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Flod Aka Flavio Lodetti - Want Eat Arancina (Frabon Recordings:FRABON RECORDINGS 010)
Flod - Want Eat Arancina

イタリアのFrabon RecordingsからリリースされたFlodことFlavio Lodettiの新作は、このアーティストの事を全く知らなくともしかし参加しているリミキサー陣を見れば、多少なりとも興味が湧くであろう。ドイツからはモダンハウスで人気を博すSis、日本からDJのみならずアーティストしても知名度を上げているIori Wakasa、そしてUKからは若手のTommy Vercettiと人気や将来性の面から期待出来る人選だ。さて、FlodについてはFrabonを運営していたものの自身の新作としては2010年以来となる久しぶりのリリースだが、"Original Mix"はトライバルなパーカッションを用いたリズムにボーカル・サンプルを乗せながらも、メロディー等の展開を繰り広げる事はなく徹底的にグルーヴ重視で引っ張っていくテック・ハウスで、逆にそのスカスカな構成の中で効果的に入るボーカルがファンキーさを生んでいる。一方で"SIS Rmx"は幻惑的なリフを導入しながら夜の艷やかさがある特徴的なメロディーを用い、すっきりしたグルーヴを保ちながらも官能的なモダン・ハウスへと生まれ変わらせている。そして"Iori Wakasa Rmx"も非常に彼の個性が打ち出されたディープなテック・ハウスで、リズムは繊細に落ち着かせた上で奥深い音響の電子音を配しながらくっきりとしたボーカル・サンプルを浮かび上がらせる事で、ふらふらとした酩酊感に包む心地良いリミックスになっている。そして"Tommy Vercetti Rmx"はリズムをシャッフル調に跳ねさせ、ボーカルもぶつ切りサンプリングにした事で、より弾けるようなファンキーなハウスへと仕上がっている。基本的にはどの曲もフロア対応を前提とした機能性が重視されているが、それぞれに異なる個性があり使い方も色々あるだろう。



Check Flavio Lodetti
| TECHNO13 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Theo Parrish - Preacher's Comin (Sound Signature:SS071)
Theo Parrish - Preachers Comin

Theo Parrish率いるSound Signatureから2018年最初のリリースは、Parrish自身による新作だ。ここ2〜3年はレーベルに新風を吹き込むように積極的に外部の、特にデトロイトという地域性をも越えたアーティストを招いて音楽性の拡張を行っていたが、何だかんだ言ってもやはりParrish自身の作品が期待されてしまう。ハウスからジャズ、ファンクやソウルなどどんな音楽でも彼の手にかかれば、それは音の彫刻として削り出されてParrishの個性に染まってしまうが、それが本作ではジャケットからも分かる通り「手拍子」をコンセプトにして実践されている。A面に収録された"Preacher's Comin (In Memory Of Jerome Parrish)"は相変わらず粗悪な録音風な荒々しい音質を強調しつつ、軽快なハンドクラップに合わせてジャズ風なピアノのコードやガヤガヤとした環境音やボイスサンプルを散りばめた騒がしい雑踏の音楽といった趣きで、ハウス・ミュージックと言うよりは何か忙しない生活の中から生まれたファンクネス溢れるダンス・ミュージックに感じられる。だがより強烈な個性が際立っているのはB面の方で、こちらにはJovia Armstrong, Keith Beber, Carolyn Ferrari, Craig Huckaby, Theo Parrishの5人によるハンドクラップと入れ替わり登場するスピーチのみでリズムを走らせる"Gullah Geechee (Original)"が元になり、更にそれをParrishがプロデュースした"Gullah Geechee"でParrishらしいドープなブラック・ミュージックへと深化する。蠢く地響きのような分厚いベースが加わり、錆び付いたハイハットが鋭利なリズムを刻み、途端にドロドロとした黒いビートダウン・ハウスへと様変わりし混沌としたファンクネスが湧き出てくるのだ。家の中で聞いているだけでもParrishが真っ暗闇のフロアでこれをプレイしている姿が目に浮かぶような、つまりは彼らしい削り出されたような粗くも激情が渦巻くダンス・ミュージックなのである。



Check Theo Parrish
| HOUSE13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Deetron - DJ-Kicks (!K7 Records:K7359CD)
Deetron - DJ-Kicks
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3台のターンテーブルを駆使してヒップ・ホップ上りのミックステクでハード・テクノなDJをしていたのも今や昔、制作するトラックもいつしかメロウでソウルフルな感情性豊かな作品へと移行し、上手く時代の波に乗って進化を遂げてきたDeetron。マイペースで作品をリリースしアーティストとしての確かな評価を獲得しつつ、『Fuse』や『Balance』に『Fabric』等の名物MIXCDシリーズにも抜擢されてきたDJとしての手腕もあり、かつてのハードテクノ勢の中では面白い変化を見せながら独自の音楽性を確立しているが、遂にこの『DJ-Kicks』にも参戦とはやはり海外での評価は日本よりも確かなようだ。本作でも分かる通りテクノ〜ハウスの境目を融かすように混在させる選曲の審美眼、ダンスとリスニングの親和性、デトロイト・テクノやシカゴ・ハウスのクラシックからモダンな時代の曲までと、どれにも偏らずに一つの流れへと組み込んでいくバランス感は比類なきモノで、80分34曲に渡るシームレスなミックスは優雅でさえある。オープニングからしてCarl Craigのガラス細工のような繊細な美しさを発する"Goodbye World"で始まり滑らかにビート入りの曲がミックスされ、古き時代の変異体ディスコの"School Bell / Treehouse"でアクセントも盛り込みつつ、シカゴ・ハウス名作の"Waterfall (Deetron's DJ-Kicks Version)"で垢抜けないながらも原始的なソウルの感情性を高めていく。そこからもジャズ・ファンク色なBurnt Friedmannからインテリジェンス・テクノな趣きのSpacetime Continuum、変異体テクノのMorgan Geistなどジャンルはばらばらなれどエモーショナルな共通項で雰囲気を作っていく。中盤ではDJ Kozeの甘美なサイケデリアの"Let's Love"からRon Trent & Chez Damierの幻想的でディープな朝方をイメージする"Morning Factory"へと繋がる瞬間が得も言われぬ程に素晴らしく、そこからはややテクノ寄りにグルーヴ強めの流れへと入り、リズムの崩れたダブ・ステップや逆にソウルフルなボーカル曲も用いて後半に向けて盛り上がる。そんな中にも古き良き時代のAIテクノのBlack Dog Productionsによる"Flux"を聞くと懐かしさが込み上げたりもするが、DeetronやDJ Boneによる骨太で激しいテクノもミックスしながら突入するFloorplanからTerraceにDerrick Mayのデトロイト系繋ぎの流れは非常にドラマティックで、非常に押し引きが上手い。そして混沌としたベース・ミュージック風な"Old Fashioned"から一気にテンションが落ちて、レフトフィールドなポップソングの"Strange Emotion"で今までの喧騒から解放される静謐な閉じ方は心残り無く綺麗に音が消えていく。いまいち日本に於いてはその実力に対しての正当な評価を獲得しているようには感じられないが、本作はそんな評価を覆すには最適なMIXCDで、Deetronのエモーショナルな音楽性を十分に堪能出来る事だろう。



Check Deetron

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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Fabrice Lig - Purple Raw Vol. 3 (Systematic:SYST0117-6)
Fabrice Lig - Purple Raw Vol. 3
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ベルギー屈指のデトロイト・テクノのソウルを受け継ぐFabrice Lig、数年前には遂に本家Planet-Eからも作品をリリースする等、そのマシンソウルを伴う才能はデトロイトからも正当に評価されている。勿論単にデトロイト・テクノの模倣ではなく、彼の音楽を聞けば分かる個性を持ったユニークな存在で、ヨーロッパ的な洗練されたテクノの要素を込めてデトロイトを再解釈したような音楽性が特徴だ。本作はVo.3というタイトルから分かる通り2008年に始まった『Purple Raw』シリーズの3作目となるが、余りシリーズ毎の脈絡というものはに受けられないので気にする必要はないだろう。本作で特筆すべきはテクノでは大人気アーティストになったJoris Voornが元々はVol.2に収録されていた曲をリミックスしている事で、"Gravitational Voyage (Joris Voorn Edit)"ではエディットの体の為大きくはいじられていないが、やや過剰さもあった原曲を丁寧に研磨してよりシャープなテクノへと生まれ変わらせている。元々かなりデトロイト・テクノ色が強くメロディーも大胆な動きを見せてエモーショナルではあったものの、ここでは機能性が重視されてひんやりとしたテクノの質感が打ち出されている。"Returnelle"の方がFabriceらしい個性がより強く感じられるだろうか、錆びたアシッド感もあるコズミックなアルペジオが大胆に躍動しながら金属がひしゃげるようなエフェクトも加えて、ロウで粗い攻撃性が肉体に突き刺さるような激しいテクノは真夜中のダンスフロアでも個性的に鳴るだろう。同様に"Dark Commodore"もアシッドというかブリープ音というか独特なシンセを効果音的に用い、背景からは薄っすらと情緒的なパッドが現れてきて徐々に恍惚の高みへと上り詰めていくような展開のある大仰なテクノだが、黒人のファンクネスとはまた別のファンキーな要素を感じ取る事も出来るだろう。Jorisの正に"デトロイト"なエディットも良いが、Fabriceらしい個性という物は残りの2曲に端的に現れている。



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| TECHNO13 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Masanori Nozawa - III (Medium Music:MECD-02)
Masanori Nozawa - III
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「宇都宮から生まれ出た眩い輝きを放つ星、Masanori Nozawaの初のアルバムはテクノが感情的である事を証明する。」

宇都宮を拠点として活動するMasanori Nozawaは元々は配信で攻撃的なテクノ中心にリリースを行っていたアーティストだが、2014年にMedium Musicを立ち上げて以降の音楽性ではよりエモーショナルな方向へと進み、深く胸に突き刺さるような感情性はテクノソウルと呼ぶべきものになった。そして2017年末、遂に初のアルバムである本作のリリースへと至ったのだが、何とその内容はオリジナル音源とそれを実力派アーティストがリミックスした2枚組となっており、初のアルバムにしては果敢な挑戦にも思われる。今回幸いにも野澤氏から声を掛けられてアルバムのライナーノーツを書かせて頂いたが、そちらはオリジナル音源について言及しているので是非とも作品を購入された方は読んで頂ければと思う。ここではリミックス音源について紹介させて頂くが、参加しているアーティストからしてXTALやHiroshi Watanabeと言った名を馳せている人、アンビエントに造詣の深いInner ScienceやMatsusaka Daisuke、元Mexicoとして活躍したjunyamabe、そしてKEITA YANOやHironori TakahashiにYuuki Horiらまで邦人のみにもかかわらず実に期待せずにはいられない面子だ。それぞれのリミックスには当然アーティストの個性が反映されているのだが、特に面白いのは"Felt The Sphere(junyamabe Remix)"で、ノンビートで壮大なアンビエンスを発していた原曲から一転してアンビエントの側面は残しつつも抽象的な音像で覆い尽くした作風は厳寒の雪が吹き荒れる真っ白な世界のようで、アブストラクトな音響によって深みへと誘われる。同様に金属がひしゃげるような奇怪な音を付け加えて実験的な面もある"Unknown Ruins(KEITA YANO Remix)"も面白いが、一方で雰囲気を変化させずに図太いリズム感で強固さを増した"Chrono (Hironori Takahashi Remix)"はテクノらしい硬い力強さの安定感がある。元々はアルバム中でも最も色彩豊かでエモーショナルな曲だったものの、"Iridescence (Yuuki Hori Remix)"はぐっと感情を内面に押し込めたようにソウルを燻らせる引き算の美学的な作風で、これもリミックスの妙技が感じられる。"The Orb of Day feat. shiba @ FreedomSunset (XTAL Remix)"は原曲のイメージを損なわずにXtalらしいニューディスコ風でアーティスト性が感じられ、そして濃霧に包まれるような音響の中にエレクトロニカらしいリズム感を得た"Beatific Planet(Matsusaka Daisuke Remix)"はアンビエントに対しての深い愛が伝わってくる。リミックスの中で最も情熱的だったのは当然と言うべきか、Kaitoによる"Mercury Breath(Hiroshi Watanabe aka Kaito Remix)"で、壮大なシンセストリングスと力強いビート感を伴って完全に彼の熱き感情が込み上げる世界観へと上塗りされており、輝かしくも激情が展開するテクノだ。最後はこれまたアンビエントでは独特の個性のある"Return to The Galaxy(Inner Science Remix)"で、豊かで色とりどりの音の粒が湧いてくる心地良いアンビエント・トラックは実に可愛らしい。それぞれのリミックスにそれぞれのアーティストの個性が確かに反映されており、リミックスとしての面白みは十分な事は間違いく、初のアルバムながらもリミックスも盛り込んだ事は野澤氏の本作に対する意気込みの強さが伝わってくるだろう。オリジナル音源、リミックス共にこれぞテクノソウルと呼びたい感情性豊かな音楽で、何度でもリピートして聞いている自分がいる。



Check Masanori Nozawa
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| TECHNO13 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |