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ここ数年活動が活発になっていたとは言えども、ジャパニーズ・アンビエントの再燃が無ければ恐らく本作のリイシューも無かったのは間違いない。近年は温泉好きシンセバンドとしてNaturally Gushing Electric Orchestraとして活動するサワサキヨシヒロは、1992年頃から音楽活動を開始し、Techno The GongやMeditation Y.S.等複数の名義を用いてプログレッシヴ・ロックに影響を受けたテクノ/アンビエントを展開し、そして1994年には本作をリリースするとNME誌からは「ジャンルを超えたファンキー・チル・アウト」として評価され、その頃盛り上がりつつあった日本に於ける空前のテクノブームの立役者の一人となる。つまりそんなテクノが著しく熱かった時代にリリースされた本作は、しかしそんな熱気とは対照的にダンスの狂騒とは無縁な緩く底抜けにオプティミスティックな世界観と音に何の意味も込めずにただひたすら快適性のみを追求したような響きによって、唯一無二のアンビエントを確立させていた。本作で魅了されるのは何を差し置いても"Neocrystal (On The Beach Mix)"で、繊細な光の粒子のような音のシーケンスと浮遊感をもたらす美しい鳴り、そして控え目に用いられたTB-303のアシッドは凶暴性よりもひたすら快楽へと向かい、意味も意識も込められていない純粋無垢なアンビエントは10分にも渡って覚める事のない白昼夢へと誘う。実は何気にフル・アンビエントなのはこの曲位で、他の曲はフローティングするテクノやブレイク・ビーツ寄りスタイルが多く、しかしそれでも音の響きはやはり無垢で多幸感が全開だ。"Magic Dome"なんかは当時Dave AngelがMIXCDの中で用いたりもして話題になり、軽くリズムが入りダンス寄りな作風ではあるが下辺ではアシッドが明るくうねりつつ優雅なストリングスが絢爛に彩るハッピーな世界観は、この後のユーモアに溢れ陽気な音楽を展開していく実にサワサキらしさがある。今回のリイシューに際して特筆すべきはボーナスディスクの方で、Meditation Y.S.名義でApolloからリリースしたEPやコンピレーション収録曲が纏められており、今となっては入手困難な曲が一同に聞ける事だろう。特にApolloからの14分にも及ぶ"Slumber"は"Neocrystal"級のフル・アンビエントで、眠気を誘うダウンテンポのビートにほんわかとした音の粒子が浮遊しながら、TB-303のアシッド・ベースにダブ処理を行いながら多層的な音響により意識も融解するサイケデリックなトリップ感を得て、極楽浄土への片道切符な名曲だ。アンビエントとしてはボーナスディスクの方がより純度は高く、"Aqua Gray"なんかもリズムは跳ねたブロークン・ビーツ調ながらもか細く繊細なシンセが複数のラインで陽気な旋律を奏でつつ、下部では太いアシッド・ベースがファンキーにうねる毒々しくもハッピーなアンビエントで、この何も考えていないような楽天的な世界観がやはりサワサキ節だ。そして"Neocrystal"の別バージョンで初披露となる"Selftimer"は、基本的に上モノはそのままでリズムに変化を加えて重厚感が増したダブ・バージョン的な曲で、当然天国を目指すトリップ感は最高級。CD盤では2枚で10曲の内、9曲は10分越えの大作とアンビエントしてはこの長尺な構成だからこそ夢から醒めない持続性が活きており、25年前の作品ながらも全く今でも通用する素晴らしいアンビエント・アルバムだ。ジャパニーズ・アンビエントが再度注目を集める今だからこそ、知らなかった人達にも是非とも聞いて欲しい一枚。



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| TECHNO14 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
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