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MEZZANINE REMIX TAPES 98 [12 inch Analog]
MEZZANINE REMIX TAPES 98 [12 inch Analog] (JUGEMレビュー »)
Massive Attack
名作MEZZANINEリリース時に予定されていたマッド・プロフェッサーによるダブ・バージョンが、今になりリリース。こちらはアナログ盤。
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メザニーンのリマスターに、上記のダブバージョンを合わせたCD2枚組。
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FRKWYS Vol.15: serenitatem
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John Tejada - Dead Start Program (Kompakt:KOMPAKT CD 141)
John Tejada - Dead Start Program
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LAを拠点にするDJでありドラマーでもあるJohn Tejadaは、USテクノのベテラン勢が制作面で停滞している中でコンスタンスに作品をリリースし、またアシッド・テクノ狂のTin ManやボーカリストのReggie Wattsらとコラボーレーションする事で音楽性の幅を広げたりと、長きに渡り積極的に音楽制作を行う点だけでも十分に評価すべき存在だ。ここ数年はケルンは老舗レーベルのKompaktと関係を築き上げそこからのリリースが続いているが、この2018年の最新作は同レーベルから4枚目のアルバムとなる。Kompaktからのリリースとなって以降はTejadaの多彩な表現力はそのままにポップさやメランコリーといった性質が強く打ち出されていたが、このアルバムではややダンス・フロア寄りのミニマル性も伴う曲調へと戻っており、爆発力や強烈な個性を発するわけではないが多彩性がありながらもベテランらしく手堅く纏めた音楽性はより洗練を極めている。冒頭の"Autoseek"は不整脈のような歪なリズムを刻みややダブ・ステップらしく感じるところもあり、そしてプログレッシヴ・ハウス調な恍惚感あるメロディーにうっとりと陶酔させられる。メロディやコードの妖艶さは"Detector"でも際立っていて、そこに滑らかな4つ打ちのリズムが入ってくれば、機能的かつモダンなテック・ハウスとなる。しかし単純な直球テクノ/ハウスだけにならないのが彼の幅広い音楽活動によるもので、"Sleep Spindle"ではライブ感ある生っぽいブレイク・ビーツを披露したり、"Loss"における金属がひしゃげるような鈍いパーカッションが印象的なダブ・ステップ風など、ここら辺のリズムの豊富さは本人がドラムプレイヤーである事も影響しているのだろう。勿論そんな奇抜な曲だけではなく例えば"The Looping Generation"のようにすっきりと贅肉を削ぎ落としつつ、ミニマルのグルーヴを重視してヒプノティックな旋律のループや中毒的なアシッド・ベースによる恍惚感を打ち出して機能性に溢れたテック・ハウスにおいては、音圧や勢いに頼らずに洗練されたグルーヴを生むTejadaのセンスが現れている。他にもデトロイト・エレクトロのコズミック感にも似た感覚がある鈍いエレクトロの"Telemetry"や、小気味良いブレイク・ビーツにシンセパッドも用いた叙情感溢れるAIテクノ風な"Quipu"など、曲調は様々だがアルバムという枠組みの中でフロアに即したダンス・トラックとして纏まっている。海外ではさておき日本では不遇な程に決して知名度が高くはないのだが、非常に多くの作品を送り出しながらも聞き込める高い水準で毎回アルバムを作っており(だからこそKompkatからリリースされているのだが)、本作も粒揃いという表現が相応しい内容だ。



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| TECHNO14 | 11:59 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Ludwig A.F. Rohrscheid - Xhale (Unknown To The Unknown:UTTU092)
Ludwig A.F. Ludwig A.F. Rohrscheid - Xhale
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ローファイやゲットー・ハウスにも接近し奇抜な新世代を送り出しているDJ HausのUnknown To The Unknown、そんなレーベルから2018年に特に気になった作品がフランクフルトの新星であるLudwig A.F. Rohrscheidによる2作目。同年2月頃に自身で主宰するExo Recordings Internationalから『Velocity』でデビューを飾っており、その作品は海外ではかなりの注目を集めていたようで(日本には殆ど入荷しなかった)、一枚のEPの中にレイヴ調なブレイク・ビーツからロウでアシッドなハウスに清々しいアンビエント・ハウスまで収録されているが、そのどれもが一聴して耳を惹き付ける魅力を持っていた。本EPもその路線から殆ど変わりはなく期待通りに色々な音を聞かせてくれ、タイトル曲の"Xhale"は極太で硬いキックとエレクトロニックで毒々しいベースラインで下地を作りつつ、ディジュリドゥらしき不気味な音色やトリッピーなループ等を用いてトランス的な快楽作用を誘発し、のっけから中毒的な魔力に引き込まれる。パルスのような電子音と金属的な音響のループが印象的な"Shiitake"は、底辺ではマッドなベースラインが躍動しリズムはざらついたブレイク・ビーツ調で往年のレイヴの雰囲気を匂わせているが、ただ懐古的に向かうのではなく古臭さを感じさせないすっきり洗練された響きをもってして現在形のダンス・ミュージックとして鳴らしている。"Firefly"はEPの中では滑らかなリズム感を活かしたダークなテック・ハウスだが、薄っすらと情感の乗った上モノに対しドラッギーなシーケンスの組み合わせが情熱と恍惚の狭間を行き来するようで、フロアの闇の中でどっぷりと陶酔に浸してくれるであろう。とここまで盛り上がってきて最後の"Omega Quest"はビートレスな美しきアンビエントと意外なる転調だが、これも小手先の内容ではなくぐっと切なさを増しバレアリックにも共振する感情性を秘めた深遠なアンビエントで素晴らしい。なるほどデビュー作が多大な注目を集めたのも納得する才能を感じさせるこの2枚目、バラエティーに富んだ内容ながらどれも違和感無くアーティストの個性として馴染んでもいるようで、今後の活動にも目が離せない。



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| TECHNO14 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Museum - Sandra (Indigo Aera:AERA023)
Museum -  Sandra

デトロイト・テクノのエモーショナル性と共振しながらヨーロッパ的な洗練されたモダン・テクノを送り続けるIndigo Aera、そのレーベルの最新作は過去にも同レーベルからリリース歴のあるMuseumによるもの。MuseumはRadialとしても活動するJeroen LiebregtsとAnton Pieeteによるユニットで、それぞれ長いキャリアを持ちソロ活動や過去のMuseum名義ではMarcel Dettmann RecordsやDrumcodeにRejectedやOvum Recordingsからもリリースしていた事からも分かる通り、ハードで機能的なテクノの音楽性が強く一見Indigo Aeraとの親和性については不可解と思う点もあるかもしれない。しかし蓋を開けてみれば90年代前半のデトロイトにあったミニマル・テクノとエモーショナルなテクノの自然な融和が成されたテクノが詰まっており、Indigo Aeraらしい叙情性に寄り添いながらMuseumのハードな作風を貫いている。冒頭の"Plex"はこん棒で乱打するようなキックやカチカチしたパーカッションがハードさを演出しているが、途中からはコズミック感と躍動感を伴うシンセの旋律によってデトロイト・テクノらしくなるメロディアスなテクノで、疾走する勢いもあって非常にフロア映えするであろう曲だ。それに対し変則的なリズムで揺らぎを作る"Sandra"はやはり動きの多いシンセが控えめに叙情性を匂わせて、シンセの音自体もリズムとなって軽く跳ねるようなグルーヴを刻む事でツール性も強く表現されている。"Cafe"は例えばPurpose Maker路線のトライバル感もあるリズム感がファンキーなテクノで、ミステリアスなシンセの使い方は近年のスペーシーな路線のJeff Millsを思い起こさせる一面もあり、やはりデトロイトのテクノへのシンパシーが感じられる。"Sum"はデトロイト・テクノがダブ化したらこんな曲だろうか、切れ味鋭いリズムと音の隙間を目立たせながらダビーなシンセを用いる事で空間の広がりを感じさせ、EPの中では地味な作風ながらも機能性を体現している。結果的にはIndigo Aeraらしさ、そしてMuseumらしさのその両方のいいとこ取りな音楽性が表現されており、どれもフロアで耳を引き付ける魅力を持っている。それはデトロイト・テクノ好きにも、そしてモダンなテクノが好きな人にとっても訴求する。



Check Museum
| TECHNO14 | 22:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Waveguide - Venera EP (WAVEGUIDE:WAV.G002)
Waveguide - Venera EP

日本を飛び出しベルリンへと移住して(現在は更にリスボンで活動中のようだ)海外を拠点に活動しているKen SumitaniことSTEREOCiTI、当初の活動はベルリンはMojubaからの幽玄かつ仄かの情緒を忍ばせたディープ・ハウスな作風が特徴だったが、海外での音楽環境から受けた影響はテクノへと歩みを進ませる事になり、2017年には遂にモダン・テクノへとフォーカスしたWAVEGUIDEを設立していた。そしてそんなレーベルが遂にはアーティスト名にもなったレーベル第二弾が本作、『Venera EP』だ。テクノを送り出すレーベルがそのままアーティスト名になったのだから、よりハードなテクノ性が押し出される事となり、過去の作風と比べても非常にツール性の高いミニマルなモダン・テクノが出来上がっている。特にタイトル曲となる"Venera"、変則的なぶれるキックに鋭いハイハット、そして金属的なパーカッションの連打が組み合わさり、荒廃した闇の中を猛スピードで駆け抜けるトラックだが、中盤からは幽玄な上モノとヒプノティックな反復音も加わって、ミニマルな持続感を伴いながら深く潜っていくような感覚もあるハイエナジーなテクノだ。"Zond"はつんのめったリズム感でグルーヴは抑制されながらも、金属的な音のループと奥で鳴っているようなダビーなパーカッションを前面に打ち出して、奇矯な効果音も時折折り込みながらリズム重視で引っ張っていく作風で、より感情性を排してツールとして特化させている。"Rosetta"になってくると冷えたハイハットのリズムと唸る低音のベースライン、そしてサイケデリックかつミステリアスな上モノの音響が相乗的にインダストリアルな雰囲気を生み出しており、昔のハードミニマル全盛時代から派手さは削ぎ落として骨太さのみを残したようなハードさが伺える。"Philae"はチキチキと粗い質感のハイハットと落ち着いたキックの4つ打ちが平たいリズムを刻んでいるが、それに合わせて抽象的に鈍くうねる金属的な電子音響がアブストラクトな空気を作り、その不明瞭な響きがサイケデリック性に繋がるこれもDJツール。本作以前からもテクノ化の傾向は見られたものの、本作によってその志向は完全に達成され、そして新たWaveguideなる名義となったのも納得の路線。全く過去のSTEREOCiTIとは異なるものの、小手先の音楽ではなく本気でテクノを歩もうとしているのが感じられる。



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| TECHNO14 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Powder - Powder In Space (Beats In Space Records:BIS036)
Powder - Powder In Space
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2015年のESP Instituteからのデビューに始まりBorn Free RecordsやCockTail d'Amore Musicからの作品もヒットかつ高い評価を獲得しているPowder。今では世界各地のパーティー/フェスにも出演するなど、今日本の若手アーティストの中では最も勢いがあり期待が注がれているアーティスト、それがPowderだ。久しぶりとなる新作は人気レーベルのBeats In Spaceからで、何でも新ミックスシリーズ立ち上げとなる初作からのシングルカット的なEPだそうだ。勿論このレーベルからでもPowderらしい個性的で踊れる電子音楽は変わらず、より一層Powderの特異性を強めてその評価を着実なものにする事は間違いないだろう。新曲は2曲のみだが、どちらもユニークかつ間違いなくフロアで戦力となる性能を秘めている。"New Tribe"は既に先日パーティーでプレイされているのも体験したエグい曲で、鞭打つ痺れるリズムに鈍くうねる電子音のループがビートを叩き出すダークで緊張感が張り詰める雰囲気があるが、薄っすらと女性のウイスパーボイスも聞こえたり爽快な電子音の上モノが壮大に覆っていきながら、徐々に宇宙へと飛び立っていくようなスケール感の大きさによって間違いなくフロアを沸かすキラートラックに成り得る。対照的に"Gift"は序盤から泡が弾けるような可愛らしい電子音のループに合わせずっしりしたキックの4つ打ちが安定感を生み出しており、そこに入ってくる透明感のある水彩画風なシンセの旋律が和んだ牧歌的ムードに染めて、軽やかなダンスのグルーヴに大らかさを感じて天真爛漫な無邪気さが感じられる。裏面には前述のMIXCDに収録されている曲から2曲が収録されており、その内のDaphneによる"When You Love Someone (Groove Instrumental)"は1993年作の古典ディープ・ハウスで、弾性のあるビート感が走りつつヴィブラフォンや鍵盤を用いたムーディーな上モノによっていかにもな時代感を閉じ込めた名曲。そしてもう1曲はSamo & Hidden Operatorによる新録となる"Capture Behind Rox"、低音が効きロウな質感による溜めのあるリズムが変則的ながらも、素朴な響きによるエモーショナルなシンセも相まってじわじわと引っ張られ、ダビーなボイスサンプリングなども効果的に用いて惑わすようなトリッキーさが面白い。Powderの素晴らしい新曲と他の2曲も合わせてどれもDJMIX仕様は前提として個性やクラシカル性があったりと、文句無しの出来栄えでテクノ/ハウスの両面から推したい一枚だ。



Check Powder
| TECHNO14 | 17:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Substance - Rise And Shine (Ostgut Ton:o-ton115)
Substance - Rise And Shine
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テクノの質・人気共に最高峰を誇るベルリンのクラブ・Berghain、そのクラブが運営し音楽性が反映されたOstgut Tonも当然テクノファンから多大なる羨望の眼差しを集めている。そのレーベルの新作はミニマル・ダブの伝説であるBasic Channelの正当なる継承者、かつてはSubstance名義で活動し近年はScionやTR-101といったユニットの一員としても活躍していたDJ Peteによる作品で、コンピレーションへの提供を除けばこのSubstance名義ではおおよそ20年ぶりとなる。なんでも活動30周年を記念したとの事だが、その音楽性はダブという音響を引き継ぎながらも過去よりも更にダンスへと接近し、アーティストとして円熟という言葉で表現するよりはフレッシュなエネルギーを含みながら現在のダンスフロアへと帰還したと説明するのが適切だろう。特にタイトル曲である"Rise And Shine"は金属的でひんやりしたパーカッションをダブの音響で鳴らして奥深い空間性と共にテクノの激しさも内包しているが、そこに意外にもぼんやりしながらもエモーショナルなIDM風な上モノで覆い、ダブ・テクノとダブ・ステップが融合したような新機軸を披露している。最も破壊的で重厚感あるダブ・テクノを聞かせるのは"Countdown"で、巨大なハンマーを振り下ろすような硬いキックや鋭いシンセがズカズカと体を打ち付けるハイテンションなグルーヴの中、しかしそこにスペーシーで幽玄なシンセのメロディーが入る事で、暴力的だけにならずに全体が洗練された響きのテクノとして纏まる。中盤の2曲はインタールード的な扱いだろうか、ヒスノイズが持続する奥にダブの残響が微かに鳴る"Bird Cave"、闇の中の低い所で弦のような低音が蠢きじんわりと深みにはまっていく"Distance"、どちらも全くダンストラックではなくその代わりに繊細かつ空間性のある音響へのこだわりが強く発揮されている。最後は"Cruising"は強烈なダンス・トラックでいかにもBerghainらしいというか、鉄槌で頭を殴打される硬く重厚感あるキックの4つ打ちに金属がひしゃげたような鈍い電子音のループが続き、終始無感情な空気感で無慈悲にもガツガツと押し迫る強烈なピークタイム向けの一曲。随分と今という時代のテクノを意識している事が伝わってくるが、その一方でダブ・テクノの匠としての技量も光る音響へのこだわりもあり、クラシックとモダンを見事に咀嚼している。本作が単にアニバーサリー的な一枚で終わってしまうのだとしたらもったいない、是非ともまたこの名義で活動をと期待させられる。



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| TECHNO14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
John Beltran - The Season Series EP Autumn
John Beltran - The Season Series EP Autumn

今だからこそ正直に言えるがここ数年の作品はエレクトロニカやニュー・エイジ、または優しく包み込む有機的な響きの作風を軸にしたアンビエント作が多く、予てからファンであった人にとっては物足りなさがあったのも否定は出来ないだろう。デトロイト・テクノ第2世代のJohn Beltranは90年代前半から活躍するベテランであり、そしてその世代の中では数少ない今も尚新曲を作り続ける貴重な存在だ。だからといって手放しに全ての作品を称賛出来るわけでもなく、近年はややリスニング志向になり過ぎていたと思う。変化の兆しは2017年リリースの『Moth』(過去レビュー)位からだろうか、アンビエントな雰囲気の中に明確なダンスビートが現れるようになり、ファンが期待しているであろう音楽性が戻ってきたのだ。そして2018年、更に復活を決定付ける動きがあったのだが、それこそ秋から始まり一年の中に流れる各季節をコンセプトにしたシリーズで、その第1弾は秋。幕開けとなる"Lustrous Orb"からして初期の躍動感溢れるグルーヴとセンチメンタルなメロディーが広がっていくアンビエント・テクノな作風で、ファンからガッツポーズをしたくなる程の期待に応えた曲だ。この曲はキックは入ってないものの荒々しい質感のスネアがけたたましくビートを刻み、そこに重層的なシンセがデトロイト・テクノばりばりな叙情的な旋律を描き出して、じわじわと感傷的なムードを高めていくドラマティックな流れで、特に中盤以降の美しいシンセの絡みはこの上ない至福の世界だ。"Beautiful Things Cry"も全くキックは用いずにハイハットやスネアの軽やかなビートを活かしつつ、弦楽器らしき音のミニマルなリフに透明感のあるシンセの上モノを被せて、清涼感たっぷりに浮くような感覚で快活に疾走する。キックを用いないのは本作の特徴だろうか、"Pumpkin Skies (Jordi's Song)においても同様でその代りにブレイクビーツ風なスネアが軽快に躍動感あるビートを叩き出し、多層的に覆い被さっていくような朗らかなメロディーによって淡くドリーミーな世界観を演出する。"Autumn's Key (What Will You Be)"も作風としては前述の曲と一貫しておりスネアやハイハットの爽やかなビート感があり、そしてディレイも用いた清涼な上モノによって開放感を打ち出したメロウなアンビエント・テクノで、遂に最後の"Lose You"は完全にビートレスになり振動するように細かいシンセが躍動して壮大さを生むパッドと相まって物静かに感動を高めていく。秋の雰囲気の一つに哀愁があるが、正にそんな季節に思いを馳せる切ないアンビエント・テクノはコンセプトを的確に表現している。自身のBandcampのみで販売されている事からも分かる通りパーソナルな作品でもあり、非常にBeltranのエモーショナルな性質が打ち出されたこのシリーズ、ファンならば必聴だ。



Check John Beltran
| TECHNO14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Iury Lech - Musica Para El Fin De Los Cantos (CockTail d'Amore Music:CDALP 002)
Iury Lech - Musica Para El Fin De Los Cantos

アンビエントやニュー・エイジの再考は既に珍しくない環境になっているが、こちらは2年前の2017年にユニークなダンス・ミュージックを送り出すCockTail d'Amore Musicから再発されたIury Lechによる1990年作。Lechはスペイン在住のアーティストで、そしてまた作家でもあり映画監督でもありとマルチな活動をしているそうだ。スペインと言えばアンビエントやニュー・エイジの方面では一際注目を集めるSuso Saizがいるが、本作も元々はSaizが作品をリリースしていたHyades Artsからリリースされていた事を知れば、このアーティストについて造詣が無くとも少なからず興味は湧くだろう。本作は全編ビートレスでミニマル性の強い構成とフラットな感覚のアンビエントに振り切れており、基本的には電子音楽という意味合いでは統一されているので、ニュー・エイジの文脈だけでなくテクノの延長線上として聞く事でも全く違和感は無い。物悲しさが漂うシンセのリフレインが続く"Cuando Rocio Dispara Sus Flechas"、大きな変化も無くアルペジオも用いながら出口の無い迷路を彷徨うアンビエントな世界観と、ある意味ではインナートリップを誘発する。"Barreras"は左右に振れる軽やかなシンセのディレイが浮遊感を生み出しており、果ての見えない大海原や野外の開放感を思わせる壮大な空間の広がりが正にフラットな心地好さに繋がっている。"De La Melancolia"も同じタイプの曲でディレイを効果的に用いた空間の奥深さの演出を軸にしつつ、それ意外の音は省きながら多層的に聞こえながらも実はシンプルな構成によって、すっきりと軽やかなアンビエント感覚を作っている。最もアンビエントやニュー・エイジの瞑想的な雰囲気が強い"Ukraina"は16分越えの大作で、これにしても大きな展開もなく空間を埋めるような幻想的なドローンの隙間に煌めく電子音を散りばめて、ただひたすら物静かながらもドラマティックに叙情を強めていくアンビエントな構成。アルバム総じて取り立てて目立った山場という山場もなく、感情をいたずらに刺激しないようにひたすらフラットな存在感の構成で、その意味ではただそこで鳴っていて意識的に聞く事も必要としない環境音楽そのもの。心を落ち着かせる瞑想のお供に、または就寝前のBGMとしても役に立つ静謐なアンビエントだ。



Check Iury Lech
| TECHNO14 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Kuniyuki Takahashi - Early Tape Works (1986 - 1993) Vol. 1 (Music From Memory:MFM027)
Kuniyuki Takahashi - Early Tape Works (1986 - 1993) Vol. 1
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ジャンルの垣根を越えて、そして特に知名度に頼らないどころか寧ろ敢えて時代に埋もれてしまった音源の発掘を積極的に進めるMusic From Memoryが、またしても素晴らしい仕事を遂行した。およそ2000年頃から作品をリリースし始めMule Musiqを拠点に日本から世界へと羽ばたいた高橋邦之は、今やこのクラブ・ミュージックの界隈では名の知れた存在だが、何とMusic From Memoryはそのデビューの遥か前の1986〜1993年に制作されたという未発表音源を掘り起こしてしまった。今までのレーベルの方向性としては世に生まれながらも不遇にも見過ごされてしまった作品に対し再度視点を向けるような流れだったと思うが、本作は既に知名度があるアーティストの完全なる未発表音源を発掘したという点において、そのアーティストの初期音楽性を体験出来る意味で興味深い。公式デビューの遥か前に制作された本作は古いシンセやリズムマシンにテープレーコーダーやサンプラー、そして彼らしくギターやフルートも用いて制作されるなど既にマルチプレイヤーとしての片鱗は見せているが、当時のクラブ・ミュージックに触発されて向かった先はダンスではないアンビエント志向な電子音楽の探求であったのだ。"Night At The Seaside"を聞いても全くビートは入っておらず、幻夢のドローンに覆われた電子音響の中にぼんやりと抽象的なメロディーやノイズにも近い音が浮かび上がっては消えるアンビエントな作風は、しかし既に邦之らしい温かい情緒が存在しており現在の作風へ繋がる点も見受けられる。続く"Day Dreams"では爪弾きのギターらしき音やベルなどが和の侘び寂び感を醸しており、山奥の寺院の中で鳴っていそうな瞑想的な音楽は現在のスピリチュアルな性質と紐付いている。明確なダンスビートではないがリズムが入った"Drawing Seeds"、内なるイマジネーションを刺激する多層なシンセの旋律は重厚感もあり、深いインナートリップを誘発する。一方で現在のシーンの中にあっても全く違和感の無い曲もあり、例えば"You Should Believe"では催眠的なシンセのループと快楽的なベースライン、そして官能的な女性の歌も導入してInnnervisions系のディープな曲調を思い起こさせる。"Signifie"に至ってはTR系のリズムとTB系のベースラインが鳴っており、シカゴ・ハウス/テクノに影響を受けたであろうローファイな音響と相まってライブ感溢れるダンス・ミュージックは、実に邦之らしいフィーリングだ。まだ手探り状態で焦点が定まっていないためか曲調にばらつきはあるが、邦之の単なるダンス・ミュージック以上の豊かな世界観はこの時点から既に存在しているし、またアンビエントやニュー・エイジの要素が強いからこそMusic From Memoryからリリースされるのも納得な内容だ。



Check Kuniyuki Takahashi
| TECHNO14 | 14:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
The Orb - No Sounds Are Out Of Bounds (Cooking Vinyl:COOKCD711)
The Orb - No Sounds Are Out Of Bounds
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アンビエント・テクノの重鎮であるAlex Paterson率いるThe Orbの目下最新アルバム、2018年6月にリリースされた本作はある意味では非常にThe Orbらしく多くのアーティストとの交流によって生まれた作品だ。ここ数年はThe Orbとしても長らく活動しユニットの音響的な面で多大なる影響を残しているThomas Fehlmannとの共同作業が多かったものの、このニューアルバムでは旧友であるYouthや過去にも繋がりのあるRoger EnoやGuy Pratt、Public Image Limitedの元ベーシストであるJah Wobbleにイタリアのダブ・アーティストであるGaudi、勿論Fehlmann含めその他多くのアーティストが制作に参加している。その影響なのか、またはFehlmannとの濃密な共同作業ではないせいなのか、所謂Kompaktらしいクールなテクノ色は薄れつつよりバラエティーに富んでポップかつメジャー感のある作風は2001年の作品である『Cydonia』を思い起こさせる点が多い。例えば冒頭の"The End Of The End"では女性ボーカルを起用しながら最早アンビエントですらないエグいシンセが豪華絢爛さを演出するダウンテンポな作品で、その中にもThe Orbらしくヒップ・ホップやR&Bにダブなどごった煮は要素はあるものの、純度の高いテクノとアンビエントの融合は失われている。"Rush Hill Road"ではぶっ飛んで奇想天外なサンプリングから始まるも、直ぐにノリノリなレゲエ調のダンス・ビートが入ってきて更に色っぽい女性の歌も加わればポップなダンスそのもので、Patersonらしい面白いサンプリングの妙技よりもどうしてもメジャーな作風の前に抵抗感が強い。聞き所が全くないわけでもなく、かつての名曲である"Blue Room"の延長線上と考えてもよい"Pillow Fight @ Shag Mountain"はダブのぬめったリズムとしっとり艷やかなピアノによってズブズブと沼にハマるような音響と奇抜な世界観があり、色々なサンプリングも交えながらThe Orbらしい快楽的なダブ・アンビエントを展開する。余り外野を入れずにFehlmannと制作された"Isle Of Horns"は、非常に多くのサンプリングを用いて異空間世界へとぶっ飛ばしつつ、その足元にはダブ/レゲエのスローモーで重心の低いビートを張り巡らせ、Fehlmannらしく音の間を強調しながら研ぎ澄まされたアンビエントを作り上げている。ラストの"Soul Planet"はゲストがほぼ勢揃いした15分にも及ぶ大作で、全くビートの無い空間に静謐で物悲しいピアノや浮遊感のある電子音を配置した序盤、勢いのあるダンス・ビートが入ってきてソウルフルな歌も加わり熱量を増して躍動する中盤、そして再度ビートが消失しメランコリーなアンビエントの流れから最後は悲壮感漂うピアノの旋律で幕を閉じていくなど、長尺を活かす事で一曲の中に感動的なドラマが存在する。曲毎に随分とバラエティーに富んでいるのはやはり多様なゲストを迎えた事が影響しており、ある意味ではThe Orbらしいジャンルを横断するごった煮なサウンドは下世話な感もあってそれも司令塔Patersonのユーモアと考えられるが、やはり個人的にはテクノ音響職人のFehlmannが全面参加している時の方が音楽性は優れているように思う。



Check The Orb
| TECHNO14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |