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Steffi - World Of The Waking State (Ostgut Ton:OSTGUTCD41)
Steffi - World Of The Waking State
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Ostgut Tonという有名なレーベルの後押しを抜きにしても、DJとしてアーティストとして、そしてレーベル運営者としても素晴らしい才能を発揮しているSteffi。Panorama Barでレジデントを長年務めるその実力は言うまでもなく、近年は積極的にアルバム制作も行い制作者としても高い評価を獲得、そしてデトロイト志向のあるDollyを主宰して実力あるニューカマーを送り出すなど、総合的な面から評価出来る素晴らしいアーティストだ。ソロでは3作目となるアルバムも過去と同様にOstgut Tonとなるが、音楽性の深化は未だ尚止まっていない。当初はシカゴ・ハウスやデトロイト・テクノに影響を受けた音楽性が見受けられたものの、2016年にMartynと共同制作した『Evidence From A Good Source』(過去レビュー)ではダブ・ステップやレイヴの要素も取り込み、そしてこの新作ではかつてWarpが提唱した「Artificial Intelligence」にも接近している(Steffiが主宰するDolly Deluxeは、間違いなくその影響下にある)。冒頭の"Different Entities"では奇妙な電子音が鳴る中で情緒的なパッドが浮遊しデトロイト・テクノらしい未来感を発しつつ、リズムは複雑なブレイク・ビーツを刻みながら揺れ、90年代のAIテクノと呼ばれる何処かインテリジェンスな感覚が通底する。パルスのような不気味な反復音が続き、薄く延びるパッドが深遠さを生む"Continuum Of The Mind"も4つ打ちから外れたつんのめるようなリズムを刻み、それは生命体のように躍動するグルーヴ感に繋がっている。"All Living Things"でも複雑なリズムがエレクトロ気味に鋭利に切り込んでくるが、陰鬱で物哀しいメロディーが先導する事で激しさよりも情緒的なデトロイト・テクノらしさが感じられるだろう。ヒプノティックな電子音とゆったりと浮遊する透明感あるパッドは心地良くも、ロウなパーカッションがオールド・スクールな感覚に繋がっている"The Meaning Of Memory"も、直球ダンストラックから外れた大らかな包容力はリスニング性が強い。タイトル曲の"World Of The Waking State"ではやけに忙しなく鋭いリズムとアシッド気味のベースが蠢きつつ浮遊感のある上モノが、例えばModel 500辺りの深みのあるエレクトロを思い起こさせたりもする。アルバムはおおよそ大きな変化を付ける事なく豊かなリズム感のテクノで統一され、ラストの"Cease To Exist"でも鞭で叩かれるような力強いエレクトロ・ビートと深遠でスペーシーなメロディーによってすっきりと余韻を残さずに終了する。全体的なトーンとして決して明るくはないが控えめに情緒性のある慎ましさ、そして4つ打ちではない複雑なリズムで揺らす構成力、それは確かに激しさだけで踊らすテクノに対するカウンターカルチャーのAIテクノらしくあり、近年のDollyの音楽性と完全にシンクロしているのは明白だ(その意味ではOstgut TonよりもDollyからリリースされた方がしっくりするかもしれない)。何か新しい時代のテクノと言う訳ではないが決して古臭く懐古的な作品でもなく、「Artificial Intelligence」を今の時代に合わせて解釈し直したとも思われ、十分にリスニング性の高いアルバムとして素晴らしい。



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