締まって安定感のあるビートで色味は抑えつつグルーヴで攻めるプレイに、Wombという大袈裟なクラブにしては随分とストイックだなと思わせられる点も。但し2時間のセットな上に選曲の統一感が故か、少々一本調子に感じる点は否めなかった。確かにミニマル性の強いDJツール的な曲中心ではあるものの、ミニマル・ハウスのずぶずぶはまっていく中毒的な音楽性とは異なり、やはり肉体に響く刺激が強い音である分だけ同じような展開が続くと単調に感じるのも仕方ないだろう。後半には"Town"のエレクトロ調のエディットも飛び出してキャッチーになり、そこからオールド・スクールを遡るように"Touch The Sky (Gerd's Double G Mix)"等のアシッド・ハウスや悪っぽいジャッキンなハウスも披露したり、終盤には変化もあってちょっとした刺激的な展開もあった。アンコールでは疾走感の強いテクノでがつんと突き抜けて、確かにテクノを存分に体験出来るプレイではあった。ただ感覚的なものではあるけれど、良い意味では卓球らしいブレない音楽性ではありつつ、何だか時代からは取り残されている感もあり、いつまでWombが卓球をヨイショするのかと怪訝な気持ちになったのも事実だ。それでもパーティー全体を見ればAndrew Weatherallの不在を補うには十分であったし、こうやって外タレに頼らずとも十分な集客が出来たのは喜ばしい事だ。

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