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Danilo & Pablo - 10 Years MCDE Recordings Limited Vinyl (MCDE:MCDE 1218)
Danilo & Pablo - 10 Years MCDE Recordings Limited Vinyl

人気アーティストかつレーベルであるにもかかわらず一切の配信を行う事なく、ヴァイナルという形態への偏執的な愛を貫き通すようにヴァイナルでのリリースにこだわる事で、リリース直後から瞬く間に市場から姿を消した本作。それこそレーベルとしてのMCDEから、Motor City Drum EnsembleことDanilo Plessowとレーベル主宰のPablo Valentinoによるレーベル10周年を記念した作品で、正にMCDEというレーベル性を如実に表した音楽だ。Plessowの活動の為に設立されたと呼んでも過言ではないMCDEは正にMotor City Drum Ensembleの音楽性そのもので、デトロイトのビートダウン・ハウスやディープ・ハウスを彼なりに咀嚼し、そしてファンクやジャズにソウル等からのサンプリングを用いてモダンなブラック・ミュージックへと昇華させて、ある意味ではクラシック性も兼ね備えたダンス・ミュージックだ。勿論知名度で言えば劣るとは言え、Valentinoが生み出す音楽もMotor City Drum Ensembleの共鳴する事は言うまでもなく、この二人が組んだ作品ならば問答無用で手にすべきであろう。本作もたった2曲のみではあるがどちらも彼ららしいブラック・ミュージックを基にした曲で、"Don't U Ever Change"ではAhmad Larnesによるブルージーで味わいのある歌をフィーチャーしつつ、ハンドクラップやもっさりしたドラムによるざっくり粘性の高いビートダウン調のグルーヴを刻み、そこにマイナーコード調のエレピと優雅に舞うストリングスを配して、彼らしいスモーキーかつソウルフルな黒きディープ・ハウスを聞かせる。"Loops For Eternity"はもう少々アッパーで勢いのあるジャジー・グルーヴが走っており、エレピやシンセの控えめにジャージャス感ある響きやファンキーなボイス・サンプルを絡めて、エレガンスを纏いながらもしっかりと地を固めて力強いうねりに巻き込んでいく。両曲とも新基軸や目新しさは皆無だが、それもレーベル10周年の作品のためにいかにレーベル性を示すかという理念もあるだろう事を考えると、これ以外にしっくり適切なディープ・ハウスは無いだろう。普段通りのファンキーかつエモーショナルなディープ・ハウス、だからこそ素晴らしい。



Check Motor City Drum Ensemble & Pablo Valentino
| HOUSE14 | 17:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Trux - Orbiter (Avenue 66:AVE66-04)
Trux - Orbiter
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その名の通りアシッド・サウンドに偏執的なこだわりを持つLAのレーベルであるAcid Test、その傘下で運営されるAvenue 66は同様にアブストラクトな音響を引き継ぎつつも更にエクスペリメンタル性を伴いながらディープへと潜っていく音楽性を軸にしている。そんなレーベルのミステリアス性と共振したのは2016年にBaazのOffice RecordingsからデビューしたTruxで、アーティストについての公開情報が何も無くミステリアスなアーティストとしてダンス・ミュージックの枠にはまる事なく、その匿名性をアピールするようにエレクトロニカやアンビエントにジャングルまで咀嚼しながら変異体な電子音響を聞かせる不思議な存在だ。そんなTruxによる初のアルバムはやはり過去の作品を踏襲し一般的な躍動するビート感のダンス・ミュージックは無く、以前にも増して曲毎に蒸気のように形を変えて不鮮明な音響で満たすディープかつアブストラクトな作品だ。オープニングはノイズにも似た不鮮明な音響が溢れ出す"With It"で始まるが、曲の途中からはっきりと明瞭な鍵盤の音が物悲しい旋律をなぞる変化を見せ、開始からして一筋縄ではいかない。続く"Orbiter"はダビーなシンセが空間の広がりを生みつつ変則的なキックも軽く刻まれて、あてもなく濃霧の中を彷徨うアブストラクト・アンビエントだ。そして再度ビートレスな"Blinko"ではぼんやりとしながらも幽玄な上モノが浮遊し、軽くハイハットやタムも聞こえてはいるがその抽象性の中で幻惑的な響きをし、終始もやもやと意味もなく不鮮明な鳴りのまま続く。比較的ダンス・ミュージックとしての体を成しているのは"My Row"だろうか、微細なハイハットが薄っすらとビートを刻んでいるが、そこに霧のような深く叙情的なドローンとぼんやりとした呟きを被せて、刺激を一切与える事なく揺蕩いながら空間の中に溶けていくディープ・アンビエントで不明瞭な世界観は変わらない。そして最後はフィールド・レコーディングの向こうにオルゴール風な悲哀なメロディーが浮かび上がるIDM風な"Agoma"で、終始深く不鮮明な電子音響が続くアルバムは最後にきてぐっと感傷を強めて、しかし決して荒ぶる事なく静けさを保ちながら霧散する。終始アブストラクトな音響に包まれたリスニング志向の強い音楽は、しかし一方で微睡みを誘うアンビエント性や淡い情緒によって心を落ち着かせ穏やかな気分へと至る鎮静作用があり、エクスペリメンタルではあるが決してとっつきにくいものでもないだろう。



Check Trux
| TECHNO14 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Welcome To Paradise Vol. III (Italian Dream House 90-94) (Safe Trip:ST 003-3 LP)
Welcome To Paradise Vol. III (Italian Dream House 90-94)
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オランダの気鋭・Young Marcoは自身で主宰するSafe Tripからは様々なアーティストによるヴィンテージ感溢れるシンセが特徴なディスコやエレクトロを送り出す一方、Gigi MasinやJonny Nashと組んだスペシャル・プロジェクトのGaussian Curveにおいては遥かなる田園地帯を想起させるバレアリック性を発揮し、そしてMarcoの音楽性はそれだけではなくイタロ・ハウス/ディスコをこよなく愛する面もある。その意味では本作は彼が生み出した音楽ではないがセレクターとしての才能が発揮されてイタロを愛するパーソナル性が如実に発揮されたコンピレーションと断言出来る、それこそタイトルからしてこれ以上は無い位に適切な「楽園へようこそ(イタリアの夢のようなハウス)」という編集盤だ。2017年にはアナログで『Welcome To Paradise (Italian Dream House 89-93) 』(過去レビュー)がPart1とPart2で分けてリリースされており、このPart3でシリーズとしてはどうやら完結するようだが、80年代後半から90年代前半の短い期間に盛り上がったイタロ・ハウス名作を咀嚼するのにこの3枚の編集盤は間違いなく役に立つだろう。本作でも煌めくような美しい響き、ロマンティックで官能的な世界観、そして爽やかなバレアリック感が広がるイタロ・ハウスが満載で、例えばOptikによる"Illusion"は甘く清涼なシンセコードに大らかなベースラインと4つ打ちキックが安定したグルーヴを作るシンプルな作風だが、無駄な装飾をせずに明瞭なメロディーで楽園志向な世界観を生み出す作風はイタロ・ハウスのテンプレートでもある。Leo Anibaldiの"Universal"なんかは808 Statesの"Pacific"まんまだろというツッコミも入りそうだが、海辺の自然音らしきものを用いつつ透明感のあるシンセが伸びる爽快なハウスはこれぞバレアリックを体現している。4つ打ちだけでなくダウンテンポによって切なさが強調された"Deep Blue (The Inner Part Of Me)"は、イタロ・ハウスの特徴でもある情緒的なピアノのコードに色っぽい女性の声や鳥の囀りのサンプルも用いて、ぐっと感傷的な気分に浸らせる。アルバムのラストは名曲中の名曲、近年再発もされたDon Carlosによる"Ouverture"で、抜けの良いアフロなパーカッションが走りながら線が細くも優美なストリングスと煌めくピアノがクリスタルのような輝きを生み出す至福のバレアリック/ハウスで、ここが楽園でなければ一体何処なのかと思わせる程の多幸感だ。90年初頭の古き良き時代感満載な音楽は流石に時代感が強いもののどれもハッピーな雰囲気に満たされており素晴らしいが、また本作を纏めるにあたり未発表音源だった"Resounding Seashell"と"Dance To The House (Unreleased Edit)"が発掘されて収録されるなど、秘蔵音源的な意味合いでもこのコンピレーションの価値は高い。『Welcome To Paradise』というタイトルに嘘偽り無しの最高なコンピレーションだ。



Tracklistは続きで。
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| HOUSE14 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Cass. - Postclub Prism (Into The Light Records:ITLIntl01)
Cass. - Postclub Prism
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ニュー・エイジやアンビエントといった音楽の再興が盛り上がる電子音楽のシーンにおいて、それを語る場合において欠かす事の出来ないレーベルは複数あるが、2012年にギリシャで設立されたInto The Light Recordsもその一つだ。活動の当初はダンスかリスニングか、エレクトロニックかオーガニックかにこだわらずにギリシャの埋もれた秘蔵音源の発掘に力を入れてVangelis Katsoulisを始めとしてAngelo Ioakimoglu(過去レビュー)やAkis(過去レビュー)といった過去のアーティストの秘蔵音源のコンパイルを中心としていたが、そこから遂に過去音源ではなく新しい音楽を世界へとリリースすべく新しいカタログナンバーも付けたシリーズを開始したが、その第一弾が本作だ。手掛けているのはドイツ人であるNiklas Rehme-SchluterことCass.で、まだ27歳位と比較的若手の世代ではあるが既にInternational FeelやEmotional Responseといった著名なレーベルから電子とオーガニックの響きが共存したバレアリックな音楽をリリースしており、注目を集め始めている存在だ。そして本作によってその評価は決定的となるに違いない。光とロマンスをテーマにした本作は、プリズムが伸びる美しいジャケットのように音もクリスタルの煌めきのような電子音が用いられており、ノンビートの"1000 Superdolphins"では透明感のある電子音響の中から陽炎のようなギターも切なく湧き上がりぼんやりとしながらも情緒に溢れている。続く"The Diary"ではミニマルなシンセのリフに繊細ながらも多層にシンセやギターが被さりながら、ドローン色の強い夢現なアンビエントを展開する。"Leaving"ではスローながらもジャジーで生っぽいリズムも入ってくるが、それよりも悲哀に満ちたシンセは咽び泣くように感情を吐き出す点に耳は惹かれ、現実と夢の世界の狭間を夢遊する。ぼんやり抽象的な濃霧のアンビエント層が広がる"Painful Love In 96Khz"は、ただただ意味もなくふんわりとしたシンセのレイヤーが牧歌的な雰囲気を作り上げており、心を空っぽにしてその幻夢の世界に浸れる事が出来るだろう。そしてノイズにも近いサイケデリックなドローンが続くインタールードの"Chromakey Interlude"を通過した後には、切ないストリングスや幸福感のある朗らかなシンセが絡み合って可憐に彩る"Be My Blessing And My Lesson"によって何処までも緑の草原が広がる牧歌的なムードに包まれて、現実の時を忘れてゆっくりとした時間軸の中に逃避する事だろう。基本的にはビート無しのアンビエント/ニュー・エイジで統一されており、淡い色彩が正にプリズムの様に広がる幻想的で美しいサウンドがドリーミーで、汚れの無いピュアな感覚が素直に伝わってくる。2018年のレビューには間に合わなかったものの、本来はその年のベストにも推したかった程に素晴らしい。



Check Cass.
| ETC4 | 20:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Ron Trent - Warm (Future Vision World:FVW-009)
Warm - Warm
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Ron Trent主宰のFuture Visionから初耳のWarmなるアーティストの新作、これがこのレーベルにしては随分と肩の力が抜けてバレアリック寄りな作品で素晴らしい。レコードのラベルにはWarmというアーティスト名しかないが、ドラムやキーボード、そしてプロデュースにはTrentの名前があり、各レコードショップもRon Trentの名義で販売しているので恐らくTrentの変名なのだろう。いつもの爽快でアフロなパーカッションが炸裂し大空を飛翔するような壮大なディープ・ハウスではなく、スパニッシュやフュージョンにバレアリックといった言葉が連想されるダンス・ミュージックは、これまでの作品の中でも正にタイトル通りに温かくオーガニックな響きをしており、サウダージを誘発する。軽やかなパーカッションとレトロなドラムマシンのリズムから始まる"Night Ride"、そこに優美なシンセのコードや生っぽくしっとりしたベースラインと色っぽい呟きが加わり、更には華麗に彩るピアノと様々な音色によって実にメロウな演出をするブギースタイルのディスコは、バンド演奏的な雰囲気もありその生っぽさがより肌に染みる。本作ではギターも大々的に用いており、しっとりとスローなビートの"On A Journey"では滴り落ちるような哀愁が滲むギターが感情を吐露するように爪弾きされ、透明感あるシンセのコードと溶け合いながら、夕暮れ時の海辺を望むようなバレアリック感に溢れたEPの中でも特に印象に残る曲だ。"Exhale"でも咆哮しつつも咽び泣くようなギターが主導する曲で、爽やかに軽やかに走りパーカッションも心地好く広がるビートが刻まつつギターソロが深い情緒を生む作風は、ソフトロックや元来持っているフュージョン・テイストの延長線上で、それでもやはり普段の作風より緩い雰囲気に開放感が感じられる。ああ、確かに『Warm』と付けられたタイトル通りの温もりに満ちた曲たち、どれも暗闇が支配するダンスフロアから抜け出して、青空の広がる下の屋外で聞きたくなるロマンティックな世界観だ。どうせならこの路線で一枚のアルバムを聞いてみたくなる。



Check Ron Trent
| HOUSE14 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |