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Tempelhof & Gigi Masin - Tsuki (Hell Yeah Recordings:CLTCD-2054)
Tempelhof & Gigi Masin - Tsuki
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そもそも一度目の春があったかどうかはさておき、イタリアの音響音楽家であるGigi Masinにとっては、今こそが長い音楽キャリアの中で春の真っ只中という状況だろう。全ては2014年にMusic From Memoryが掘り起こしたベスト盤の『Talk To The Sea』(過去レビュー)を起点として現状までの流れが続いており、過去の殆どの作品は復刻されて慎ましく美しい音響作品はようやく多くの人に届くようになっている。だからと言ってMasinが過去の人であるわけでもなく、リイシューを契機に知名度を得た事で音楽活動が盛んになり、今ではLuciano ErmondiとPaolo Mazzacaniによるバレアリック派のTempelhofとのコラボーレーションも積極的に行うなど、現在進行形のアーティストしてシーンへとすっかり馴染んでいる。本作はそのコラボーレーション第2段となるアルバムで、2014年の『Hoshi』に続き日本語をイメージした『Tsuki』という静謐なタイトルが付けられている。制作はどちらかがベースとなる曲を作ったり、又はそこから一部を削除したりと、お互いが手を加える事でリミックスにも近い環境であったようだが、両者の音楽的な境目は全く分からない程に自然な融和を成している事でコラボレーションの結果は間違いなく成功している。アルバムの始まりはかの名曲"Clouds"のリメイクである"Tuvalu"で、天使の羽衣のようなふんわりとしたシンセのリフレインと滴り落ちる静謐なピアノのメロディーが哀愁を誘発し、引いては寄せる波のように叙情の盛り上がりを展開し、いきなりドラマチックな世界観に引き込んでいく。そこから青空が広がるように爽快なパーカッションが心地良く響く"Corner Song"では、Masinらしい柔らかく美しいストリングスが伸びて、広大な空に絵を描写するような壮大さがある。"Vampeta"も抜けの良いパーカッションが上の方で鳴っているが、ここでは情緒豊かなトランペットが効果的に用いられ、ジャズ・フィーリング溢れる躍動感を備えている。逆に"Komorebi"ではエレクトロニクスを中心にしながらドローン音を背景に、コズミックな電子音を散りばめながら途中からトライバルなリズムも加わって、何だか原始の胎動を含むアンビエント的だ。終盤の"Treasure"では残響の強い歌も配して宗教的な厳かさを演出し、非日常的な神聖な佇まいは祈りにも感じられる。多少はアルバムの中でジャズやアンビエントにサウンドトラック的なものまで幅があるものの、どの曲にもシンプルでありながらこの上ない静謐さと美しいメロディーを際立てる特徴があり、リスニング・ミュージックとしての世界観が統一された素晴らしい内容になっている。その美しさには溜息しか出ないだろう。



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| ETC4 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
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