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2018/11/2 UBIK presents Live In Concert @ Unit
長年Unitにてダンス・ミュージックのパーティーを企画してきたUBIKが、今新たに立ち上げたライヴイベントがその名も「Live In Concert」。あくまでライブという名目なのにどういったジャンルの音楽に焦点を当てるのかはまだ不明なものの、今までの経歴を考えればエレクトロニックなものである事は推測される。その記念すべき第一回目はKompaktからPalais SchaumburgやThe Orbのメンバーとしても輝かしい功績を持つベルリン・ダブ・テクノのThomas Fehlmann、そして同レーベルの現在最も人気を集めているであろうシューゲイザー・テクノ代表格のThe Field、そしてFlangerやSecret Rhythmsといったユニットでも強烈な個性を発揮したBurnt Friedmanと、どうやら今回はテクノが軸にあるようだ。初回という事もあってか強力な布陣を擁したパーティー、期待せずにはいられない。
先ずはBurnt Friedman、フロア後方のPA側にPCやコンソールミキサーにエフェクター等を組み合わせセットを配置してのライブ。7chサラウンド・ライヴと謳っていた通りでフロアを囲むようにスピーカーが配置されている。静かにヒプノティックな電子音鳴り出してライブは開始するが、ぐるぐると回るようにあちらこちらから音が鳴り、土着的なパーカッションや迫り来る圧のある歪なリズムを刻んで、脈打ちうねるグループを奏でる。しかしダンス・ミュージックというよりは完全にエクスペリメンタル・ミュージック的で、確かに体を刺激するビート感もあるにはあるが形容のし難い刺激的な響きだ。土着的なパーカッションや図太くファンクなベース、鋭く研ぎ澄まされた電子音が全方位から降り注ぎ、アフロかつサイケデリアが渦巻く混沌への中へと連れ込んでいく。太古の衝動的なグルーヴを電子楽器で鳴らしたような、ノイズも不協和音も混じりながら変幻自在のリズムを刻む。次第に荒れ狂うようにリズムは激しく脈動し、ノイズにも近い電子音があちらこちらから飛び交い、正に全てが融解して混沌へと飲み込まれていく展開は圧巻だ。一旦勢いはピークへと達した後に、そこからは深い沼に沈んでずぶずぶとした滑った展開でリスニング志向へと変化し、何処とも言えない無国籍な空気を携え静かに音が消えていき終わりかと思いきや…最後に再度跳ねる強烈なビートを打ち鳴らし、エレクトロニック土着音響で覚醒感を誘発しひりつく緊張感の中でライブを終えた。

Thomas Fehlmannはステージ上にPCや幾つかのハードウェアを組み合わせて登場。開始はキックレスな状態でずんぐりむっくりな重低音とうねる幻惑的なメロディーによる"Freiluft"、ゆっくりとしかし図太い重いグルーヴで、しかし次第にズドンとしたキックが入ってくると沈み込むダブテクノの攻めだ。予想以上のパワフルかつ圧倒的な重量感で体に纏わり付くグルーヴだが、一方で妖艶なリフはトランシーで快楽的でもある。"Morrislouis"でもやはり荒ぶるリズムが地響きを引き起こしグラグラと体を揺らしつつ、密かに様々な電子音を織り交ぜてFehlmannらしい美しいダビーな音響で包み込む。中には融解した液体の動きを思わせるベースラインが重いながらも躍動し、繊細で緻密な電子音が空間に張り巡らされ、強い圧力がありながらもリスニング性も失わない。しかしやはりUnitの素晴らしい音響もあってとてつもない重低音が出力されながらも、しかし歪む事なくクリアな響きを打ち出したFehlmannのサウンドメイクはねっとり遅いビート感ながらも強烈なダンスのグルーヴを生み出しており、一聴して地味だったニューアルバムからの曲もライブでは圧倒的な圧力を伴って迫力を増している。そしてガスのようなモヤモヤとしたアトモスフェリックな電子音が満ちていきアンビエント性も加わりながら、そこに鋭利なシャッフルするキックが差し込んできたりと、Fehlmannの素晴らしき電子音響ライブは一向にテンションが落ちる事はない。電子音の繊細さと大胆なグルーヴは一体となり、ミニマルな流れからシャッフルするビート、ねっとりした4つ打ち、叩き付ける前のめりなリズムと、あの手この手の変化も披露し変化をつける事でめくるめく展開に引き込まれ、冷気漂いながらも体は逆に熱くなっていく。鈍い中毒的な電子音はうねり、微細に変化し、力強さと繊細さが同居したライブはFehlmannの長い経験に裏打ちされた音楽性がフルに発揮されていて、流石ライブアーティストとしての存在感。特に終盤はうねるベースが暴れてファンクな要素も打ち出してきて、正にライブらしい生き生きとしたビートには生命力のようなものさえ感じさせた。そしてラストには花開くような美しい響きも出現し一気にアンビエントな香りも漂わせながら、最後までズンズンと圧のあるビートで押しきる圧巻のライブだった。アルバムを軽く凌駕する重厚感ある音響と強靭なグルーヴ、これはライブでしか体験出来ないもので、アルバムを聞いているだけではその真価は理解出来ないだろう。

最後はThe FieldのLive A/V Setだ。最初何の事だろうと気になっていたが、Audio/Visualという意味合いだろうか、生命の胎動にも似た抽象的な映像も投影して音とシンクロさせた内容のようだ。ライブはニューアルバムの流れと同様に"Made Of Steel. Made Of Stone"から始まり、無垢なシンセボイスが響き渡る事で荘厳な世界が作られ、淡いドローンがぼんやりと入ってくる。次第にキックも入ってくるがとてもゆっくりとしたビート感で、何だか慎み深く包み込むような優しさが感じられる牧歌的な佇まい。長い長いドローンが空間を満たしていつしか夢の世界に引き込まれうっとり陶酔させられ、そして"Infinite Moment"へと繋がると白色光に包まれるシューゲイザーな電子音が放射され、一気にThe Fieldらしい神々しさも増す。しかしまだまだ上げずにじわじわと抑えるように引っ張る展開は、活動初期の明るい高揚感とは異なり円熟味を感じさせるメランコリーがある。そして"Divide Now"で遂にビートは疾走りだしダンスフロアの活況へと突入すると、朗らなかシンセのループで爽やかな牧歌的ムードに包まれ気持ち良く踊らされながらも、中盤では強烈なドラムンベースが突如現れる大胆な構成の崩し方で、そこを境にどっしりしたビートへと切り替わりサイケデリックな色彩の音色へと変化する。豊潤でカラフルなシューゲイザー・サウンドがどんどん湧き出してフロアの隙間を埋めるように満たされていく様は圧巻で、天にも昇る多幸感とは正にこんな時だろう。そして雰囲気を途切れされずに"Who Goes There"、膨らみのあるキックで安定した四つ打ちを刻んでふんわりと優しい浮遊感で足元は軽くなり、甘いシューゲイザーの響きに白昼夢に浸るが如くの恍惚感。そこからややロック寄りなドラミングの生っぽいビートの曲ではダイナミズムを強調し、"Hear Your Voice"ではWolfgang VoigtことGas風なミニマル・アンビエントで濃霧が満ちる深い幻想の森へと誘う。そしてラストは人気曲の"Over The Ice"が来るかと思いきや今回はプレイせずに、ラストまでニューアルバムのサイケデリックで内省的な雰囲気を保ち続け、勿論多幸感という感情もあるにはあるがド派手に盛り上げる事を敢えて避けたような流れだった。"Over The Ice"を期待していたファンも少なくはないだろうが、結果的にはそれをプレイせずにニューアルバムの曲を中心に深遠さを打ち出した世界観で統一した事は成功だったと思う。

音響には定評のあるUnitという場所もあり、「Live In Concert」は正に三者三様のライブを十二分に体験出来るパーティーになった。初回という事もあり主宰者もかなり力を入れたアーティストを招致したが、これはこれで期待値は相当に高くなってしまったので、次回以降の企画は簡単なものではないだろうがそこはUBIKだからこそきっと満足出来るパーティーを企画してくれるに違いない。

■Thomas Fehlmann - Los Lagos(過去レビュー)
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■The Field - Infinite Moment(過去レビュー)
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