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2018/11/23 Kabuto Presents LAIR 11th Anniversary @ Grassroots
東高円寺の音楽酒場であるGrassrootsのレギュラーパーティーの一つ、それがKabutoが主宰するLAIR。近年彼が立ち上げたDaze Of Phazeも時代に埋もれたテクノやエレクトロの再発見的な意味合いで興味深いが、しかしGrassrootsと言う小さい場所だからこそ集客や一般受け等を気にする事もなく、当然ゲストも知名度云々ではなくKabutoが信頼する仲間を呼び寄せたりと、Kabutoの音楽性を最も反映させる事が可能となるLAIRこそはKabutoのファンであれば当然足を運ぶべきものだ。そんなパーティーも遂に11周年、しかしアニバーサリーであっても大袈裟に祝う事はなくTommyとYukkeをゲストに招いて、いつもと変わらず温かい雰囲気に包まれたLAIRが開催された。
現地入りは24時過ぎ、まだまだフロアは隙間が目立ち落ち着いた雰囲気の中でKabutoはオールド・スクールな響きでカタカタとしたビートのテクノやハウスをプレイ中。がつんと強襲する激しい曲ではなくデトロイトの叙情性やAIテクノのインテリジェンスな未来感もあるテクノを軸に、しっとりムーディーかつ温かみのあるプレイ。ブリーピーなアシッドの入ったテクノも持ち込むも激しさによって強制的に踊らすのではなく、精神へ作用するヒプノティックな効果でじわじわとフロアの雰囲気を引っ張る。そして懐かしさも感じられるエレクトロ寄りなファンキーなハウスなど、もしかすると実際には新しい曲なのかもしれないが、聞こえてくる音は古い時代が甦ってくるローファイ性の強い懐かしみがあり、こういった味わいはKabutoの個性の一つだ。またいつも通りと言えば、4つ打ちのみに執着する事なく崩れたブレイク・ビーツやエレクトロのリズムを組み込んで変化球的に揺らしたり、中には叙情的なテック・ハウスで勢いを付け、またはMoodymannのムーディーマンのどす黒いサイケデリックな"Sunday Hotel"で真夜中の興奮を誘ったりと、いわゆる大きなクラブで盛り上げる事が望まれたアッパーなプレイとは一線を画しながら、Kabutoのエモーショナルな世界に引き込んでいく。それはGrassrootsという小箱でそこに集まる自由なクラバーを前に、まるでDJの家でプライベートなプレイを披露しているかのような、派手ではないがDJが制約抜きにして自身も楽しんでいるかのようなプレイだ。時間が深くなるといつの間にかフロアはGrassrootsを愛する仲間達で埋まり、それに呼応するようにグルーヴの緩急は大きくなりダンス性も強くなって、温かい雰囲気の中でフロアの賑わいも強くなっていた。

Tommyが引き継ぐと切れのあるエレクトロ・ビートや鈍ひ響きのジャッキンなアシッド系の曲で、上げるのではなく中毒的に精神を侵食するプレイで、じわじわと染みる選曲がいぶし銀的だ。やはりGrassrootsという場所柄も関係あるのだろうか、大袈裟に盛り上げる事は必要とされない場所で、一歩引くような感覚でゆったりと引き寄せていくプレイが許容される。艶や色味を失った簡素な響きの曲調でアシッド物やローファイで質素なテクノで淡々とミックスしながらも心地好いグルーヴを生み、時間帯で言えば丁度ピークタイムではありながらも、疾走するのではなく深みにはまるようだ。。が中盤からリズムは弾力を伴い跳ね出してデトロイト的な美しい旋律の入ったテクノでスピート感を獲得したり、エモーショナルな高揚感の中に突入する瞬間もあるが、しかしそれ過ぎれば再度地べたを這いずり回るダークなエレクトロへと回帰し、肉体を鼓舞する如く力強い低音とリズムが押し迫り、隙間のある曲調で余裕を持たせながらもハードに差し込んでくる。そしてLuca Lozanoの90年代風レイヴ色が打ち出た悪っぽい雰囲気のブレイク・ビーツ"Calling All Dancers"は特にハイエナジーな興奮があり、そこからジャッキンで粗悪なアシッド・ハウスや鋭く切り込んでくるエレクトロを軸に、基本的にはタイトに引き締まりつつ尖ったビートで攻めていた。

4時頃からはYukkeがDJブースに入っていたが、当然と言えば当然だがDJが変わると音もがらっと様変わりし、スムーズに洗練された4つ打ちのテック・ハウス〜ディープ・ハウス中心の上品な展開だ。途切れる事のない均されて滑らかなグルーヴが持続感を生み、微かに情感のある上物によってフロアを彩りながら大人びた洗練されたムードも伴ってフロアを優美に包み込む。と思っていると黒く硬めのファンキーなデトロイト・ハウスや"So Right (Gerd's Old School Remix)"のようにムーディーなディープ・ハウスも飛び出して、更に艶っぽい情緒を増しながらずっしりハウスの4つ打ちで自然と踊りたくなるプレイ。何か強烈な印象を植え付ける事はないだろうが、その一曲一曲を大切に繋げる選曲にはムーディーで耽美な統一感が感じられ、大きく揺さぶりをかけずとも色っぽい世界に引き込んでいく。がそれだけではなく控え目にアシッド・サウンドを用いてグリグリとえぐい攻めでスローダウンしながら、そこからセオのローファイ・ジャズ・ファンクな"Leave The Funk To Us"で混沌としながらも微睡みの中で一息入れるように落とし、そこから再度上げていったりと緩急混ぜてフロアを盛り上げる。が、当方は例によって日本酒を飲んで潰れてしまい、目が覚めた頃は日も昇った朝6時。パーティーも十分に楽しみ疲れも溜まっていたので、その時点でパーティーを切り上げて帰宅。11周年アニバーサリーだから何か特別という訳でもなく、それどころかいつも見る仲間の顔が揃い、美味しい地酒や青汁ハイがあり、そして緩く温かいフロアの雰囲気はいつも通りのGrassrootsのLAIR。特別ではないけれど誰しも心落ち着くパーティーがあると思うが、自分にとってのそれは何を差し置いてもLAIRなのだ。
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