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HVL presents Kiyadama - Cosmic Hum EP (Rough House Rosie:RHR 010)
HVL presents Kiyadama - Cosmic Hum EP
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ケルンのディープ・ハウスの新興勢力として静かに評価を高めているRough House Rosieは、日本のアンダーグラウンドなハウスをも掬い上げており、注目して損はないレーベルの一つだ。そんなレーベルのレギュラーとして定着しているのがグルジア出身のGigi JikiaことHVLで、アブストラクトな音響にアンビエントの雰囲気を重ねて濃霧に包まれたような幻想的なディープ・ハウスを手掛け、レーベルの音楽性をも示唆するような活動をしている。さて、RHRにとって2016年の初の作品となるのがKiyadamaによる本作で、何故かHVLが変名を用いての提供となっている。わざわざ変名を用いているのだから普段の作風とは当然異なり、ここでは古き良き時代を思い起こさせるシカゴ発祥のアシッド・ハウスが幅を利かせている。TB-303をフィーチャーしたであろ"Ashitaka 1"と"Ashitaka 2"は、ねっとりと中毒的にうねるアシッド・ベースを軸にじわじわと侵食するようなワイルドピッチスタイルのアシッド・ハウスで、決して革新的な作風ではないものの古典的なアシッド・ハウスに敬意を払いつつ洗練も伴う点で今風だ。そこからA面のトリを飾る"Creda18fill"は一転してビートレスでアナログなシンセが睡眠を誘うように反復するアンビエントな作風で、ギャップに驚きつつも精神へ作用するようなトリップ感では共通項を見出だせるか。がB面ではまたもやアシッド・ハウス全開で、ソナー音のような淡々としたアシッドの使い方にひんやりとした冷気を浴びせられる"Machine Terror"や、レイブ調のブレイク・ビーツが軽快にビートを刻みつつも牙を剥いたアシッド音に体をえぐられるような"There Will Be No Salvation"と、A面よりも更に攻撃的な曲が収録されている。RHRにとってもHVLにとっても異色過ぎるアシッド・ハウスではあるものの、安っぽいシカゴ・ハウスに深みのある空間音響を加えている所に単なる物真似ではないHVLの音楽性も感じられ、古典への愛を見事に生まれ変わらせた作品だ。



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| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Mr. Fingers - Mr. Fingers 2016 (Alleviated Records:ML-2231)
Mr. Fingers - Outer Acid
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2012年に聴覚障害の為にDJ業の引退を宣言したシカゴ・ハウスの伝説であるLarry Heard。DJとしての活動に時間を割く必要がなくなったおかげと言うべきか、逆にリミキサーとしての務めは増えてここ数年は他のアーティストのリミックスを行う活動が目立っていた。勿論リミキサーとしての実力は言うまでもないが、やはり彼はオリジネーターの一人であるからして新作を期待する人も多かっただろうが、何とここにきて彼の評価を高めた名義であるMr. Fingersとして22年ぶりの新作が完成した。と名義的に久しぶりだから新鮮さも感じずにはいられないが、音楽的には時代に左右される事のない永遠不滅のクラシカルなディープ・ハウスを守っており、その一点を見つめたような姿勢に安堵を覚えるだろう。ガヤ声らしきサンプルや荒廃してざらついたビート、そして鈍いうねりを見せるアシッド・ベースが際立つ"Outer Acid"は、しかし覚醒的な高揚を生み出すのではなく、俗世から隔離された隠者のような枯れた味わいのあるロウなハウスで、これも極めて昔から普遍なHeardの音楽性と呼べるものだ。"Qwazars"で豊かなシンセのメロディーと軽快で切れのある4つ打ちでよりフロアに即したディープ・ハウスであるが、奇を衒う展開はなく自然な流れのコード展開や全く無駄のないシンプルな構成が、音楽的な揺るぎない強度を感じさせる。ガチャガチャとした金属的な音が目立つ"Nodyahead"はHeardにしてはやや騒がしさが強いが、それでも黄昏れるようなしんみりしたシンセ使いが心に染み、そして最もHeardらしい叙情的で温かみのあるディープ・ハウスのマナーを踏襲した"Aether"は、内向的なピアノ使いや透明感のあるパッドが美しくも儚い。これは果たして2016年の作品なのかと錯覚する程に旧来のHeardの音楽そのものであるが、元々騒がしいフロアで興奮を駆り立てる事よりも心に響かせる事を意図したであろう俯瞰した作風だからこそ、時代に埋もれる事なくいつだって成熟の後に辿り着く枯れた味わいを活かした音楽性が評価されるのだ。全くぶれていない、既に境地へと達したハウスの伝統だ。



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| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Dazzle Drums - Concrete Jungle (Nulu Electronic:NULUEL019)
Dazzle Drums - Concrete Jungle
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ハウス・ミュージックやクラシカルなディスコを中心としたプレイでは定評のあるDazzle Drumsも、近年は積極的に制作活動を行っており、2014年には初のアルバムとなる『Rise From The Shadows』(過去レビュー)をリリースしたのも記憶に新しい。そこでは如何にも彼等らしいクラシカルなハウスを軸にプログレやトライバルな要素を持ち込みつつも、Dazzle DrumsのDJプレイの印象がトラックに反映された内容で、アーティスト性を宣言すべく初のアルバムとして適切だったと思う。但しそれが全てではなく、ストレートでソウルフルなハウスだけでなく厳つくハードなテクノやモダンなプログレッシヴ・ハウスに野性味溢れるトライバル・ハウスなど、伝統を守るだけでなく前衛としての未来を見据えた視点も持ち合わせた音楽観を彼等のプレイから感じずにはいられない。さて、その流れでNulu Electronicからリリースされた2ndアルバムである本作を聴けば、正に伝統だけでなくモダンな音楽への理解という彼等の姿勢が伝わる事だろう。Nulu Electronicというレーベル自体が生音系ハウスと言うよりはエレクトロニックな指向があり、更にはアルバム名も『Concrete Jungle』なのだから、自然か当然かハウスのグルーヴは根底にありながらもアフロ・パーカッシヴかつテックな音が中心のアルバムとなっている。アルバムのスタートを切る"Afterburn"からして硬質で電子的なキックはテクノを思わせ、展開を広げるよりもツール性を高めて反復するスタイルは、ひんやりとしたクールな響きがクラブの闇を感じさせる。"Banga (Beat)"は正に土着的で密林の奥地に迷い込んだようなトライバルなビートが炸裂し、"Concrete Jungle (Nulu Mix)"ではそのアフロな雰囲気にプログレッシヴ・ハウスのぎらぎらとした旋律がドラッギーさを発し、野性的なグルーヴ感がアルバムの印象を作り上げている。一方でテンションの高いアルバムの中で優しく癒やすようなディープ・ハウスの"Get Together"は良い流れで聞けるが、それにしても恍惚度の高いテッキーなメロディーは今風だ。最もDazzle Drumsらしい曲なのは最後の"You'll Never Walk Alone"だろうか、流麗だが切なく響くピアノとスムースな4つ打ちでクラシカルなNYハウスを思わせ、最後にぐっと感情的に熱を帯びながら盛り上げる。Dazzle Drumsの昔からのファンにとっては伝統的なハウス/ディスコを期待する人が多いのだろうが、本作は伝統を尊重しながらも過去に踏み止まらず未来へと進もうとするDazzle Drumsの気概が感じられる作品であり、また新しいファンにも訴求する可能性を秘めている。



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| HOUSE11 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Elia Perrone / Gigi Masin - Stella (Unclear Records:UNCLEAR 013)
Elia Perrone Gigi Masin - Stella
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Music From Memoryからの再発が契機となり埋もれた名作の復刻が続くイタリアの音響音楽家・Gigi Masinであるが、決して過去の作品だけに頼る訳でもなく現在のダンス・ミュージックのアーティストとも交流しながら新作を出すなど、チャンスを物にして再度シーンへと返り咲いたのは本質的な実力があるからこそ。そして今度はイタリアでUnclear Recordsを主宰するElia Perroneと手を組み、彼のレーベルから更なる新作を世に放っている。Perrone自身はハウス・ミュージックを手掛け、レーベルとしてもモダンなハウス中心だったりするところにMasinの名が出てくるのは意外かもしれないが、それもダンス・ミュージック側からMasinへと寄り添っている状況を理解すれば不思議な事ではないのだろう。"Stella"はビートレスな作風がアンビエントを思わせる点もあるが、荘厳なストリングスや耽美なピアノの旋律を用いて生の質感を打ち出しているのは、Masinによる影響だろう。そこにおどろおどろしいエレクトロニクスの音響が胎動を加えているが、荒立たない静けさが広がる音響は静謐でさえある。"Garden Blues"ではトリップ・ホップのような粘性の高いビートが入り、捻れるような電子音やぼやけたエフェクトが施されたシンセが霞の奥に消え入るような音を鳴らし、物哀しさが胸に込み上げるダウンテンポな曲となっている。そして注目すべきは本作でもやはりと言うか、Juju & JordashとNiro Love Mumによるダンスシーンからのリミキサーが起用されており、原曲の面影を残しながらもフロアに即したリミックスが成されているのは特筆すべき事だろう。元々のピアノやストリングスの旋律に加え幻惑的なシンセのフレーズも追加し、更に軽快なハウスのキックが加わった"Stella (Juju & Jordash Remix)"は、ロウな質感も目立つが奥ゆかしさを残している。そしてダウンテンポから規則性のある4つ打ちへと生まれ変わった”Garden Blue (Niro Love Mum Remix)”は、原曲のイメージを損なわずに機能的なディープ・ハウスの体をなしている。違和感のないダンス系のリミックスを収録する事は、よりMasinに対する間口を広げる事へと繋がり更なる再評価を得るのは間違いなく、今からでもMasinの追うのは全く遅くないのだ。



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| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
D.K. - Island Of Dreams (Antinote:ATN 026)
D.K. -  Island Of Dreams
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非現実的な空間で、しかし何だか安らぎのムードが漂うニューエイジ風なジャケットに惹かれ、自然と手を伸ばして購入された方は間違っていない。本作は45 ACP名義ではL.I.E.S.からロウ・ハウスなアルバムをリリースし、Slack DJs名義ではThe Trilogy Tapesからもリリースするなど、その名義毎に作風を分けて活動しているD.K.によるミニアルバムだ。この名義では2014年にもAntinoteよりミニアルバムをリリースしており、他の名義とは全く異なる気がのどかで可愛らしいメロディーを活かしたバレアリックな雰囲気を持つ内容で、ダンスフロアに依存度が低くもBGMとして馴染む音楽性を披露していた。それから2年、またもAntinoteからリリースしたミニアルバムはよりダンスとしてのグルーヴから距離を置き、メランコリーやノスタルジーを増したリスニング寄りの曲が中心だ。確かに淡い色彩が滲むジャケットからは懐かしさが漂ってくるが、アルバムや曲名も情緒的なムードを呼び起こす名が付けられており、忙しない現代世界から離れた安らぎの島へと辿り着いたかのようだ。幕開けとなる"Evening Shadows"ではベルや鉄琴らしき音に透き通る幻想的なシンセが切ないメロディーを鳴らし、いきなり哀愁で胸いっぱいになるダウンテンポで始まる。弛緩はしているがはっきりとしたリズムを刻む”Ivory Forest”も、淡さが滲むシンセのメロディーが複数現れ、しっとりとした有機的な質感もあって温かさが伝わってくる。少しだけ弾けるようなリズム感が心地良い"Play On"、ややアンビエントな壮大さもあるハウス寄りの”Journey To The Sun”など、それらも鍵盤弾きしているようなリラックスして大らかな音色が地平線の果てまで届くようで、誰もいない開放感のある夢の島をイメージしてもおかしくはないだろう。そして裏面へと続くとむせび泣くようなサックスとセンチメンタルな木琴系のリフに、爽快に広がるパーカッションが感動のピークへと導く”Memories”や、トロピカルな色彩を感じさせる最もダンス寄りのハウス・トラックである"Raindrops"、夕暮れ時のオレンジ色に染まりつつある海辺を喚起させるダウンテンポの"High On The Sea"と、ちょっとした盛り上がりも加えながらサウンドトラックのように曲毎に場面場面を創造させるような流れを作るのだ。ミニアルバムとは言いながらも30分もない短さではあるが、確立されたセンチメンタルな世界観がほんの束の間の休息となり、癒しの一時を提供してくれる事だろう。



Check "D.K."
| HOUSE11 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Miruga - Be Free (Altered Moods Recordings:amr 36)
Miruga - Be Free
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今まさにブレイクを果たそうとする邦人アーティストのMiruga。2012年にEthereal Soundからアナログデビューを果たし、そこからソロでEPをリリースする傍らBalanceやRough House RosieにAesthetic Audioなど著名なレーベルのコンピレーションにも曲が収録される等、その名前は徐々に世界的にも浸透しているのは間違いない。リリース元となったレーベルを眺めれば幽玄なディープ・ハウスやエモーショナルなデトロイト性を伴う音楽性である事は理解出来るだろうが、実際にはそれだけでなくアンビエントのムードや4つ打ちに囚われないリズム感など、より広範囲に渡った作風が様々なレーベルに取り上げられる要因であるのかもしれない。新作でも確かにディープ・ハウスに括られておかしくはない音を鳴らしているが、収録された4曲それぞれに持ち味があるのだ。耽溺するような甘い笛の音色から始まり幻想的なパッドに覆われる"Be Free"は、そこからも輝きを含む綺麗なシンセの音色が優美な旋律を奏で、しっかりとファットなキックが刻まれながらもアンビエント・ハウスを思わせるような心地良い雰囲気が広がる。一方で"Blizzard"はそのタイトルの如くややハードなサウンドが前面に出ており、荘厳なシンセの使い方でありながらも切れのあるビートとの相乗効果で、強風が吹く大雪の極寒地帯を思わせる険しさが襲い掛かる。しかし裏面では逆に繊細なパッドやリズムの揺らぎを強調した"Blue Space"があり、軽快でジャジーなグルーヴの上に滴るエレピが耽美な装飾を行っている。最後の"The Old Beauty"も薄く伸びるパッド使いが郷愁を誘うが、カタカタとした簡素なリズムトラックはシカゴ・ハウスのその音質で、昔を思い出すような懐かしさに溢れている。どれも人肌を感じさせる温かいメロディーが通底しており耳を惹く作品ではあるが、それぞれパーティーの早い時間帯からピークタイム、そして朝方にまでフィットするであろう異なる雰囲気もあり、Mirugaの音楽性を十分に堪能出来る一枚となっている。



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| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Trinidadian Deep - EP IV (Neroli:NERO 030)
Trinidadian Deep - EP IV

ディープ・ハウスの御大であるRon Trentに見初められ彼のレーベルであるFuture Vision Recordsから2006年にデビューを果たし、2012年からはイタリアのクロスオーヴァー系のNeroliから作品をリリースする、その人こそサンフランシスコのTrinidadian Deep。特にNeroliとは蜜月の関係にあるようでこの作品でレーベルからは4作目となるのだが、既に自身の個性を確立させた上での自信満々な意気込みさえ伝わる金太郎飴的な作風を貫いており、その耽美な旋律と土着的なビートによるディープ・ハウスは旧来のファンも勿論新期のリスナーも胸をときめかせる事だろう。A面には1曲のみだが10分にも及ぶ大作であるフュージョン・ハウスの"London Steps"を収録しており、青空を割って広がるような爽快感抜群のパーカッションと優美な輝き放つシンセ使い、そしてほんのりとエロティックな女性の溜息をサンプルに用い、どこまでも爽やかで浮遊感のあるビートに乗って羽ばたくエレガントなフュージョン・ハウスだ。対して"Spirits Speaks"は優美なパッドは用いつつも土着的なコンガが催眠的に響き、浮かび上がるのではなく低空飛行でじわじわと引き伸ばされる感覚があり、前述の曲とはまた異なる場面で使われそうだ。最後には"Lil Love"、端正としまりのある4つ打ちを基軸にした最もディープ・ハウスらしいグルーヴ感で、そこに色彩豊かなシンセがすっと伸びて太陽が燦々と降り注ぐ大地を疾走するような爽快な曲だ。個性が確率されているが故に驚く展開もないが、その期待を裏切らない優美なエモーションと爽快なグルーヴが一つとなったクロスオーヴァー/フュージョン的なハウスサウンドは、非常に完成度が高い。ハウス系のパーティーで高揚する真夜中にも、または幻想的な朝方にも間違いなくはまるであろう。



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| HOUSE11 | 09:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
U-More - 2 Miles EP (Flugel:FLUG004)
U-More - 2 Miles EP

ベルリンから生まれたU-Moreについて多くは明らかにされていないが、ダブの奥深い音響とミニマルな構成によるハウスの作風は、アナログオンリーの販売ながらもアンダーグラウンドな活動も相まって評価を高めている。日本では同じような音楽性からCabaret Recordingsによって掬い上げられ、見事に同レーベルからもEPをリリースした結果から、国内でもその名前を知る機会は増えただろう。さて、そんなU-Moreの新作は東欧の新興レーベルであるというFlugelからとなるが、特段に今までの作風と変わらずに期待通りの内容である事を保証する。"2 Miles"はレーベル公式によればMiles Davisのミニマリズムとジャズに触発されたそうだが、曲質は膨らみのある低音としなやかなブロークン・ビーツのスムースな流れで暗闇に染まった深海を潜行するようなディープ・ミニマルだ。確かに不気味なトランペットが効果音的に導入されていたりジャズを思わせる流れもあるが、闇が更に闇を侵食するような混沌とした音響がドープなパーティーにはまりそうである。芯のあるキックに崩れ気味の細かいビートも重なる"Liliput"は波のようなゆったりした揺らぎが心地良く、そこにアンビエント風なパッドがすっと延びていく事でより一層酩酊感を誘い、ミニマルではありながら奥行きのある音響が広がりを感じさせる。裏面のルーマニア系のFasterがリミックスした"2 Miles (Faster Rmx)"は、原曲よりもよりテクノ的で硬質な音を活かしたミニマル・テクノとなっており、精神を深い酩酊へ誘うよりも肉体を直接刺激するダンストラックだ。そして"Harney Peak"のみはスカスカのリズムがシカゴ・ハウスを思わせる点もある意外性の強い曲だが、遊び心が感じられるヒプノティックな上モノや幻想的な上モノが、何とかU-Moreのディープな音楽性を残している。どれもこれも派手さは無くともフロア即戦力というべき質実剛健な内容であり、今後も注目必至なアーティストの一人だ。



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| HOUSE11 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
I'm Starting to Feel Okay Vol.7 (Mule Musiq:MULE MUSIQ CD 53)
Im Starting to Feel Okay Vol.7
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恐らくダンス・ミュージックで括られるレーベルの中でも、Mule Musiq程に幅広く才能あるタレントを抱えたレーベルを他に列挙するのは難しいだろう。例えばこのレーベルに所属するアーティストだけでパーティーを行ったとしても、それはフェスティバルとして成立してもおかしくはなく、間違いないのない審美眼と継続してリリース出来る運営力を兼ね備えた日本が誇るべきレーベルだ。そのように多くのタレントを抱えているからこそ、多様な個性を一つに集約するコンピレーションの体裁はMule Musiqに適しているのだろうか、近年は2年おきにショーケース的なコンピレーションをリリースしている。本作はその第7弾でここ2年間にリリースされた既発の曲や、また本作の為に制作されたであろう新作までが纏められており、例えレーベルに興味が無くとも参加したアーティストの豪華さに惹き付けられてもおかしくはない。レーベルに初参加となるLord Of The IslesやFrankey & SandrinoにKim Brown、または蜜月の関係を築いているEddie CやOskar OffermannにFred P、そして日本からはお馴染みのKuniyuki TakahashiにSauce81、その他に多くのアーティストが収録されているのだが、その幅の広さと各々の素質の高さが際立つ人選に頭を垂れる思いになる。Eddie Cによるサンプリングをベースとした生っぽいニューディスコの"Flying Blue"、Rubiniによるエレクトロニックな質感を活かしたディープ・ハウスの"Still Clock"、Kuniyukiがニューウェーブからの影響を受けて退廃的な雰囲気を打ち出した"Newwave Project #11"など、それぞれの個性は自然と表現されながらそのどれもがフロアに即したダンス・ミュージックである事を外れない。また、Bell Towersによる柔らかな音色とゆったりとしたグルーヴで広がるディープ・ハウスの"Midday Theme"、Fred Pによるエモーショナルなパッド使いが素晴らしいテック・ハウスの"Days In Time"辺りを聴くと、Mule Musiqが決して真夜中の享楽的なクラブで踊る事を目的とした音楽だけではなく、リスニングとしても耐えうる普遍性も目指している事が感じられる。意外なところでは奇抜なエレクトロニカを奏でるGold Pandaが変名のDJ Jenifaで"Dresscode"を提供し、Gold Pandaとは異なりシカゴ・ハウス風の乾いたビートで不良的なハウスを披露してたり、またAril Brikha & Sebastian Mullaertが"Illuminate"で彼等の個性を発揮したトランス感の強いミニマルなトラックを提供していたり、レーベルに控え目程度ではあるが新風を吹き込んでいる。既に大御所レーベルとしての存在感がこれだけのアーティストを集約出来るのだろうが、それでも尚レーベルの質の高さが全く失われないのは、やはりレーベルを主宰するToshiya Kawasakiによるセンスの賜物に違いない。



Tracklistは続きで。
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| HOUSE11 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Andy Vaz - House Warming (Yore Records:YRE-033CD)
Andy Vaz - House Warming
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ドイツはデュッセルドルフにて実験的なクリック・ハウスやミニマルを手掛けていたBackground、そしてよりエモーショナルなディープ・ハウスを手掛けていたA Touch Of Class、それを主宰していたのがAndy Vazだ。しかしそれも今や昔、ミニマルの流行から決別したVazは2007年以降はがらっと方向性を転換し、より感情性豊かに伝統性を重んじるデトロイト・ハウスを中心としたYore Recordsを運営している。当の本人の作風も当然過去とは全く変わっており、新機軸を打ち出すよりもベーシックなハウスの作風を尊重してどれだけエモーショナルな音を鳴らせるかに拘っているように思われ、この4年ぶりとなるアルバムでも決して衝撃や新鮮味を主張する事はない。オープニングはヒップ・ホップのリズムに「ハウス・ミュージック」という呟きが繰り返される"House Warming (intro)"で始まると、Eva Soulをフィーチャーして甘く色っぽい歌とシンセの滑らかなコード展開に小気味良いボンゴ等のパーカッションが弾ける"Nobody"が待っており、早くから温かみのあるハウスの性質が伝わってくる。タイトル曲の"House Warming"はファンキーなベースも伴ってどっしりと重心が安定したグルーヴだが、凛としたピアノのコードが耽美なディープ・ハウスとなっており、勢いだけでなくメロディーやコードを大切にしているのは明白だ。"Want U Back"ではヴィンテージなアナログ機材であるTR-808やTB-303も使用しているのだろう、ウニョウニョとうねるアシッド・ベースのラインが底を支えながらも、その上では薄く伸びていく情緒的なパッドや官能的なボイスサンプルが優しく包み込むディープ・ハウスへと振り戻す。"Smiling Guitars"もアシッド・ベースが使用されているもののその雰囲気は明るく、アルバムの中で緊張感を解放させる役目のエレクトロだ。デトロイトのNiko Marksを起用した"Things & Strings"は悪っぽいアシッド・ベースが前面に出てシカゴ・ハウスの系譜に連なっており、そこにガラージの色艶やかな官能も加わった刺激的な曲だ。ハウスを軸にヒップ・ホップやエレクトロにダウンテンポ、デトロイトやシカゴにガラージなどの要素を散りばめ、その結果として最新の時代性よりも如何に普遍的で音そのもので訴えられるかを証明出来るのか。その意味では本作は幾ら流行が移り変わろうと、価値が変わる事なく聞く事が出来るハウス・ミュージックと呼ぶ事が出来る。



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| HOUSE11 | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |