2024.02.25 Sunday
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カナダはヴァンクーヴァーに設立された新レーベル、その名もEasy Listening Recordingsとはその直球さに微笑ましくも、しかし興味を必然的にそそられる。レーベル名に引き寄せられるように試聴してみたところ、爽やかでメロウな、そしてバレアリックな季節のディープ・ハウスは即座に耳を虜にした。筆者はすっかり忘れたいたもののこのTeen Dazeは、Let's Play HouseやCoastal HazeからもリリースをしているPacific ColiseumことJamison Isaakによるプロジェクトで、確かにリゾート感覚のあるバレアリックなアルバム『How's Life』(過去レビュー)は素晴らしかった。そんな雰囲気を継承しながらも本作はよりソフトなハウスで、より甘くメロウで、強く胸を締め付けるようなロマンティシズムに溢れている。タイトル曲の"Quiet City"からして甘酸っぱいメランコリーがあり、ローファイながらも颯爽とした柔らかいビートが流れる上にアンビエント感のあるパッドや郷愁を含む甘美なピアノを配し、夕焼けに染まった海沿いの道路を恋人と一緒にドライブするようなロマンティックな風景が浮かび上がる。"Life Style"ではどっしり太いキックによるざっくりとしたブレイク・ビーツに安定感があり、ここでもメロウなシンセ使いやエモーショナル性の強いフレーズがこれでもかと溢れ、ドライブから一転して街中を気ままに散歩して日常の何気ない時間を楽しむかのようだ。終盤には軽くアシッド・サウンドも導入されるが、陽気なムードに自然と溶け込み多幸感が増していく。最後は"Night Club"と夜の帳が下りた後の一日の最後の時間帯、軽快に走るような変則ビートを刻みウォーミーなシンセコードの中を牧歌的な笛のようなメロディーに導かれ、暗くなってからのドキドキが増してクラブへ行く前のあの高揚に包まれるディープ・ハウスを聞いて、後はクラブでのパーティーが待ち受けている。過去のTeen Dazeと大きな差がわるわけではないが、特にディープ・ハウスへと接近しつつバレアリックなムードを保っており、この路線でのアルバムがもしリリースされたらと期待してしまう。
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