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2017/5/27 Point G @ Vent
ラテンフレイバー溢れるハウスで人気を博したDJ GregoryはDefectedからもリリースをするなどややメジャー寄りの音楽性ではあるのだが、そのGregory Darsaが近年活動を活発化させているプロジェクトがPoint Gだ。前者に比べるとより単純な構成や流れを強調したミニマルかつファンキーなハウスを軸にしており、それ故にツール性の高さもあってミニマルシーンで評価を高く受けている。今回はそんなPoint Gによるライブでの来日が実現したが、同時にベルリンから一時帰国中のSTEREOCiTIやOathでDeck The Houseを主宰するDJ FGRらが出演する。
現地入りした頃にはDJ FGRがプレイを丁度プレイを始めていたが、その時点で暗い闇に包まれたフロアには適度に人も集まっており良い雰囲気だ。序盤、湿って滑ったずぶずぶのディープ・ミニマルでじっくりと足を絡みとっていく。神経を麻痺させるような精神面へ侵食する音で、しかし分厚い低音の出力はスピーカーの仕様か、または用いるトラックそのものの影響だろうか、ふらふらしながらも地面をしっかりと支えている。また生っぽい音にしても全体的に硬い響きが特徴で、Ventの音響はテクノ寄りなのかなと感じる点も。プレイは直ぐにパーカッシヴなミニマルも入ってきて、ディープな音響との狭間を彷徨うように行き交い、ふらつきながらも爽快に弾けるグルーヴが快活だ。そして時折入ってくる女性の声や色っぽい響きによる官能的な要素もあり、地味にも思われる音楽性の中に華を沿えている。中盤までは比較的抑えめにじわじわ引っ張ったプレイは、次第に次のライブが近くなるにつれて、ハウシーで硬めの曲調になりフロアの高揚感は増してきた。フロアにも人が密集してくれば喧騒の中へ突入し、プレイにも熱がこもりパーカッションの弾ける響きやリズムによるうねりが強く現れ、振動する低音が体にズンズンと伝わる程に揺らしていた。

すっかりフロアは人混みで埋まったところでPoint Gのライブが開始する。予想通りというべきか、機能性重視なパーカッシヴで洗練されたハウスのリズム感、ミニマルで抑制のとれた構成、うっすらと匂う情緒と、そして目立つような派手な展開は殆ど無い。それどころかキックの隙間も目立つほどに音は削ぎ落とされリズムが明確に浮かび上がり、間がある事でリズムがより体感的になるのだろう。大きな展開は無いどころか平坦にも思われる程のシンプルかつミニマルな展開はどこまでも継続し、アルバムを実直に再現するようなライブは潔くもあるが、ライブでありながらその持続感はミニマルをプレイするDJらしくもある。メロディーによる味付けは殆ど無いにもかかわらず、単調ではあっても飽きさせないのはハウスのリズム感の良さや流れるような持続性の高さ、しっかりと圧力のあるキックがあるこそだからだろう、常に快適に踊れる雰囲気を保っている。中盤にはブレイク・ビーツ調の"Have You"もプレイしてやや刺激的に盛り上げる展開もあるが、切れの良いリズムはファンキーさを強調する。次第に平坦な展開から上下に跳び跳ねるように躍動し、更にはフィルター・ハウスらしいサンプリングも入ってきて陽気な盛り上げ方を聞くとやはりDJ Gregoryとしての活動も反映されているのか。後半には大仰なブレイクも導入しだしてピークタイムを意識した派手な展開でしっかりとフロアを掌握しつつ、ミニマルな感覚は尚崩す事なく、その代わりに音の密度を高めて攻め上げる。美しく透明感のあるパッドが辺りを覆いつくしドラマティックに変化した流れは、序盤からのミニマルな展開とは対照的であそ、そのせいもあって一際輝くようだ。かと思えば激しくテクノ的な怒濤のリズム攻めを見せ、一気にビートが濁流となって押し寄せる後半。流石にライブで二時間の長丁場はやや冗長にも思われたが、ラストにはスパニッシュギターが哀愁を奏でる耳に残るラテン・ハウスが流れてきたが、友人によればDJ Gregoryの人気曲である"Elle"だそうで、確かにラストを飾るに相応しいサウダージ感爆発の曲で素晴らしい盛り上がりだった。

最後は待ち侘びていたSTEREOCiTIが登場。Point Gで盛り上がったフロアを一旦クールダウンさせる如く、ひんやりと、そして乾いた質感の地味めなテクノで慎ましく開始するが、直ぐにスピード感を持ったパーカッシヴなミニマル気味のテクノで勢いに乗る。剥き出し感のある粗削りな、そして骨太で厳つさもある音質、ややダビーな残響による空間の奥深さもあり、そこに仄かに情緒的な燻るソウルを織り込んでくるプレイは、いかにもSTEREOCiTIらしい。低音から中音、そして高音までバランスよく出力して全体で押し寄せてくる適度な圧力は心地良く、淡々として感情を秘め隠したようなプレイながらもじんわりと心に染みる。途中にはビシッとしたビートを叩き出すエレクトロも織り混ぜなからも、この日はややテクノの日なのだろうか、色彩感を抑える事でモノクロで灰色に感じられる響きが打ち出ている。と中盤までは何だかベルリンでの活動を匂わせるようなプレイに思われたが、朝方には何やら聞いた事のある不思議な音響が…これは、Ken Ishiiの"Pneuma"だ。まさかこんな曲がDJセットに組み込まれるとは意外だが、それまでのディープなセットに自然と適応しミステリアスな世界を拡張するが、そこから更に一転してStephen Brownによるインテリジェンス・テクノ的な"SD 1"で豊かな色彩を帯び出し、更にはシャッフルするビートや芳醇なメロディーも出てきたりと暗き闇を切り裂いて朝の時間帯へと突入したようなプレイへと変化する。やや激しくなり動きを増したプレイはしかし音自体はすっきり身軽で、耳にうるさく響く事はなくSTEREOCiTIとしての侘び寂び的ないぶし銀のプレイが通底する。勿論デトロイト・テクノ的な音も増える事で序盤よりも確実にエモーショナルに変化して、実際にJuan Atkinsのオールド・デトロイトな"Rebound"でピコピコサウンドも聞けたりと、何だかデトロイト色の強いプレイは過去に彼がデトロイト系のパーティーを開催していた事を思い出させるようだ。とそんなプレイを楽しみつつも、当日は5時半頃には現地から離脱。パーティーの早い時間帯から終盤までそれぞれのDJが役目を全うしながらも個性もしっかりと表現し、どの時間帯も魅力的で踊る事が出来て充実した夜だった。また、Ventのトイレの数が少なかった問題も解消されていたので、クラブとしてこれから一層期待出来る場所になった事も付け加えておく。

■STEREOCiTI - Lost Land(過去レビュー)
STEREOCiTI - Lost Land
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