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Hardfloor - The Business Of Basslines (Hardfloor:HFCD 05)
Hardfloor - The Business Of Basslines
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アシッド大将軍、アシッド・ハウスの伝統工芸士、アシッド・ハウスの金太郎飴、彼等を表現するのであればそんな言葉が相応しい。それが25年にも渡り我が道を行くを体現するOliver BondzioとRamon Zenkerによるジャーマン・テクノのユニットであるHardfloorであり、シカゴから生まれたアシッド・ハウスの再評価に貢献した重要な存在だ。時代に左右される事なくTB-303の魅力に取り憑かれた彼等はその名機と心中する事を選んだ結果、それが彼等のオリジナル・サウンドとして確立され、この音楽の第一人者として今も尚君臨する。本作は本来2016年に25周年記念盤としてリリースされる予定が延期となり2017年の今ようやく世に放たれたのだが、彼等にとって当たり前と言えば当たり前なのだが本作も全編TB-303を駆使したアシッド・サウンドが貫きつつ、しかしそれだけではない円熟味を発揮したバラエティーに富んだ音楽構成は予想以上に素晴らしくある。初っ端の25周年アシッド記念をもじった"25th Acidversary"、ここからしてシャッフルするファンキーなリズムと膨らみのあるアシッドのベースラインがうねり、そこにトランシーな上モノが快楽的に延びていくのは、オリジナルのシカゴ・ハウスとベルリンのジャーマン・トランスの融合と呼べるだろう。勿論そんな直球な曲だけではなく、タイトル曲の"The Business Of Basslines"では詰まったようなエレクトロ・ビートでは渋みも感じさせ、かつてのヒップ・ホップへ傾倒したDa Damn Phreak Noize Phunk名義の系譜に連なる官能的で色っぽくもあるブレイク・ビーツを刻む"Gypsi Rose"など、アシッド・ハウスを変わらぬ武器としながらもそこからの拡張性には目を見張るものがある。"Computer Controlled Soul"や"Neurobot Tango"に至ってはKraftwerkや、それどころかデトロイトのダーク・エレクトロの真髄であるDrexciyaの鋭利なリズムを思い起こさせ、アシッドの不気味なトランス感との相乗効果は覿面だ。そして日本盤のみのボーナストラックは『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』の為にとHardfloorが新たなアレンジを施した"Acperience 7"、彼等の活動を代表するあの大名曲がバージョン5を飛び越し7として生まれ変わっており、当然の如く攻撃性の高くエグいアシッド・ベースが脈打つファンキーかつトランシーなアシッド・ハウスは完全に彼等の音だ。ユニットが25年も活動していればパワーが落ちるのも珍しくはないが、それどころかハイエナジーで更に表現力に磨きをかけた彼等の前に太刀打ち出来る存在はいない。Hardfloorを越えていくのはHardfloorのみ、アシッド・ハウスの金太郎飴もここまで徹底すればそれは代用のきかない魅力となるのだ。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Ron Trent Presents Prescription Word, Sound & Power (Rush Hour Recordings:RH RSS 020 CD)
Ron Trent Presents Prescription Word, Sound & Power
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レコードショップとして、レーベルとして、ディストリビューターとして今や特定のジャンルではなくダンス・ミュージックの界隈の中では特別な存在として賞賛を一身に受けるRush Hour。特に近年の功績の一つには時代に埋もれてしまった、しかし輝きを今も尚放つ過去の作品の発掘があり、例として寺田創一のコンピレーションは寺田の再評価を決定付ける作品になるなど、音楽への嗅覚は類まれなるものだ。そんなレーベルが自信を持って送り出したのが、Ron TrentとChez Damierがかつて共同運営していたPrescriptionのレーベル・コンピレーションであり、シカゴの初期ディープ・ハウスを象徴するサウンドが詰まっている。現在まで多大なる影響を残すハウスのレーベルであり、時代に埋もれたどころか余りにも有名な存在ではあるが特に初期作品はレアになっている物が多く、ここにそういった名作を纏めた仕事を完遂したRush Hourに対し頭が下がる思いだ。そしてここに収められた曲は広義の"ハウス・ミュージック"ではあるが、それらを一括りには出来ない程に深い広い音楽性を持っている。DamierとTrentによる永遠の名曲"Morning Factory"は、パーティーの夜明けの時間帯に疲労感の中で優しい瞑想へと誘うアンビエント感たっぷりなディープ・ハウスで、ねぼけまなこな陶酔感が続く。発売当初はタイトルの無かった"Don't Try It"、ソウルフルで深く美しいボーカル・ディープ・ハウスは胸を締め付ける程に感情的だ。その一方でミニマル・ハウスのDJが実際にプレイをする"I Feel The Rhythm"は、Ronらしい優美な装飾性もありながらミニマルとしてのグルーヴ感もあり、機能面での実用性も高い。勿論アフロな要素も持っているRonにとっては、盟友Anthony Nicholsonとの共作である"Soul Samba Express"において土臭く生々しいリズム/パーカッションを得意気に披露しつつ、流麗なシンセやピアノによって飛翔感あるディープ・ハウスを展開。セクシーな歌とアンビエンス度の高い艶のある"The Answer"、切れのある跳ねるような4つ打ちのファンキーかつエモーショナルな"The Choice"と、歌物ハウスに於いても時代に左右されない普遍性と抜群のメロディーセンスを披露しており、ある種ディープ・ハウスの王道を確立させたような感もある。収録されている曲全てが当然ではあるが捨て曲無し、そしてここには未発表曲も収録されるなど、シカゴ・ハウスやRonにPrescriptionのファン、いやそれより広くハウス・ミュージックのリスナーであれば是非とも聞いて損は無いコンピレーションだ。



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| HOUSE12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Blak Punk Soundsystem - Red Cloud (Future Vision World:FVW005)
Blak Punk Soundsystem - Red Cloud
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レーベルとしてFuture Visionを主宰しつつ MusicandPowerやElectric Blueなるシリーズも立ち上げて、毎月のように新作をリリースする脅威の量産体制に入っているシカゴ・ハウスの大ベテランであるRon Trent。そのリリースのペースに追い付けず、また量産体制が故に曲毎の目立った特徴もやや失われた感もある状況で、悔しいながらも購入せずにスルー事も少なくない、しかし本作はそんな中でも試聴して耳に留まった作品で、前述のレーベルから更に派生したFuture Vision WorldからのリリースはBlak Punk Soundsystemなるアーティスト名は聞き慣れないものの、実はRonの変名プロジェクトだそうだ。だからと言って各レーベル、各名義毎に一体音楽的な差異がどうあるのかというのは聞く側からは判断は及ばず、実際に"Red Cloud"に関して言えばこれは完全にRonの音である事は明白だ。水飛沫が弾けるような疾走する4つ打ち、そこにコンガらしき細かいパーカッションの土着的な乱れ打ち、控えめに用いられた煌めきのある延びるピアノ、そして空へと消えていくディレイの効いた呟き、9分にも及ぶ大作ながらも大きな展開はなく常に爽快感を帯びて駆け抜けていく。優美で華麗なRonらしい響きがありいつもの作風から大きく外れてはいないが、しかし感情の起伏が抑制されて淡々とグルーヴを刻む事に徹した風合いが本作の特徴か。しかしお勧めなのは"BPS Dub"の方で、ダウンテンポで柔らかなダブ・グルーヴに薄く淡く夢心地なパッドが被さっていき、甘い吐息にも似た呟きや霧の中でこだまするようなギターディレイなどが、未知なる世界が広がる神秘の場所へと連れていくディープ・アンビエント・ハウス。幾重にも反射するパーカッションの響きや微睡みを誘うぼんやりとしたパッドが広い広い空間演出に繋がり、当てもなく幻想の中を彷徨う雰囲気は踊り狂ったパーティー最後の朝方に訪れる癒やしの時間帯。近年はジャジーやアフロにフュージョンを持ち味にアッパーなハウス中心ではあったが、このメディテーション的な作風もRonの個性の一つであり、かの名曲"Morning Factory"を思い起こさせる。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Stump Valley - 森林 (Dopeness Galore:DG 15 001)
Stump Valley - 森林
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イタリアの若手アーティストであるStump Valley、2014年にデビューを果たしNo 'Label'やOff Minor RecordingsにUzuriといったレーベルからジャズやアンビエントの要素を取り込んだディープ・ハウスを手掛けており、特にロウで生っぽい質感が艶めかしい作風に繋がっている。音楽的な注目は集めつつも、しかし二人組のユニットであるという事以外は余り情報がなく、そのミステリアスな存在感が故に余計に興味を抱かせる。新作はオランダのDopeness Galoreからで同レーベルにはAndrax Foxも並んでおり、牧歌的な雰囲気での共通点は良い方向に働くだろう。タイトルは漢字で『森林』と名付けられているが何でも「禅」の精神をコンセプトにしているそうで、それが本作の享楽とは真逆の侘び寂び的な作風に繋がっているのだろう。レトロな響きのあるシンセが可愛くも切ないメロディーを奏でてのんびり闊歩するようなディスコ調なハウスの"Monkey Flutes"は、そのスローなビートもあってゆっくりと肌に染みるような哀愁に胸が締め付けられる。笛の音が牧歌的に用いられニューエイジらしい"Interlude"を挟み、ロウで乾いたキックやパーカッションによって質素な雰囲気を作りつつ朗らかで透明感あるシンセサウンドに微睡む"Tales Of Heike"は前述のAndrax Foxにも通じるものがある。力強いスラップベースとコズミックなシンセによるシンセ・ファック調の"Pagoda Forest"は古き良き時代のディスコの懐かしさを感じさせ、静謐さのある美しいシンセが官能的な"Black Sun (Above Japan)"は比較的ディープ・ハウス寄りの作風だがレトロな味わいもあり、そして最後はインダストリアルとダブの荒廃した音響による"Tokio Robot Rise (Mtrpls Shibuya Mix)"でガラッと不吉な空気へと変容する。基本的にはリラックスした感覚が続いて、真夜中のダンスフロアではなく都会の喧騒から離れた長閑な田園が広がる牧歌的な世界観、それはバレアリック的でもありアンビエント的でもあり心に安らぎをもたらす一枚だ。



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| HOUSE12 | 17:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Lars Bartkuhn - Elysium (Neroli:NERO 037)
Lars Bartkuhn - Elysium

近々Needs名義で送り出したハウス・クラシックのニューバージョンをリリースする予定だったりと、Needs復活の兆しが感じられるが、その活動の中心にいるのがLars Bartkuhnだ。本人はギターも弾く演奏家であり、ダンス・ミュージックだけにこだわらずフュージョン的なバンド体制での活動も行ったりと、ジャンルに固執する事なく作曲家としての才能を光らせる。そして本作は以前にもリリース歴のあるイタリアはNeroliからの目下最新作であり、Bartkuhnと言うよりはもはや00年代のNeeds名義の作品と言われても信じてしまう程に、非常にNeedsらしい音楽だ。A面を丸々使用した13分にも及ぶ"Full Experience"、端正なハウスの4つ打ちから始まるとジャズやアフロの感覚も含んだパーカッションも鳴り、そしてNeedsらしい耽美で優雅なピアノやホーン、煌めくようなシンセがゴージャスかつ繊細に彩っていく。遠くで薄っすらと鳴るような透明感ある電子音、情熱的なホーン等のソロパート、ジャングルの息遣いを感じさせる動物の鳴き声のサンプル、色々な音が情報となって盛り込まれているがそれが過剰になる事はなく、長い長い曲の中でドラマティックに展開していくのだ。プレイヤーとしてのバックボーンが反映されクラブ・ミュージックではありながらもコードや展開を重視し、(当然ミックスに使用されるべき曲だが)一曲そのもので完結してしまう音楽的な豊かさがあるのだ。"Inner Experience"はオリジナルを研磨し慎ましく落ち着いた作風にする事で、派手さよりも叙情性や生っぽい温かさが際立つような作風だ。そして"Paradise Dub"はダブという名の通りパーカッシヴなリズムが強調されて軽快なアフロ・ハウスらしくもありつつ、しかしサクソやシンセ等のソロパートも生き生きと躍動する事で楽園的な多幸感を得ている。どのバージョンも異なる視点から考えられた作風ではあるが、そのどれもがDJとして使うにも十分な機能性を保持しつつ、そして単にDJツールに留まらない音楽性も持っているからこそ、それはつまり"Needs"(必要とされるもの)なのだろう。文句無しに素晴らしいアフロ・フュージョン・ハウス。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Various - Silent Movie Sounds IV (Rough House Rosie:RHR 012)
Various - Silent Movie Sounds IV
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レーベルのトレードマークにサイレント映画時代の女優クララ・ボウを用いたケルンのRough House Rosieは、比較的新興勢力を中心に機能性とアンビエント性の高いディープ・ハウスを打ち出して独自性を確立し、新世代のレーベルに於いては一目置く存在となっている。さて、前述のサイレント映画に関連してなのかレーベルは当初から『Silent Movie Sounds』シリーズなるレーベルサンプラーを制作しており、日本人を含む世界各地のアーティストの作品によってレーベルの方向性を紹介しているのだが、本作はその4作目。日本からは以前にも同レーベルのコンピに曲を提供したMiruga、セルビアのNemanja Krstic、ベルリンで活動するThe Lady Blacktronika、ロシアからSeal Bientと世界各地から知名度だけに依らずに良質なトラックを送り出す事を前提に4人の作品が集められた。Nemanja Krsticの"Bass Odyssey"はシカゴ・ハウス系のカタカタ乾いた味気ないリズムと、そして対照的にダビーで豊潤な響きを持つ上モノをアンビエント的に用い、ゆったりとしながらも開放感のあるディープ・ハウス。The Lady Blacktronikaの"Ringo Oiwaka Heaven"はそのタイトル通りに"りんご追分"の歌をサンプリングしたメロウと面白さがあるが、かと言って和的になるでもなく寧ろRough House Rosieらしいミステリアスで霞掛かったディープ・ハウスは、風景が揺らぎながら幻惑させられるトリップ感が強い。Mirugaはダビーな音響によって層になったような奥行きを作りつつ、中盤からは霧が立ち込める幻想的なパッドが浮かび上がり秘密めいた感覚の中にエモーショナル性を込めた"White Moon"を提供。そしてSeal Bientは色味が失せて灰色のアブストラクトな荒廃した世界が広がる"Slavery"で、これも確かにRough House Rosieらしい深い音響がじわじわと侵食する機能的なハウスだ。レーベルが発足当初から継続させているシリーズだけにどのアーティストもレーベルの方向性に沿ったアンビエンスやディープな音響を発揮しており、単に名前だけで売れるような作品ではなくレーベルの目指す音楽を確かに指し示すショーケース的作品としての存在感を持っている。

| HOUSE12 | 16:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Newworldaquarium - Chubby Knuckles EP (NWAQ:ape 05)
Newworldaquarium - Chubby Knuckles EP

コンピレーション等への提供を除けば自身の新作としては実に8年ぶりとなるEPをリリースしたのはオランダのNewworldaquarium。Ross 154としても活動するJochem Peteriによるこのプロジェクトは、大胆にビートを落としてアンビエント性もあるスモーキーな音像で包み込む迷宮的ディープ・ハウスが特徴で、ヨーロッパからデトロイトのビートダウン・ハウスに対する回答の一つとも思っている。実際にPlanet-Eに作品がライセンスされリリースされそうになったり(結果的にはプロモのみ出回った)もするなど、鈍く黒光りするようなデトロイトらしさもあり、最近は活動していなかったせいで忘れ去られていた感もあるが実力に関しては嘘偽り無しの存在だ。本作は新作とは言いながらもどうやら過去に制作された未発表曲のお蔵出しのようだが、そのせいもあってか00年代のNewworldaquariumらしさが発揮されている。"Chubby Knuckles"は彼にしては比較的アッパーなハウスではあるが、湿り気を帯びたキックによるタイトな4つ打ちビートの上にお得意のサンプリング・ループを執拗に用い、軽やかなパーカッションやトリッキーな効果音を織り交ぜながら、土着的かつダーティーでファンキーな黒さのあるディープ・ハウスを展開している。がしかし、やはりNewworldaquariumらしい作品と断言出来るのは"42"の方で、感情が失われた如く機械的に錆び付いたキックを延々と刻、むスローなビート、そこに微妙に揺らめきながら幻惑させるアブストラクトなシンセが浮遊し続けるサイケデリックで抽象的なディープ・ハウスは、10分以上に渡って出口の無いラビリンスの中を彷徨わせる。殆ど抑揚の無い展開にもかかわらず、徐々に現実の時間軸から遅れを感じる遅効性の麻酔が効いたかのようなドープでトリッピーな音像が、長い展開だからこそじんわりと効いてくるのだ。久しぶりの新作は期待を裏切らないNewworldaquariumの個性が輝いており、この流れで新作も期待したいものだ。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Harvey Sutherland and Bermuda - Expectations (Clarity Recordings:CRC 02)
Harvey Sutherland and Bermuda - Expectations

MCDEからのリリースもあって一躍人気アーティストの仲間入りとなったオーストラリアはメルボルンからのニューカマー、Mike KatzことHarvey Sutherland。アナログ感とライブ感を前面に打ち出した音質や構成、ブギーやフュージョンからの影響も匂わせるハウス・ミュージックはDJ的と言うよりはアーティストとしての才能が感じられ、事実来日した際にもDJではなくキーボードを用いたライブを行っている。彼の音楽性を知るには今までの作品を纏めた『Harvey Sutherland』(過去レビュー)が最適だろうが、2017年の目下最新作である本作もライブプロジェクトであるBermuda名義となり、よりライブバンド性が打ち出た音楽性で期待を裏切らない。ドラムはGraeme Pogson、ストリングスはTamil Rogeon、そしてSutherland自身は当然シンセサイザーを演奏する体制で、最早ハウスと言うよりはディスコやファンクへの愛を実直に表現したような6曲が収録されている。キレのあるドラムビートから始まりアナログシンセの光沢感のあるメロディーが入ってくる"Clarity"は、特にメロディアスでディスコやファンクからの要素が現れている。すっきりと無駄の無い構成だからこそリズムが際立ち、優美な旋律に先導されてシンセのソロパートでのエモーショナルな展開が、ぐっと胸を締め付けるような情熱的な曲だ。ウニョウニョとしたシンセがフュージョンらしい"Why Look Back?"は軽いリズム感が軽快なビートに繋がっており、"Expectations"ではぐっとテンポを落としつつ広大な空へと広がるような透明感のあるシンセがバレアリック的だ。また弾けるようなノリのある"Coast 2 Coast"はP-FUNKぽい雑多感もあるが、優雅なストリングスやエレピ使いにうっとりと耳を惹き付けられる。そして哀愁のストリングから始まる"Spiders"は土着的なコンガを効果的に用いて、しっとり夜の色気に満ちたドリーミーかつバレアリックなダウンテンポに仕上がっている。体がうきうきと踊り出すダンス・ミュージックから耳を傾けて聞き入るリスニングまで、どれもこれもプレイヤーとしての力量に裏打ちされた音楽性が表れており、DJとして使うだけではもったいないツール性以上の豊かさに満ち溢れている。



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| HOUSE12 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Alton Miller Featuring Maurissa Rose - Bring Me Down (Sound Signature:SS065)
Alton Miller Featuring Maurissa Rose - Bring Me Down

デトロイトの伝説的なクラブとなっている"Music Institute"、そこのレジデントに名を連ねていた事からも分かる通りでデトロイトの最古参の一人でもあるAlton Millerは、同郷の他の華々しく輝く道を歩んでいるDJ/アーティストに比べれば地味で、良く言えば堅実に活動を続けるアーティストだ。デビューから25年以上は経過しているが音楽的な変化も然程なく、いやだからこそそのデトロイト・ハウスの普遍性が故にKMSやPlanet EにTrack Modeを含む多くの著名なレーベルのカタログに名があるのだろう。そして2016年、本当にようやくという思いだがSound Signatureのコンピレーションである『These Songs That Should’ve Been Out On Wax By Now』(過去レビュー)によって同レーベルから初のリリースを飾ったのだが、そこからのアナログカットの1枚が本作だ。Maurissa Roseをボーカルに起用した"Bring Me Down"は何てことはない所謂デトロイト・ハウスそのもので、Millerの変わる事のないソウルフルな音楽性が発揮している。ムーディーで優しいオルガンのコードから始まり、ざっくりと生の質感もあるジャジーなビートが刻み出し、そして華麗なシンセやエレピにや熱量を持った感情的なボーカルが絡みながらぐっと聞く者の心を熱くするソウルの塊だ。時代性や流行とは全くの無縁な、これこそMillerによるハウス・ミュージックと言わんばかりのオーセンティックな内容で、しかしSound Signatureの奥底に渦巻く熱量を隠し持ったようなレーベル性とも合致している。そして本EPでは嬉しい事にレーベル頭領であるTheo Parrishによる"Bring Me Down (SS Translation)"の異形なリミックスも収録されており、音の彫刻と言うレーベル通りな金属の塊を削り出したように錆び付いて鈍い音を強調した改変は正にTheoの音楽として生まれ変わっている。ざらついて粗雑な質感を持ったリズム、ドープで重い低音が蠢くベースライン、音が間引かれて隙間の目立つ構成と、オリジナルの正統派ソウルフル・ハウスとは方向性を異にするビートダウン・ハウスではあるが、しかし何故故により黒く染まり激情を含むのか。寂れて朽ち果てた中にも美しく花開くピアノの旋律は、しっとりと心を濡らす。オジリナル、リミックスそれぞれのアーティストの個性が的確に表現され、文句無しの出来だ。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jimpster - Silent Stars (Freerange Records:FRCD36)
Jimpster - Silent Stars
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ロンドンにてジャズやディープ・ハウスがクロスオーヴァーするFreerange Recordsと、そしてそこから漏れよりフロア志向なDelusions Of Grandeurと、その両レーベルでは世界各地の才能あるアーティストを長年に渡って送り出してきた良質なレーベルだが、そのレーベルの方向性を決めるのが主宰であるJamie OdellことJimpsterだ。DJでありレーベルのマネージメントも行い、そして過去にはインプロビゼーション・バンドであるThe Baysの一員のプレイヤーとしても活動するなど、その音楽性は正に彼が運営するFreerangeのように幅広く柔軟だ。そして当然と言うべきか彼によるこのニューアルバムはFreerangeというレーベル性を象徴するようでもあり、モダンなダンス・ミュージックを基調にしながらも様々な要素が詰め込まれている。アルバムはいきなり華麗なピアノが滴り落ちる"Migrations"で始まり、生っぽい質感も活かしたジャジーかつヒップ・ホップ感もあるざっくりしたビートで、生温かくしっとりとした質感が広がる。続く"Yansa"はエレクトロニックな響きも活かしたディープな味があるが、ビートを抑えながらしなやかに伸びるシンセ・ストリングスも用いて溜めを作っていて、DJならば一旦のブレイクに用いるような作品か。そして"Crave"ではボーカルも起用したフロア寄りの端正なディープ・ハウスを披露しているが、そうは言っても前作よりもしっとり情緒強めでソウルフルかつエモーショナルな成分が前面に出ている。"Sylvanshine"ではビートを入れる事はなく、手弾き風なエレピのフレーズや優美なシンセのシーケンスを用いて、激しいビートが飛び交うフロアの狂騒から離れるように白昼夢に浸らせる。また、乾いたタムの音が爽快感を生みメランコリーなシンセやピアノがバレアリック感に染めるスローモーなハウスオの"The Sun Comes Up"、グッとテンポを落として甘い吐息を吐くようなモダン・ソウルを展開した"Everytime"、フォークとエレクトロニカの中庸的な牧歌的ムード溢れる"Under Wraps"と、アルバムは自然と多方面へと広がりを見せている。そのどれもが優美で華麗、そして温もりで満たされる情緒がこれでもかと詰め込まれており、意識的にダンスフロアと言う枠を飛び越えて普遍的なリスニング性の方向へと向かっているようだ。ダンス・ミュージックである事に異論はないが、フロアの興奮や熱気とは別に耳をじっくりと傾けてシネマティックな世界観に引き込まれるドラマ性は、静寂が続く真夜中の部屋の中で聴きたくなる。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |