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2019/12/1 Euphony @ Aoyama Zero
ダンス・ミュージックのみに依存しない自由度の高さがあるからこそ、DJのパーソナル性が特に反映される事を可能とするEuphony。アンビエント・ミュージックやニューエイジが世界的に再評価する流れの中で、元々そういった音楽に造詣の深かったKaoru Inoue、maa、shunhorの音楽性がそこにぴったりとハマる、いやもしくは時代がようやく彼等にハマったと言うべきか。前述のジャンルだけでなくフィールド・レコーディングや民族音楽、勿論ディスコやハウスといったダンスまで全方位放射の音楽は、普遍的な意味でのクラシックから未来視点のモダンまで網羅する。
今回もオープニングを担当するのはInoueだったので、開演と同時に現地入り。まだ全く人のいないフロアの澄み切った音響で、普段の真夜中のパーティーでは決して聞けない選曲を聞けるのはある意味では非常に貴重な体験。キラキラとした輝くようなエレクトロニックな音が繊細に響く幕開けから、弦の音色が和的にも感じられるHorizontによるシンセ・ニューエイジの"Light Of Darkness"、神聖で厳かな佇まいについついかしこまって音に対峙せずにはいられない。普段のパーティーでは当たり前に高揚するダンス・ミュージックをプレイするInoueも、例えば過去のgroundrhythmのMIXCDなどを聞けば分かるように、民族性やルーツ志向なコスモポリタンな音楽性が根底にあり本来はこういった音楽性が彼にとっては自然体なようにも思われる。民族的な太鼓や笛の音色がスピリチュアルに響く原始的な曲もプレイしたりと、序盤からジャンルの垣根を越えて世界旅行へと導かれる。ゆったりとリラックスしたリスニング性と共に程好く体を揺らすリズムも現れると、なにやら陽気なアシッド・ベースも響いてきたそれは"Sky, Color, Passing (Gallo Mellow Mellow Acid Remix)"だ。アシッドながらも澄んだ青空が広がる清涼なバレアリックで、余りにメロウかつ大きな包容力のある世界観に安らいでしまう。そしてそこに続く民族系パーカッションとSuso Saizの線の細いスピリチュアルなギターが貫く"Musica Esporadica"、スピリチュアルなニューエイジと言ってしまえば一言だが、その内なる精神世界へとダイブさせるような瞑想音楽をクラブの大きく澄んだ音で前身に浴びる快適性はこの上なく、ほんの一時の小旅行を楽しむかのようだ。霊的ながらもバレアリックとしても通用する音による深い精神の探求、肉体的な躍動、壮大な自然の営みがあり、そこからシタールらしいエギゾチックな響きが妖艶さを醸す"Space is My Place (Mark Barrott's Re<>Imagination to the Sacred Heart Center)"と、まるでのんびりと世界各地の秘境を巡る音楽の旅。徐々にビート感は軽やかにもなりながら清涼な青空か広がり、心は開放へと導かれ、日曜夕方の陰鬱とした時間帯を和やかに塗り替えていく。

さて、Euphonyではフロアの香りを担当するアロマのSoichi Miyaharaも参加する予定だったのだが、当日急遽参加不可となるも、フード担当のSpiceAkiraが現場でカレーとその場で炒めていて、フロアにはエキゾチックで食欲を刺激する香りが立ち込め、それが良い具合にアロマの代わりとなっていた。SpiceAkiraのマイルドな辛さながらも異国情緒に溢れる香りのカレーも非常に美味しかったのだが、アロマ&フードも音楽と一緒にサンデーアフタヌーンをリラックスさせながらも情緒豊かに演出する役目があるのだ。

続くmaaは乾いたパーカッションが爽快でフィールド・レコーディングも用いた明るいニューエイジ調の曲で開始し、和んで陽気な雰囲気。そこからまたも鳥の囀りなどのフィールド・レコーディングと細いギターが空間を貫くアンビエント調の曲で、クラブの中にいながらも辺りに木々が生い茂るような自然回帰な流れ。そしてYu Suの土着的ながらもアンビエンスな微睡みに癒される"Of Yesterday (Instrumental)"と、有機的で生命の営みを感じさせる響きが強い。とはいってもただ癒し系みたいな安っぽいヒーリング・ニューエイジではなく、時には奇怪な電子音も入り交じるSavantの"Using Words"のような刺激的なポスト・パンク調な曲ではっと意識を覚醒させたり、逆に生命の響きや波の音など環境音を織り交ぜた風景を喚起させる曲をプレイしたりと、クラブという閉鎖空間の中でも開放感のある音楽性に安堵を感じる。がYoshinori Hayashiのエギゾチックな訝しさのある歌物"Palanquin Bearing Monkey"や、ぐにゃっと空間が捻じ曲げられるような幻惑的なサイケ性のある曲と、後半は一筋縄ではいかないエクスペリメンタル性を強調する。やはりジャンルに縛られない世界観がこのパーティーの醍醐味で、自由な選曲が個性となるプレイはなかなか真夜中の大きなクラブで体験出来るものではなく、ジャンルに依存せず未知なる音楽に出会ってみたい人は是非ともEuphonyへと足を運んで欲しいと思う。

そしてshunhor、以前に聞いた時も比較的エレクトロニック&ダンスな要素は強かったが、今回も電子音響の強いどんよりとしたアンビエントから開始。スローモーで重厚感があり、いかにもアンビエント的だ。そんな中にもエキゾチックなパーカッションが鳴っていて怪しくもあり、その流れで土着的なトラックの上に日本語のポエトリーが乗っかったダブ・アンビエントや、何処か異国の祈るような歌が入った辺境音楽など、どんどん都市部を離れて未開の地を奥深く進んでいく。それでもどっしりしたキックが貫いておりスローモーではあるがエレクトロニクスとオーガニックが一つとなったダンス色の強い音楽性は、穏やかに揺らされのっそりと踊らされる。低い重心でゆらゆらとダビーな音響とアンビエントなムードでダンスビートを刻み、原始的な楽器の響きや様々な言葉の歌やポエトリーを用いた民族性の強い音楽と、ここにshunhorの個性が現れている。終盤にはアシッドなベース・サウンドが点々とする刻まれるマシーナリーながらも呪詛的な曲や、ヒプノティックな電子音と弦楽器か混じるサイケなダブ・アンビエントで更にダンス色を強めて、ある意味ではトランス的な快楽性も獲得し、夕方から夜へへと移ろいつつある時間帯の橋渡しを行っていた。

序盤は一人が1時間ずつプレイして計3時間とそれぞれのプレイをじっくりと堪能したが、中盤からは徐々にプレイ時間が短くなり三位一体となっていくようなDJセットで、そしてハウスやディスコもプレイして高揚感の中へと突入するのだが、筆者は日曜夕方という事もありこの時点でフェードアウト。Euphonyという垣根の無い音楽性のパーティーにおいて、一人一人異なる個性も前述したように明確になっていたが、しかし3人が共鳴した考えがあるからこそ一つのパーティーとしても成り立っている。アンビエントやニューエイジが掘り起こされながらも、しかしクラブではなかなか聞く事が出来ない現状において、それを補完するパーティーとしてEuphonyは探究心を駆り立てる。
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