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2016/11/22 Gift @ Sankeys TYO
今年の8月にSankeys TYOでスタートを切ったGiftはそのパーティー名通りに“お客様感謝デー”としての意味があるパーティーで、価格を抑えながらも良質なDJが出演する事で注目を集めている。そしてその第2回はLabyrinthにも定期的に出演し人気を博しているPetar Dundovが招かれる事になり、このパーティーが低価格なのだけを売りにしているのではなく質を伴っている事を証明する事になる。日本からはGiftの初回にも出演したSatoshi Otsuki、Berghainを含む海外でのツアーも敢行したIORIが出演と、盤石の体制でパーティーは企画された。
終電に乗り移動し現地入りした事には既に25時、この時間でフロアは十分な人で埋まっており予想外に賑わいだ。Satoshi Otsukiは淡々とした曲調を用いながらも地面に杭を打ち込んで固めるようなどっしりしたビートを刻み、メロディーは抑えながら鋭いパーカッションや重圧のあるキックを中心にピーク前のフロアを作っている。表向きには派手さは抑制されながらも空間の奥底ではテッキーな上物が鳴っていたり、微かな残響によるダビーな響きがあったり、大胆な揺さぶりは無くとも丁寧な味付けでグルーヴをキープし人をフロアに引き寄せ続け、ゲストにバトンタッチするパーティー序盤の役目を全うしていた。

Petar Dundovは25時半から登場したが、この時点でフロアは満員御礼でやはり人気の高さを伺える。初っ端から痺れる電子音により精神は覚醒し、壮大なプログレッシヴ系というかトランス感ばりばりなサウンドに、身も心も恍惚状態へと一気に持っていかれる。Otsukiのプレイから余りにもガラッと変わった世界観に驚きつつも、そのとろけてしまうトランス感には抗う事は出来ず、場を盛り上げるド派手なレーザーライトの効果と相まって神々しささえ発していた。そしてアシッド・トランス的な毒気も滲み出ながらじわじわと精神を侵食する流れで、ゆったりとおおらかな大河の流れに飲み込んでいく。彼が制作するアルバムの美しさに加え、狂気とフロア仕様の骨太なリズムも心身を直撃し、そのサウンドは完璧に麻薬的な中毒性、つまりは非常にドラッギーな世界観だ。もちろん美しい音響は彼特有の武器だがそれだけではなく、DJでは肉体を激しく揺さぶる暴力的なビートや闇の中に吸い込まれるミニマルな展開もあり、次第にスピード感も増してピークタイム仕様へと突入する。上の方では羽毛が舞うように美しいメロディーが優美に展開しつつ、底辺ではどぎついアシッド気味なベースラインがうねり、その対比が鮮烈な印象となってフロアに刺激的な響きをもたらしていた。

この日は3時間セットという予定だったが、その1/3をようやく過ぎた辺りでは膨大な量の音が空間を埋めつくし、全く隙間の無い激しい攻勢をかける。なだらかに緩急はつけながらも音の多さがアッパーな効果となっているのだろう、濁流の如く音の粒が押し寄せハードな勢いとなってフロアを直撃する。常にテンションは高いがトランス感の中に荘厳さも見え隠れし、いつ終わるとも知れない恍惚が途切れる事なく続く。事実、フロアには多くの人が定着し疲れを知らぬように躍り続けて、快楽と恍惚の響きに身を委ねていた。曲調や世界観的には然程変化は無いものの、だからこそドラッギーな効果がずっと継続し、やや単調な流れであっても上手い具合にパーティーにはまっていたのだろう。

そしてプレイの2/3を過ぎた辺りでも相変わらずテンションは一向に落ちず、フロアを快楽で支配するハイエナジーな展開が続いている。しかしトランス的な曲だけではなく、時にはゴリゴリとした厳ついビートを刻むテクノも織り交ぜ、恍惚感だけではなく肉体的な刺激も誘発し身体に揺さぶりをかける。その一方で際限なく続く4つ打ちのループに合わせてシンセのアルペジオによる快楽的なフレーズが浮かんでは消え、頂上の見えない山を登り続けるようにトランス感覚を何処までも上積みし、意識が麻痺するかのような中毒の真っ只中にもっていかれる。神経を侵食する鈍い電子音が空間を飛び交いつつ、綺麗でトランシーな上モノは飛翔し、危うさもある雰囲気にゆっくりと包まれる。終盤は次第に落ち着きを取り戻しながら、その分だけ美麗なメロディーが強調される事で神々しさが戻ってきて、ゆったりと羽根を羽ばたかせる如く美しい電子音が空間を舞っていた。3時間のプレイにおいて大きな変化ではなくDundovの神々しいトランス感で統一するプレイは、彼のアルバムを好む人にとって期待通りであっただろうが、それ以上にアルバムでは体験する事の出来ない骨太さや狂気の感覚も含んでいた点で、期待を良い意味で裏切られる素晴らしい内容だった。正直に言えばジャンルとしてのトランスは苦手なのだが、息を飲む美しさと圧倒的なトランス感を前に驚愕せずにはいられない。Dundovの後にはIORIのDJも続いていたのだが、Dundovのプレイに満足した事と流石にもう朝方で披露も溜まっていた事もあり、4時半過ぎにはフロアを後にした。

■Petar Dundov - At The Turn Of Equilibrium(過去レビュー)
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■Petar Dundov - Escapements(過去レビュー)
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