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2020/1/11 Moodymann Japan Tour 2020 @ Contact
自らを不機嫌な男を名乗りながらも近年はサービス精神旺盛に客を盛り上がらせるDJを行うデトロイトのMoodymann。少々前にも来たような印象でまた来日かと思っていたが、前回の来日が2016年7月だったので実に3年半ぶりとその人気に反比例してDJを体験出来る機会は少なく、リリースされる音源同様に彼のDJセットは貴重な音楽体験だ。今回そんな彼の出演に伴い日本からはマシン・ファンクを奏でるSauce81のライブや、またポップとアンダーグラウンドを繋ぐ若手DJのYosa、ヒップ・ホップ方面からはDJ Koco a.k.a Shimokitaらが参加と、ブラック・ミュージックで包囲するパーティーでMoodymannを迎える準備は万全だ。
日が変わった頃に現地入りとパーティーはまだ早い時間帯だが、Moodymannの人気が故にその時点はフロアやバースペースは多くの人で賑わっており、こういった熱気があるパーティーに心が躍る。本当はSauce81のライブを聞きたかったのだが、その時点でライブはもう終わりかけと何とも残念(何でそんな早い時間帯のプレイだったのか?)。メインフロアではYosaがプレイ中で、いつものポップでキャッチーなハウスではなく、スローモーかつ底辺で不気味な空気が淀むようなスモーキーで重厚な低音がうなるハウスをプレイ。テンポが遅い事で粘り付くグルーヴが強調され、そこにドラッギーなアシッド風のシンセが反復する快楽的なハウスも繋ぐも、それもテンポが遅くどろどろとした混沌が蠢く世界を広げていく。大地に根を張ったように重心の低い安定感のある重厚なグルーヴ、黒光りする魅惑的なベースラインは、以前聞いたYosaのハウスとはまた異なる音楽性ながらもMoodymannへ向かって盛り上げていくべく内容で、パーティーを的確に作っていく。少しずつテンションは高まり音の密度も増えてタフなグルーヴを刻みつつ、スローモーな流れは守りながら例えば"Coro (Kaoz 6:23 Dark Mix)"にしろピッチをやや落として粘性を強調するプレイだ。またはパーカッション乱れ打ちな刺激的なトラックに訝しい呟きも乗ってくる曲はMoodymannの世界観に共鳴するハウス、色っぽく官能的な女性ボーカルが入るソウルフルなディープ・ハウスなど、ファンクネスやセクシーさに加え煮えたぎる感情性を打ち出してパーティーの早くからフロアを熱気に包み込んでいく。

続くDJ Koco a.k.a Shimokitaはヒップ・ホップ中心に腰をぐいぐいと揺らすリズムで、陽気かつポップな響きで、ミラーボールからの光もフロアを多少明るく照らし出しリラックスしたムードだ。この辺の音楽には疎いのでやや戸惑いは隠せないが、メロウな旋律や豊潤な響きは親近感があり馴染みやすい。そこに大胆なイコライジング処理も用いて大きく揺さぶるプレイで、フロアは先程までのシリアスかつディープさとはうってかわって和みつつハッピーな空気。緩いアフタービートが心地好いレゲエ調な曲や朗らか鍵盤の音がリズミカルに刻まれるダウン・テンポ、ざっくりとしたリズムのホーン帯が艶やかな生音重視のヒップ・ホップと、どんどん変化を繰り返す事でフロアを煽るように盛り上げる。がやはり当方がこの手の音楽に生理的に苦手な事と、フロアの余りの混み具合から避けたく、廊下へと退避しのんびりとBGMとして聞く事に。終盤にはファンクやディスコも飛び出してフロアは大いに賑わっていたので、ヒップ・ホップが好きな人にとっては非常にはまるDJセットだったに違いない。

そしてフロアも満員電車状態で盛り上がった所にMoodymannが登場。饒舌に何かを呟くいつもの始まり方で、漆黒のディープ・ハウスを投下する。汚ならしく不鮮明な音響に潜む美しさ、そして艶やかな官能が爆発した正にMoodymannが作る音楽性そのもので、そこから古典な空気爆発のディスコであるPatrice Rushenの"Never Gonna Give You Up"で、全然不機嫌でない陽気かつソウルフルなパーティーモード。とろける程に甘く官能的で、そこからサンプリングが効いたディスコ・ハウスや紫煙が揺らぐ煙たくファンキーなハウスと、これでもかと骨太なキックが4つ打ちを刻むねっとりしたハウス攻め。古典だけでなく"The Rickest Rick"のように今風のサンプリングを活かしたファンキー・ハウスもブレイするが、やはり特に心を打つのはボーカル入りのハウスで、当方が英語の歌を理解出来なくともMoodymannの魂の叫びのような激情が吐露されている。かつてはゴスペル・ハウスとも呼ばれたプレイのように、歌によってメッセージ性を投げ掛ける音楽性が英語が分からなくとも何となく心へ訴え掛けるのだ。そしてストリングスが優雅に舞う華麗なディスコ・ハウスから、Olivier Verhaegheの"Sometimes"へのセクシーながらも優美なエレピが闇夜に映えるディープ・ハウスへの繋ぎにうっとりしつつ、しかしどんな曲にも煮えたぎる熱いソウルが込められている。基本的には4つ打ちをフラットに持続し、曲もあまり大きくいじる事もなく可もなく不可もなしなミックスで、大胆な展開を作るよりは曲そのものを良さで魅了するプレイは選曲重視。ひたすらずんずんしたキックで流れを止めず踊りやすくはあるが、ミックスの技を楽しむではなくMoodymannの元となった音楽のルーツ等の世界観を楽しむべきだろう。決してハウス一辺倒ではなく、Roisin Murphyの"Overpowered"の色っぽくも微かにアシッドも効いた癖のあるシンセ・ポップも用いるが、まあ彼がミックスの中で用いればMoodymannらしい夜の濃厚なセクシーかつ甘い魅惑と化してしまう。そこからDonna Summerのストリングスが優雅なライブ感溢れるディスコの"Spring Affair"から生っぽさも増してきて、そして一気にテンポを落としてどろとろとしたヒップ・ホップへの転換する流れでようやく展開らしい大きな展開が始まる。ざくざくとした生臭いリズムに流暢なラップも入りリズミカルに体を揺らす音楽で、ハウスやディスコの4つ打ちが続いた流れからこうヒップ・ホップへと振れるからこそ、ブラック・ミュージックを下地にした世界観もぴしっとはまり上手い流れを感じられる。そして闇の底から響いてくるゴリゴリのノイジーなギター、そう彼が以前にもプレイした"Purple Haze"でスモーキーなサイケ感でフロアを多い黒いファンクネスが咆哮する。そこから甘ったるいR&Bも通過し、そして再度ドスドスした重いグルーヴへのディスコ・ハウスへと回帰する時はフロアも大いに賑わい、そして退廃的な香りもするINXSのエレクトロ調ロックな"Need You Tonight"など、こんなのもプレイするんだという意外ながらもしっくりとセットにはまるMoodymannの音楽の引き出しに驚かずにはいられない。そしてどす黒く官能に染まったディープ・ハウスで繋ぎつつ、今度はDe La Soulの陽気なノリで弾けるヒップ・ハウスな"A Roller Skating Jam Named Saturdays"で腰砕きグルーヴが軽快にフロアを揺らしたりと、ハウスやヒップ・ホップにロックやR&B等のブラック・ミュージックが総勢となって濃密なソウルネス&ファンクネスとなる。フロアはずっと満員で躍るというよりはただ体を揺らすぐらいしか出来ない激混み状態で、しかしだからこそ蒸し返す熱気と蒸気でより一層パーティーの熱い賑わいが感じられ、朝の4時頃になっても全くMoodymannの音楽もフロアの興奮も止まらない。最近は滅多に感じる事が無くなってしまったこの総勢で熱くなるパーティー感は、息苦しくもしかし火照った体さえもが気持ち良く、クラブやパーティーが賑わっていた昔の時代が蘇ってくる。一向にフロアが空かない事と取り敢えず2時間弱はプレイを体験して満足だったので始発に合わせてフロアから退去したが、Moodymannのサービス精神旺盛で濃密なブラック・ミュージックの紹介的なDJでありながら、しかしそれに対し知識があろうかなかろうが感情性豊かな音楽を全身で浴び踊って楽しめるもので、流石デトロイト屈指の人気を誇るDJ/アーティストである。

■Moodymann - DJ-Kicks(過去レビュー)
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■Moodymann - Sinner(過去レビュー)
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