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Hiroshi Watanabe - Threshold Of Eternity EP (Transmat:MS090)
Hiroshi Watanabe - Threshold Of Eternity EP

世界中のDJ/アーティストが羨望の眼差しで見るDerrick Mayが主宰するTransmatは、しかしそのDerrickの鋭い審美眼によって選ばれる事は容易い事ではなく、ただ知名度があるだけではレーベルからのリリースは叶わない。知名度は一切関係なく、その音楽に心を震わす事、情熱的である事、熱い魂がある事などによって選ばれると言う点では、名高いベテランも実力を秘めた新人にとっても変わりはなく、ただ音楽のみが評価される世界。そんなレーベルから日本人として初のリリースに至ったHiroshi Watanabeこそエモーショナルな音楽でDerrickを震わしたアーティストであり、『Multiverse EP』(過去レビュー)はレーベルにとっても、またアーティストにとってもエポックメイキングな作品となったのは、例えば収録された銀河のスーパーノヴァらしい壮大な"The Leonids"が大御所によってパーティーのこれ以上はない場面でプレイされた事などを含めても間違いはない。そんなリリースから2年、Watanabeは更に進化を遂げてレーベルへと帰還したのだが、そこで披露されるのは果敢にもビートレスバージョンである"The Leonids Strings"だ。踊らせる事を前提としたダンス・ミュージックというジャンルにおいてビートレスな作品は挑戦にも近いが、ここで繰り広げられるクラシックのような弦楽器のシンフォニーは余りにも壮大で余りにも情熱的で、例え刻まれるビートが無くともそこには深く広大な宇宙の広がりのような世界観が投影されている。原曲のビートやシンセは取り除きながら麗しい弦楽器のアンサンブルだけを強調する事でその美しい旋律がより際立っており、真夜中のフロアでプレイされたとしても神秘的な時間を作り上げる事が可能だろうし、既に実際にDerrickやWatanabeらを含むDJによってプレイされていると言う。そして裏面にはこれぞと言うダンス・トラックの"Into The Memories"が収録されているが、琴線に触れる物哀しさにも近いしんみりとした旋律をなぞるシンセのライン、そして近年よく用いているアシッド・ベースも控え目ながらも導入する事で覚醒感も煽り、デトロイト・テクノに存在する叙情性と同じ世界観を確立させている。ビートの有無にかかわらずWatanabeの音楽は胸を打つ情熱的なもので、だからこそDerrickが魅了されるのも当然であり、Transmatから世界へと熱い魂が放たれるのだ。



Check Hiroshi Watanabe
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
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