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2017/5/20 Millennium People presents Kassem Mosse @ Unit
ベルリンのWorkshop、またはThe Trilogy Tapes等からの作品が変異体テクノとして注目を集めるKassem Mosse。ハードウェアを用いたライブには定評のある新生代が久しぶりに来日するが、今回はそこにどMosseと同郷の女性DJであるResomも参戦。ベルリンのクラブである:// about bankでレジデントを務めるそうで、幅広い選曲の形容のし難いプレイは国内外のDJからも高い評価を得ており、恐らく初来日となる今回は彼女の珍しいプレイを体験するレアなチャンスだ。そして何と今や世界的評価を獲得したFuture TerrorのDJ Nobuが、今回は元Future TerrorのKabutoと最初で最後?のB2Bセットを披露するなど、話題には事欠かないパーティーが今夜の「Millennium People」だ。
25時頃に現地入りすると、メインフロアのオープニングを担当しているのがResomだ。太めのキックや低音は出ているが早い時間帯と言う事もあってか強迫的な勢いで踊らせる展開ではなく、ロウな質感がありながらも妖艶なストリングスや官能的な電子音のメロディーに導かれて、テクノとハウスの狭間を擦り抜けるようだ。ガツッと盛り上げるプテ位ではなくパーティー序盤の空気を理解したように、じわじわと雰囲気を作り上げていくようで、例えばLerosaの"Private View"などアシッディーであってもメロウなテック感があったりムードを大切にしている。全体的に音は意外と硬めで、中には粗いロウ・ハウス的なリズムやまたはエレクトロの鋭利なビートも見せるが、一方では耳を引き付けるメロディーの尊重もあり、平坦なグルーヴによって持続感を生み出すミニマルとは真逆の色彩を帯びて変化を見せる選曲が特徴的だ。確かに闇に潜む夜の音ではあるが官能的な叙情が打ち出され、闇の中でひっそりと花弁を開くような美しささえもある。とそんな中でグッと勢いのあるテクノをプレイしてピークへと持っていくかと思いきや、そこに繋げたのはまさかの"Missing (Todd Terry Club Mix Version)"で、フロアの中で聞くと随分とズンドコとしたハウスには聞こえるがしっとり色っぽい歌がフロアを官能に染める。そんな意外な選曲はとどまるところを知らず、レイヴを思わせるゴリゴリのブレイク・ビーツが岩を砕くように強烈なリズムを刻み、あの手この手でフロアに刺激を与えて小気味良いリズム感と多彩な音で魅了する。更には古き良き時代が浮かんでくるAroy Deeの荒削りでディープなアシッド・ハウス"Life Of Raw"など、全く予測が付かないプレイにどうしたって期待と興奮は高まるばかり。幅の広さは決してそれぞれがバラバラになっている印象はなく、その自由な身軽さを活かしつつも独特な世界観は保ち、遷移と変化の繰り返しで全く飽きさせない。特に後半ではその変化の大きさと激しい勢いが相乗効果となりぐらぐらとフロアを揺らし、テクノのひんやりとした空気に満たされながら真夜中の興奮を呼び起こしてた。

続いてはKassem Mosseのライブだが、序盤は木を叩いているような乾いたパーカッションのリズムが弾け、始まりはテクノと言うよりは何だか密林の奥地から土着的なグルーヴが響いてくるようだ。ResomのDJで熱狂的になったフロアはやや熱量が下がり、無味乾燥とした質感の音にややフロアは落ち着きを取り戻しているようだ。しかし次第に圧力のある低音や硬いキックが入ってくれば、変異体テクノらしい様相へと変化を見せる。決して踊りやすい一般的なダンスミュージックらしさは少なく、金属が捻れたような響きや逆回転させたような上物が不気味さを誘い、多用なリズム中心のライブセットだ。ただResomのDJで盛り上がっただけにMosseのライブは上げる展開が少ない事もあってかリスニング的に聞こえてしまい、その上当日は疲労も溜まっていたので途中に眠りに落ちて、十分に体験をする事は出来なかった。3年前にもこのUnitでライブを披露していたが、その時程の面白さを感じる事は無かったか。

最後はFuture Terror組のDJ Nobu×KabutoのB2Bというレアなセット。初っ端から疾走感と揺れるグルーヴが満ち溢れ、鋭い切れ味のあるテクノで加速する。トリッピーな電子音が浮游する中をするすると擦り抜け、圧力に頼らずにスムースに踊らせるプレイは心地良い。無機質でひんやり冷気を帯びたテクノは汗の臭いも感じさせないような淡々とした風合いながらも、それ故に全く隙のない緊張感が持続し常に音と対峙させられるようだ。二人の選ぶ曲はやや奇抜な電子音も含む物ではあるが、地に足の着いた安定感を伴って着実なグルーヴを作り、高密度な音や重圧に頼らずとも、真夜中にぴったりなクールなテクノの音によって切れ目のない持続感を生み出している。両者が選ぶ曲の方向性はばらばらになる事はないが、しかし多少は音の好みや方向性に差は感じられ、DJ Nobuはディープでモダンな音響テクノ、Kabutoはややエレクトロ色も匂わせるオールドスクールなテクノと、それぞれの持ち味も発揮されながら一つとなった世界観を構築する。勿論、初めてのB2Bだからといって物珍しさをアピールするようなプレイではなく、いやむしろ堅実かつ丁寧に交互にミックスを行い、完全にテクノに染め上げたプレイは硬派で揺るぎない。朝方にはミニマル・ハウスの"Got To Be Movin (On The Dancefloor)"も投下され、テクノの疾走する雰囲気の中でファンキーさもアピールし、何処まで進んでもスピード感が落ちる事はない。特にピークタイムらしき派手に盛り上がる瞬間は殆どなく、むしろ終始緊張感を絶やさぬようなひりつくようなプレイを敢行し、ディープなテクノからアシッド系にエレクトロまで用いながらも深い闇の底で蠢いているようだ。当方は6時頃には現場を切り上げたが、まだその時点でもテンションは一向に落ちる事もなく、帰るのが惜しい位であった。何と言ってもごかましようのないテクノ一色で真っ向勝負したプレイは、またしてもテクノの音響やグルーヴの素晴らしさを再認識させる程で、DJ Nobu×KabutoのB2Bはレアなセットという前提を抜きにしてがつんと踊らされる普遍的な格好良さがあった。

■DJ Nobu - Nuit Noire(過去レビュー)
DJ Nobu - Nuit Noire
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