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Deadbeat - Wax Poetic For This Our Great Resolve (BLKRTZ:BLKRTZ018)
Deadbeat - Wax Poetic For This Our Great Resolve
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ミニマル・ダブという音楽を軸にその時その時でIDMからトライバル・テクノ、アンビエントからレゲエ等野心的にも振り幅を持って展開するベルリンを拠点にして活動するカナディアン・アーティストのDeadbeat。元々はエクスペリメンタルなダブを持ち味としていた~scapeをベースに活動していた彼が、しかしそのレーベルの閉鎖後にその音楽性を継承するBLKRTZを設立後は、無駄な音を削ぎ落としながら比較的ルーツ・レゲエ/ダブへと傾倒しているのだが、それでも例えばダブ・ステップの激しく躍動するビート感を取り入れたり、または長いドローンを用いたりと常に流動的にその音楽に対する意欲は留まる事を知らない。そして本作では全ての楽曲にボーカリストを迎えているのが特徴で、何とThomas FehlmannやMike ShannonにMarco Haas(aka T.Raumschmiere)らボーカルを本業とはしないアーティストらに「希望のメッセージ」を募り、各々が語った言葉を各曲に用いたというコンセプチュアルなアルバムになっている。比較的ダンサンブルでテック・ハウス気味でもあった前作『Walls And Dimensions』(過去レビュー)に比べると、本作のトラック自体は弛緩したアフタービートが心地好いルーツ・レゲエ/ダブのグルーヴへと戻っており、そこに薄いドローンの音響等を用いて繊細で研ぎ澄まされたダブ空間を作り上げている。出だしの"Martin"こそリズム無しの催眠的なドローンの持続の上に残響混じりの呟きを用いたアンビエントだが、そこから途切れずに続く"Steve And Fatima"では湿りながらも変則的でトライバルなリズムと淡々とした朗読、そして生温いオルガンや微かなピアノを用いて有機的なダブ感覚を打ち出しており、スピード感を抑えながらもゆったりと波乗りするようなグルーヴに揺らされる。そしてシームレスに続く"Gudrun"では湿度を帯びて深みのある朗読にやはり揺蕩うように横揺れするダブ〜レゲエ調の淡々としたビートに、遠くの地で鳴っているような微かなドローンが奥行きを作って、研ぎ澄まされた繊細な音響のミニマルダブに仄かな情緒感さえ加えている。どうやら本作は全ての曲が途切れる事なく繋がっているようだが、4つ打ちではない溜めのある変則リズムも相まって、MIXCD的な流れがねっとりしたスローモーなビートながらも実に躍動的で肉感あるグルーヴに自然と身体も反応する。後半のFehlmannに触発されたようなシャッフル調のヒプノティックなダブ・テクノである"Thomas"から、特に攻撃的で猥雑さが強調されたダンスホール色が打ち出た"Me And Marco"への流れも、アルバムの中でエネルギッシュな時間帯で熱く込み上げるものがある。Deadbeatらしくダブ〜レゲエ〜アンビエント〜テクノと様々な要素を盛り込んで貪欲に広がりを持たせつつも、軸よりルーツへの先祖返り的なトラックが中心となっており、だからこそトースティング的な各アーティストの言葉も上手く馴染んでいる。ここ数年のDeatbeatの作品を聞いてみると、やはり無理にダンサンブルにするよりはテンポを抑えた本作のようなレゲエ/ダブ方向が一番しっくりはまっていると思う。



Check Deadbeat
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Carl Craig - Versus Remixes (Infine:IF2070)
Carl Craig - Versus Remixes
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デトロイト・テクノにおいて最も作曲家/リミキサーとして活躍しているCarl Craigが、2017年に自身の名曲群をオーケストラ化したプロジェクトが『Versus』で、過去には著名なアーティストが同様のリメイクに挑戦しながらも確かな成果を得る事も出来ず失敗する事も少なくない作業において、しかしC2はFrancesco TristanoやMoritz Von Oswaldら強力なサポーターを起用する事でテクノとクラシックの融合を成し遂げた。そしてその続編として、一度テクノをオーケストラ可した作品を更にリミックスするという面白い企画となるのが本作で、Henrik SchwarzやTom Tragoら人気アーティストやレフトフィールドな変異体テクノのBenedikt Freyにミニマルかつデトロイトの叙情性も持つAntigoneの4アーティストに、クラシック化されたC2の名曲を更にリミックスさせている。その結果は当たり前と言えば当たり前なのだが、どれもフロア対応型のテクノ/ハウスになっており、勿論クラシックの芳香も残してモダンなダンス・ミュージックへと生まれ変わっている。スムースなビート感を刻みつつ美しく闇夜に光るようなストリングスやホーンを残した"The Melody (Henrik Schwarz Versus Remix)"は正にSchwarzらしい幽玄なディープ・ハウスで、元々音楽的な素養があるからこそクラシックとの親和性も見事でハウス化しながらも繊細な各楽器のメロディーが荘厳さを奏でている。"Domina (Benedikt Frey The Game Versus Remix)"はビートが無く荘厳さを際立てたクラシック・バージョンに比べると、エレクトロ的な射し込んでくる鋭利なビートが刺激的でビリビリと振動するような電子音も加わって、深い闇からエネルギーが溢れ出すような野心的なりミックスだ。そして静謐で重厚感溢れるバージョンだった"At Les"、広がりのあるホーンや幻想的なストリングスのオーケストラの部分は残しながらもミニマル・テクノ寄りにスムースな4つ打ちと電子音の反復を加えた"AtLes (Antigone Versus Remix)"においてはかなりダンス・フロアでの機能性を強めて、寧ろC2のVersusバージョンよりもテクノとクラシックの融解をより実践しているように感じられる。そして普段はディスコ等のサンプルを用いてファンキーな音楽性を披露するTom Trago、しかし"The Melody (Tom Trago Versus Remix)"は音を削ぎ落としながら間を作る事で派手な音は無くともファンキーな質感を打ち出したテクノになっており、Schwarzに比べるとやや地味なリミックスには思われるがうねるベースラインや硬いリズムで引っ張っていくグルーヴ性がある。テクノからクラシックへ、そして再度ダンス・フロアへと生まれ変わっていくこのプロジェクトは、しかしそれが単なる話題先行にはならずに4アーティストがクラシックの要素を活かしながら踊れるトラックへと作り変えており、面白さと質が伴ったリミックス集になっている。



Check Carl Craig
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Thomas Fehlmann / Terrence Dixon - We Take It From Here (Tresor Records:TRESOR302)
Thomas Fehlmann / Terrence Dixon - We Take It From Here
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古くから今に続くデトロイトとベルリンの繋がり、そうURことX-101を世界へとデビューさせたのはTresor Rrcordsであったし、90年初期にはJuan AtkinsとMoritz von OswaldとThomas Fehlmannによる3MBという黄金トリオもTresorからだった。遠く離れた2つの地はしかし音楽と人で強いコネクションを保ち、それぞれに影響を与えながら進化した。そんな関係性は今も変わらず、ベルリン・テクノの重鎮である前述のFehlmannとデトロイト・テクノの中でもミニマル性の強いTerrence Dixonが今ここに邂逅したのだが、しかもリリース元はベルリン・テクノの老舗であるTresorからと、徹頭徹尾デトロイト×ベルリンな特別のプロジェクトなのだ。何でも2017年にデトロイトで開催されたMovement前後にセッションを行い(Movementでライブも披露した)、ダンスフロア向きの制作を行ったそうだ。とは言ってもデトロイトの中でも定義し辛く独特のミニマリズムを持つDixon、深く繊細な音響に才能を発揮するFehlmannのコラボレーションとなれば非常に独特で個性的なテクノになるのは明白で、ベテランとしての貫禄に満ち溢れた音楽性を発揮している。ざらついてロウなビート感と古いモジュラーシンセから発せられたようなヒプノティックな上モノ、ひんやりとした温度感と機械的なサウンドの"Dreaming Of Packard"はDixonの影響が強いだろうか。続く"The Corner"も掴みどころのない電子音が散りばめられているが、そこに入ってくる幽玄でダビーなパッドのレイヤーやシャッフル調のずんどこしたリズムは恐らくFehlmannによる影響で、腰をどっしり落ち着かせながらも太いグルーヴを鳴らしている。すかすかな音響の中で金属的な鳴りのリズムとブリーピーかつフリーキーな電子音の反復によって、リズム重視のツール性へと向かった"Patterns And Senses"にしても派手さは全くないがフロアでの鳴りを重視したような作風が際立っている。ドスドスと無機質で粗い4つ打ちに浮遊感ある上モノとサイケデリックな電子音が広がる"Strings In Space"は、アンビエント性もありやや明るめの曲調ではあるが熱くなる事はなくやはり低温で淡々とした世界観。最後の"Landline"だけは重苦しく荘厳なドローンが充満し、その中を幻想的だったり不気味だったりする電子音が散りばめられたアンビエントで、やはりこういったタイプの曲だと尚更二人の奥深い音響効果が活かされており、美しい電子音響を体験出来るだろう。ベテラン二人が集まった作品はしかしそのネームバリューに比べると派手さは削ぎ落としながら、研ぎ澄まされた音響や機能的なグルーヴが発揮される作品となり、いぶし銀な一枚となっている。




Check Thomas Fehlmann & Terrence Dixon
| TECHNO13 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Tomi Chair & Tominori Hosoya (Matilda Vinyl:MAT021)
Tomi Chair & Tominori Hosoya

近年めきめきと注目を集め、そしてもうすぐ初のアルバムリリースを控えている旬のアーティストであるTominori Hosoya。別の名義であるTomi Chairの活動を含めても音源をリリースし出してから今年で10年目、待望のという表現が相応しいが、本作は2017年12月に発売された両方の名義を含むEPだ。2つの名義の明確なコンセプトについては不明なものの、何となく音から判断すればテクノ寄りのTomi Chair、ハウス寄りのTominori Hosoyaという印象を持っているが、このEPではその2つの要素が境界をぼかしながら融合しているようだ。Tomi Chair名義では3曲提供しているが、"Phantom"というタイトル通りに実態の無い幻影的な空間の広がりを感じさせるこの曲は、その軽やかでダビーなパーカッションの響きやドリーミーに伸びるパッドの使い方が如何にも彼らしく、爽快感を伴って上昇気流に乗るようだ。ハウスのグルーヴ感とテクノの強固さが混在し、豊かなコード展開を繰り広げてすっと浮遊するように盛り上がるエモーショナルな曲。"Malaise"では芯が太いキックによる安定した4つ打ちにモヤモヤとしたシンセが上下しながら疾走するテック・ハウスで、時折ディレイ処理で空間を埋めたりと壮大さの演出もあるが、別バージョンである"Malaise (Calm Version)"ではその穏やかなというリミックス名の通りにビートレスになりつつ、空気感のある上モノが幻想的な濃霧が広がるように満ちていくドリーミーなアンビエントへと変化している。ラストはTominori Hosoya名義の"Birthday (4x4 Version)"で大らかな雰囲気のあるディープ・ハウスはこのEPの中でも最もエモーショナルで、眠気を誘うようなアンビエント性の高い上モノがじんわりと侵食しつつ水しぶきが弾けるようなパーカッションも時折入って、霧が立ち込め清涼な空気が満ちる森林浴をしているような爽快感に包まれる。2つの名義が収録された事でテクノからハウスの中庸的な内容となっているが、その上で彼の音というものが確率されており、アーティストとしての存在感を更に強めている。



Check "Tominori Hosoya"
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Moomin - Yesterday's Tomorrows (Wolf Music Recordings:WOLFLP004)
Moomin - Yesterdays Tomorrows
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AimやWhiteといった繊細な美しさを放つディープ・ハウスのレーベルから、そしてハンブルクの特に叙情的なムードが強いディープ・ハウスを武器とするSmallville Recordsからのアルバムのリリースなどからも分かる通り、ダンス・ミュージックではありながらリスニングとしての性質に長けた音楽性を得意とするSebastian GenzことMoominの3枚目のアルバムがリリースされている。Smallvilleの美学を体現するような存在であった彼が、しかし意外にもWolf Musicからとなったその背景を知る由もないが、本作ではそんなレーベルの変化は音にも現れており今までの耽美な音を守りながらもヒップ・ホップやドラムン・ベースにまで手を広げて音楽の拡張を行っている。幕開けの"Daysdays"こそぼんやりとしたパッドのループと潜めた甘美なエレピ、そしてすっきりした4つ打ちで淡々としながらもムーディーの染めるディープ・ハウスで、途中から入ってくるボイス・サンプルの繰り返しでうっとりと微睡んでいく。続く"In Our Lifetime"も前作を踏襲するように膨らみのある大らかなハウス・グルーヴに合わせて耽美な鍵盤を合わせて、激しく訴えるかけるのではなくじんわりと染み込んでいく淡い情緒の世界観に心も温まる。しかし"Shibuya Feelings"では荒々しいハイハットと弾けるキックのブレイク・ビーツが現れ、Moominらしい優美な上モノとは対照的ながらも、揺れるリズム感を強調してやや意外性を含んでいる。ディスコ・サンプルであろうループを用いた"Maybe Tomorrow"はざっくりしたリズム感も相まってファンキーな鳴りもしているが、そこから続く4曲はドラムン・ベースとダウンテンポへと向かった正に彼にとっての新基軸だ。"Move On"は激しくもしなやかなリズムを刻むドラムン・ベースで、甘く誘うような女性ボーカルと幽玄な上モノのループを繰り返し、Moominらしい繊細な美麗音響を放ちながらもリズムは躍動するアートコア系。そこから一転してぐっとテンションを抑えたヒップ・ホップ調の"949494"も重心はずっしり低めながらも、ファンキーな管楽器のソロも加わってきたりと生っぽくざっくりした質感が新鮮だ。アルバムの前半と後半で表面的には作風はガラッと変わっているのが印象的で、しかしどんなリズムを用いようともMoominらしい幽玄な世界観は通底している。秋の夕暮が似合うようなしんみりしたアルバムだ。



Check Moomin
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Deep'a & Biri - Dominance LP (Black Crow Records:BCLP001)
Deepa & Biri - Dominance LP
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2009年頃から活動しているイスラエルのDeep'a & Biriはそれ程知名度が高いわけではないかもしれないが、しかし例えば特にデトロイト・テクノに興味のある人にとっては、その存在は記憶に植え付けられているかもしれない。過去にはAril Brikhaとのスプリット盤を制作し、2016年にはDerrick MayのTransmatからも作品をリリースしている事からも分かる通り、その音楽性は確かにデトロイト・テクノと親和性がある。とは言っても単に模倣ではなく、その叙情性を引き継ぎながらもよりミニマルな機能性やダブの深い音響、催眠的なメロディーなどを盛り込んでいて、デトロイト・テクノに影響を受けながらもヨーロッパ方面の音楽性として推し進めている。さて、本作は彼らにとってはアナログ媒体としては初のアルバムになり、そして自身のBlack Crow Recordsからのリリースなのだから、きっと大きな自信があるに違いない。アルバムと言うボリュームを活かして彼らの魅力をふんだんに体感出来る内容になっており、これこそが真のデビューアルバムと呼んでも差し支えないだろう。オープニングはこれから始まるであろう壮大な世界を予見させる"Theories Of Lonliness"、ビートレスな作風ながらも深いダブの音響と叙情的なシンセのレイヤーによって、ディープの極みへと誘いの手を差し伸べる。続く"Voltage"からは完全にフロア向けの機能的なグルーヴが走り出し、低音の効いたひんやりとした4つ打ちに深くも官能的ですらある残響を控え目に盛り込み、大きな展開で振らす事をせずに催眠的なループで一点に収束させるように意識を集中させる。"Alpha Cephei"も抑制された4つ打ちと仄かな残響を用いてはいるが、コズミックに展開する上モノがデトロイト・テクノの情緒的な世界観と共通しており、重力から解放されたような浮遊感もあって心地好い。中盤の"Avicenna"や"Alkalinaty"は完全にフロアでの機能性重視なミニマルなループと淡々とした4つ打ちで持続性を打ち出していて、硬質で金属的なパーカッションやひんやりとした電子音の響きが荒廃した世界を浮かび上がらせる。よりダビーな電子音の残響が強い"Ecole De Nancy"は奥深く暗い空間演出があり、一方で疾走感あるグルーヴに繊細で宝石が煌めくような電子音のメロディーで装飾した"Flow Diverter"はデトロイト・テクノのエモーショナル性をよりモダンに洗練したようで、曲毎に機能性と叙情性を振り分けながらもどれも冷たい音質と深い残響が特徴だ。Deep'a & Biriのファンにとっては期待に応えてくれたアルバムであり、そしてまだ彼らを知らない人にとってはこれが彼らの代表作となるべき一枚にはなるであろうし、デトロイト・テクノ好きは当然としてダブ・テクノやベルリンの硬質なテクノが好きな人にもお勧めしたい。



Check Deep'a & Biri
| TECHNO13 | 11:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Koyas & Sinsuke Fujieda - Love To The People (Psymatics:PSYM-008)
Koyas & Sinsuke Fujieda - Love To The People
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近年積極的にコラボレーションを行い活動の場を広げているKoyasは、自身でもそんなコラボーレーション等を推し進めるPsymaticsを主宰しており、今回同レーベルよりコラボレーションEP・シリーズを開始している。その第2弾である本作は過去にもインプロビゼーション・ユニットであるSunset Sessionsでも共演を果たしていた藤枝伸介とのコラボレーションで、Koyasのブログによれば元々は他レーベルからの依頼で制作していたプロジェクトが頓挫し、紆余曲折の末に自身のレーベルから産み落とされたとの事。さて二人のコラボレーションとは言いながらも、実は曲毎に更にアーティストをフィーチャーしており、"Regards To Jean Christophe"ではジャムバンドのDachamboのEijiをベースに迎えている。基礎となる4つ打ちのリズムは弾けるハウスでそこにファンキーにうねるベースやダークなシンセのリフが加わり、どこかベース・ミュージック的な雰囲気も強いが、藤枝によるスピリチュアルで感情性豊かなサックスのソロが入ってくると途端に熱さが増し官能性が漂ってくる。重い低音やダークなベース等に対しサックスが闇を切り開くように引っ張る事で、ソウルフルなハウスに成り立っているのだ。そして"No Pasaran"ではダブ・サウンドで注目を集めるMystica Tribeが参加しており、その影響が明確に反映されて深い残響が揺らぐ緩いダブ・サウンドを展開している。緩くもどっしり根を張ったアフタービートにチャカポコとしたパーカッションが大きい空間の中に軽く響き渡り、そこに光が射し込んでくるようなシンセや生命の胎動を感じさせるサックスが躍動し、完全に野外向けの開放感溢れる心地好いダブはMystica TribeやKoyasの手腕が光っている。最後はKoyasと藤枝による"Leviathan"、こちらは二人だけと言う事もあってか前述の2曲よりはフロア寄りな印象で、Koyasによる妖艶さを纏う滑らかでテッキーなトラックを元に藤枝のサックスがより官能的に彩っていくテック・ハウスは、フロアの闇の中でも似合うだろう。それぞれゲストを迎える事で曲毎にアーティストの個性を反映させ、コラボレーションとしての成果を感じられるこのシリーズ。R N S Tとコラボした第1弾もあり、面白いシリーズになりそうだ。



Check Koyas & Sinsuke Fujieda
| TECHNO13 | 14:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Klauss & Craig - Momentum (Planet E:ple 653916)
Klauss & Craig - Momentum
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いまいち勢いに欠けるデトロイト・テクノのベテラン勢の中でも、時代に関係なくコンスタンスに作品を制作するCarl CraigはやはりDJではなくアーティストとして正当に評価出来る存在であり、ここに届けられた新作はアルゼンチンの電子音楽グループであるKlaussとのセッション作という事もあって興味深い。特にここ数年リバイバルしているモジュラーシンセにはCraigも興味を示しているようで、そんな電子楽器を用いつつKlaussとの突発的なセッションをする事で、よりイレギュラー的な創造性が活かされるのはとも考えられる。しかし実際に生まれた音を聞いてみるとそういった意外性よりはある意味ではテクノの模範的な反復を軸にした作風になっており、"Momentum"では特に毒々しく重苦しいモジュラーシンセのベースラインのループを軸にしつつ、そこに確かにセッション的ではあるラフな電子音の響きを自由に編み込みながらあてもなく彷徨うように被せており、サイケデリックかつディープな世界観はデトロイト・テクノというよりは完全にCraigのトラックとして成り立っているのは間違いない。裏面の"Repeat After Me"はつんのめったように引っかかりのあるリズムに対し、幻惑的な電子音のレイヤーが覆い被さってきてサイバーな世界観へと突入し、途中から更にどぎつい電子音がうねり無形に変化するなど独創的な動きを見せたりと面白い展開もあるが、またそこからモジュラーシンセの単調なループへ戻って軽く電子音するだけの流れは期待以上の物ではないだろう。どちらも10分越えの長尺セッションではあるものの、その長さを活かすように独創的な展開が作れている訳でもなく、幸か不幸かテクノのループを軸にした展開にセッション風な電子のラフスケッチを加えたようではあるので、確かにDJツールとして用いる事に違和感もないだろう。ただ敢えてモジュラーシンセを使った事、またセッションをした事というその両者の面白みが活かされているかと言うとそうでもなく、良くも悪くも非常にCraigらしい近未来的というかSF的な世界観もあるテクノの枠に落ち着いている。



Check Carl Craig
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
System 7 & Mirror System - Cafe Seven (A-Wave:AAWCD020)
System 7 & Mirror System - Cafe Seven
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ダンス・ミュージック界きってのオシドリ夫婦ユニット、Steve HillageとMiquette GiraudyによるSystem 7の最新作は、近年並行して活動を行っているアンビエント/バレアリック方面のMirror Systemとの活動が、今まで平行だったものが徐々に接近しながら遂にここで一つになったように同じアルバムの中で共存している。計10曲の内それぞれの名義で5曲ずつ制作を行っており、元々テクノからトランスにアンビエントやバレアリックまで網羅する幅広い音楽性があったものの、敢えて2つの名義を一枚のアルバムに収めた事で集大成的な意味合いがあるのではないか。実際に名義毎に作風は明確に分けられており、冒頭のMirror System名義の"First Wave"は透明感ある美しいシンセのレイヤーやかもめが鳴くようなディレイのかかったギターを用いて、ゆったりと波が広がっていくようなダウンテンポスタイルのバレアリック性の強い曲で、青い大空が広がる下で聞きたくなるような開放感がある。続くSystem 7名義の"Big Summit"は4つ打ちテクノの疾走するビート感に合わせ毒気のある電子のベースラインやサイケデリックなシンセがうねり、当然特徴的なディレイのかかったギターが高揚感を誘って、プログレッシヴ・ハウスとトランスの要素を含んだ快楽的な曲だ。また彼等の活動に於いて欠かせないコラボレーションは本作でも健在で、邦人ユニットであるSudoの曲を"Sensation (System 7 Remix)"としてリミックスしており、元のディープでテッキーな曲調に対しビート感はすっきりさせながらも快楽的なギターのフレーズ等を加える事で空間の広がりを感じさせる壮大さが増している。見逃せないのはMarcus Henrikssonとのコラボである"Million Suns"だろう、洗練されたミニマルなビート感に繊細でトリッピーな電子音を丁寧に編み込んだようなサイケデリックなテクノは、Henrikssonの音楽性が正しく反映されながらSystem 7の音としても鳴っており互いの音楽性が相乗効果として融合している。またJoujoukaによる"And Justice Killed (System 7 Remix)"は当然の如くサイケデリック・トランスな音だが、ロック風なギターリフが激しく咆哮したりハイエナジーな攻撃性が全く違和感無いのも、貪欲に色々なアーティストとコラボし音楽性を広げてきたSystem 7ならではだろう。そして終盤の"Cloudface (Mirror System Remix)"でぐっとテンションを落とし、ディレイが効果的なギターや電子音によって広がりを生む事で無重力空間の浮遊するようなドリーミーなアンビエントを聞かせ、熱狂的な曲調からチルアウトへの切り返すアルバムの流れはドラマチックでもある。見事にSystem 7らしくバリエーション豊かなアルバム構成で、65歳を越えたベテランながらも一向に衰える事のない創造力は今も尚新鮮なダンス・ミュージックを生み出している。



Check System 7
| TECHNO13 | 18:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Space Dimension Controller - Gaining Time (Dekmantel:DKMNTL054)
Space Dimension Controller - Gaining Time
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懐かしみのあるシンセ・ファンクを武器に、レトロ・フューチャーな感覚のあるサイエンス・フィクションを展開するJack HamillことSpace Dimension Controllerは、音楽で近未来の宇宙旅行へ誘うようなストーリーを語る。そのストーリー仕掛けの構成はデビューアルバムである『Welcome To Mikrosector-50』(過去レビュー)に於いて特に顕著だったが、それからNinja Tuneからリリースされた2ndアルバムである『Orange Melamine』(過去レビュー)は10代の頃に制作された音源を纏めた事もあって衝動的ながらやや纏まりはなく、今思うとらしくないなと思う点は否めない。がしかしどういった経緯でDekmantelからのリリースに至ったのかは不明にしても、この新作は非常にデビュー当時のSF感の強さとメランコリーが際立つテクノで、特に騒がしいダンスフロアとは別の聞かせる事を重視した構成によってSDCの世界観を存分に体感する事が出来る。13分越えの"Everything Is Better Now"はロボットボイス的な男女の会話から始まる如何にもレトロフューチャーな世界観で、そこからアタック感の強いスネアやキックを用いた何となく7〜80年代の空気があるシンセポップな感覚が広がり、アトモスフェリックに浮遊する電子音やポップで懐かしみのあるシンセサウンドで宇宙空間を遊泳するような世界へと引き込まれる。あてもなく悠々と無重力空間を散歩するようなコズミック感は、何処までも果ての見えない壮大な宇宙の景色を喚起させ、そして長尺で展開する事で時間の経過も忘れてしまうゆったりのんびりとした旅が待っている。これこそSDCだと断言出来るスペース・オペラ・テクノの大作だ。また15分にも及ぶ"NRG Intersect"は一転して全編ビートレスのアンビエント・スタイルで、薄いパッドがバックにドローンのように持続しつつシンセの音色が揺れながら浮遊感を伴いながら自由な旋律をなぞり、広大な宇宙空間にぽつりと放り出されて孤独な時間を過ごす感覚に陥る。そして最後の"(Still) Returning"もビートレスだがドリーミーな音の波が引いては寄せるように反復して、より穏やかに優しく揺りかごで揺らされて睡眠を誘うチルアウト感が強い。どれも文句なしにSDCに期待しているイメージそのものであり、このシンセ・ファンクやアンビエントの路線でまたアルバムが制作される事を願わずにはいられない。



Check Space Dimension Controller
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |