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2017/9/22 FP-ONER aka Fred P “7” Release Party @ contact
テクノ・ハウスに於いては特にヨーロッパの方が勢いがある状況で、USアンダーグラウンドのディープ・ハウス勢の中で特に息巻いて複数の名義を活用し大量の作品をリリースし、またその音楽性に魅了された多くのアーティストからもリミックスを依頼されるなど、名実共にトップクラスに君臨するFred P.。Black Jazz ConsortiumやAnomalyといった名義での活動も有名だが、近年はMule MusiqからのFP-ONER名義のコンセプチュアルな三部作もまた注目を集めており、今回はその最終章である『7』のリリースパーティーに合わせての来日となる。メインフロアで迎え撃つはこれまたNYアンダーグラウンドを突き進むDJ Sprinkles a.k.a Terre Thaemlitzと、両者のハウス・ミュージックを存分に体験する事が出来る夜になるだろう。
0時頃に現地入りし先ずはDJ SprinklesのDJから踊り始めるが、太鼓の響きが心地良いトライバルなリズムや幻惑的でダビーな残響が効いており、そして彼らしい慈愛と憂いに満ちた旋律がフロアの空気を和らげている。ラフな音質や野蛮さもありながらぐっと包み込むような優しさもあり、何だかパーティーの序盤からして既にピークを越えた後の朝方の喪失感にも似たような雰囲気もあり、DJ Sprinklesの音楽性が適切に現れている。基本はハウスのグルーヴで一曲一曲を長めに丁寧にプレイしそれぞれの曲で深淵なり悲哀なりを演出するのだが、時には完全にビートを消し去る事も躊躇せず静寂を作り出す事もあり、所謂ミックスの妙技を見せるDJではないものの自身の世界観を完全に持っているのだ。そんな彼だからこそ自身の曲もふんだんに使用し、"Kissing Costs Extra"で穏やかで甘さも含んだディープ・ハウスでゆったりゆらゆらとフロアを微睡みに包み、フロアはひりつくような緊張感ではなく弛緩した微睡みの時間帯もある。そこに繋げたオールド・スクール感のある"Lockdown Party (DJ Sprinkles' Crossfaderama)"、悲哀が打ち出た呟きやクラシカルなピアノが広がっていく幻想的なディープ・ハウスの"A Little Beat (The World Is Ova Megamix_DJ Sprinkles Remix)"など自身の作品を活用しながら高揚の真夜中のムードに戻り、そして過剰なディレイのエフェクトを用いながら幻惑的に揺らしていく。夢の中に消えていくような儚さ、そして枯れた味わいが侘しくもあり、真夜中のパーティーとは言えども熱狂的になり過ぎる事はなくDJ Sprinklesの何か訴えかけるようなプレイが心に染みる。体感的には勢いは上がってはくるものの熱狂ではなく淡々と染みるプレイであり、自身の曲を軸にアンビエントかつディープ・ハウスな音楽性で夢想の中へ溶け込んでいく。が、やはり曲毎に雰囲気は入れ替わりスムースで耽美な4つ打ちのハウスで色気ある官能に染める流れもあったり、終盤はしっとりと切なくも激情が溢れ出す勢いのあるハウスもプレイし、ピークタイムに向けてフロアを強く揺らしていた。そしてラストは溜め息が出るような官能のハウス古典である"Never No More Lonely"、美しいピアノの旋律とセクシーな歌によるシカゴ・ハウスに強烈なディレイを被せてまるで荘厳な賛美歌のように響いていた。

その勢いを引き継いだFred P.、最初から中音から低音にかけて厚みを持たせつつフワッとした抽象的な上物が伸びて、つまりは彼らしいアトモスフェリックなテクノで開始する。安定したイーブンキックの4つ打ちは、しかしぐいぐいと延びるように飛翔し、展開を全く崩さずに嵌めていくミニマル性で攻めていく。序盤は大きな展開は作らずにひたすら太い4つ打ち重視のグルーヴを持続させ、ややハードでアッパーな展開はもしかしたら人によってFred P.に期待していたものではないかもしれない。しかしピークタイムという時間帯やその時の空気に合わせてプレイするのがDJではあるし、決してそのハードなプレイがパーティーの雰囲気からずれていたとも思わない。次第にアシッド感のある音も入ってきて突き刺すような刺激と共に攻撃性を高めていく。しっかりと地に根を張ったようなボトムの太さがありつつも、しかし途切れる事のない持続性が飛翔するような浮遊感さえも誘発し、体は否が応でも軽々と揺さぶられる。やや平坦にも思える程に4つ打ちグルーヴ感重視なスタイルではあるが、そこには彼らしいボイス・サンプルや空間の広がりを感じさせる音響もあり、クールではあっても味気なさは回避している。そこに鈍いアシッドや金属的な響きのテクノも飛び出して更にスピード感を増し、ピークタイムには切迫感さえも伴う怒濤の勢いで押し切っていく。

そんな予想外のアッパーで攻撃的なテクノセットから反転して、朝方になるとこれこそ正にFred P.と言わんばかりの展開が待ち受けていた。軽やかに連打されるタムやエモーショナルなエレピの旋律も聞けたりと、ジャジー・ヴァイブスな曲調や透明感と感情性豊かなテック・ハウスが出てきたりと、FP-ONERのアルバムに含まれる音楽性が端的に出現していた。疾走感は全く衰えずに常に駆け抜けるグルーヴを保ちつつ、濃霧のように広がるアンビエント性や微睡みを誘うまったりした空気も漂い始め、そしてアンニュイなボーカルも用いた『7』に収録の"Light Years"によってドリーミーに浮遊するディープ・ハウスになり、最近感じる事の無かった闇の向こう側に出現する朝の癒やしが満ちるフロアがそこに広がっていた。そしてそこからは自身と思われる曲も多用し、薄いパッドが層になって延びていくテック・ハウスで再度加速し、どんどん朝のまったりとして心が穏やかになっていくエモーショナルな世界へとフロアは変化していた。最後はハウス・ミュージックの宣誓であるChuck Robertsの呟きを被せたアンビエント性爆発のふわふわなディープ・ハウスをプレイし、祝祭のような輝かしい多幸感にフロアを包み込んで感動的に正しい流れでラストへと着地した。アンコールでも1曲プレイしただけであっさりと3時間半きっかりでDJは終了したが、前半の予想外に太くミニマルな展開も踊らされたが、やはりラストの1時間の疲弊した体を癒やすようなエモーショナルなトラック中心の時間帯は特に素晴らしく、最後まで踊り続ける事でFred P.の音楽性をより理解する事が出来た筈だ。

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