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Eleventeen Eston - At The Water (Growing Bin Records:GBR015)
Eleventeen Eston - At The Water

2007年にブログとして開始し2012年にはオンラインショップとして、そして遂に2013年にはレーベル運営に着手したGrowing Bin Recordsは、リリースしている音楽のジャンル的に一貫性はないものの、昨今のニューエイジ/バレアリック再燃という時代により輝きを放つようなレーベルだ。有名なアーティストの起用や流行を意識した音楽に向かう事は一切なく、ただ単に質の高い音楽によって長きに渡って聞かれる作品を目指しているそうで、その目的によってディスコやファンクにアンビエント、ジャズにフォークやソフトロックなどざっくばらんにリリースを行っている。そのどれもがローファイな淡さやドリーミーな世界観があり、だからこそニューエイジ/バレアリック方面からも評価されるのは自然な流れだろう。さて、本作はオーストラリア在住のEleventeen Estonによるアルバムで、以前にはGrowing BinからAndras FoxとのユニットであるWilson Tanner名義で『69』(過去レビュー)をリリースしたのも記憶に新しいが、そこでは静謐でやや神秘的でもあるアンビエントを披露していた彼が、この新作ではその雰囲気を継承しながらもフォークやソフトロックにダウンテンポ等も取り込みながらより開放感あるバレアリックへと向かっている。オープニングの"C in Sympathy"ではディレイを用いたギターで空間の広がりを演出し、伸びのある情緒的なシンセでドラマティックに染め上げ、ビートレスではありながら躍動感のあるアンビエントでこの先の期待を予感させている。続く"2 d'Or (Cab Chassis)"もギターの爽快な響きと耽美なピアノの引っ張られながら、コラージュ的な変化のあるシンセが夢想へと誘うドリーミーなバレアリック系で、広大で豊かな色彩が詰まった風景が浮かび上がるようだ。ソフトロック的でフォーキーで朗らかな響きのある"The Four Fountains"でも肩の力が抜けたビートを刻んでおり、脱力系の緩い開放感はひたすら快適だ。そこに続く"I Remember"ではサイケデリックな呟きや不穏なSEがバックに鳴っているものの、前面には美しく微睡んだシンセが浮遊して夢の中を彷徨うアンビエントを展開している。そしてオーガニックで笛やらギターの音やらも牧歌的に持続する抽象的なアンビエントの"I Float, I Am Free"、80年代シンセ・ポップを思わせるアタック感の強いドラムと妙に親しみのあるポップなサウンドのダンス・トラックである"Where There Is Rain"、安っぽいドラムマシンがローファイ感を生む郷愁たっぷりなダウンテンポの"Sand Man"など、アルバムにはバラエティー豊かな音楽性が共存しているが、やはりギターやピアノ等を使った有機的で親しみのある響きが全体を一つのモノにしている。Growing Binのファンならば当然として、Music From MemoryやMelody As Truth辺りのバレアリック系が好きな人にとっても、本作が本年度のベストの作品の一つになるであろう素晴らしいアルバムだ。



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