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2019/2/22 Music Of Many Colours with Rancido @ Contact
特にハウス・ミュージックに対しては深い造詣とそれを利用して素晴らしいDJプレイを行っているDazzle Drumsが、2017年4月から始動したパーティーが「Music Of Many Colours」だ。以前より毎月のレギュラーパーティーとして「Block Party」も主宰しているものの、それとは異なりこちらはそのタイトル通りに様々なジャンルの音楽を展開する事が前提としているようで、古典のハウス・ミュージックを尊重するDazzle Drumsが音楽領域をより広げようとするプレイが聞けるのではと予想している。そして今回そんなパーティーのゲストに迎えられたのはInnervisionsなどからもリリースをしているRancidoで、最近Dazzle Drumsが推しているアフロ・ハウスとエレクトロニックなサウンドを融合させたディープな音楽性との事。レジデントのDazzle Drums、そしてゲストのRancidoそれぞれが一体どんな風にパーティー名から意識される音楽をどう展開するのか、興味は尽きない。
日が変わって24時半頃に現地入り。メインフロア、サブフロア共に風船デコで可愛らしく装飾されていて、このような演出はハウスのハッピーな雰囲気のパーティーにはやはり合っていると思う。そしてダンサーらしき人たちもフロア各所で自由に踊ってパーティーを盛り上げていて、音だけではなく目でも楽しめるようなパーティー作りは早くから感じられた。Dazzle Drumsは既に上げめのプレイでドスドスとヘビーなキックを叩き付けて、随分とパワフルな響きが迫り来る。早くからアフロ・ハウスな面を打ち出していて、例えば"Missing You (Afro Mix)"の土着感溢れるハウス、切ない歌でメランコリーに染まりつつもアフロ感溢れる曲調は最近の彼らが推している音そのものだ。そこに続くはBlack Coffeeの"Wish You Were Here"、美しく繊細なピアノと共に骨太なアフロ・ビートが響く歌モノのハウス、序盤から熱く猛る感情が溢れ出す。更にそこにVince Watsonのアフロなパーカッションと哀愁のピアノが滴る壮大なアフロ・テック・ハウスな"Another Rendezvous"も繋げられて、余りにも壮大なエモーショナル性でフロアを包み込む。十二分のアフロな要素を含んだプレイながらもそこにソウルやエモーショナルといった染みる感情性もあり、そこからエグい電子音がうなる激しくダークなハウスへも転換したりと、アフロ〜テック・ハウス〜エレクトロニック・ハウス〜プログレッシヴ・ハウス等のハウスを軸にしながらハウスの様々な演出を試みているようだ。大胆な展開は大仰ながらも、感情性豊かな流れはドラマチックでもある。またそのように大胆なグルーヴでノッている流れの中にシャッフルするツール的な曲で一旦フロアを落ち着かせ、重心低めのエレクトロ調なファンキーな曲やノリノリなヒップ・ハウス、または猥雑なベース・ミュージックまで果敢にハウス・ミュージックを拡張して、色々な音楽にあるリズムや音色で楽しませようとする気概が伝わってくるプレイだ。

パーティーの途中ではフロア前方にて二組のダンスショーも催される。Dazzle Drumsがダンス用にハウスだけでなくトランス等も選曲し、それに合わせて各々が10分程のダンスを披露。当方がダンスに対しては全く見識が無いので上手いのかとか技術的な事等は理解は出来ないものの、例えば体に蛍光塗料を塗って闇の中で怪しい色彩が映える妖艶なダンスについては、知識は無くとも誰しも楽しめる内容であったと思う。クラブに来て純粋にDJの音のみで楽しむのも一興だとは思うが、やはり新たなる客層や多様性を開拓するという意味では、このようなダンスショーもあるパーティーも重要だろう。

盛り上がったダンスショーから続いてRancidoのDJへ。一旦仕切り直すようにアフロながらもしっとりした歌ものディープ・ハウス、先程Dazzle Drumsがプレイした曲のリミックスである"Wish You Were Here (Guy Mantzur Remix)"で開始。この選曲は少々微笑ましいが、ピークタイム担当ながらもやたら滅多に上げる事はせずに、ディープの淵にいる状態でじわじわと快楽感を保つ。官能的またはサイケデリックな電子音の上物に惑わされて闇の中でふらふらと夢遊病のように踊らされ、そしてToto Chiavettaによる覚醒感ほとばしる"Analog Suite"の強烈なエレクトロニック・サウンドに意識も融解しそうだ。開始から30分程経過しても全く上げる事はなく、壮大な音響でフロアを満たしながら深みに向けて潜っていくようなずぶずぶしたプレイは、テンポは抑えめながらも色気や妖艶さを伴っておりじんわりと効いてくる。しかしそこからやや硬くごりごりとした、ある種テクノにも近いビートも現れて厳つさを増しながら、ミニマルなリフでトリッピーに飛ばすのはInnervisions系の世界観も反映されている。そして今度はアフロなパーカッションや呪術的なボーカルが印象的なアフロ調なハウスも飛び出して、Rancidoのアフロかつエレクトロニックが融合する真骨頂へと突入。民族的なボーカルが何か魔術を唱えているような怪しさのあるハウスや、原始的でもある土着パーカッションが弾ける爽快なハウスなど、電子音を打ち出しながらもオーガニックなりアフロなりトライバルな響きは強烈だ。DJ自体は比較的フラットな展開で変化の乏しさはやや感じるものの、その意味では世界観が統一されていて、そのディープで漆黒な音楽性は一貫しているとも言える。そして変化は少なくとも時折壮大なブレイクも織り込んで、瞬間的に劇的な盛り上がりを導入することで淡白さを回避しており、決して味気ないというわけでもない。後半では重心低めで硬めのリズム、ダークかつマッドなディープ・ハウスで勢いを増しつつ、最後はそこから浮上して快楽的なシンセのメロディーが快活に動き回りながら、高揚のピークへと上り詰めてDJを終了した。

最後は2回目のDJプレイになるDazzle Drums、前からの勢いある流れを引き継いで硬くごりごりとしてアフロな感覚もあるハウスで攻める。それだけではなくテクノ的でツール性の強いミニマルな曲調を通過し、Keinemusikによる"Muye"の民族的パーカッショに妖艶な美しさを放つピアノが響くディープ・ハウスで艶かしくフロアを彩るなど、やはりDazzle Drumsは様々な色彩を帯びた音楽で展開する。その大胆な流れはただ派手なのではなく内に秘めたる喜びや哀愁の感情が溢れ出していく如くエモーショナル性があり、"Hell to the Liars (Kolsch Remix)"の俗っぽく派手なEDMにも近い曲でさえメランコリーな流れ中に上手くミックスさせている。朝が近付くに連れてポジティブななムードが増していく音楽とフロア、そこに投下された"Hi-tech Jazz"によって夜が明けた至福のムードがやってきてからはクラシカル・タイムの到来だ。"You Make Me Feel (Mighty Real)"の輝きが満ちるディスコでハッピーになったり、"Blow Your Whistle (The Blaster Mix)"のざらついたファンキーなリズムが荒々しいオールド・スクールなハウスに刺激されたりと、クラシカルな選曲の時間帯は朝まで残っている人達へのご褒美みたいなものだ。当方はその辺りでパーティーから離れたものの、Dazzle DrumsとRancidoどちらも期待していた通りのDJを聞けた事と、またダンスショーによる視覚的な演出もあり、パーティーは良い形に成っていたと思う。特にDazzle Drumsはそのパーティー名通りに色々な表情を見せて、例えば自分が彼等に出会った頃のニューヨーク・ハウスやディスコをプレイするDJというイメージを塗り替える意欲に溢れており、今後もこのパーティーには注目だろう。

■Dazzle Drums - Music Of Many Colours(過去レビュー)
Dazzle Drums - Music Of Many Colors
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