<< Luciano - Sequentia Vol. 1 (Cadenza:CADENZA 118) | main | Paolo Di Nicolantonio - Close To Me EP (Craigie Knowes:CKNOWEP9) >>
2018/10/13 Chez Damier Japan Tour @ Contact
シカゴ・ハウスのディープ方面の伝説的レーベルであるPrescription、それを運営していたのが一人は今もなお積極的に制作/DJを行うRon Trent、そしてもう一人がChez Damierだ。前者に比べると一時期はシーンから遠ざかっていた時期もありDJとしてもそれ程活動的ではないためやや忘れ去られていた時期もあったが、近年のヨーロッパのミニマル隆盛に合わせたように再浮上し、シカゴ・ハウス発ながらもミニマルの機能性も持ち合わせたそのハウス・ミュージックは現在形で発展している。来日は非常に少なく今回は5年ぶりと貴重な機会になるが、そこに合わせて日本からはシカゴ・ハウスならば何はともあれRemi、そして様々なスタイルを持ちながらもハウス・ミュージック愛も強いCMTなど、強力な布陣を構えてのパーティーは間違い無しだ。
日が変わる頃に現地入りし先ずはRemiのプレイから聞く事に。Remiに対しては先ずは何はともあれ荒れ狂う熱量の高いシカゴ・ハウスというイメージがあるが、この日はこの後のChez Damierを意識してか荒々しいシカゴ・ハウスというよりは図太くどっしりした、そしていつもよりもかなりミニマルなグルーヴ感で適切に抑制されている。激しさよりもグルーヴを均しながら骨太な肉塊が押し寄せるような圧力があり、暗い雰囲気を保ったまま深い闇の中を突き進む。と安定したグルーヴに身を任せていると、TR系のリズムがどたどたと刻まれる簡素なグルーヴのシカゴ・ハウスらしい曲もミックスされ、その剥き出し感溢れるオールド・スクールな質感も現れてくる。それすらもミニマルな無駄のない構成で、途中からアシッドも加わり覚醒感を誘いつつ、Cevin Fisherの"Magic"でどっしり重いトラックに妖艶なボーカルが乗ったハウスで怪しい色気を加えたり、B-Boy風な跳ね感のあるヒップ・ハウスもプレイしたり、または輝きを放つようなディスコ・サンプリングなハウスまで、選曲に幅をもたせて弾けるノリの良いリズム感を強めていく。その中にも一貫した骨太で強靭な流れがあり、その点では非常にRemiらしくある。そして多幸感溢れるィスコ・ハウスのビートが消えたパートに合わせて繋げたのは、これまたキックレスなパートの多い"Shades of Jae"で、キックの無いタイミングを上手くミックスして派手派手しく盛り上げてフロアに瞬発的な刺激を与えていた。そこからはアフロ・パーカッシブな曲も用いつつもまた徐々にミニマル性の強い曲調で、次に繋げる事を意識したように収束し、持続感のある流れで力強さを発揮しつつもパーティーのムードを保ち続けて次へとパトンタッチ。

そしてChez Damier、果たしてどんなプレイで来るのかと期待していたところ、初っ端から彼らしいエモーショナルで色っぽい女性ボーカルも入ったディープ・ハウスで、彼の制作する音楽性がそのまま反映された曲調で、ちょっとエレクトロニックな響きもある。リズムは重厚感があると言えばそうだし、しかしもっさりとした重みというか、スピード感よりも重圧重視でかなり低音を効かせていたように思う。しかしSerge Funkの"Can't Get Enough"のサンプリング・ハウスでがっつんと情熱に盛り上げたりと序盤から予想以上に派手でパワフルなプレイで、そこからも熱いニューヨーク・ハウスやディスコ・ハウス等をエネルギーが爆発するように投下する。予想していた深遠なディープ・ハウスではなく、むしろソウルフルで熱量の高い曲調や感情性豊かな歌ものが多く、それはブラックネス溢れる音楽観である意味では分かりやすいハウス・ミュージックそのものだ。それどころか"Groovin You (Joey Negro Masons Revenge Mix)"のように完全にディスコ/ファンクな古典等、生々しい響きで豊かな音楽性のある曲もミックスされると、これってガラージの系譜なのでは?と思わされる瞬間もあり、単にシカゴのディープ・ハウスでは括れない大らかな音楽性に包まれる。大きな上げ下げは少なく時折キックは抜いたりもしながらも基本はアッパーで感情性豊かな選曲はやや通り一辺倒である事を否定出来なくもないが、歌モノがんがん用いてむさ苦しい程の熱量に振り切れているのは清々しくもある。中には"What You Need (Micky More & Andy Tee Remix)"のようにバレアリックな多幸感、爽快感溢れる曲の繋ぎにふっと体が軽くなる瞬間、または"Deputy of Love (CB DJDM Re Edit)"のような古典ディスコに戻ってしんみりもする瞬間もあり、兎に角ソウルフルという感情をがんがんと注入するプレイだ。終盤では"Soul Underground (B.I.T.S Remix)"のように少々勢いは押さえながらもディープで微睡んだハウスも混ざり、彼が手掛ける曲ぽい雰囲気も強く感じるところもあり、このようにもうちょっとディープな展開が多くても良かっただろう。最後はブロークン・ビーツの揺れるリズムによる生っぽい曲で情緒豊かに展開し、曲を完全に切ってフロアが静けさに広がって綺麗に終了。

完全に音が切れた場を任されたCMTは、先ずはPeven Everettの"Heat Up"でぐっとフロアを熱くする感情が溢れるボーカル・ハウスで始まり、そこから直線的なビートで締まりのあるシカゴ・ハウスで攻める。音は削ぎ落とされすっきりした響きだからこそグルーヴより鮮明に感じられ、杭を地面に打ち込むように強いビートがフロアに根を張っている。派手ではないが質実剛健と表現すればよいか、タフなグルーヴに肉体的にファンキーな音は確実に体を揺らす。そこからEli Escobarの"Back 2 Luv"のように煌めくディスコ系フィルター・ハウスで輝きを放ち朝方のハッピーな雰囲気をフロアに作り出し、またDamierのハウスとは異なりながらもこれもハウスという主張が感じられる。音の数が減って身軽だからこそ軽快でスピード感のあるビートを刻んで疾走りだし、非常にタフで鋭い音が切り込んでくる。そして執拗なまでのループを活かしたJoey Chicagoによる"Love Ya"でディスコ・フィーリング全開の機能的なハウスは、にんまりと笑顔を誘う陽気なノリで気怠い朝方に於いても疲れを吹き飛ばす。肉体が躍り出すハッピーな気分で高揚しつつそこから強烈なフィルター・ディスコで再度盛り上げる流れで、フロアは空いてくる時間ながらもCMTのプレイ自体のテンションは全く落ちるどころかファンキーでエネルギッシュだ。と、まだまだCMTがフロアを刺激してたものの十分にハウス・ミュージックを満喫出来たので、途中ながらも5時過ぎにはフロアを離れる事に。三者三様のハウス・ミュージックの味わいで、ゲストらしく盛り上げて役目を果たしたDamier、そしてRemiやCMTのプレイの方はより上手さが感じられる点もあり、どの時間帯もハウス万歳な一夜であった。
| EVENT REPORT6 | 11:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
スポンサーサイト
| - | 11:00 | - | - | |

コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://matyu.jugem.jp/trackback/4471
トラックバック