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The Orb - COW / Chill Out, World! (Kompakt:Kompakt CD 134)
The Orb - COW / Chill Out, World!
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コンセプトは単純にアンビエント・アルバムを作る事、それに従って制作された本作は、アンビエント・ユニットとして名高いThe Orbにとってユニット史上最も"チルアウト"と宣伝されているが、その謳い文句も決して嘘ではないだろう。前作から僅か1年でチルアウトを打ち出したアルバムに携わっているのは、中心人物であるAlex Paterson、そしてThe Orbの第二の中心人物であるThomas Fehlmann、そしてユニットの初期に参加していたKilling JokeのYouthと、つまりはアルバム毎に制作メンバーが変わるユニットの中でも鉄板メンバーが揃っているのだから、当然悪い訳がない。路線としては限りなく幻想的で美しい音響を打ち出した『Orbvs Terrarvm』(過去レビュー)に近いだろうが、そちらがアンビエントなのに対し本作はやはり自然主義に根付いたチルアウトとしての要素が勝っている。何しろThe Orbと言えばヒップ・ホップやダブからの影響を受けた土着的なリズム感に定評があるが、本作ではそういった躍動的なビート感は希薄で、霞がかった繊細なヴェールのような電子音やオーガニックな楽器の音色に鳥の囀りや水の流れる音などのフィールド・レコーディングを軸として、緑が溢れる田園地帯を揺蕩うような牧歌的なイメージが通底している。音響的には奥深いダブの要素は当然あるもののリズム感で踊らせる展開は回避し、あくまで電子音と有機的なサンプルによって自然回帰的なほのぼのと穏やかな音響空間を構築し、Alexお得意のユーモアを盛り込んだサンプリングが無い訳ではないが、本作のキーはやはりThe Orbのインテリジェンス溢れる方面を担うFehlmannの繊細で耽美な音の使い方が肝だ。基本は豊かな色付けで装飾を行う電子音が前面に出ており、それがオーガニックなサンプリングと融和する事でチルアウトとしての効果が高まっている。例えば時間軸が遅くなったような南国のリゾート感溢れる"Sex (Panoramic Sex Heal)"では爪弾きのような弦楽器の音とドリーミーな電子音が入り混じり、当然そこに虫の鳴き声のサンプルも落とし込む事で余計にナチュラル・トリップを生み出しているし、"The 10 Sultans Of Rudyard (Moo-Moo Mix)"では人の呟きや虫の音のサンプリングを用いた定番的なチルアウトに合わせてRoger Enoによる静謐なピアノの調べを導入し、何か神聖な雰囲気も加わり壮大さを増している。その美しい音響には最早意識さえも融け込んでしまうような、つまりはチルアウトとしては最適な音楽であるのだが、タイトルからして『牛/チルアウトの世界』なのだから聞かずとも想像は付くだろう。



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