2006.02.17 Friday

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今や押しも押されぬシカゴ出身のディープハウサー・Ron Trentの一大絵巻、USG(Urban Sound Gallery)プロジェクト。最初に言ってしまうと、本当に素晴らしい大傑作です。しかしこの作品が出るまでには相当の苦労もあったようです。元々は盟友Chez DamierとRonが一緒に伝説的なレーベル・Prescriptionのサイドプロジェクトとして創立されたUSGですが、二人は途中で仲違いしプロジェクトは挫折。しかしその後一人残ったRonは、シカゴの若き天才・Anthony Nicholsonとパートナーを組み、新たなるレーベル・Clairaudienceを設立しUSGプロジェクトを再起動させる事になりました。そして早すぎた傑作「Ncameu」(アルバム未収録)や「Word Sound Power」、「Coconut Jam」をリリースするもまたもやここでパートナーは仲違いし、プロジェクトは挫折。しかし一人残ったRonは諦めることなく、アフリカンブルースと言うコンセプトを前面に打ち出したトラック制作に打ち込む事になったのです。そうして作り上げられたこのアルバムは結果的にRon、Anthonyのソロ作、そして二人の共作が収録された素晴らしいアルバムとなりました。ハウスを聴いている人ならばそれだけで分かるでしょう、どれだけこのアルバムが凄そうかって事が。Ronのリズミカルなアフリカンパーカッションが躍動し、Anthonyのミニマルなシカゴトラックは疾走感があり、そして二人の深く広大で美しい世界が目の前に広がります。大地の鼓動系のトラックに小洒落た控えめの綺麗なシンセ音が華を添えて、アンビエント的な浮遊感も生み出しうっとりしてしまいます。EP主流のシーンにおいてアルバムと言うフォーマットでこれだけの質の高いトラックを揃えたアルバムは多いとは言えず、ハウスを聴くならばこれは絶対に聴くべきだと断言します。近年のRonやAnthonyの音の傾向は、ここから始まっている様な気がしますね。
2月25日Ron TrentがYellowに来日します。
試聴
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