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2018/1/2 アシッ道 @ Contact
2017年最後のパーティーはアシッド・ハウスをコンセプトに挙げたものだったから、2018年の最初のパーティーもアシッド・ハウスへ…と意識した訳ではないものの、新年早々に「アシッ道」なるまんまアシッド・ハウスの再評価を意識したパーティーが開催される。出演はアシッド・ハウス再燃へ取り組んでいるDJ EMMAをはじめDJ TasakaやChidaにHiroshi Watanabe aka Kaito、そしてサブフロアにも普段からアシッド・ハウスへの意欲的な取り組みを見せているアーティストが総集結し、一晩かけてアシッド・ハウスの魅力に浸からせる。
日が変わってから現地入りすると、サブフロア近くのラウンジでは新年を祝って升による日本酒の振る舞いがあり、こういったサービスはかつてのYellowやEleven系列だけあって懐かしくもあり何だか嬉しいものだ。サブフロアでは909stateによるライブが既に始まっていたが、2〜3台のハードウェアを用いたライブはシャッフルする大胆なリズムと極悪に歪むアシッド・ベースが唸りながら、じわじわ粘性を持って獰猛に攻めるアシッド・ハウス/テクノでフロアも既に熱狂的なムードに包まれている。いきなりの鈍く響く悪っぽいアシッド・サウンドがウニョウニョと鳴っていて一気に気分は高揚するが、しかしそれだけではなく叙情制のある壮大な展開を繰り広げるアシッド・テクノもあり、アシッドの快楽的な荒波に飲み込まれてラストは絶頂へと上り詰めていく様は、正にアシッド・ハウスでは古典とも呼べるワイルドピッチ・スタイルを思い起こさせる。途中から聞いていた為然程長く体験出来なかったものの、アシッド・ハウスのエグい音から生まれる恍惚感を十二分に体験させてくれ、パーティー序盤から良い雰囲気が生まれていた。

その後メインフロアではHiroshi Watanabe aka Kaitoによるライブ。いきなり朗らかなギターの爪弾きらしきフレーズの反復から始まる意外な展開、何だか新生Kaitoかと思わせる響きもありつつ徐々に鈍いアシッド・ベースが地の中から芽を出すように湧き出し、そこにTR系のシャッフルするハイハットも加わってスローながらも重厚感を伴い始動する。圧倒的な音の密度、360度から囲まれるような音の圧力は壮大なスケール感を生む。アシッド・サウンドを用いながらも悪っぽいアシッド・ハウスとも異なり、渡辺らしい叙情性の中に更にアクセントとなってドラマチックさを演出するのが、彼のアシッド・サウンドを用いた個性なのだ。序盤はスロウなテンポでねっとり重く攻める時間帯、焦らすような雰囲気もありつつじわじわと引っ張っていく。ハイハットの雨あられ、空から豪雨となって音の粒が降ってくるようなリズムの攻めで肉体的な刺激を生みつつ、その間を感傷的なシンセのメロディーやアシッドが埋めながら、心の奥底から溢れる熱量の高いエネルギーが噴出する。しかしアシッドの中にも悲哀に満ちたピアノの音が鳴っていたり、何処となくKaitoらしい音楽性も感じる瞬間が幾度かあった。激しいアシッドの流れの中に存在する切ない感情は狂おしくも美しい。そして終盤はようやくビートは加速を始め低辺を這いずり回るアシッドが再度現れると、激しいグルーヴとアシッドの効果により劇的にテンションは高まり、ピークを迎えての"Star Seeker"。アシッドもリズムもメロディーも高密度にフロアに満ち、跳ねるようなグルーヴを伴い怒濤の流れで感動の頂点へと登り詰めていく。そして山場を越えた先に訪れた新曲は、幻想的なパッドに包まれるデトロイト・テクノらしい情緒溢れるテクノで、ここから更に感動の極みへと達するエモーショナルな展開を繰り広げ1時間のライブはあっという間に終了。アシッド・テクノの快楽性と渡辺の叙情性が見事に渾然一体となったライブは、その1時間の中に感情性豊かなストーリーを作り上げていた。

DJ Tasakaは開始からスクラッチをバリバリ披露し、色々なハウスのクラシックネタとラップのサンプリングが乱れるオープニングでぐっと心を鷲掴み。そこからはアシッド満載というわけでもなく、ラップやボーカルネタを用いたヒップ・ハウス的な選曲でB-BOY色の強さを見せるが、それでも随分と芯は図太くズンドコと揺さぶられる。意外とアシッド要素は少な目に骨太なヒップ・ハウス中心にノリノリファンキーなプレイは、しかし中盤からは待っていたと言わんばかりにウニョウニョとしたアシッド・サウンドが現れる。と言ってもクラシカルなアシッド・ハウスなわけでもなく、アシッドではありつつもやはりヒップ・ホップのカクカクとしたビート感やファンキーな要素が前面に出ていて、アシッドと偏に言ってもそこには奥深い多様性がある事を証明している。時折ハウス・ミュージックの大ネタも差し込んで派手に盛り上げる所も、生真面目にアシッド・ハウス一辺倒にならずにユーモア溢れる楽しさがあり、ついつい顔も緩んでにんまり笑顔になってしまう。スクラッチやエフェクトも多用しながらアシッド・ハウス×ヒップ・ハウスな派手ながらも無骨なプレイは、期待以上に楽しめたプレイだった。

最後はDJ EMMA。Tasakaのオプティミスティックなプレイと比べるとシリアスと言うか、鬼気迫る緊張感のあるプレイと言うか、アシッド・ハウスへの実直さが感じられる。いきなり"ようこそAcid Cityへ"で図太いアシッド攻め、彼が提唱する現在形のアシッド・ハウスを出し惜しみせずに用いて、序盤からガツガツと太い低音と強靭な4つ打ちのリズムで攻め上げる。そしてSeriによる暴走気味のパワフルなアシッド・テクノの"Acid Confusion"によって怒濤の勢いでフロアを揺らし、全く隙を見せる事なくアシッドというコンセプトに沿ってエグいアシッド・サウンドをこれでもかと響かせる。まだまだ盛り上がりは一向に止まず…という状況であったものの、少々フロアから離れ久しぶりに会った知人と音楽談義を楽しみつつ、再度終盤にフロアへと戻ると朝方ラスト近くに丁度"ACDise #2"を投下する。余りにも希望に満ち溢れた多幸感溢れるこの曲も、確かにアシッド・サウンドがウニョウニョと鳴っており、ここでもアシッド・ハウスが決して狂った感じだけではなく色々な可能性がある事を示唆していた。そこにハウス宣言である"My House"も被せてきて正にアシッド尽くしの多幸感、そこからラストに向けてハード目のアシッド・テクノで突き抜けて、最後は一切の余韻を残さないぶった切りのプレイで唖然として一旦終了。とそんなんでは当然物足りない人達が「もう一回、もう一回」とコールを繰り返し、そこにEMMAが投下したのはGiorgio Moroderによる"Chase"。酒に酔って踊り疲れた心身もうきうきとしたハッピーな気持ちになれるディスコに、この時間帯の雰囲気はオールナイトのパーティーだからこそ味わえるものだと感慨深くなる。年明け早々アシッド尽くしからの幸せ一杯なディスコ・サウンドに気持ちは十分に満たされ、その時点でパーティーを離脱。カウントダウンパーティーではなくとも、こうやって正月三が日の間にもパーティーがあるのは何ともありがたいものだ。

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■DJ EMMA Presents Nitelist Music 3 - Acid City
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