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Chymera - Death By Misadventure (Connaisseur Recordings:CNS12-2)
Chymera - Death By Misadventure
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フロアで機能する事を重視するダンスミュージックではEPに於いては特にそれが顕著であるが、時としてアーティストは今までは表面化させていなかった内部に潜める深い音楽性を世に知らしめようと、EPとは異なるスタイルを以ってしてアルバムを制作する事は珍しくない。そしてその目論見が失敗する事も少なくはない…が、Chymeraはそれを見事にやってのけた。DelsinやOvumにFigure、NRKなど様々なレーベルからFunk D’Voidにも勝るとも劣らない流麗なプログレッシヴ・ハウス/テックハウスをリリースしてきた彼にとって、恐らく今まで通りのフロアで生きるダンスミュージックをアルバムとして提供する事は難なく出来たであろう。が、このアルバムは多くが牧歌的なメロディーを活かした落ち着きのあるダウンテンポな曲が占めており、つまりは完全にホームリスニングとして作られている。確かに昂揚感のあるダンストラックは無いものの、EPに於ける壮大な展開で盛り上げるエネルギーを圧縮しながら繊細に編み上げた曲は、プログレッシヴなギラついた音もありながら旋律の美しさがより一層際立つ事に成功している。まるでシネマティックに一連のシーンがゆっくりと切り替わるように叙情に満ちた風景が浮かび上がり、じっくりとその風景の中に意識を誘い込んでいく。初めて聴いた時は余りの変化に驚きは隠せなかったのは事実だが、その驚きは良い方向へと進む結果となった。

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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
The Field - Looping State Of Mind Remixe (Kompakt:Kompakt 263)
The Field - Looping State Of Mind Remixe
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丁度一年前だったと思うがカナダのエレポップデュオであるJunior Boysの曲を、Axel WillnerことThe Fieldがリミックスしていた。その恩返しと言う訳でもないだろうが今度はThe Fieldの曲をJunior Boysがリミックスし返している。その時の結果からして互いのポップな感覚は見事な程に融け合っていたのだが、本作でも期待を裏切らずにJunior Boysがなかなか良い仕事をしている。原曲は眩いばかりの白色光に包まれるシューゲイザーでポップな曲であったが、"Looping State Of Mind (Junior Boys Mix)"はポップな面は残しつつくっきりとしたリズムを浮かび上がらせ、そして可愛らしいドリーミーなエレクトロへと仕立て上がっている。コテコテなレトロ・フューチャー系のシンセ音が楽しく踊るトラックには、Junior Boysの底抜けな明るさとThe Fieldの多幸感が共存し、相乗効果を適切に生み出していると言えるだろう。裏面には更にBlondesとMohnによるリミックスの2曲を収録。Blondesは初めて耳にするアーティストだが、NYのインディーダンス・ユニットだそうだ。"It's Up There (Blondes Mix)"は霞がかった不明瞭なベールを広げつつも、その中にミニマル的なシンセのリフや薄く伸びて行くストリングスを配して、ノスタルジックな世界感を演出した淡いテックハウスだ。そしてMohnによる"Then It's White (Mohn Mix)"は実はKompaktの中心的存在であるWolfgang Voigt & Jorg Burgerが手掛けたリミックスであり、一筋縄では行かない深い音響世界に入り込んだビートレスなアンビエントとなっている。層になって被さるディレイが施され引いては寄せる波の如く残響音が充満し、原曲を遥かに超える荘厳な美しさを演出している。3曲ともタイプの異なるリミックスではあるが、どれも満足度の高い仕上がりになっており素晴らしい。

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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Drexciya - Journey Of The Deep Sea Dweller II (Clone Classic Cuts:C#CC023CD)
Drexciya - Journey Of The Deep Sea Dweller II
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ご存知デトロイトに於ける最大のミステリーであり、最恐エレクトロ集団であったDrexciyaの復刻シリーズ第2弾。元々正体不明のユニットとしてアンダーグラウンドな存在であり続けていた為、初期の作品は入手が困難となっておりその状況での復刻を行うオランダはClone Recordsには頭が下がる思いだ。シリーズ物の為てっきり年代順に収録されるかと思って蓋を開けてみると年代は第1弾とも被っているが、Warp RecordsやUnderground Resistanceからだけでなくデトロイトの実店舗でしか購入出来なかったSomewhere In Detroitからの作品、そして未発表曲も収録されておりDrexciyaの最後の復刻とアナウンスされたシリーズとしては十分過ぎる内容となっている。第1弾が完全武装で身を固め鋭利な牙を剥く凶暴なエレクトロ作品集であったのに対し、この第2弾ではなんとなくではあるが刺々しさは抑えてKraftwerkやModel 500に更に寄り添ったファンキーなエレクトロを鳴らしているように思われる。とは言ってもRoland TR-808/909による無機質で乾いたビートに肉体感を伴うファンキーなベースライン、そして痺れる電子のエレクトロサウンドにより彼等は深海(アンダーグラウンド)から地上(オーバーグラウンド)への徹底抗戦を行い、夢や非現実に逃れる事はせずに現実と戦い続ける深海の戦士であり続けた。暗くある種のネガティブなイメージさえ付き纏うDrexciyaの思想と音は決して親近感がある物とは言えないしDJユースに最適とも言えないが、しかしそれは彼等の反骨精神の現れであり商業主義に陥りがちな業界と更には無意識的にそれを選択する聴衆への警告でもあったのだろう。残念ながらメンバーの死によりDrexciya自体は消滅してしまったが、その不屈の精神と作品は今もここに尚息衝いている。

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| TECHNO9 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Conrad Schnitzler - Zug Reshaped and Remodeled By Ricardo Villalobos & Max Loderbauer (M=Minimal:MM012CD)
Conrad Schnitzler - Zug Reshaped and Remodeled By Ricardo Villalobos & Max Loderbauer
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現代音楽/ジャズを手がける名門レーベル・ECMをリコンストラクトさせた"Re:ECM"(過去レビュー)での仕事で気を良くしたのか、Ricardo Villalobos & Max Loderbauerが再度手を組んで手掛けるのは、ジャーマン・プログレの電子音楽偏執狂であるConrad Schnitzler。残念ながらConradは昨年他界しているのである意味では本作は追悼盤にも成りうるのですが、音と自由に弄れ自在に操る実験的電子音楽のパイオニアであったConradの作品を、音響への偏執的な拘りを持つ二人がリコンストラクトした事は偶然ではなかったのかもしれないでしょう。二人による作品は2曲、"Aktion-Mix"と"Sorgenkind-Mix"。原曲を未聴なのでどのような革新があったのかは言及出来ないのですが、現在のクラブトラックとしても機能する乾いた情感を保ったミニマルの前者に、ヌチャヌチャとした泥沼の様な湿った音響が不気味さにVillalobos色が特に感じられる後者と、異なる作風で生まれ変わらせつつもConradの無感情な音響世界を残してオリジネーターに敬意を払っている気持ちは伝わってきます。更に本CDには2010年にアナログでリリースされていたベルリン・ミニマル・ダブのPoleとBorngraber & Struverのリミックスも収録しています。Poleによるリミックスは彼にしてはハイハットなどのリズムの手数が多いものの、下地となるベースラインやキックにはダブの要素が含まれており、粘着性と疾走感がおかしなバランスで混ざっています。そしてBorngraber & Struverによるリミックスは一番まっとうとも言える規則的な4つ打ちを組んだトラックになっているが、何処か宗教的な重苦しさを感じさせるどんよりとした空気の中にもトランス的な覚醒感があったりと、元々はジャーマン・トランスだった人の名残があります。ただ今話題のアーティストが揃った割りには少々地味なアルバムで、期待値には及ばずと言うのが正直な気持ちでした。

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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Conrad Schnitzler - Rot (Bureau B:BB 102)
Conrad Schnitzler - Rot
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Tangerine Dream結成時のメンバーでありClusterの前身であるKlusterも立ち上げた輝かしい経歴があるConrad Schnitzler。つまりは初期ジャーマン・プログレに於ける実験的な電子音楽のパイオニア的存在とも言える方なのですが、当時のジャーマン・プログレの不当なる評価によって諸々の作品はやはりレア化している状態でした。この度彼の作品の中でも特に人気となっているであろうカラーシリーズが復刻されたのですが、本作はその中の一枚である「赤」。初出は1973年、恐らくまだまだ使い勝手の良い電子楽器など無かった時代であろうが、本作では既に電子楽器の自由な可能性を十分に感じさせる未来的な音を鳴らしています。収録曲は3曲だけながらも全てが20分前後の大作で、摩訶不思議な発信音を嫌と言う程味わう事が出来るでしょう。"Meditation"は持続する発信音の上に金属がひん曲がるような電子音がピ〜ンやウニョ〜ンと被さっていき、いつの間にか無重力空間へと誘われる不思議な電子音響世界が広がっています。そこに何か確信的な意思は全く感じられず機械による無機質かつランダムな音がただ鳴っているだけにも思われ、何もイメージさせない抽象的なサウンドスケープが眼前にあるのみ。"Krautrock"は幾分かリズム感のある電子音が繰り返しながら構成を形作ってはいるものの、明快な音程の展開は無く何処か不気味な気持ちさえ煽りもします。途中からはエレキギターも入ってきて呪術的なジャーマン・ロック化も見せつつも、後半からは電子音のシーケンスも安定化しミニマル的な展開もあったかと思いきや、終盤ではやっぱり電子音が自由に踊り乱れて混沌へと向かいます。ボーナストラックの"Red Dream"が意外にもアンビエント的な心地良さのある電子音響で、動きの激しい前出の2曲に対してこちらは鎮静さを強調しています。上モノの電子音は浮遊感がありながら全体として重力に縛り付けられる重厚感があり、単なるアンビエントに向かわないのはジャーマン・プログレの性ですね。これがテクノと言うには余りにも原始的ではありますが、しかし確実にテクノに繋がっていく自由な創造性は感じられ何とも不思議な感覚を覚えました。

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| TECHNO9 | 15:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Delta Funktionen - Traces (Delsin Records:93dsr/dtf-cd1)
Delta Funktionen - Traces
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オランダはDelsin、そして傘下のAnn AimeeからBerghainよろしくな硬派で無慈悲なテクノを量産しているDelta Funktionen、近年はFuture Terrorにも招待されるなど日本でも評価を高めつつある中で、ようやくDelsinから初のアルバムをリリースするに至った。リリースしてきたEPは躍動感のある図太いハードなテクノで若さを感じさせる物が多かったが、このアルバムでは"電子音楽における長年の探求の結果"と自ら称す通りで、よりオールド・スクールに寄り添ったテクノ/エレクトロなサウンドを披露している。Delsinと言えばデトロイト物も得意とするレーベルではあるが、特にこのアルバムではデトロイトの最強エレクトロ・ユニットであるDrexciyaの影響さえも匂わせる凍てついた質感を伴っており、今までのある意味現代的でもあった彼のテクノサウンドは一転して古い味を感じさせる物に変わっている。以前のように疾走感のあるハードなテクノだけではなくなり、不吉なボーカルサンプルの導入やデケデケと地を這うベースラインに無機質なエレクトロビートなどの古き良き時代の音を聞かせながら、楽観的な空気が全く無い刺々しく生々しい音で統一されている。アルバムと言うフォーマットを意識してかDJツール的になりがちなフロアトラックだけではなく、程々にはビートやメロディーにも意識を配りながら幅を持たせつつ、しかし通底する狂気が牙を剥くエレクトロは単なる物真似ではない真のダーク・エレクトロだ。



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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Sterac Aka Steve Rachmad - Secret Life Of Machines (Remastered & Remixed) (100% Pure:PUREDV011)
Sterac Aka Steve Rachmad - Secret Life Of Machines (Remastered & Remixed)
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オランダと言えば欧州においても屈指のデトロイト狂が集まる国でもあり、古くはEevo Lute Muziqueから近年のDelsinやRush Hourまで過去のデトロイトを未来へと繋いでいく存在感を示している。そして100% Pureも1992年からかつてはデトロイトの影響下にありながら現在進行形のレーベルである。そのレーベルから95年にリリースされたのがSteve Rachmadの初のアルバムである本作であり、永らく廃盤となっていたもののリミックス等を含む形で目出度くリイシューされた。Rachmadと言えばテクノファンにはご存知の通りデトロイト信者の一人でもあるが、このアルバムを聴けば分かる通りでオリジナルのデトロイト・テクノに見受けられる過剰な情熱やラフな質感は精錬され、透明感のあるピュアな音質を生かしたクールなテクノを披露している。もっと言ってしまうとこれは90年代前半に流行っていたAI(Artificial Intelligence)テクノをフロア向けにアップデートしたように理性的に作られており、憂いのあるメロディーや自然なコード展開を尊重していて随分と耳に馴染み易い。また時代が時代だけにオールド・スクールなアナログ機材を多様した影響は音にそのまま表れており、幾分か簡素で乾いたあっさりした質感の音は懐かしくもあり、完璧に音が精錬された近年テクノとは異なる素朴な印象も受ける。凝ったギミックや派手な展開も無ければモダンなミニマルの覚醒感も無いけれど、テクノにかける純真な情熱が伝わってくるエモーショナルな作風は質実剛健と褒め称えるべきであろう。

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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Slam - Azure Remixes (Carl Craig & KiNK) (Soma Quality Recordings:Soma 333)
Slam - Azure Remixes (Carl Craig & KiNK)

UKはスコットランドを代表する老舗テクノレーベルであるSoma。1991年にSlamによって設立され初期はデトロイト・テクノに影響をうけつつ、その後はエレクトロやミニマルも消化吸収し時代を超えてフロアと蜜月の関係を持っている素晴らしいレーベルの一つだ。昨年でレーベル発足から20年を迎えた記念としてレーベルを主宰するSlamのリミックスEPシリーズがリリースされているが、本作はそのシリーズの一枚で大ヒットした"Azure"をCarl CraigとKiNKがリミックスした物。SlamはUKにしては珍しく図太いリズムトラックで硬派な音を鳴らしていたが、それと共にデトロイト・テクノにも影響を受けたであろうメロディアスな作風を得意としていた。"Azure"は正にそれを体現した曲でもあるが、そんな曲をデトロイトを体現するC2がリミックスしたとなれば結果は明白だ。原曲のメロディアスなフレーズはそのまま利用し更に泣きのシンセを付け加えノンビートのまま引っ張り続ける序盤、そして堰を切ったようにリズムが入ってからは一気に加速し宇宙へと飛翔する昂揚感が続く。無駄を省いたスリムな構成で、しかし硬く太く芯のあるキックがしっかりと打ちつける骨太なリズムトラックと共に、覚醒感を煽るように繰り返されるシンセのリフは美しくも儚い世界を描き、最後には全てを出し切り物静かに終わりを迎える激動の1曲だ。対してブルガリアから名乗りを上げたKiNKのリミックスは、原曲のメロディーは解体し微妙にアシッド気味なシンセと重いベースラインが主張するダークなエレクトロへと再構築させた。快楽的と言うよりは毒々しく禍々しい凶悪な音が滲み出ていて、リミックスと言う言葉が相応しい内容だ。両者全く異なるリミックスとなっているが、やはりここはC2に軍配が上がっている。

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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
IORI - Nexus (Bitta:BITTA10001)
Iori - Nexus
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千葉から全国へと拡散を続けるアンダーグラウンドなパーティー・Future Terror、それを主宰するDJ Nobuが長いDJ経験を経た上で遂に自身で新レーベル・Bittaを立ち上げた。そしてレーベル第一弾リリースとして沖縄で活動を続けるIori AsanoことIORIのアルバムが選ばれた訳だが、なんと驚くべき事にこのアーティストが本格的に音楽制作を始めたのは2008年頃とまだそれ程古くはないのだ。しかし知っている方も多いだろうがPhonica WhiteやPrologueと言った海外のレーベルの目に止まり、この3年でEPを9枚もリリースするなど急成長を遂げ日本から世界に向けた期待のアーティストにまで存在感を強めている。本作は今までにリリースされてきたEPから7曲に新作の3曲の計10曲となるコンピレーション的な意味合いが強いが、EPから選りすぐりの曲を収録しただけありデビュー・アルバムとは言えども実に個性的で質の高いテクノを聴く事が出来る。一聴してBasic Channel的なダブ/ドローン/アンビエンスの深みいムードがありながらも、そこから陶酔感に直結するダークでトランシーなシンセの連なり、より肉体性を感じさせる躍動感のある4つ打ちを走らせてフロアでばっちりはまるトラックが多い。しかしフロア向けでありながら内向的で厳かなディープさは闇雲に音を詰め込んでヒートアップさせるトラックとは異なっており、まるで念仏に合わせて内なる精神世界に没頭して行くトランス感があり、柔らかいドローンの波に揺られながら真っ暗闇のフロアで感じる無意識なハイの瞬間をも想起させる。無機質でクールな音色で何処までも深く潜り込んで行くディープなテクノが、BerghainともリンクするDJ Nobuを虜にしたのも納得だ。

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| TECHNO9 | 18:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Puresque - Leitmotiv (Tresor Records:TRESOR249)
Puresque - Leitmotiv
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昨年はレーベル運営20周年だとか今年は通算250作目のカタログをリリースだとか、俄に活気付いている元祖ドイツテクノを代表するTresor。良くも悪くも流行と言う俗世の波に乗らずに頑なにテクノと言う音楽を守り続けるレーベルだと思いますが、レーベルにとって久しぶりのオリジナルアルバムとなる本作もやはりTresorらしい無骨な荒さ(粗さ)剥き出しのクールなテクノが満載です。Puresqueはまだデビューしたばかりのユニットかと思いきや、実はドイツのベテランアーティストであるPaul BrtschitschとMichael Kunzによるコンビで、長い経験によるトラックメイキングの安定感はデビュー・アルバムとは思えない程です。ファットな厚みがありながら柔軟な質感を伴う音質と無駄を削ぎ落としたすっきりとしたリズムトラックで、徹底的に感情を廃しながら冷たい空気を吐き続けるダーティー・テクノはTresorの音と呼ぶべきモノでしょう。しかし"Analogue Sound For Analogue People."と自称する彼等の音楽性は、確かに冷えてはいるし機械的に正確無比なビートを刻んではいるものの、幾分か汚らしく肌を削り取るような粗さに凶暴な性質が見え隠れしています。その上DJツールを目的として作られたであろうミニマルトラック群でありながら、意外にも一辺倒な内容にもなっておらずリズムやシンセのリフの妙技が光っており、テクノのアルバムとしては珍しく通して聴ける安定感があります。フロア向けのEPが中心となるテクノにおいて、アルバムと言う形式にも拘りを持ち続けたTresorの審美眼に曇りは無し、そう確信する好内容でした。

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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |