2019/11/17 PRIMITIVE INC. 13th Anniversary MASTERS AT WORK in JAPAN - Our Time Is Comming - @ ageha
誇張でも何でもなく正にハウス・ミュージック界の最強の二人組コンビ、Louie VegaとKenny Dopeから成るMasters At Work。近年は別々にソロ活動が中心なものの、ラテンやアシッド・ジャズをハウスに取り込んだNuyorican Soulやよりクラブ・トラック的なKenlouといったプロジェクト、そして当然Masters At Workとしての功績はハウス・ミュージックという枠を越えてダンス・ミュージックとして大きな影響を残すレジェンドな存在。そんな二人がMAWとして揃う事は近年は稀であるのだが、ここ日本においては2016年以降PRIMITIVE INC.が主体となってMAWを軸に据えたパーティーを開催しており、当初はその余りのゴージャスさに単年開催かと思っていたものの蓋を開けてみれば本年まで4年連続開催とある種の恒例お祭り行事として定着するまでになった。本年度もメインフロアではMAWのみのロングセットを中心に、他のフロアでは近年再燃するジャパニーズ・ハウスから横田信一郎やジャンルをクロス・オーヴァーするKaoru Inoue、DJ NoriとMuroによるアナログセットを披露するCaptain Vinylらバラエティー豊かな人材が揃って、祝祭な一日を作り上げる。
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| EVENT REPORT7 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
New World Science - Osmos (Movements) (Temple:TMPL005)
New World Science - Osmos (Movements)

電子音楽の界隈で見直されるニューエイジやアンビエントの世界、それらが活発化する事で現在の時代に即したモダンなそれらも生まれているが、カナダはモントリオールから初めて耳にするNew World Scienceなるユニットのアルバムは2019年度のニューエイジでも特に目を見張るものがある。ニューカマーなのかと思っていたものの調べてみるとPrioriとしても活動するFrancis Latreilleを筆頭に、TempleのレーベルオーナーでありEx-Terrestrialとして活動するAdam Feingold、サックスフォン奏者のEmあmanuel Thibau、ニューエイジやレフトフィールド路線で活躍するRamzi、そしてTempleから作品をリリースしているRichard Wengerの5人組プロジェクトである事が分かった。電子音楽やニューエイジの方面で経験を持つぞれぞれのアーティストの技術を反映させ、ヴィンテージなシンセにフルートやサックスにギター、コンガやパーカッションも用い、電子とアコースティックの調和、即興的でありながら構築的な作風によって深い瞑想世界へ誘うモダンなニューエイジを展開する。"Movement 1"は15分にも及ぶ大作でどんよりとしながらアンビエンスを発するドローンから始まり広がるシンセのリフレインに合わせ、抽象的でスピリチュアルなサックスが現実世界でなく異空間へと誘うディープ・メディテーションな一曲。ゆっくりとした速度感でドロドロと変容しながら15分にも渡って、深い精神世界の旅が始まる。"Movement 2"ではドラムマシンやギターも用いられたダンス寄りの作風だが、朗らかなシンセのメロディーに奇妙な効果音を重ねながら土着的なパーカッションや生々しいリズムが民族間溢れるニューエイジ性を発し、原始的な祭事の踊りのようだ。そしてシンセのアルペジオが牧歌的でバレアリックな雰囲気もある"Movement 3"は、複数のシンセの層が淡い絵の具の色をぼかしていくような透明感溢れる美しさがあり、その中で叙情的なサックスフォンが引っ張っていく。"Movement 4"は5人のメンバー総員で制作した曲で、コンガ等の土着的なリズムの中に生暖かいフルートやサックスフォンが混沌と溶け合いながら生命の胎動の如く自由さがあり、ジャズやアンビエントに現代音楽等の要素が融解して一つになったようなインプロビゼーション性溢れる本EP屈指のニューエイジだ。内向的/外向的、ダンス/リスニングと振れ幅を持ちながらどれにもニューエイジによく引用される辺境性とスピリチュアル性が備わっており、例えばSuso Saiz辺りの音楽性が好きな人にとってはこのNew World Scienceもピンとくるだろう。



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| ETC4 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Russ Gabriel - The Controller (FireScope:FS017)
Russ Gabriel - The Controller
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かつてWarp Recordsが90年代前半に提唱した「Artificial Intelligence」というベッドルームのアンビエントとSF的世界観を持ったテクノがあり、そのシリーズにも参戦しつつ自らはB12やRedcellといった複数の名義で秘密めいた活動を行っていたが、ある時を堺に姿を消し存在自体も忘れられつつあった。がそのB12の二人の内の一人、Steve Rutterは2016年頃に突如としてB12 Records傘下にFireScope Recordsを立ち上げ、Rutter一人でのB12名義、またはSteve Rutterソロとしても作品をリリースし今再度あの時のインテリジェンスなテクノを創造している。それだけでなくFireScopeというレーベル自体がJohn ShimaやDerek Carrといったデトロイト・フォロワー的な存在の作品もリリースしており、そんな活動を見ればレーベルがデトロイト・テクノと共鳴しているのは明白だ。となれば本作を手掛けた(やはりデトロイト・テクノから影響を受けている)Russ Gabrielが同レーベルからリリースされるのも至極納得であり、AIシリーズの延長線上にあるシリアスなテクノを披露している。微かに聞こえるミステリアスなパッドとコズミックなシンセのラインで始まる"Controller"、キックレスな構成も相まってアンビエント感覚もありつつ宇宙を浮遊する無重力感が心地好く、叙情的なシンセが壮大な風景を描き出す。"Drimmits"ではカチッとしたリズムも入り揺らめくようなベースラインとテッキーな上モノがロマンティックに響き、古典的なテック・ハウスに属すような如何にもデトロイト・フォロワー的な作風で、目新しは一切ないもののだからこそ逆に安心して聞ける印象だ。"The Way To Go"はシンセの使い方がファンキーでややFabrice Ligを思い起こさせ、すっきり切れのあるリズム感も相まって軽やかに跳ねるUKからデトロイトへの回答的な作風。そして安っぽいリズムマシンの響きがローファイなシカゴ・ハウスを匂わせる"Nova Deep"、ほぼ骨組みだけの構成にぼんやりとしたパッドやコズミックなシンセを重ねて内なる精神世界への旅へ誘うイマジネーションを膨らませる。現在のダンス・ミュージックの流れに乗る事もなく、またクラブで派手に映えるような作風でもなく、我が道を行くインテリジェンスでディープなテクノはいぶし銀的な味わいだ。



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| TECHNO14 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Planetary Assault Systems - Straight Shooting (Mote-Evolver:MOTE055)
Planetary Assault Systems - Straight Shooting
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L.B. Dub CorpやThe 7th Plainといった変名でも活動するUKテクノの重鎮であるLuke Slater、しかしその音楽性が最も輝くのは過去から今に至るまでPlanetary Assault Systems名義であると筆者は感じており、ここで聞けるハードで機能的なフロア志向のテクノは、長い時を経て過去の洗練される前の荒々しさに現在の磨かれた機能性が融和し完成形を迎えているように思われる。そう言えばジャケットの過去のアルバムを思い起こさせるデザインでもあったりするが、実際に冒頭のざらついたノイズが吹き荒れる中に低音の冷えたキックが続く"Beam Riders"では上辺には電子音のループが覚醒的に持続し、単調に聞こえつつ上手くパンで音を散らしたりして微細な変化を付けるスタイルは、まるで往年のJeff Millsのスタイルを思わせる。決してハードな重厚感だけではなく、"Born Anchors"では弾性のあるリズムと膨らんだ電子音のシーケンスで疾走感を打ち出し、切れのあるパーカッションも抜き差ししながらミニマルでファンキーな機能性に特化したテクノとなっており、パーティーのある瞬間の爆弾的な作用としてではなく長い一夜の一部となるような曲もある。ざらついたハイハットの生々しさと硬く引き締まったキックが重圧を生む"Humans Use Concrete"はシーケンスが催眠性を帯びながらも暴力的なハードミニマルといった印象で、これが昔のアルバムに入っていたとしても全く違和感が無いように良くも悪くも昔からP.A.Sは変わらないなと思う点も。特に印象的な曲はボーカル・サンプルを用いてファンキーさを打ち出した"Give It Up"で、跳ねるパーカッシヴなリズム感に電子音が左右にパンしながらホットなシーケンスとなり、途中からは金属が擦れるようなノイズが混じってきて神経に深く刺さるような刺激的的な展開が待ち受けている。尚、配信のみで20年前の曲を編集した"Screen 2018 Re-edit"が収録されているが、鈍いキックと暗い展開のホラー的なハードテクノだった原曲が、ここではキックはかっちり硬くなり全体が引き締められながらエネルギーが溢れ出すような骨太ハードテクノへと生まれ変わり、こうして聴き比べてみるとハードテクノも時代と共に洗練や機能性に磨きを掛けて進化しているのだ。



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| TECHNO14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Satoshi Ashikawa - Still Way (Wave Notation 2) (We Release Whatever The Fuck We Want Records:WRWTFWW030CD)
Satoshi Ashikawa - Still Way - Wave Notation 2
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世界的に再発見が進むジャパニーズ・アンビエント、日本のレーベルでなく海外からその波はここ日本にも伝搬し、時代に埋もれた音楽が今再度脚光を浴びている。本作は1983年に30歳にして亡くなってしまった芦川聡による唯一のアルバムのリイシューで、吉村弘による『Music For Nine Post Cards』(過去レビュー)に続く「波の記譜法(=Wave Notation)」シリーズの第二作目となる。Brian Enoが提唱したアンビエント・ミュージックのコンセプトを継承しながらも、より引き算の美学が研ぎ澄まされミニマリズムとコンテンポラリー・ミュージックやモダン・クラシカルといった言葉で説明されるべきその音楽性は、特にメッセージ性や意味を込める事もなくただただ日常の中に同化したような環境音楽だと言えよう。エレクトロニクスにピアノやハープ、ヴィブラフォンやフルートを用いてはいるが過剰な装飾は一切なく、アルバム冒頭の"Prelude"こそ2分に満たない短い曲で、ハープの純朴な美しさのフレーズや淡々としたピアノの単音なミニマルな構成など、この時点から既にアルバムの静寂を際立てる環境音楽は出来上がっている。続く"Landscape Of Wheels"にしても12分と長尺ながらも間を生むハープの単純なフレーズが続くが、それ故にメッセージ性は込められずに隙間から想像力を膨らませるような面もあり、そしてまたハープの響きは事のようにも聞こえ和の雅楽的な響きが侘び寂びを漂わせる。ピアノ/ハープ/ヴィブラフォンが揃った"Still Park - Ensemble"だともう少し華やかさがないわけでもないが、ゆったりと花弁が開いていくような時間の経過が遅く感じられる感覚は、忙しない日常生活に一時の安らぎを与える如く空間の雑音を落ち着かせる。そこから引き算がなされピアノソロとなった"Still Park - Piano Solo"の静謐な美しさながらも無機質かつ無感情なただの音の連なり、やはりメッセージ性を排したからこそ日常空間に融和する性質がある。本作は確かにアンビエント・ミュージックとして説明される音楽ではあるが、当ブログの読者に誤解を与えないようにいうとクラブ・ミュージックの俗物的なアンビエント・ミュージックとは真逆の、単純で素朴を極めたコンテンポラリー・ミュージックと伝えれば分かり易いかもしれない。またはECMが提唱する"静寂の次に最も美しい音"というコンセプトにも共鳴する音楽で、静的な音響が逆に存在感を放っている。



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| ETC4 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |