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STEREOCiTI - Lost Land (Mojuba Records:mojuba lp 5)
STEREOCiTI - Lost Land
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良質なテクノやハウスが大量に生まれるドイツはベルリン、その中でも美しいメロディーや奥深い音響にデトロイトやシカゴの叙情を盛り込んだ音楽を武器とするディープ・ハウスの深層部であるMojuba Records。そのレーベルに唯一所属する日本人DJこそ神奈川出身のKen SumitaniことSTEREOCiTIで、2014年初頭には長く活動した日本からベルリンへと移住し、現在のダンス・ミュージックの中心的な場所で経験を積みつつ制作を続けている。2011年にリリースされた『Kawasaki』(過去レビュー)では既にベテランとしての貫禄のあるディープ&ダビーな音響に仄かな情熱を含ませて、荒くれた情景の奥に繊細な響きが鳴るいぶし銀的なディープ・ハウスを完成させていた。それから数年はMono Village名義でのシカゴ・ハウスやMojubaからは2枚のEPを出したりとゆっくりとではあるが成熟するような深化を見せていたが、前作から5年をしてベルリンでの活動や経験から生まれた2ndアルバムが完成した。前作と同様に大きなクラブにおけるやたらめったらに刺激するようなダンストラックは無く、やはり厳かで慎ましささえ伴うミニマルなディープ・ハウスは、ベルリンの影響なのか前作以上に内向的で闇に落ちていくような微睡む感覚を発している。ミステリアスな雰囲気を誘う揺蕩う上モノ、少々ヒプノティックでアシッドなベースラインに導かれる"Rouse Out"は、微かな残響が引いては押し寄せる波のように揺らぎを生み出し、軽快なグルーヴで闇の中に進み出す。続く"Initial Assumption"ではほっと空気は弛緩し温かみのあるメロディーにはデトロイト・テクノような叙情も感じられ、すっきり洗練はされているのに何だかオールド・スクールな懐かしい感覚も。シカゴ・ハウスの荒ぶるファンキーさを打ち出した"Kraken"は、しかしハイハットの繊細な強弱や段々と連なる残響に入念な音響への拘りが感じられつつも、粛々と叙情を放出するフロアに即したダビー・ハウスだ。より鈍くも地味なアシッドのベースラインを強調した"Interstellar Substance"、ゴリゴリと破壊的なリズムと覚醒的な上モノが退廃的な"D.W.D.P."にしても、さりげない残響は闇の深遠さを体感させ深い処まで魂が吸い込まれるようだ。またブレイク・ビーツ気味のトラックに懐かしさ溢れるメロディーが心地良い"Lost Land"は、90年代のAIテクノや初期デトロイト・テクノに投影する人もいるかもしれない。アルバムにおいて何かキラートラックと呼べる物はないかもしれないが、寧ろアルバム全体の纏まりや一つの世界観を尊重しているのだとすれば、通して聴く事で喚起される風景の移り変わりのようなサウンド・スケープが感じられる丁寧な作品だ。そしてそこにはSTEREOCiTIの内に秘めたる静かなソウルがあり、低温で燻るような火が灯っている。



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