2012.09.30 Sunday
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前作"Merriweather Post Pavilion"(過去レビュー)が世界的ヒットとなり不動の評価を得たアメリカのロックバンド、Animal Collective。そこから3年、新作では前作に参加していなかったメンバーも復帰しての4人体制となり完全体での制作となったが、結論から言うと前作にあった現実離れした神々しいサイケデリアは失われている。サンプリングやエレクトロニクスを多用してロックバンドとしての演奏を意識させないように人工的な夢風景を描き出した前作から、新作では同じようにエレクトロニクスも使いながらも夢の世界へと誘うリヴァーブの効果は失われ、それ以上にがちゃがちゃとしたノイジーな音をこれでもかと詰め込んだ雑然としたロックバンド的な作品となってしまった。あの極上の甘くて輝かしいまでの白光を放っていたメロディーは影を潜め、メロディーの多幸感が失われた分を補うように無闇に電気的な肉体性を強調した上げたトラックが並んでいるのだが、その溢れるエネルギー自体が何処か空回りしている印象だ。もっともっとエレクトロニクスの艶のある音で涅槃の境地に辿り着く多幸感を体験させて欲しかったが、どうやらAnimal Collectiveはライブを尊重する意味で現実的なロックバンドらしい道に戻ってしまったのだろう。キラートラックも特に無いので聞き所がなく、前作からの落差が大きくて残念無念。
試聴
Check "Animal Collective"