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2019/8/23 Hi-TEK-Soul @ Contact
デトロイト第一世代の中でも最もDJとして精力的に活動するDerrick May、そんな彼によるテクノソウルを表現するパーティーがHi-TEK-Soulだ。DJとしての精力的な活動は言うまでもないが、近年はちょくちょくと自身で主宰するTransmatの運営にも力を入れており、忘れた頃にレーベルから新たなる才能を送り出したりもしている。そんなレーベルからIndio名義でアルバムもリリースした事もあるデトロイト第二世代の一人であるJohn Beltranも、Derrick同様にエモーショナルなテクノソウルを持つアーティストであり、その幻想的なアンビエンスは特に稀有な個性だ。今回Derrickと共に出演するBeltranはアンビエントセットを披露するという事前情報があり、そんな点でも興味深いパーティーになっている。
23時半頃に現地入りするとメインフロアではBeltranがオープニングを担当している事もあり、いつものパーティーより期待が高いせいか人も多く熱い賑わいだ。といっても告知していたアンビエントセットは何処へやら、既にビートは躍動してデトロイトの叙情的なメロディーや雰囲気の中にあり、Beltranらしい豊潤な響きが広がっている。4つ打ちからブレイク・ビーツにダブ・ステップ風な崩れたリズムまで披露しつつ自身のブレイク・ビーツ・アンビエントな"Anticipation"でロマンティックな夢の世界を展開し、もう好き勝手なプレイは彼自身が私的に楽しむような選曲という印象だ。そこにディスコティックな"Good Life"も繋げてしまう流れ無視なDJプレイには苦笑だが、更にNinetoesの何処かアジアやトロピカルな雰囲気のある開放的なダンスの"Finder"も繋げて、音楽的に統一感ある流れは全くないもののメロディーやハーモニーを重視した選曲はBeltranのアーティスト性が反映されている。そしてえぐいアシッド・ベースのうねる狂気のアシッド・ハウスから幻想的なディープハウス、更にはデトロイト感爆発な古き良き時代感溢れるエレクトロ、そしてデリックの跳ね感爆発なコズミック・テクノの"Drama"ともうやりたい放題な流れには笑うしかない。四方八方、支離滅裂な選曲とアバウトな繋ぎでDJ巧者とは程遠いプレイではあるが、後半に入るとアッパーな勢いでフロアを飲み込みつつ"Groove La Chord"も飛び出すなど、デトロイト・テクノを存分に意識したプレイであるのも間違いではない。激しくグルーヴはうねりフロアを鼓舞するように刺激しながらも、美しく微睡んだメロディーも湧き出て、まんまデトロイト・テクノやそれのフォロワー系の音の連続にこんなベタなDJもたまにならと納得。そしてBeltranの"Gutaris Breeze"もビートは抑えながら夢現な陶酔があり、ダンスフロアの活況の中に一時の安らぎが広がる。ラスト間際にはDerrickの名曲"Icon"までプレイして、深い慈しみに包まれて一時の忘我に至りつつ、更にDerrickの"Salsa Life"をプレイするなんてまるでDerrickへDJを捧げるようではないか。しかしそこから何があったか暴君Derrickが会場に現れず、予定時間を越えてBeltranのプレイは続く。早く出てこいと言わんばかりに深いエモーションが爆発する"Beyond The Dance"も飛び出して、ある意味ではこのベタな選曲はご褒美的でもある。まだまだ押している状況で都会のハイウェイを疾走するような"It Is What It Is"もプレイ、うーん一体どこまでBeltranが続くのやらと流石に不安も感じるようになる。そこにガラッと雰囲気を切り替えるハウス・クラシックの"Deep Inside"も投下、これは名曲図鑑みたいなコテコテな選曲で、雰囲気が悪いとは言わないがやはりBeltranはアーティストでありDJとして評価の対象ではないのかなと個人的な思いだ。

一時間遅れで登場したDerrick、その前のBeltranの豊潤な響きを持った選曲に比べるとすっきりと無駄な音は削ぎ落とされ、骨太なキックとひりつく緊張感と共に開始する。初っ端なからイコライジングを多様して大胆に音の抜き差しを行い、一曲の中でも変化を付けてファンキーかつパワフルな聞せか方だ。そんなところに序盤にすかすかオールド・スクールな"No Way Back"を落とし込み、疾走する勢いよりも粗悪な響きによるシカゴらしいファンキーさに染める。次第に勢いも加わりアフロなり土着性があるテック・ハウスやディスコサンプリングな華々しいテクノもプレイし、マグマが吹き出すように熱量は高まっていく。実際フロアは蒸し返して凄い熱気だなと思っていたら、実は空調が壊れていたとかのようだ。しかし、神懸かっている時のカミソリのような切れ味はまだ見られず遅れてきた事もあったし体調不良なのか?と心配しつつも、"Acid Tracks"も用いてじわじわと攻め立てる。また色っぽい呟きが入った古く粗雑ながらも感情性豊かな"Distant Planet"も用いて陶酔感を引き出し、Derrickらしいシカゴ・ハウスのファンキーさで勢いには乗れずともズブズブディープな感覚でフロアを引っ張っていく。そして妖艶なサックスが魅了しラテンなグルーヴが走るハウスも引っ張り出せば、ようやくDerrickらしい鋭いキレも出て来て、やや荒ぶりながらも太く硬いテクノやハウスでがつがつとフロアを揺らし盛り上げていく。汗の蒸気で蒸し返すフロアは暑苦しいが、しかしそれが不快ではなく熱気となって気分を高揚させ、Derrickの脈打つ肉体感溢れるエネルギッシュなプレイと合わさって心身は突き動かされる。アフロ・パーカッシヴ、土着的、生々しい肉体感といった性質を交えながらひたすら猪突猛進する流れに突入し、その中でキックの抜き差しを多用する彼らしい組み立て方は、ともすればやり過ぎ感はがないわけではないが、これが彼の平常運転な個性。ある意味コントロール不能状態にも近い突っ走っている流れの時の方がこちらも一心不乱に躍り乱れて、汗だくになって音に身を任せるのが快楽的だ。そこにBen Simsによる鈍くうなるシカゴ寄りな骨太なハードテクノの"Effort 8"もがつんと肉体を突き動かし、蒸し風呂状態のフロアは更に蒸気充満により熱くなる。あまり展開らしい展開を設けずにひたすら爆進するプレイは熱気や肉体性で多い尽くす事で単調ささえも気にさせずに、何も考える余地さえ与えずにひたすら踊らせる。そこに闇の中から響いてくる美しく妖艶なメロディー、"At Les (Christian Smith's Tronic Treatment Remix)"は官能的な色っぽさがありながらハードにじわりと攻めて、エモーショナル性が際立つ瞬間もある。序盤の古典的なシカゴ・ハウスを持ち込むセンスはやはり彼のプレイが荒ぶるシカゴのファンク性に共鳴するし、また新しめのテクノやハウスにしても彼が曲の魅力的な部分を用いてミックスして、ある種感覚的かつ衝動的なプレイはどんな曲をプレイしてもDerrickらしい音になる点が彼が特別なDJである証明だ。

正直に言うとプレイする曲自体は好みだけどあまりDJ的ではなかったBeltran、そしてこの日は遅刻した上に本調子からは程遠くいまいち乗り切れなかったDerrick(それでもサウナ状態のフロアのおかげで逆にやけになって楽しめたが)、これだけのタレントが揃ったにしては物足りなさも残るパーティーだったかなという気持ちは強い。しかしこういった調子の振れ幅が大きいのがDerrickらしさであるのも言うまでもなく、ある意味それが彼の人間らしいエモーショナル性の大きいプレイに繋がっているのだろう。

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