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Lord Of The Isles - Parabolas Of Neon (Firecracker Recordings:FIREC021)
Lord Of The Isles - Parabolas Of Neon

2016年の暮れにはESP Instituteから待望となる初のアルバムをリリースしたNeil McDonaldことLord Of The Isles。スコットランドからのこれからを担うアーティストの一人である事は間違いなく、ニューディスコからテクノにアンビエントやバレアリック等の多彩な音楽性を披露する事が、CatuneやMule MusiqにPermanent Vacation等一つのレーベルに絞る事なく幅広い活動をする事に繋がっているように見受けられる。過去にはShevchenkoやUnthankといったエジンバラのカルトレーベルであるFirecracker Recordings関連のレーベルからも作品をリリースしていたが、ここにきて今度はそのFirecracker Recordingsからミニアルバムをリリースした事で、その音楽活動はより活発になっている事を匂わせる。6曲が収録された本作はダンストラックもあればビートレスな曲もあり、ミニアルバムという体制の中でLord Of The Islesの多様性を表現している。"Sunrise 89"はTB-303のアシッド・ベースの音だろうか、毒々しくうねるベースラインも用いたアシッド・ハウスに接近したダンストラックで、ざらついて錆びたようなハイハットやスネアのロウな質感も相まって荒廃した風景を覗かせるが、Lord Of The Islesらしい流麗なシンセのメロディーは悲しげながらも情緒を漂わせる事でディープな雰囲気を作っている。そこから暫くは短い尺の曲が続くのだが、奇妙な効果音が吹き荒れる中に荘厳なパッドが浮かび上がるアンビエント・テイストな"Beatha"、逆に牧歌的でのどかな響きのポリシンセらしき音が教会の中でレクイレムを奏でるような"An Stuc"と、この流れは想像を刺激するシネマティックな音楽性も。そのままB面へと続いても透明感に満ちた綺麗な岩清水が溢れ出すようなシンセがトロトロと続く"Bryte"、荘厳で宗教的な神秘性が開花して美しいシンセストリングスに満たされる"Tocpe 28"と、ビートレスな作風ながらも静謐な壮大さが待ち受けている。そして最後はタイトルトラックである"Parabolas Of Neon"だが、ここでまた静かに4つ打ちを刻みだし控えめなアシッド音を下に悲しみの中から希望が湧いてくるようなバレアリック感溢れるアンビエント・ハウスを展開し、最後の最後で救われるようなアルバム構成だ。Firecrackerからのリリースという背景もあるのだろうが、他のレーベルからの作品に比べると思慮深くスピリチュアルにも思われる本作、Lord Of The Islesの魅力がふんだんに詰まっている。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Shelter - Zon Zon Zon (International Feel Recordings:IFEEL061)
Shelter - Zon Zon Zon
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2016年にデビューを果たしたばかりのパリからのAlan BriandことShelterは、僅かこの一年程の間に5〜6枚程度のEPをリリースし、バレアリック・ミュージックの中にアフロやエスノな感覚も取り込んだ音楽性でちょっとした話題を集めている。バレアリックと言えばやはり現在のダンス・ミュージックの中で決して外す事が出来ないInternational Feel Recordingsがあるが、Shelterの音楽もそのレーベルに認められ何とミニアルバムを同レーベルからリリースするに至った。最近はこのレーベルに於いてフロア重視のダンス・ミュージックにとらわれる事なく、リスニングにも最適なミニアルバムのシリーズが企画されていたが、本作もその一環の一枚でそれなりのボリュームを持った期待に違わぬ作品だ。本作は特に新緑が生い茂る深い森や色彩豊かな生命が佇むようなトロピカルな雰囲気に染まっており、いきなり鳥の鳴き声のような始まりをする"Senhor Zalla"では、清々しい響きに和んだシンセワークも用いつつ動物の鳴き声も交えながら草木が茂るジャングルの中へ足を踏み入れ、揚々としたムードで大自然の新鮮な空気を全身に浴びる。気分が上がって勢い付いた後に続く"Zon Zon Zon"は前のめり気味の軽快なビートのダンス・ミュージックで、ここで用いられるマリンバの爽快な響きが青々しい空の広がりを感じさせ、太陽の光が降り注ぐ。そして"Port-Au-Coeur"では再度テンポを落として、何処かエキゾチックなメロディーと生命の存在を思わせる鳴き声のようなSEを用いながら、フィールド・レコーディングさながらの世界を作り上げている。裏面へ移っても落ち着いてのどかなムードは変わらず、"Bucolica"でも奇妙な雄叫びらしいSEや原始的でナチュラルな楽器の音色を軸にバレアリックな空気で満たしつつ、繰り返す波の音とパルスのような電子音の反復を用いた"Courant Rouge"や現代音楽的なマリンバのミニマリズムが瞑想的な"Courant Bleu"では静けさがスピリチュアル性をより強調し、バレアリックやアンビエントの中にエキゾチシズムが自然と入り込んでくる。アルバムの何処を切り取ってもリラックスして開放的なムードに溢れておりその快適性は言うまでもないが、ゆったりとしてビートにも躍動感が潜んでおり生命に営みを匂わせる。



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| HOUSE12 | 18:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
DJ Yogurt & Moja feat.下津光史 - いややこやや (Upset Recordings:TSUR-001)
DJ Yogurt & Moja feat.下津光史 - いややこやや
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テクノやハウスだけでなくR&Bやダブにアンビエントその他の広範囲な音楽を愛するDJ Yogurt、当然ロックにも深い愛を今までにも示しており、ロック・アーティストのリミックスを何度も行ってきている。今回そんな彼が目を付けたのは2008年に神戸で結成された「踊ってばかりの国」なる5人組のバンドで、DJ Yogurtが何度も彼等のライブを体験する内に"いややこやや"の魅力に取り憑かれバンドのボーカルである下津光史にリミックスを提案し、このプロジェクトへと結び付いた。リミックスとは言っても下津のボーカルやギターは再録となり、更に近年DJ Yogurtとコンビを組んでいるMojaのプロダクションのおかげで、これはリミックスではなく新作と呼んでもよい程に新たな魅力を放っている。元々スローで気怠い原曲ではあったものの、このリミックスは更に過剰なダブ処理を用いてメローかつ浮遊感伴うダブ×アンビエントなテイストを増したものになっている。"いややこやや (Vocal Mix)"は正統派レゲエのバックビートと何処までも広がるような残響を用いたダブだが、下津のボーカルも白昼夢の中を彷徨うような甘さを醸し、何だか南国気分なカリビアン的なムードに夢現。しかし本作でとびっきりにぶっ飛んでいるのが"いややこやや (Dub Mix)"で、残響をより強く引き伸ばした事で弛緩したムードが更に増し、それは意識をもくらくらとさせる効果となって熱気でゆらゆらと視界も波打つように作用し、最早ここまで来ればアンビエントかチルアウトかの極上のメロウさを持ったブリストル・サウンドだ。蒸し暑い真夏の時期にこそより効果を発揮するであろう開放的なサウンド・プロダクションに、DJ Yogurtのダブへの愛がはっきりと現れている。裏面には新作が2曲収録されているが、下津もボーカルで参加した"Ocean (In the House)"はそのタイトル通りで、真夏のビーチにもぴったりな爽快なハウスビートにトライバル感や多幸感溢れる清々しいエレクトロニック・サウンドをまぶした野外フェスにも映えそうなダンス・トラック。もう一方の"Electric & Drums For Dance"は生っぽいキックやハイハットを強調したドラム乱れ打ちのブレイク・ビーツが炸裂し、強烈なリズムに引っ張られながらもこちらも燦々と照る太陽の光を全身で浴びるような底抜けの明るさがある。どれもこれもこれから始まる夏にぴったりな曲であり、またDJ Yogurt & Mojaとしての活動に期待が高まる事間違いなし。





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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Dazzle Drums - Music Of Many Colours (MUSIC 4 YOUR LEGS:MFYLR003)
Dazzle Drums - Music Of Many Colors
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待ちに待っていた、実力のあるDJだからこそようやくと言う思いが強いDazzle Drumsによる初のMIXCDが完成した。NagiとKei Suganoによる夫婦ユニットのDazzle Drumsは、決して追い風とは言えない現在のダンス・ミュージックのシーンにおいても、毎月自身によって「Block Party」を開催し続けて徹底的に現場感を重視した活動を行っている。一般的なイメージではハウス・ミュージックやそれのルーツでもあるディスコを中心とした音楽性というイメージはあるだろうが、しかし彼等のパーティーに行けばハウスやクラシックだけに収束せずにテクノやアフロ、プログレッシヴ・ハウスにR&B等流れにハマるものであればプレイする許容性があり、そして過去へのリスペクトと共に常に未来を見据えた視点を持っている事を肌で感じるだろう。本作もそんなDazzle Drumsの現場でのプレイが反映された選曲で、ソウルフルなハウスからアフロやラテン、そしてテクノ色の強いディープな曲まで今の彼等が存分に体感出来るプレイを披露しており、どんなDJかと知るには最適な内容になっている。先ずは自身の曲である"In Da Rhythm (Block Party Mix)"でざっくりとして揺れるリズム重視に落ち着いたスタートを切ると、そこからジャズ/ファンク色の強い"Flight Formation (Danny Krivit Edit)"で一気に熱量と感情を高めてソウルフルな流れに引き込んでいく。続くは最近のDazzle Drumsが推し進めているアフロビートな"Paradise (Dazzle Drums Album Mix)"で疾走感も帯びて、そこにツール系の"BT1"も織り交ぜて展開を途切らせずに緩急を見事に操りパーティーの臨場感さえも再現しているようだ。中盤でも土着的な薫りが立ち込めるトライバル系から爽快なアフロ/ラテン系で攻め、ラテンやディスコの要素もありながらドラッギーなハウスの"Djidjo Vide (Jose Marquez Remix)"や"Black Queen (Enoo Napa Afro Mix) "等でディープな闇のフロアに嵌めていき、古典を尊重しつつも今という音にも向き合っている。後半はピークに向けて盛り上がっていくドラマティックな展開が待ち受けており、太陽の日差しを浴びるようなソウルフルなボーカル・ハウスの"Don't Stop (The Music) (Kiko Navarro Vocal Mix)"、そしてしっとりと甘いと吐息を感じさせる情熱的な"Right Here Right Now (Hallelujah Anyway) (DJ Spen, Gary Hudgins & Thommy Davis Remix)"からフロアヒットした漆黒のディープ・ハウス"Eminescence"への流れはフロアで聞けば間違いなく歓声が沸き起こるだろう。ずっと長い間DJを続けていた経験があるだけに当然の如く下手なモノが出来る上がるわけはないが、しかし本作では大半の曲がここ2〜3年内にリリースされた曲である事で、ある種古典がもてはやされるハウス・ミュージックの中でも彼等の視点は前を向いている事が素晴らしく、だからこそジャンルも意識する事なくプレイするし広がりのある姿勢に可能性を見出だせるのだ。尚、ディスク2はアンミックス仕様なのでDJの方には便利に使える事だろう。



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| HOUSE12 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Iori Wakasa - Give Me Yourself EP (Dessous Recordings:DES135)
Iori Wakasa - Give Me Yourself EP
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Steve Bug主宰、Poker Flat Recordings傘下のDessous Recordingsから、何と日本から期待のIori Wakasaの新作が到着。ここ暫くその名を見かける事が無かったものの、遂にシーンへとカムバック。2010年にデビューをしてからは都内各所クラブでプレイし経験を養いつつ、作品毎にやや黒目のディープ・ハウスから繊細な美しさを放つテック・ハウスなどの楽曲性を披露し、DJとしてもアーティストとしても期待を背負っていた。一時は子育てなどにより音楽活動を休んでいたものの、ようやく音楽活動を再開し目出度い事にDessousからの再始動となる。音楽的にはテクノと言うよりはハウス・グルーヴが強いからこそ、Poker Flatではなく幽玄なディープ・ハウス寄りのDessousからとなるのは相応しく、そして音数を絞ったミニマルな構成にブラックネスとソウルを織り込んだハウスは本作でより進化している。A面に収録された"Be There"は大きな展開は用いられておらず、終始滑らかな4つ打ちキックのハウスが続く。しかし軽快に響くパーカッション、幻惑的なシンセのリフのミニマルな構成の中に朧気なボーカル・サンプルも用意し、音の抜き差しによってぐいぐいと伸びていくような機能性の高い作りになっており、秘かに情熱を燻すような渋いディープ・ハウスだ。裏面に移ろう。太いキックで骨太さもありながらシャッフルするようなハイハットでリズミカルなビートを刻む"Give Me"も吐息のようなボーカル・サンプルを用いる事で艶っぽさや黒さを添加しているが、A面よりも内向的で奥へ奥へと深みに落ちていきつつ途端に呟き声が溢れ出す事で困惑的な酩酊感がある。最後の"Feel It Dizzy"もやはりじわじわと持続するディープ・ハウスだが、ここでは金属的なパーカッションがインダストリアル感もある響きで用いられ、様々な鳴りをしながら埋め尽くす事で展開を作る。本作のどれもアーティスト性を主張するように作風が纏まっているが、無駄を削ぎ落とした機能性高いミニマル寄りのハウス感や控えめながらも甘美なエモーションを込めており、フロアで聞いても酔いしれるように恍惚に浸れるに違いない。カムバック作品としていきなりの充実した内容は、今後の活動に更なる期待が掛けられるだろう。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Mr. YT - Brand New Day (Apollo Records:AMB1703)
Mr. YT - Brand New Day
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近年はRon Trentが主宰するFuture Vision RecordsからのMissing Soulのリイシューによって再び注目を集めているYuji Takenouchi。TECHNOuchi名義ではゲームミュージックの作曲家としても知名度は高いが、Mr. YTやMissing Projectに前述のMissing Soulでは豊かな感情性を持ったジャジー・ハウスな音楽性でApollo Records等から作品をリリースしており、90年台後半の隠れた存在だ。昨今のジャパニーズ・ハウスの再評価の一貫でTakenouchiの音楽の掘り起こしに繋がったのだろうか、この度Apollo Recordsが「Brand New Day」と「Parfum E.P.」と「Southern Paradise」の3枚のEPをコンパイルし、新たにリマスター済みのアルバムとして目出度くリイシューを行っている。音楽的には2000年前後に流行っていたジャジー・ハウスそのもので、現在ではこの手の音楽はやや廃れてしまい決して流行の真ん中にあるものでもないが、しかしこのMr. YTの軽快なハウスグルーヴや美しい鍵盤のラインを活かした楽曲性はエヴァーグリーンと呼べるもので、時が経とうと色褪せるものではない。幕開けは朝の幻想的な霧が満ちたようなアンビエンスが漂う"Morning"、ビートレスな作風がこれから始まるダンスへの期待を高めていくような流れ。続く"Reve"では透明感と光を含んだピュアなシンセと図太いキックの4つ打ちによって早速心地良いハウスで踊らされるが、瑞々しさもある綺麗な電子音の使い方が懐かしくもあり、しかし清流に洗われるような清々しさだ。再び"Souvenir"ではビートが消えつつ引いては寄せる波のように感傷的なパッドが現れメロウなバレアリック感を演出し、そこから一転して"Afternoon"は昼下がりの木漏れ日の明るさに満ちたような嬉々としたジャジー・ハウスで、透明感のある薄いパッドやリフレインするシンセは涼風を巻き起こし、跳ねるようなリズムが心も軽くする。アルバムの中で最も力強い4つ打ちを刻みポジティブな活力に溢れたハウストラックの"Evening"、そしてそこから夜へと時は移ろい落ち着いた優雅な時間帯を演出するアンビエント・テイストな"Nite"と、各時間帯をコンセプトにした曲調もしっかりと表現されている。終盤の正に天国の海を遊泳するかのふわふわとした多幸感が続くジャジー・ヴァイブス溢れる"Ocean In Heaven"も、朝方の光が溢れてくるフロアで聞きたくなる爽やかな曲だ。全体的にリマスタリングのおかげかボトムも厚めになりしっかりとフロア対応になりつつも、やはり上モノの透明感やピュアな響きが特徴で非常に耳に心地良いメロディーが通底しており、捨て曲は嘘偽り無く一切無し。当時は注目を集める事が出来なかったジャパニーズ・ハウスの名作が、今ここに蘇った。

| HOUSE12 | 15:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
The Incredible Adventures Of Captain P - Escapism (Soul People Music:SPMBLP003)
Fred P - The Incredible Adventures Of Captain P (Escapism)
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USテクノ/ハウスの中でも快進撃を続けるFred PeterkinことFred P.は別人格のように多数の名義を用いてEP/アルバム共に量産体制を行いつつも、夢の中にいるようなアンビエント感溢れるテック・ハウスからジャジー・ヴァイブス溢れるリスニング志向の作品までそのどれもが高い品質を保っており、アーティストとして全幅の信頼を寄せる。本作の「The Incredible Adventures Of Captain P」名義は彼がかつて2010年にFred P.名義でリリースしたアルバム名であったものが、ここではプロジェクト名へと変化している。最早その名義毎に音楽的な差異は無いのではあるが、本人によれば「最も個人的、かつスタイル的に多様なレコードのうちの1つ」だそうで、フロアで用いられるべきダンス・トラックを中心にインタールードも挟んだアルバムとしての豊かさを表現した作品だ。機械的な持続音によってSF映画の始まりのような不安と興奮を掻き立てるような"Entry Point"で始まると、続く"These Times"では早くもキックやパーカッションが端正なリズムを刻んでその中を緩やかに上げ下げするパッドが浮遊しながらFred P.らしい幻惑的なテック・ハウスを聞かせる。"NYC"では一転してぐっとテンポを落としたヒップ・ホップへと変化するが、これにしてもデトロイトらしいスモーキーかつ叙情性があり、勢いのあるアルバムの中でしっとりとした感情を誘う事でアクセントになっている。アルバムの中盤は正にFred P.らしい疾走感溢れるテック・ハウスが並んでおり、硬めのリズムが刺激的で美しいラインを描くパッドに魅了される"All I Want To Say"や、太く重いベースやキックで低重心からぐいぐいと攻め上げる機能的な"Get Ready"など、霧のようなぼやけたシンセが大気に満ちながら幻想的な世界の中を爽快に駆け抜ける。そこから再度2曲のインタールードを挟んで、終盤には波のように揺らぐパッドと端正な4つキックによる爽快さと官能が入り組んだディープーなテック・ハウスの"Escapism"で一気にドラマティックのピークへと達し、最後には全てが終わった後の静けさのみが続く"To Be Continued"によってサントラを思わせる静謐な終わり方を見せる。多くの曲は真夜中のダンス・フロアで機能するのだが、単純なダンス・トラックだけの羅列にはならないストーリー性がアルバムとしての役目を成しており、そして勿論彼らしいアンビエンスやスピリチュアルな要素がふんだんに詰まっている。まだまだFred P.の躍進は一向に止まる事はないだろう。



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| HOUSE12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Local Talk 5 1/2 Years Later (EUREKA!:ERKCD-003)
Local Talk 5 1/2 Years Later
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Blazeの大名盤『25 Years Later』からタイトルとジャケットを見事にサンプリングした本作は、スウェーデンのハウス・レーベルでは代表格であるMad Matsらが主宰するLocal Talkの正しく活動5年半を記念したコンピレーションで、実は『25 Years Later』とは特に音楽的な繋がりはない。しかしMatsによればそんな大名盤には色々なハウス・ミュージックが入っているそうで、そんな音楽性をこのコンピレーションで表現したかったそうだ。確かに様々なアーティストの曲が収録されている本作、大胆なジャケットのインパクトに魅了された方は是非この機会に、Local Talkの音源に触れてもきっと損はしないだろう。有名どころではハウスとヒップ・ホップをクロスオーヴァーさせるDJ Spinnaも参加しており、跳ねるリズムと耳に残るしなやかなシンセのメロディーがエレガントに舞う"Tie It Up"を提供しているが、中盤以降の美しいシンセソロの優美さはLocal Talkらしい。フランスの新鋭、Local Talkを始め様々なレーベルから引っ張りだこのS3Aはお得意のサンプリングをフル活用した"Bob Morton Track"を手掛け、荒々しく黒いファンキーさ爆発のモータウン・ハウスは本場USにも全く引けを取らない。その一方でUKはブリストルのSean McCabeが手掛けた"It's My Life (Sean's 6am Dub)"は、かつての西ロンのブロークン・ビーツ隆盛を思い起こさせるような曲で、ざっくりとしかし小気味良いリズムと多層になるエモーショナルなシンセに情熱的な歌を合わせて特に洗練された美しさを放つ。更に異彩を放つのがYoruba RecordsやInnervisionsからヒットを飛ばすToto Chiavettaで、テッキーながらも何処か妖艶で呪術的かつアフロな魅力を秘めた"Approval"はサイケデリック性が抜群だ。その他にもArt Of TonesやMarcel LuneといったLocal Talk組、フランスのディープ・ハウサーであるHugo LX、そして日本からはKyoto Jazz Massiveが強烈なベースが炸裂するブギー・ハウスを提供しており、一口にハウスと言っても実に音楽性豊かに様々な要素がこのアルバムには存在している。ファンクやソウルにジャズ、激しさからメロウまで、Local Talkのハウスはただ単にフロアで踊らせるだけの音楽ではなく、リスニングに耐えうる素質があるのだ。




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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Mark Barrott - Music For Presence (International Feel Recordings:IFEEL060)
Mark Barrott - Music For Presence
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モダン・バレアリックの筆頭、享楽的なイメージが先行するイビサの中でもそれとは真逆の平穏な田園地帯が広がるようなイメージを持つInternational Feelは、正に太陽光の降り注ぐ開放的な地中海バレアリックを体現する。そんなレーベルを引率するのがMark Barrottで、既に2枚のアルバムとイビサの空気を取り込んだコンピレーション・アルバム等をリリースしており、新緑が生い茂る自然との調和を目指したようなバレアリック性を開花させている。しかしこの久しぶりとなる新作のEPは侘び寂びのある落ち着いたジャケットからも推測出来る通り、何でも日本の秋の風景や夜をイメージしだそうだ。それは結果的に、今までの作風がカラフルな総天然色の木々に覆われた島のトロピカル感満載だったのに対し、ここでは内省的でより喧騒から離れた寂静の世界のアンビエンスが強く出ている。"Schopenhauer's Garden"は70年台のエレクトロニクスを大胆に用いたジャーマン・プログレかニューエイジのような瞑想的な電子音楽性があるが、そんな中にもギターやサクソフォンの生演奏も導入してリラックスした温かみのある色彩を帯びて、無駄な装飾が省かれた中にも豊かな響きが地平の果まで続いていく。"Emile"でもギターやサクソフォンのプレイヤーを起用しているが、ビートも無くふわふわとした無重力状態の響きは開放的に広がり、夕暮れ時の風景が広がる従来の野外向けなイビサ・バレアリック的である。何処かアジアや日本を感じさせる笛の音が印象的な"Mokusho"、のっそりとしたダウンテンポのビートを刻む中でのどかな笛や電子音が戯れるドリーミーな曲で、桃源郷の世界を散歩するようだ。最後は可愛らしい丸みを帯びた電子音がリフレインして先導する"Lysander"、そこに耽美なピアノやトランペットが控えめに哀愁の感情を吐露するノンビートの曲で、ひっそりと音が消失していき本EPは幕を閉じる。確かに今までのBarrottのイビサ的な作品とは異なり青々しい空や緑の自然といった感覚は後退し、日本や東京の雰囲気であるかはさておき内へ内へと入っていく思慮深さが伝わってくる。勿論International Feelらしい安らぎのフィーリングはあるが、自分の作風を乗り越えていくように進化している点で面白い。



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| HOUSE12 | 11:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Fred P. - Instinctive Rhythms (Secretsundaze:SECRET 022)
Fred P. - Instinctive Rhythms
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AnomalyにBlack Jazz ConsortiumからFP-Onerまで複数の変名を用いて活発な活動を続けるFred PeterkinことFred P.は、ディープ・ハウスからアンビエントにジャジーヴァイブスまで取り込んで壮大な空間を感じさせながらエモーショナルな世界を展開するダンストラックで多くの人を魅了している。勿論DJやアーティストからの評価の高さは引く手数多の存在として証明されているが、今度はロンドンの人気レーベルであるSecretsundazeから新作をリリースするに至っている。どんなレーベルからでも基本的には一貫性のある音楽を示すアーティストではあるが、本作はかなりフロア寄りのダンストラックで普段よりも闇を強く感じさせる。鋭利でシャッフルするハイハットや骨太なキックに爽快なタム、そして奥底で雷鳴のような音響が鳴っている"6AM"は、普段のエモーショナル性よりも激しいトライバルなリズム感で闇の中を駆け抜けるダークなテクノで、タイトルが示す朝6時のフロアを落ち着かせるどころかより高揚へと導くようなエネルギーに溢れている。"Herb"も比較的刺激の強いパーカッションを用いつつシンコペートによってうねりを生み出す曲で、荒削りな音質が曲調に激しさや厳つさをもたらしているが、こちらは普段のFred P.らしい幻想的な上モノが入ってきて瞑想的な深みも存在している。しかし最も彼らしい曲はB面に収録された9分にも及ぶ"Mile High"で、ざっくり生感もありながら爽快感のあるハウスビートが疾走する中で、霧靄のような空気感のあるパッドが浮かびつつ神秘的なピアノが滴り落ちてくる幻想的な展開は、正にFred P.特有のスピリチュアルなアンビエンスが満ちている。9分という尺も冗長に感じる事はなく、逆にその微睡みのような心地良さが何時までも持続して陶酔の世界へと導くのだ。やはりどんなレーベルから作品を出そうともFred P.はFred P.である事に変わりはなく、ファンであれば納得の一枚だ。



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| HOUSE12 | 18:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |