CALENDAR
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< October 2020 >>
RECOMMEND
MOBILE
qrcode
SPONSORED LINKS
The Irresistible Force - Higher State of Mind (Psymatics:PSYM-004)
The Irresistible Force - Higher State of Mind

2010年、来日したアンビエント・マスターことMixmaster Morrisは、千葉のKoyas Studioに訪れDJ Yogurt & koyasと共に寝食を共にし音楽制作に励んでいた。その際に制作された"Higher State of Mind"は、2010年のコンピレーション・アルバム"Meet the People Vol.The Beach House at Isshiki"にも収録されたものの、それ程注目を集める事なくいつしか忘れ去られようとしていた。しかし実はDJ Yogurt & koyasはひっそりとリミックスを行いつつ、Blast HeadのTetsuにもリミックスを依頼し、その後Koyasによって立ち上げられたレーベルであるPsymaticsから2014年にはリリースされる…予定だったがテストプレスの問題等によりリリースは延期…からの制作から5年を経てようやく日本でのみのアナログリリースとなった。紆余曲折の末だからという訳ではないが、やはり一向に新作をリリースしないMMMによるオリジナルの"Higher State of Mind"からして期待を裏切らない。ふわふわとした無重力のアンビエントな上モノとゆったりとうねるブレイク・ビーツ風なリズムは、彼がNinja Tuneからリリースしたアンビエント・アルバムのその先にある音楽性であり、夢の中をのんびりと漂うような極楽浄土の世界観は爽やかで軽くも瞑想的だ。だがリミックスの方も負けてはいない。昼下がりの白昼夢を漂うような耽美なエレピのイントロから始まる"Tetsu Remix"は、その後ヒップ・ホップやジャジーテイストを打ち出して煙たく微睡んだ空気が充満したブレイク・ビーツを展開し、開放的な残響も伴うバレアリック・ミュージックと化す。そしてアンビエントはお手の物な二人組のYogurt & Koyasによる"Yogurt & Koyas Feat. Eiji's Bass Remix"は、ベースにEijiを迎えながらリズムもざっくりと生っぽさを強調しつつ、光を発するような輝かしいシンセやトランペット風なメロディーを上乗せして、陽気な夏のムードを醸し出している。またYogurtとKoyasとEijiにARATAが共同で作り上げた"Chiba1"は、愛くるしいギターサウンドが彩る南国風でカリビアンな長閑なアンビエントで、4人が笑顔でセッションしているようなリラックスしたライブ感ある。日本限定でアナログのみの販売だがMP3やAACなどのデータをDL出来るコード付き、そしてステッカーも封入といたせりつくせりの内容なので、売り切れになる前に是非ゲットして欲しい。



Check "Mixmaster Morris"
| TECHNO11 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Vril - Portal (Delsin Records:110DSR)
Vril - Portal
Amazonで詳しく見る(MP3)

カルト、またはアンダーグラウンドと呼ぶに相応しい活動をするドイツのVril。本名や素性も明かされずに謎めいた活動を続けるそのアーティストは、しかし例えばGieglingやその傘下のForumからフロアを震撼させるディープなダブ・テクノをリリースし、そしてOstgut Ton一派からも信頼を集めMIXCDにも使われるなど、匿名性を守り単にその音楽性だけで評価される稀有な存在だ。2014年にはForumから初のアルバムである『Torus』をリリースし、ダンストラックだけでなくアンビエントや音響系まで多様な音楽性を披露したが、Delsinからのリリースとなるこの2ndアルバムではよりフロア向けのトラックで固められている。2013年11月に開催されたFuture Terrorで披露されたVrilのライブを体験した者ならば、きっとそのライブで感じ取った印象と同じ物をこのアルバムに感じるだろう。永遠に崩れる事のない端正な4つ打ちともやもやとした深い音響に包まれた"Portal 1"は、正にBasic Channelが作り上げたアブストラクトなミニマル・ダブをよりダンス性を強めたものだ。"Portal 2"では叩き付けるようなリズムによってグルーヴの勢いは増しフロアを激しく揺らすが、上モノにはDelsinらしい流麗さもある点に今までとは異なる音楽性も含まれている。よりDelsinのデトロイト志向が打ち出されたのが"Portal 3"で、ハンドクラップや潰れたようなスネアを用いたは生々しい粗さもあるが、そこにエモーショナルなメロディーが入ってくると宇宙の中を駆け抜けるようだ。"Portal 5"では毒気もあるブリーピーな音や金属的なパーカッションが荒廃さを生み出すインダストリアル・テクノへと繋がり、"Portal 7"では金属的な響きと共に闇の奥深くへと潜っていくような音響によってディープさも伴うインダストリアル・テクノを披露している。全8編のPortalは一切の煩悩や雑念を捨て去ったフロア機能型ダンス・トラックで、激しく荒々しい展開に誰しも抗う事の出来ない暴力的なエナジーが迸っている。



Check "Vril"
| TECHNO11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
So Inagawa - Integritithm (CABARET Recordings:CABARET 005)
So Inagawa - Integritithm
Amazonで詳しく見る(日本盤)

2009年、Yone-Koやdj masdaの作品が収録されたレーベルにとって初の作品となるEPがリリースされた。しかしそれ以降は暫くの間作品のリリースは無く、同名パーティーとしては評価を高めつつもレーベルの活動は一向に見えないままだった。しかし2013年、So Inagawaのリリースを皮切りにBinhやU-Moreまでリリースされると、アナログだけのリリースにもかかわらず海外での余りの人気に各作品はリプレスされこのご時世に売れまくっていると言う。そう、それがdj masdaやSoによって運営されているCabaret Recordingsだ。元々は2000年頃からSoやSackraiによって名古屋で開催されていたパーティー・Cabaretが母体なっており、そのシンプルで無駄を削ぎ落としたミニマル性の強いテクノ/ハウスを主体とした音楽性が、そのままレーベルへと反映されているのは言うまでもない。本作はSoにとってもレーベルにとっても喜ばしい初のアルバムであるが、元々はアナログ2枚組でリリースされていたものに既発のEP2枚からの曲も追加して、MIXCD仕様で纏められた作品だ。何でもアナログオンリーでのリリースにファンから不親切だと詰められて、仕方なくCD化した事をSoはインタビューで述べていたが、そんな微笑ましい経緯はありつつもCD化を喜ばずにはいられない。Soの音楽は前提としてフロアで機能するスタイリッシュなテクノ/ハウスである事は言うまでもないが、本作を聴けばそれだけでなく宅内でリスニングとして聴けるエレガントな世界観も持ち合わせている事に気付くだろう。端正に磨きのかかったミニマルなリズムだけで引っ張るのではなく、そこに控えめな情緒を付加する音楽的なコード展開やしっとりと肌に吸い付くようなオーガニックな音質が、肉体的な方面からだけでなく気分的な方面からも魅了するのだ。そういう意味ではどれ一つとしてフロアを騒ぎ立てるような音楽性はなく、むしろ闇の中にいつの間にか引き込むようなじんわりと侵食するスルメ的な味わいが強い。そんな曲だからこそ - レーベルの意思には沿わないのかもしれないが - 本作がMIXCD仕立てでアルバム化された事は、流れを継続して聴ける事でよりSoの音楽的な魅力が伝わりやすくなった点で、非常に意義深いものがある。Cabaret Recordingsの音楽性やパーティー感を理解する上でも、とても適切なアルバムであろう。



Check "So Inagawa"
| TECHNO11 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Garnier - La Home Box (F Communications:F267CD)
Garnier - La Home Box
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(アナログ盤)
紛れも無くフランスを代表するDJであるLaurent Garnierにとっての本質はDJであるが、2014年に限って言えばアーティストとしての活動が際立っていた。レーベルと国とジャンルを跨ぎながら5作ものEPをリリースし、作品毎に多少の良し悪しはあったのも事実なれども改めてアーティストとしての才能も発揮し、ファンを楽しませてくれた1年だったと思う。惜しむらくはそれらの作品は全てアナログでのリリースだったが、この度そんな作品が1枚のCDとして纏められたのが本作だ。大々的には取り上げられてはいないものの何気にGarnier自身のレーベルであるF Communicationsの復活作でもあり、本人にとっても気合が入ったアルバムなのだろう。無骨なシカゴ系のStill Music、ベルリンテクノの50 Weapons, フランスから実験的なヒップ・ホップも手掛けるMusique Large, 黒いディープハウスのMCDE、エレクトロニックなHypercolourからの作品とF Comからの新曲も収録した計10曲は、GarnierがDJで多彩な音楽性を盛り込む事を制作へとそのまま反映したような内容だ。"Bang (The Underground Doesn't Stop)"や"Boom (Traumer African Remix)"のようにリズムが露わになり粗暴で激しいビートを刻むシカゴ・ハウスの延長にある曲の素晴らしさは当然として、"M.I.L.F."のようにベース・ミュージックのリズムとブリーピーな中毒性の高い音を掛け合わせたエレクトロ、高らかにストリングスが祝祭を告げるかのような壮大なハウスの"ENCHANTe"など、フロアに根ざした音楽性は今も昔も変わりはない。その一方でGarnierの懐の深さが伺えるのは"The Rise & Fall Of The Donkey Dog"で、金属が擦り切れるようなノイジーな音が浮かび上がりながらヒップ・ホップ的な変則ビートが強烈な印象を残して、4つ打ちの曲群の中ではその歪さが一際目立っている。アルバムとしては言うまでもなく全く纏まりのない作品ではあるし、如何にもDJ中のDJであるGarnierらしく曲の質のばらつきは大きいのだが、それを差し引いても多彩な音楽性を伴うDJ経験が反映されたGarnierにとっての久しぶりのアルバムとしての価値はある。尚、CDと共に4枚のアナログがセットになったボックスセットでは、未発表リミックスも収録されているなどファン向けの内容になっている。



Check "Laurent Garnier"

Tracklistは続きで。
続きを読む >>
| TECHNO11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
British Murder Boys - British Murder Boys (Downwards:bmbj 01)
British Murder Boys

Regis aka Karl O'ConnerとSurgeon aka Anthony Childによる最強のインダストリアル・テクノ・ユニットのBritish Murder Boys。そのユニット名からして凶悪な音楽性を滲ませる通り、破壊的で過激なインダストリアル・サウンドにパンクの精神性やニューウェーブの音楽性を持ち込み、そして早くからダブ・ステップやベース・ミュージックのプロトタイプ的なリズム感も披露していた点でその存在は特別だったものの、互いの個性が強すぎる故か2005年にはほぼ解散状態となりプロジェクトは停止していた。しかし2012年に突如復活してからは新作もリリースし、2013年には日本でもBMBの復活ライブを行うなど今後の活動も期待させていたのだが…実はそれが最後のライブになるとは誰も思っていなかっただろう。そして本作はユニットにとって最後の作品となる総決算的なアルバムだ。2003〜2005年にリリースされた5枚のEP全ての曲、そして前述のライブ映像を収録したDVDも同梱され、つまりはBMBのほぼ全てを体験出来る作品集となっている。作品自体は既に制作から10年を経ているので新鮮味はないものの、ハンマーで殴られたように揺さぶりをかける歪な変則ビートと金属がひしゃげるようなノイズを散りばめながら、一寸の光も見えない暗く廃退的な世界観に覆い尽くすインダストリアルなテクノは音だけ聴けば決して唯一ではない。しかしそこから発せられる彼等の精神性 - 例えばリリースされているEPのジャケットを見れば分かる通り - は、間違いなく反抗精神が爆発したパンクやニューウェーブのそれで、ギターやベースを電子楽器に置き換えて成り立ったのがBMBと考えてもおかしくはない。それこそがハードテクノ全盛時代の中でもBMBの存在を個性的なものとしていたのは、言うまでもないだろう。そしてその真価が発揮されたのがライブであり、本作に収録されたライブ映像を初めて見た者は驚愕するかもしれない。KarlとAnthonyはPCを操作しつつも、その間に立つ黒頭巾を被った3人の者達がゆっくりとフロアをうろつくその様相は、まるで黒魔術か何かの儀式ではないか。最初の15分位は得体の知れない抽象的なノイズが変容を繰り返し、そしてリズムが入ってくればようやくBMBらしくはなるものの、しかしその重苦しく宗教的な怪しさの中でAnthonyがおどろおどろしく歌い、その上ギターもプレイし始めれば、それは完全にパンク・スタイルと化す。Karlによればこのライブで「やり残していた仕事を終わらせた」との事だが、確かにそれも納得のスタイルを完成させている。結局はBMBの全てを終わらせる為に、短い期間の復活を遂げた



Check "British Murder Boys"

Tracklistは続きで。
続きを読む >>
| TECHNO11 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Walls - Urals (Ecstatic:ECD010)
Walls - Urals
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(日本盤)
2010年にドイツはKompaktからデビューしたWalls - Alessio NataliziaとSam Willis -は、テクノを推し進めるレーベルの中ではシューゲイズやクラウト・ロックも取り込み、ダンス・ミュージックを中心としたレーベル性に新風を吹き込んでいた。例えば同レーベルに所属するThe Fieldも同様にシューゲイズを軸としたユニットではあるが、それに比べればやはりクラブ的と言うよりはロックのダイナミックなリズム感がWallsの特徴でもあり、ポップなサウンドやアンビエントの雰囲気に於いてはKompaktのレーベル性を踏襲しつつもWallsの存在は独特だ。そんなユニットにとって3枚目となる久しぶりのアルバム - しかし残念ながらこれが最後のアルバムになるとWallsは公言している - は、マスタリングに元Spacemen 3のSonic Boomが迎えられている事からも分かる通り、やはりダンス性はありながらもロック的なグルーヴやサイケな音響が強い。先行EPである"Urals"からしてベースラインはエレクトロ調でもあるが、サイケデリックなギターの音色やヒプノティックなシンセが加えられ、そして何よりもスネアやキックのリズムが生っぽいざらつきを残している。もう1つの先行EPである"I Can't Give You Anything But Love"は捻れたようなエグいアシッド・サウンドが強烈ではあるものの、やはり基礎となるキックやスネアの臨場感ある生々しさはロックの躍動がある。抽象的な上モノや発散するノイズは非常にトリップ感満載なのだが、それらを纏め上げて激しい一つの勢いへと巻き込むグルーヴ感は、以前のユーフォリアを漂わせていたWallsからは想像もつかないだろう。"Moon Eye"では執拗に反復するシンセの旋律が快楽的に狂おしくミニマルな展開を生み、"Altai"では牧歌的な上モノが淡い田園風景を喚起させながらもリズムは鈍く潰れてパンキッシュな刺激となり、このテクノとロックの狭間に位置する音楽はBorder Communityにも近似している。アルバムの最後はこの世の終焉を示唆するような重苦しいドローンなサウンドがうねるように変容する"Radiance"で幕を閉じるが、この瞑想的な音響はプロジェクトの終わりを飾るのに最適な荘厳な世界観を確立している。残念ながら本作によってWallsのプロジェクトは終了するが、これでやりきったと言わんばかりの内容なのだから、ある意味では清々しくもあるのだ。



Check "Walls"
| TECHNO11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Koss - Silence (Mule Musiq:mule musiq cd 47)
Koss - Silence
Amazonで詳しく見る(US盤)
 Amazonで詳しく見る(日本盤)
Mule Musiqの中心的存在である高橋クニユキ - 事実、レーベルはクニユキの音楽を世界へと紹介するべく設立された - が、クニユキ名義とは別に電子的でミニマル、そして実験的な側面も追求するべく始めたプロジェクトがKOSSだ。過去にもMule Musiq傘下のMule Electronicから複数のアルバムをリリースし、クニユキの有機的でダンス性の強いハウス・ミュージックとは異なるベクトルで音楽性を拡張し、アーティストとして多彩な才能を知らしめていた。しかし近年はクニユキ名義での活動が中心だったためKOSSとしての新作がリリースされる事は無かったが、この度KOSS名義でMinilogueと共作した"The Mollan Sessions"から4年ぶり、完全なソロでは"Ancient Rain"から実に7年ぶりと久しぶりの新作が古巣Mule Musiqから届けられた。近年のクニユキ名義では様々なアーティストとのコラボレーションにより多様なグルーヴを展開するのに対し、このKOSS名義では一人で制作された影響もあるのか、クラブと言うよりは室内的で外交的と言うよりは内向的で、非常に繊細で理知的な美意識を感じさせる。最初にKOSSは電子的と述べたが以前に比べればヴァイオリン等の弦楽器やピアノからマリンバも用いて有機的な性質も強くなってはいるものの、それを強調するような鳴り方ではなくあくまで装飾的に使われ、その向こう側には環境音的なノイズや微かなパーカッションがスムースに鳴っている。ビートのない静謐な世界観はアンビエントやサウンドトラックとも呼べそうだが、軽々しくないその思慮深く意識的な音楽は深い瞑想へと誘うようだ。そんな雰囲気もあってクニユキのクラブ方面の要素ではなく、現代音楽やジャズの要素を打ち出しながら更にインテリジェンスに仕立て上げたような洗練された美意識があり、これは例えば現代音楽とジャズのレーベルであるECMのコンセプト「静寂の次に美しい音楽を」と共感するものがある。そう、「Silence」と言うアルバムタイトルにも納得な、静寂の中に美しい音色が静かに存在しているのだ。



Check "Kuniyuki Takahashi"
| TECHNO11 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Trap10 - Westside EP (a.r.t.less:A.R.T.LESS 2187)
Trap10 - Westside EP

ベルリンにてオールド・スクールなハウスの復権も担うディープ・ハウスのMojubaに対し、その傘下のA.r.t.lessは最近はテクノへと傾倒しており、そのレーベル間の対比を強めながら両レーベルはベルリン最深部をひらすら突き進んでいる。そんなA.r.t.lessの新作はドイツはミュンヘンからJanis & Fabianによるユニット・Trap10のデビュー作だ。シカゴ・ハウスへの理解もあるMojubaに対しA.r.t.lessはデトロイト・テクノからの影響を滲ませるが、本作もやはり古き良き時代のデトロイト・テクノをルーツに持ちつつハードな音質で攻めの姿勢を持ったアグレッシヴなテクノだ。何といってもA面の"Radisc"が素晴らしく、切れ味のあるハイハットやみぞおちに重圧を加えるような重いキックによるハードグルーヴに、デトロイト・テクノ的な反復するドラマティックなメロディーが叙情性を加えるこの曲は、パーティーに於ける真夜中のピークタイムではっきりと印象に残るような鮮烈さがある。裏面の"N19"はファットなキックが入るもやや隙間が出来てリラックスしたビートを刻み、そこによりエモーショナルで望郷の念に駆り立てるような切ないメロディー使いがやはりデトロイト・テクノからの影響が現れている。擦り潰したような鈍い重低音がロウな質感を生むみながら、透明感かつ浮遊感のあるハイテックな上モノに酔いしれる"Wb"も、フロアでの機能性を含みながらも情感がたっぷりと込められたテクノだ。どれもが決して新鮮味や流行的なモノは全く感じられないが、A.r.t.lessがリリースするテクノだけあり質そのものの高さは疑うべくもなく、また流行り廃りとは無縁のクラシカルな作風に安心する。



Check "Trap10"
| TECHNO11 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Leandro Fresco - El Reino Invisible (Kompakt Pop Ambient:Kompakt PA CD 1)
Leandro Fresco - El Reino Invisible
Amazonで詳しく見る(日本盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
テクノシーンにおいて良質なアンビエントを届けるシリーズの最高峰としてKompaktの「Pop Ambient」が存在する。2001年に最初のコンピレーションがリリースされ、それ以降はおおよそ真冬の季節に一年に一枚のペースで滞りなく送り出され、15年にも及ぶ長いシリーズとして君臨している名物的な作品集だ。そして遂にコンピレーションとしての体系だった「Pop Ambient」が、アーティスト毎にフォーカスを当てた新たなシリーズを開始したのだが、その作品の第一弾がアルゼンチンはブエノスアイレス出身のLeandro Frescoによるアルバムだ。当方は初めて耳にするアーティストであるが、経歴を調べてみると「Pop Ambient」シリーズが開始した当初からKompaktとは細々と関係があるようで、アンビエントだけでなく可愛らしいシンセポップやダンス性の強いテクノまで、ある意味ではKompaktの幅広い音楽性に沿ったアーティストのようだ。勿論このアルバムにおいては「Pop Ambient」らしい静かな音の波が広がるようなアンビエントを披露しているのだが、そこには南米はアルゼンチンの甘い白昼夢に浸るようなサウダージが存在する。アルバム冒頭の"La Edad De Oro"からして郷愁たっぷりなシンセと霧がかったシューゲイザーのような淡いサウンドに満たされ、現実の世界からは逃避するような牧歌的な世界観はKompaktらしいポップ性も含んでいる。"Le Herida Del Soldado"ではアルゼンチンらしい物哀しいスパニッシュギターの音色が切なく、アコースティックな音とフィールド・レコーディング風な音響が生暖かく湿らす。アルバムの他の曲も曲調は同様に統一され、環境音楽のような音響に有機的な音色やシューゲイザー風な霞んだシンセのレイヤーを用いて、何処までも平坦で穏やかな地平が続くような世界を広げている。アルゼンチンの燦々と降り注ぐ太陽の煌きや豊かな色彩も浮かび上がらせ、非常に牧歌的なアンビエントとして包容力に溢れている。



Check "Leandro Fresco"
| TECHNO11 | 21:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Gonno - Obscurant (International Feel Recordings:IFEEL040)
Gonno - Obscurant
Amazonで詳しく見る(MP3)

Endless Flightから10年ぶりとなるアルバムをリリース予定のGonnoが、しかしその前にもまたもや話題作となるであろうEPをリリースした。2011年にInternational Feelよりリリースした"ACDise #2"はGonnoの才能を世界に知らしめる作品となったが、同様にInternational Feelから4年ぶりにリリースされたこの"Obscurant"は、Gonnoが"ACDise #2"の単なる一発屋ではなく紛れも無いオプティミスティックな音楽性を放つ才能である事を示している。様々なレーベルからフロア向けの4つ打ちからバレリックなもの、または異形な電子音楽や心地良いリスニング系などスタイルを流動的に変化させながら、そこにGonnoらしいオプティミスティックなムードを注ぎ込んできたが、やはりInternational Feelからの作品はその中でも別格と言わざるを得ない。タイトル曲である"Obscurant"はGonnoらしいアルペジオのメロディーが特徴で"ACDise #2"とも近似する多幸感溢れる曲だが、そのような強烈なグルーヴを叩き出すダンストラックとは異なりミドルテンポでゆっくりと天国への螺旋階段を上り詰めるような展開が待ち受ける。光り溢れるメロディーの裏にはひっそりとアシッドのラインも隠されている点もGonnoの特徴が発揮されており、うねるような粘り強いビートと相まってじわじわと高揚感を継続させながら、いつしか光の中へと意識も溶けこんでしまうだろう。一方ノンビートの展開で始まりエレクトリックハープの音色が目まぐるしく動き回る"A Life With Clarinet"は、途中から徐々にキックやパーカッションがリズムを構成し出し、遂には激しくビートを叩き出すダンストラックへと変容する強い個性を含む曲だ。しかし激しいビートの中に渦巻く狂おしい程にセンチメンタルなシンセの旋律が、圧倒的な高揚の波に覆い尽くす。裏面にはロンドンに新鋭であるCall Superが"Obscurant" (Call Super Inna Loft Mix)"としてリミックスを提供しているが、原曲のバレアリックな雰囲気とは対照的にパーカッシヴなリズムや鳥の鳴き声を導入しながら、ミステリアスな異国情緒溢れるハウス風に仕立てあげている。がやはり、Gonnoの圧倒的な多幸感と高揚感が弾ける2曲が素晴らしく、リミックスの方はやや蛇足であるか。このInternational Feelというレーベルの音楽性に寄り添いつつ、そしてGonnoの個性も全開となった作品でレーベルとアーティストの相性も抜群である事は言うまでもなく、このままアルバムも?なんて期待してしまうものだ。



Check "Gonno"
| TECHNO11 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |