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2018/4/28 FORESTLIMIT 8TH PARTY ”FULL CONTACT!” 【Ripping Waves ~ New School Of Japanese Ambient Music ~】@ Forestlimit
クラブ・ミュージックのパーティーと言うと一般的には爆音の中で力強いビートが刻まれる一夜である事が多いが、何故かアンビエント的な視点でのパーティーが少ないのは、やはり熱狂的に盛り上がる要素が少ないからだろうか。しかし真摯に音に耳を傾けるアンビエント・ミュージックも大きな音で聞きたいという欲求はあり、そんなパーティーがもっと増えれば良いのにと思う事は常々。今回幸運な事にForestlimitの8周年記念のパーティーの一環でアンビエントに焦点を当てたパーティーがあり、なんとSUGAI KEN、Satoshi & Makoto、Inner Science、H.TAKAHASHI、Napa-Mariの5組がライブを行うというのだから、是が非でもという気持ちでパーティーへと参加する事にした。
現地入りした頃にはもう既にフロアは多くの人で賑わっており…、いや賑わっていると言うよりは皆靴を抜いでフロアに鎮座して真摯に音と向き合っている。アンビエンパーティーだけあってやはり騒がずに意識を音に集中させて聞ける環境であり、元々当方も今夜はじっくりと音に耳を傾けたいと思っていたので願ったり叶ったりだ。直ぐにH.TAKAHASHIのライブが始まったが、恐らくスマートフォン一台を操作しながらのライブのようだ。水が滴り落ちるような背景音から始まり単音のメロディーがゆったりと動き出し、いつしか波のせせらぎも加わり正に環境音楽なアンビエントを展開。ゆっくりと変化するメロディーはうとうと眠気を誘うようで、しかし対照的に意識へと働きかけるサウンドエフェクトが現実へと意識を引き戻す。お次はティンパニや木琴らしい柔らかい音色がミニマル的に反復してどこか異国情緒も漂わせつつ、アンビエントというかそのリラクゼーション性は最早ニューエイジか、いや電子楽器を用いて自由なアンビエントを展開したClusterやTangerine Dreamのジャーマン・プログレかのようだ。そこからも繊細な電子音を散りばめつつぼーっとするシンセのメロディーが淡々と意味もなく繰り返され、覚める事のない甘美な夢の中へと溺れていく底抜けに明るいアンビエント・ドリーム。パーティー初っ端から気持ち良いライブだ。

この日はライブの合間をChee Shimizuが短いDJで埋めていくタイムテーブルで、その時間帯は客も酒を購入したり談笑したりと小休憩のような時間帯。それが終わればSatoshi & Makotoの初ライブだ。二人が愛用しているCZ-5000とCZ-101のシンセ二台を並べて、豊かな音質のシンセが絡み合い上昇するように旋律を奏で始める。ビート抜きながらも二台のシンセによる重なりがうねりを生み出し、そして二曲目の"Flour"では軽くビートも入りつつ開放感と多幸感に満ちた輝かしいバレアリック・サウンドを展開。陽気な太陽光を全身に浴びる心地良さ、体も軽やかに揺れて清々しさが満ち溢れていく。曲によってはしっかりとリズムも入っておりアンビエント一辺倒ではなく、ドリーミーな音響を奏でながらも心沸き踊る楽しさもある。シンセの特徴的なサウンドはナチュラルと言うよりはそのまんまの電子音らしさが魅力的で、とても豊潤でポップ響さえしている。何となくRei HarakamiやSuzukiskiを思い起こさせる素朴で親しみのある音楽性もあり、そしてややオリジナルよりはリズミカルな弾け方もしていて、またオリジナル音源とは違った受け止め方も可能だろう。"Chuchotement"にしてもぐりぐりと差し込んでくるシンセが上手くビート感を引き出していて、例えリズム帯が無しでもノンビート・アンビエントとは異なる躍動感さえもある。どれもこれもカシオのふくよかなシンセ音の響きが魅力的で、心落ち着く安堵なライブだ。

この日、最も特異で異形なライブだったのはSugai Kenだ。照明は落とされるとフロアは静寂と闇に支配されるが、いつしかフロアの四方から無機質にピーと反復するサイン波が鳴り出し、そして何を言っているか分からない不鮮明な呟きが鳴り出す。どうやらフロアの各所にカセットプレイヤーを置いて360度音響を実践していたようだが、更には虫の鳴く音らしき環境音も現れて、何も見えない視界の中だからこそ音のみへと意識が引き付けられるのだが非常に不気味だ。音階やコードの展開ではなく様々な効果音や環境音によって形のない抽象的なアンビエントは、非常にシリアスで鋭い刺激を持っている。日本古来の雅楽や民俗芸能の要素も盛り込み、無駄を極限まで削ぎ落とした詫び寂びな静寂の中に雨音や大気の震えも入り混じり、自然風景が切り替わるようにシーンはめくるめく変化する。そして鐘や笛、打楽器等の生演奏も随所に用いてはいるが、アンサンブルというよりは完全に効果音の一部で鳴っており、得たいの知れないストーリーが展開するライブは今夜の中でも最も実験的だ。アンビエントとは言っても緊張感に支配され安易に聞き流す事を許されず、スピリチュアルな神々しさを前にして音と対峙する事でドキドキとヒリヒリが混在する刺激的な時間となった。

最後はInner Scienceによるライブで、普段はリズムが入るダンス・ライブを行うもこの日は当然ノンビート・アンビエントに振り切れている。明確なメロディーではなくぼんやりと朧気な電子音のドローンで開始するが、しかしInner Scienceらしいキラキラと繊細な電子音が散りばめられ、壮大なドローンと美しい音響が溶け合い流体的な音の動きを見せる。全くビートは入らずにアンビエント一直線、空間を埋め尽くすドローンが前面に出ながら色とりどりの宝石のような電子音が装飾を行うが、しかしただ美しいだけではなく音と音がぶつかり合い弾けるような響きは、その壮大さもあって原始の宇宙が生まれるようなエネルギーや胎動を感じさせる。ただの快楽的なアンビエントとは一線を画す迸るエネルギーに溢れており、ビートは無くとも音の動きは躍動感を得て形なく変異する流動的なアンビエントで、その上底抜けにオプテミスティックでどんどん多幸感に満ちた音が湧き出してくる。いつしか音の構成は融解し混沌に飲まれつつも再度何かが生まれだすスーパーノヴァらしき爆発するようなドラマチックな流れへと辿り着き、そして美しいシンセのラインが踊り出せば新たに世界は創造される。特に後半はビートらしきものも現れ重厚感も得つつ、実にアンビエントらしい心地良いシーケンスで飛ばされて無重力空間な宇宙を遊泳する正統派アンビエントといった趣で、これぞInner Scienceと呼ぶべきカラフルでキラキラとした音に包まれながら静かに音は消失し、綺麗な余韻を残してライブは終了。

久しぶりにアンビエント・ライブ満載なパーティーは、しかし予想以上に多くの人が訪れて実は思っている以上に需要はあり、その点で可能性を感じさせる内容だった。クラブ系のパーティーにもかかわらずゆったりと地べたに座って音に耳を傾ける光景は不思議な感じもするが、アンビエントを家の中ではなくフロアの大きな音で聞くのもまた特別な体験であり、こういった機会がもう少しでも増えると嬉しくある。

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