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ACID CITY 3
ACID CITY 3 (JUGEMレビュー »)
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Welcome To Paradise (Italian Dream House 89-93) (Safe Trip:ST 003)
Welcome To Paradise (Italian Dream House 89-93)
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バレアリックからイタロ・ハウスまで感情的なシンセを用いて多幸感に満たす音楽を制作するYoung Marco、2015年には自身のレーベルであるSafe Tripを立ち上げて自身の音楽性を反映させた音楽を送り出している。そしてそのルーツを掘り起こすようにリリースされたのが本作、日本語に訳すと「ようこそ楽園へ」と音楽性をそのまま端的に表したタイトルである。サブタイトルは「89〜93年のイタリアのドリーム・ハウス」、つまりはイタロ・ハウス/ディスコである事は間違いなく、そこに示された期間にリリースされたほぼクラシックと呼ばれるに近いイタロ・ハウスの名作をMarcoが自信を持って掻き集めた編集版だ。ではイタロ・ハウスとは一体何なのか、勿論その名の通りイタリアから生まれたハウス・ミュージックではあるのだが、やはりその特徴はピアノやシンセのハッピーなり多幸感なりが強いコード感を打ち出しつつ、他の作品から大胆にネタを(サンプリングする)パクる点だろうか。例えばNYの熱狂的なソウルフル・ハウスとも、または厳つく荒々しいファンキーなシカゴ・ハウスとも異なり、底抜けに明るく煌めく響きは燦々と陽が降り注ぐ空の下にいるような錯覚さえ体感させる。それを端的に表現しているのが始まりに用意されたKey Tronics Ensembleによる名作"Calypso Of House (Paradise Version)"で、綺麗で透明感のあるピアノと爽やかに伸びるストリングスを配し、地中海のバケーションにぴったりなバレアリック感に満ちた楽園的な世界を広げるこれぞイタロ・ハウスだ。伝説的なクラブであるハシエンダの定番でもある"Last Rhythm (Ambient Mix)"、耳に馴染みのある曲だろうが、ビートレスで引っ張っていくセンチメンタルなアンビエントミックスが収録されており、哀しげなシンセの旋律や泣きの笛の音色が胸を締め付ける程の郷愁を帯びている。意外なところではプログレッシヴ・ハウスで名を馳せるSashaの"A Key To Heaven For A Heavenly Trance"も収録されているが、確かに普段のプログレではなくもう少々穏やかながらものびのびとしたグルーヴ感があり、セクシーな女性の吐息も用いた官能的な雰囲気がイタロに適合している。こちらは生粋のイタロ・プロジェクトであるDon Pablo's Animalsによる"Paranoia"は、やや黎明期のメロウで素朴なシカゴ・ハウスを思わせる歌モノであるが、やはりトリッピーではありながらも爽快感や開放感を含む晴々しい世界観がイタロ的な所以だろう。Now Now Nowは初めて耳にするアーティストだが、こちらもイタリアのユニットだそうで、天上で聞けるだろう神々しい歌声を用いたドリーミーな"Problem (Abyss Version)"はもはやバレアリック・ハウスと呼んでもよい位に楽園的で、イタリアン・ドリームを体現する曲だと思う。この編集版に収録されたどの曲も基本的には闇よりも光、屋内よりも屋外、閉鎖的より開放的といった印象を持ち、激しく打ち付けるビートではなく快楽的なフレーズで多幸感に満たす前提があり、それが正に白昼夢に溺れる感覚に繋がっているのだろい。楽園へようこそ…というタイトルに嘘偽りはない。





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Niko Marks - Day Of Knowing (Planet E:PLE 653781-2)
Niko Marks - Day Of Knowing
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特別な注目を集める事は多くはなかったが、デトロイト・テクノ/ハウスと呼ばれるシーンの中では特に楽曲制作を力を入れて大量に作品を残しているNiko Marks。自身のU2X ProductionsからはCDRや配信で毎年のようにアルバムを送り出し、Planet EやDelsin等からもEPのリリース歴があるなど、その知名度の低さとは逆に安定して音楽制作を行っている信頼に足るアーティストだ。本人はキーボードをプレイし歌唱も披露するなどDJ気質ではなく完全にアーティストであり、その為か音楽性もテクノやハウスのみならずジャズやファンクまでも網羅する、つまりはデトロイトのモーターシティーとしての音楽を十分に理解している事もあり、デトロイトのアーティストとしてはもっと注目を集めてもおかしくはない。ならばこそ、このPlanet-Eからリリースされたアルバムはその契機にも成りうる筈で、事実ここには前述の豊かな音楽性が閉じ込められている。アルバムの始まりである"Crank Shaft"からしてキーボードの華麗なコード展開を強調したハウスであり、背景にはコズミックなSEが散りばめられつつぶいぶいと唸るベースやシンセからはファンクの要素が感じられ、実にエモーショナルに展開する作風がアーティスト性を表している。本作で面白いのはリミックスも収録されている点で、Icanとしても活躍するSantiago Salazarがリミックスした"Day Of Knowing (Santiago Salazar Remix)"は情緒的なピアノの音色を活かしながらもスムースな4う打ちでぐっと熱量を増したソウルフル・ハウスを聞かせるが、 原曲の"Day Of Knowing (Original)"はぐっと勢いを抑えてジャジーなリズム感がある事でバンド風なアレンジが黒人音楽のルーツを掘り起こすようだ。本作には以前からコラボを果たしているCarlos Nilmmnsも制作に参加しており、その一つである"Elle Est Une Danseuse A Minuit"は快適なハウスの4つ打ちに合わせて流麗なシンセのコードの響きがのびのびと広がるような効果をもたらし、上下に軽快に弾けるグルーヴを刻む。また"Many Other Places"のように夜っぽい艶のあるダークなテック・ハウスや、耽美な音色を聞かせるエレピが軸になるジャジーファンクなハウスの"Thrill Of The Chase"など、曲毎にキーボーディストとしての力量を発揮しながらエモーショナルな要素を込めている。デトロイト・テクノ/ハウスが好きな人ならばこのアルバムはきっと気に入る事は当然として、これからデトロイトを聞く人にとってもそこにあるソウルやエモーションを感じるにはうってつけだ。



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| HOUSE12 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Akufen - EP (Karat Records:karat 57)
Akufen - EP

途中でHorror Inc.名義でも作品を出しているのでご無沙汰という訳でもないが、Akufen名義としては実に5年ぶりとなる新作をリリースしたMarc Leclair。00年代初頭のクリック・ハウス全盛時の牽引役としてマイクロ・サンプリングなる手法でぶつ切りサンプリングを用いたファンキーなハウスを開発したアーティストだが、精神面での悪化により一時期は全く音楽活動を行っていない時期もあった。しかし近年のHorror Inc.も含めて再度シーンへと返り咲くように良質な作風は戻ってきており、そしてこの最新作にてアーティストとして全盛時にも劣らない程のマイクロ・サンプリングを披露して完全な復活した事を示しているようだ。ここに収録された曲はネットでのライブ映像を見る限りでは2015年頃にはプレイされていたのだが、ようやくリリースされただけあってどれも実にAkufenの本領発揮と言わんばかりの作品だ。"U"かしてあちらこちらに飛散するような可愛らしいメロディーとボーカル・サンプルを用いてファンキーなグルーヴを生んでいるが、そこに荘厳なストリングスが入ってくると途端にぐっとエモーショナル性を強めたり、同じ曲の中での雰囲気の変化も面白い弾けるダンス・ミュージックだ。最もAkufenの典型的なぶつ切りサンプリングの妙技を楽しめるのは"Death Of A Mascot"だろうか、序盤からぐるぐるとロールするような奇怪な旋律が躍動し、そして跳ねたシャッフル系のリズム感と細かく刻まれた有機的なサンプルが現れると一気にファンキーさとコミカルさを纏って躍り出す。対して"Make Bagels Not War"も様々なサンプリングが登場するも、音調としてはマイナーで妖艶なベルの音が真夜中のムードに染めるようだ。そしておどろおどろしい上モノが不気味な"Seizure Salad"はやや前のめり気味な勢いがあり、コロコロとした転げ落ちるようなぶつ切りサンプリングと合わせて大胆な躍動感を感じさせ、フロアにおいて力強く揺さぶるのに適しているだろう。どれもこれもAkufenらしい大量かつ繊細なサンプリングの導入と、跳ねて弾けたリズム感が炸裂したとびっきりにファンキーなハウスで、文句無しにこれぞAkufenだと言えるだろう。



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| HOUSE12 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Various - Dance 2017 (Secretsundaze:SSXCD004)
Various - Dance 2017
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Giles Smith & James Priestleyによって主宰されているロンドンのSecretsundaze、同名のサンデー・アフタヌーン・パーティーとしても定着しているパーティー兼レーベルは、今までにその二人によってパーティーの雰囲気をパッキングしたであろうMIXCDをリリースしてきたが、この度初のレーベル・コンピレーションを纏め上げた。彼等の説明に拠れば「'80年代後期から'90年代かけてのダンスコンピレーションのタイトルに因んで付けた」との事だが、その内容は90年代とはかけ離れた現在のテクノやハウスを収録しており、一部の曲を除いてレーベルが過去に発表した曲の編集であるから正にレーベル・ショーケースなのだ。レーベルから3枚のEPをリリースしている事から特に信頼を得ているであろうEthyl & Floriは、音数を絞ったハウシーな4つ打ちに憂いを感じさせるエレピを展開させた”Shelter"を提供しており、非常にシンプルではある作風だが丁寧に情緒的な空気を作っている。今や売れっ子の一人であるハウスDJのBrawtherによる"Spaceman Funk (Deep Club Mix)"も同様に無駄の少ないハウスだが、こちらは跳ねるような軽快な4つ打ちに疾走感がありその上でふんわりとした浮遊感ある上モノを被せる事でよりグルーヴの走りが強まっている。Wbeezaによる"Ferguson"は特に勢いのあるツール的な曲で、これもハウシーな4つ打ちではあるもののカチッとした硬いリズム感で疾走する意外にもハードさもあり、ミニマルなトラックとの相性も良さそうだ。喜ばしい事に未発表も収録されており、エグいアシッド・サウンドが侵食しつつ情緒的なストリングスで仄かに優美さの映えるディープ・ハウスの"Baia 2012 (Aybee's Solar Dub)"や、またネタとして有名な"Little Sunflower"をサンプリングしたFred Pによる花弁が静かに花開くような優雅さを聞かせるハイテックな"Trust"と、これらもSecretsundazeのアーバンかつモダンな作風が根付いている。他にも激しくビートが躍動するテクノや朗らかなムードが広がるジャジー・ハウスも収録されており、思っている以上にジャンルとしての幅は広いもののレーベルの音に対する確かな嗅覚を感じ取れるであろう良作揃いで、流石15年以上も同名パーティーを続けているだけの経験に培われた音楽センスだ。尚、Disc2は曲順も同じままに軽くミックスされた物だが、これは特に必要性はないのでは?と思う。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Harvey Sutherland - Harvey Sutherland (Music 4 Your Legs:MFYLR002)
Harvey Sutherland - Harvey Sutherland
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日本への再来日ライブが間近に迫っているオーストリラリアはメルボルンのHarvey Sutherland。何と言っても2015年にMCDEからリリースされた『Bermuda』でのシンセブギーな作品でその知名度を一気に高めて、今や世界各地でDJではなくライブアーティストとしてツアーを行う程になっている。残念ながらアナログ中心でのリリースのため聞く機会が少なかった人もいたであろが、ここ日本では幸いな事に今までにリリースされたアナログから8曲を纏め、更に未発表曲2曲を追加して本アルバム化された。本人はキーボードをプレイする演奏家であり、最近ではドラマーや弦楽器奏者とのセッションも行う事でより昔のブギーなディスコ色を強めて、現在の機能的なダンス・ミュージックとの親和性もありながらソウルフルな感覚を生み出している。特に近年の曲になればなる程その楽曲性の豊かさは増しており、生ドラムを導入した"Bravado"はヴィンテージなアナログ・シンセの艶のある音色も気持ち良いものだが、途中からゴージャス感を強めてシンセ・ファンクやディスコのバンド風な一体感を見せて盛り上がっていく展開は実に華々しい。MCDEからリリースされら"Bermuda"も光沢のあるシンセに耽美なエレピにストリングスなどふんだんに艶のある音を用い豊かな色彩を見せ、ジャジーなドラムが軽快なグルーヴを生み、うきうきとしたブギーな雰囲気に包まれる。ただプレイヤーではありながらも過剰に広げ過ぎない事も現在のダンス・ミュージックに沿う点であり、"Bamboo"でも美しい電子ピアノやざっくりした生のドラムを用いたジャジーな要素はあるが、シンセやドラムにしても基本は程々にミニマルな展開であり、そこからドラマティックに盛り上げていく構成の上手さがある。また未発表曲の"Lovenest"はいつ頃の作品かは不明だが、昔のディスコのダブ的要素も用いて他の作品とはやや毛並みが異なっており、落ち着いた空気の中にしんみりとした切ないシンセを加える辺りはHarvey Sutherlandのエモーショナル性が発揮されている。どれもこれも演奏家としての作曲性に裏打ちされたメロディーや構成と展開があり、当然ライブでこそ聞きたくなる豊かな音楽性を秘めているからこそ、こうしてアルバム化されて纏めて聞く事が出来るのはありがたい。素晴らしい企画作品である。







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| HOUSE12 | 11:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Tornado Wallace - Lonely Planet (Running Back:RBCD09)
Tornado Wallace - Lonely Planet
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にわかに注目を集めるオーストラリはメルボルンのダンス・ミュージック、その中でもバレアリックやディープ・ハウス方面で特に人気があるアーティストがTornado Wallaceだ。Delusions Of GrandeurやInstruments Of Raptureからは黒さも滲むディープ・ハウスを、Beats In SpaceやESP Instituteからはバレアリック的な開放感のあるハウスをリリースし、そしてまたアシッド・サウンドを用いた荒々しい曲も制作する傍ら手腕を買われJose Padillaのアルバム制作にも参加するなど、忙しない程に活況な音楽活動を見せている。初めてEPをリリースしたのが2010年なのだから初のアルバムまでに7年もかかってしまった訳だが、ようやく期待の作品が届けられた。7曲で36分とボリュームは少な目ではあるもののその内容は集大成として感じられ、今までに彼が展開してきた作風が一つのアルバムに纏まっている。始まりはアルバムタイトルである”Lonely Planet”からで、環境音らしきサンプリングを交えた壮大な旅を予感させるおおらかな展開で、土着的なドラムやパーカッションも加わったかと思いきやメランコリーなシンセによってバレアリック・ジャーニーへと誘い込まれていく。続くもダウンビートながらもロウなリズム感や残響広がるギターを用いてエキゾチック感をアピールした"Trance Encounters"は、音の伸びが開放感へと繋がりゆっくりと見知らぬ異国へと旅立つよう。"Today"はボーカリストのSui Zhenをフィーチャーした歌モノだが、何かパンチのあるキックやスネアに懐かしいアナログシンセ風サウンドは80年代風のポップスを思わせる面もあり、それが懐かしさを誘い出す。小気味良いグルーヴ感ながらもその上をゆったりと流れる大らかなシンセ、"Warp Odyssey"は典型的なバレアリック・サウンドであり、リラックスした空気が通底する。その流れに乗って感動がピークへと達するのが"Voices"で、尺八らしき和の音に哀愁のギターサウンドと透明感のある電子音が繰り広げる嬉々とした世界観、途中からはしっとりとしたドラムやアシッド・サウンドも加わって、ドラマティックな映画のサウンド・トラック的な流れも。アルバムを通して聞いてみた後にはニューエイジ的な思想も感じられ、現代から先祖返りしたような原始的なムードもあり、その懐古的な響きがバレアリック感を更に強めていたのだろう。昼間から現実逃避をして心地良い夢に浸れそうなアルバムである。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Prins Thomas - Principe Del Norte Remixed (Smalltown Supersound:STS294CD)
Prins Thomas - Principe Del Norte Remixed
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コズミック系やニュー・ディスコと呼ばれる音楽では特に人気を博すPrins Thomasが、そこからアンビエントへと向かった大作『Principe Del Norte』(過去レビュー)はクラウト・ロックやテクノも取り込み、意外性だけでなく音楽的な豊かさを見せつけた傑作だ。コズミックな要素のあるニュー・ディスコにアンビエントの夢想やクラウト・ロックのサイケを合成し、ダンス・フロアだけに囚われない表現の拡張を行い、アーティストとして更に高みに達する事に成功した。そしてその延長上に待っていたのは世界各地から実力はアーティストを招いたリミックス集で、アンビエントマスターのThe Orbやミニマル・ハウスの重鎮であるRicardo Villalobos、フレンチ・ハウスからはI:CubeにRunning Back主宰のGerd Janson等がそれぞれの作風を活かしつつオリジナルを尊重したり、又は個性的に染め上げたりして自由なアルバムになっている。オリジナル盤を活かしたと言う意味ではやはりThe Orbによる"H (The Orb Orbient Mix)"がまっとうで、無重力空間を演出する電子音が浮遊してノンビートながらも心地良いうねりのグルーヴを生んでいくアンビエント・ダブは、音楽的な相性の良さもあり期待通りのリミックスだ。ユニークなリミックスを披露しているのはサイケ・プロジェクトであるSun Arawによる"B (Sun Araw Saddle Soap Remix)"で、多幸感あるギターサウンド等ニュー・ディスコの面影は残しつつも、何処かコミカルな電子音がふざけたようなユーモアとなっており、気の抜けた牧歌的サイケを展開する。原曲は13分もあった大作の"C"だが、メランコリーで湿り気を帯びたディスコ・ハウスへと変化させた"C (I:Cube Remix)"、オリジナルのバレアリック感に優しくアシッドベースを加えて多幸感を増長させた"C (Young Marco Remix)"、そして完全に贅肉を削ぎ落として自身のスカスカなツール性重視のミニマルへと仕立てあげた"C (Ricardo Villalobos King Crab Remix)"と、三者三様のリミックスは比較しても面白いだろう。勿論それらのみならずThomas自身による未発表曲も秀逸で、多幸感に満ち溢れた緩過ぎるアンビエントから弛緩しながらも眩い輝きを放つニュー・ディスコまで披露し、『Principe Del Norte』の世界観がここに継承されている事は明白だ。リミックス集としての面白みは当然だが、Thomasによるアンビエントへの傾倒が一時的なものではない事に期待が膨らんでしまう。



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| HOUSE12 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
EMMA HOUSE XX Non Stop Mixed By DJ EMMA 30th Anniversary (Universal Music:UICZ-9075)
EMMA HOUSE XX Non Stop Mixed By DJ EMMA 30th Anniversary
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1985年にDJ活動を開始してから芝浦GOLDやSpace Lab Yellow等伝説的な箱でレギュラーパーティーを開催し、また早くからクラブの臨場感を宅内でも体感させるMIXCDの制作に積極的に取り組み、現在も尚シーンの最前線でDJとしての生き様を見せるEMMAは、日本のダンス・ミュージックに於ける生き字引の一人と呼んでも過言ではないだろう。本作は2015年にDJ活動30周年を迎えた事を記念するMIXCDであり(リリースは2016年10月)、またシリーズとしても20周年目の通算20作目と、記念づくしの『EMMA HOUSE』シリーズの最新作である。彼の音楽を現す『EMMA HOUSE』にはハウスという言葉が使われているが、決してハウスだけではなくテクノやロックにアシッド・ハウスまでも網羅した分け隔てないダンス・ミュージックのプレイが前提であり、当然本作もそんな彼のクラブに於けるプレイがそのまま閉じ込められている。Disc1は彼の音楽性では最も特徴と思われるソウルフルなNYハウスの"A Deeper Love (A Deeper Feeling Mix)"で始まり、いきなり胸を熱くするソウルフルな歌によってぐっと引き込まれていく。続くピアノの華やかなコード展開に盛り上がるピアノ・ハウスの"Soul Roots (Piano House Mix)"、現在形のロウでトリッキーなハウスである"Looking 4 Trouble"から90年代のハードなハウス時代を象徴する"Jumpin"へと繋がれるなど、ある種のクラシック的な趣きでがつがつと攻める前半。そしてEMMAの中で再燃するアシッド・ハウスの勢いを爆発させた"Acid City"から"The Original Disq Clash (DJ EMMA Jesus Remix)"へと流れは正に現在と言う時代性も含んでおり、そこからイタロ・ディスコ名作の"Chase"やハードロック・バージョンの"I Feel Love"へと古き時代に戻り懐かしさを誘いつつ、ラストにはこれまたハウス・パーティーでは定番とも言える"You Are The Universe (Curtis & Moore's Universal Summer Groove)"で幸せなパーティーの空間を共有する雰囲気を作って上手く纏めている。Disc2も古き良き時代のゴスペル・ハウスやレイブ・アンセムから現在のバレアリック・ミュージックやソウルフル・ハウスまで、過去と未来を同列に混在させる選曲で実に感情的に実にドラマティックに聞かせるプレイで、これこそEMMAの魂を震わすDJなのだ。驚くべき展開は無いかもしれない、流行を意識する事もない、そんな事に頼らずともクラブでのパーティーで培われた経験を元に実直に音楽に向き合った結果、真っ直ぐにプレイする事が感情が最もダイレクトに伝わる事を証明しているかのようだ。

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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Sleazy Mcqueen & The Solid Gold Band - Huit Etoiles (LPH WHITE:LPHWHTX)
Sleazy Mcqueen & the Solid Gold Band - Huit Etoiles
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リエディットやニュー・ディスコ/ブギー系の音楽では一頭地を抜くWhiskey Disco、それを主宰するSleazy Mcqueenの新作が同じくリエディット系では定評のあるLet’s Play HouseのオフシュートであるLPH WHITEから到着。普段はこのアーティストの作品を追い求めているわけではない筆者が本作を手にしたきっかけは、リミキサーに瀧見憲司&神田朋樹、つまりはBeing Boringsや、Running BackのオーナーであるGerd Jansonが参加しているからであり、音楽的な共通点もあるSleazyに期待を込めて購入をしてみたのだ。先ずはオリジナルである"Huit Etoiles"、どっしりもっさりとした4つ打ちグルーヴに合わせてファンキーなギターカッティングを被せ、そこからしとやかなピアノソロも交えてブギー&ファンキーに安定感を持って突き進むニュー・ディスコは、この手の音楽では王道にも聞こえる程だ。何か目新しさがあるわけではないが、低い重心と煌めく上モノが奇を衒う事なくニュー・ディスコの魅力を存分に発揮している。Being Boringsによる"Huit Etoiles (Kenji Takimi & Tomoki Kanda Remix)"は原曲より武骨で厳ついキックへと変化させる事で野太く野性的な荒さを身に纏い、更には原始的な雄叫びも加える事でシカゴ・ハウス的な方向へと振れたサイケデリックかつハードな作風へと予想外のリミックスを披露し、このパワフルさはピークタイムへも嵌るのではと思わせる。対してGerd Jansonによる"Huit Etoiles (Gerd Janson Remix)"はよりディスコ的と呼ぶべきか、生っぽく湿ったキックを活用しつつもエレクトロニックに輝くシーケンスによってモダンさも兼ね備えたドンシャリ系ディスコで、オリジナルよりドライヴィング感を増している。三者三様の作風だが、やはりその強烈さで言えば瀧見&神田のリミックスが印象に残るだろう。Sleazyによるもう一つの新作である"Galway Jam"もうねり脈動するベースラインやディスコでよく聞かれるコズミックなSEの挿入により、古き良き時代の感覚を今に蘇らせたようなクラシカルなディスコで、うきうきと気分が上がるトラックで良い出来になっている。



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Claes Rosen - Kvasten I Hornet (Local Talk:LT073)
Claes Rosen - Kvasten I Hornet
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スウェーデンを代表するハウスレーベルにまで成長したLocal Talkというある種のブランドが背景にあるとしても、本作はディープ・ハウス好きならば注視せずにはいられないだろう。L-WIZと言うユニットではダブ・ステップをルーツ・レゲエも取り込んだダブ・ステップを披露し、そしてこのClaes Rosenのソロ活動ではデジタル配信を軸にギラついたプログレッシヴ・ハウスから近年は洗練された優雅なディープ・ハウスへと移行しているアーティストの新作で、特筆すべきは2000年代のディープ・ハウスのシーンを席巻したドイツのNeedsが久しぶりにリミックスを提供している事だ。近年はNeedsの一人であるLars Bartkuhnの活動ばかりが目立っていたが、Needs名義がその実Larsによるものかどうかは抜きにしても期待せずにはいられないものだ。それはさておきClaesによる"Kvasten I Hornet"もLocal Talkの名に恥じぬ明るく親和性の高いディープ・ハウスで、フュージョンを思わせる躍動感あるシンセのメロディーとブギーな4つ打ちでどっしり安定したグルーヴを生み、そこに開放感に繋がる広がりのあるコーラスや青々しいサウンドも被せて新鮮な爽快感が満ちる作風は正にレーベル性に沿っている。プログレッシヴ・ハウスを手掛けていたアーティストがこうもモダンに様変わりするのは意外だが、メロディアスな部分では以前からそう変わっていないのかもしれない。さて、本作の目玉である"Kvasten I Hornet (Needs Remix)"は原曲よりも派手さを抑えておしとやかなエレピのコード展開で控え目なエレガンスを展開しつつ、しかし弾けて空気感溢れるパーカッションを大胆に用いるのはNeedsの十八番と呼ぶべきか、この繊細で精密な構成と上品な耽美な世界観は確かにNeeds以外の何物でもないだろう。酔いしれて白昼夢に溺れるような快適性に優れており流石のディープ・ハウスだが、今になってNeeds名義を用いた事に今後の活動が何かあるのかと期待せずにはいられない。



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