CALENDAR
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< October 2020 >>
RECOMMEND
MOBILE
qrcode
SPONSORED LINKS
Chromatic Filters - Lido Iride (Rebirth:REB121)
Chromatic Filters - Lido Iride
Amazonで詳しく見る(MP3)

イタリアのハウスレーベルであるRebirthで活動を続けるChromatic Filters。このユニットについては全く知らなかったものの、リミキサーにイタロ・ハウスの老舗であるIrmaを代表していたLTJ XperienceとDon Carlosの二人が名を連ねている点だけに興味を惹かれ購入を決めた次第だが、リミックスも勿論オリジナル音源もなかなかの質だ。Chromatic FiltersはLuca SannaとPierpaolo Sechiのロンドンを拠点に活動するイタリア人デュオで、自身の説明では「80年代初期のNYのディスコシーンからインスピレーションを得ている」そうだ。ディープ・ハウスを好むLuca、そしてベースやシンセを演奏するライブパフォーマンスに興味を持っているPierpaoloの二人の相乗効果によって、確かに本作でもそんな音楽性が結実しているのが確認出来る。"Eugene"は覚醒感のあるシンセベースのシーケンスとゴージャスで綺羅びやかなシンセの使い方が際立っており、そこにどっしり重厚感のあるキックのディスコ・ビートも合わせ、スローモーながらも粘りのあるグルーヴと鮮やかな音色によってぐいぐいと快楽的に引っ張っていく。それをジャズやラテンにも造詣のあるLTJ Xperienceがリミックスした"Eugene (LTJ Xperience Remix)"は、大きな手を加える事はないがラテン系の爽やかなパーカッションにギターのダビーな幻惑的エフェクトを加え、スローモーという点では同じ方向性なもののトリッピーでサイケデリックな雰囲気が強くなり、どちらかと言うとディープ・ハウスといったジャンルに当て嵌まるだろうか。もう一つのオリジナル曲である"First Impact"はディスコのリズムでは同じだがもう少し軽くブギーなノリが爽やかで、そこに綺麗めのピアノコードやパッドで優雅な情緒を演出し、そして陶酔感の強いエモーショナルなギターソロも加わってくると艷やかなフュージョンの味も出てきて、ファンキーなのにエレガントな世界観にうっとり。そして"First Impact (Don Carlos Remix)"、このリミックスも原曲の雰囲気を尊重しており、軽やかに大空へと広がっていくギターの爽快さ、透明感のある綺麗な音の用い方とアンビエンスな浮遊感を保ち非常に心地好い大らかな雰囲気で、そこにリズムはどっしりエレクトロニックな響きのキックによってディープ・ハウスへと塗り替えて、DJ使用性を高めた丁寧なお仕事をしている。ライブ感もあるディスコ寄りな原曲、エレクトロニックなディープ・ハウスのリミックス、どちらもアーティストの個性が反映されつつ古典的なイタロ・ハウスらしい忠実さに安心を覚える内容だ。



Check Chromatic Filters
| HOUSE15 | 12:00 | comments(0) | - | |
Mediterranean Key Collective - Fragranza (Cosmic Rhythm:CRM15)
Mediterranean Key Collective - Fragranza

2016年に発足したイタリアのCosmic Rhythmはまだ歴史は浅いものの、シカゴ・ハウス由来のロウな響きのリズムとイタロ・ハウスを継承した美しく鮮やかな音色を基にしたオールド・スクールかつディープ・ハウスな作風に焦点を絞り、良質なEPをこのご時世に配信もせずにヴァイナルオンリーでリリースし続けている。そんなレーベルから新たにデビューしたMediterranean Key Collective、実はイタロ・ハウスの大ベテランであるDon Carlosと、Cosmic Rhythmの主力として活動するRhythm Of ParadiseことMichele Lamacchia、そしてレーベル主宰者であるCosmic GardenことNicola Loporchioの3人による新たなるプロジェクトという事で、どうしたって注目してしまうのも当然だ(ちなみに同レーベルのカタログに並ぶB.U.M.、Rydm Sectors、Loss Of Gravityなど大半の名義も、実はLamacchiaとLoporchioに依るものである)。イタロ系の古典とも呼べるIrmaやCalypsoから多くの名作をリリースしてきたイタロ・ハウスの大御所と、そして新世代の二人が手を組むという世代を越えたプロジェクトは、確かに各々の魅力が取り込まれて単なる話題性だけではない納得の内容となっている。ローファイというか乾いてチージーな音質のリズムが跳ねる"Fragranza"は、しかし耽美でスムースなエレピコードにファンキーな効果音を織り交ぜて、中盤から入ってくる艶と色気のあるサックスソロが地中海の楽園的なムードを吹き込み、如何にもイタロ的なドリーミーなハウスで説得力を持っている。"Il Tramonto"は膨らみのあるキックを用いて穏やかな4つ打ちを刻んでおり、そこに流麗で透明感のある鍵盤コードを重ね、色彩豊かに煌めくようなシンセのメロディーを散らし、波打つ水面から太陽光が乱射するような美しさのあるバレアリックなハウスを展開。別バージョンとなる"Il Tramonto (Mediterranean Mix)"はより太いキックとざらついたハイハットが強調されて骨太感があるが、澄んだエレピとホーン系のメロディーが穏やかなアンビエンス性を生み出しており、そこに繊細で綺羅びやかな鍵盤ソロも入ってきて優雅で大人のディープ・ハウスといった趣きで実にリゾート感覚に溢れている。最後はリラックスしたビート感の"La Casa Del Sole"で、ドライなタム系と金属的なパーカッションの響きに合わせ幻想的で微睡んだシンセコードで夢現な状態が続く、甘美でドリーミーなイタロ・ハウス。やはりイタリアのアーティストが揃っただけあり如何にもイタロ的なピアノの使い方や、美しく清涼なシンセの響きを前面に打ち出して、作風としては古典というかオールド・スクールというか新しい事は何も無いものの、基本に忠実だからこそ逆に盤石な質の高さを示している。一回限りのプロジェクトとしてはもったいなさ過ぎるので、是非とも継続して欲しいものだ。



Check Mediterranean Key Collective
| HOUSE15 | 09:00 | comments(0) | - | |
Pacific Coliseum - How's Life (Let's Play House:LPH075)
Pacific Coliseum - Hows Life
Amazonで詳しく見る(MP3)

南国の木々の向こうに見えるビビッドな青々しい空と緑の海、このトロピカルな楽園系のジャケットからしてアルバムの中身を示唆するようで、当方はそれに惹かれて試聴したところ予想通りなドリーミーかつバレアリックな音楽がドンピシャ。Pacific Coliseumはカナダ人のJamison Isaakの変名の一つで、この名義では過去には新興レーベルでは勢いのあるCoastal Hazeから既に2枚のアルバムをリリースして注目を集めていたようだ。他にもドリーム・アンビエントを展開するTeen Dazeなど複数の名義で10年以上の活動歴がありベテランではあるようだが、その中では最近はハウス・ミュージックを中心にしながらチルアウトやアンビエントにダウンテンポといった肉付けもしながら緩く和んだ音楽性のPacific Coliseum名義が特に注目を集めているように思われる。最初に述べた通りに閉塞的な闇の空間とは全く真逆の、屋外で太陽光が降り注ぐ楽園のような雰囲気の音楽性がアルバムの軸にあり、現在のコロナ禍に於ける閉塞的な気分を少しでも和らげるには最適なBGMと成り得るヒーリングの効果さえもある。軽やかでパーカッシヴな4つ打ちのハウス・グルーヴ、そこに繊細なエレピやメロウな笛に生っぽいベースを合わせたジャズ・ファンク的な"An Evening In"で始まり、同じくエレピの透明感に満ちた綺麗なメロディーがリードするアシッド・ジャズ調の"Relief"、そしてねっとり絡みつくベースと煌めく上モノにうっとりなスローモー・ディスコの"Really Gone"と、冒頭3曲からして生っぽい温かい音質と気怠くもあるレイドバックした世界観は軽く踊れながらもチルアウトを誘発し、日中のティータイムの寛ぎにも最適だ。しかし瞑想的な電子音のループで牧歌的な田園風景を想起させる"Floating Petals"はアンビエントやニューエイジ寄りの作風で、一時の白昼夢による現実逃避か。そして何だか忘れ去った昔の思い出が蘇るようなセンチメンタルなAOR調の"Closer Feel"、ビートを落としながらもブギーな爽快さのある心地好いパーカッシヴなハウスの"Turquoise"とゆっくりと散歩を楽しむように進み、"Endless Journey"では物哀しい重層的なシンセから発せられる夕暮れ時のようなメランコリーにより、再度深い慈しみに満ちたニューエイジが訪れる。最後は豊潤なドローン音響を用いいつつそこに清らかな鍵盤を重ねたニューエイジ調の"Water Movements"で、桃源郷の真っ只中な気分のままアルバムは穏やかな終わりを迎える。穏やかながらもダンスとしてのグルーヴも適度にありリスニング向けに抑制されたアルバムで、全編に通底する忙しない日常から開放されたリゾート感覚は、パーティー後の踊り疲れた体にも最適なオーガニックなチルアウトにもなる。ハウスの枠を越えて多様な作風を盛り込みつつ、その世界観はバレアリックに統一されて穏やかな時間を提供してくれるだろう。



Check Pacific Coliseum
| HOUSE15 | 12:00 | comments(0) | - | |
Soulphiction - 24/7 Love Affair (Local Talk:LTLP010)
Soulphiction - 24/7 Love Affair
Amazonで詳しく見る(MP3)

デトロイトやシカゴの影響も匂わせ、スモーキーで訝しいディスコティックにモダンなミニマル性も込めて良質なディープ・ハウスを量産していたPhilpot。その主宰者であるMichel Baumann、またの名をSoulphiction/Jackmateとも名乗るDJ/アーティストも、PampaやSonar KollektivのみならずPerlonやPlayhouseからもリリース歴がある事からも分かる通り、やはりブラック・ミュージックを下地にした艶かしくファンキーな響きを打ち出しているが、DJツールとしての洗練された機能性も持ち合わせた音楽性が特徴だ。そんな彼も常にフロア適応型のEPはリリースしていたものの、アルバムは2008年の『Do You Overstand?!』(過去レビュー)から音沙汰無しの状態が続いていた。しかし2019年の暮れ、なんと11年ぶりとなるアルバムがLocal Talkからリリースされた事には驚いたが、様々なブラック・ミュージックを咀嚼したクロスオーバーな音楽性を持つレーベルだからこそ、Soulphictionの音楽性と共鳴するのも自然の流れだったのだろう。さて、アナログでは3枚に分かれていた作品を配信で纏めたアルバムなのでボリュームもたっぷりなので、音楽性も今まで以上に豊かに色々な要素を含んでいる。出だしの"U'll Like It"からして過去のKDJの作風まんまな煙たくサイケデリックなビートダウン・ハウスで、そのインスパイア具合には苦笑しつつもファンキーなサンプリング使いには、有無を言わせない説得力がある。対して金属のロウな響きがスリージーで冷淡でミニマルな"Luv Yaselves"はセオパリ影響下と思われ、微かに官能性はありつつも淡々としたヒプノティックな曲は機能的だ。しかし"Jus Listen"では柔軟なリズム感のブロークン・ビーツ風で、清涼なコーラスと耽美な鍵盤使いにうっとり陶酔し、フロアの闇から光の射す方へ向かっていくようだ。そしてタイトル曲の"24/7 Love Affair"、こちらはズンズンと重く太いキックを活かしたディスコ・ハウスだが、暗闇の中にひっそりと耽美なエレピサンプル等を配して、深い黒さから官能が浮かび上がる。また"The Mood"もディスコな作風だが、ざらついて荒々しいドラムのリズムとうねるチョッパーベースが生臭くファンキーで、そこに人間臭いソウルネスを感じずにはいられない。ブラック・ミュージックの流れでざっくり生っぽいリズムがヒップ・ホップでメロウに染みる"Goodnite Ema"もあれば、シカゴ・ハウスにも似たスカスカで安っぽいリズムが逆にファンキーな味わいを生む"Raw Track"もあるが、異色なのは"French Kiss"の派生とも呼べる"Beehive (HiPhife Mix)"で、アルバムの中で最もテクノのヒプノティックな快楽性がありフロアを高揚へと包み込む事は間違いないだろう。単なるハウス・ミュージックではない、その殻を打ち破りつつもSoulphiction流のブラック・ミュージックを体現したバラエティーにも富んでおり、80分越えのボリュームながらも飽きずに楽しませてくれるファンキーでエモーショナルなアルバム。尚、最近では毛並みの異なるJackmate名義も復活させており、そちらではよりユニークな音楽性を発揮している。



Check Soulphiction
| CROSSOVER/FUTURE JAZZ3 | 12:00 | comments(0) | - | |
Karim Sahraoui - Faith (Blue Arts Music:BAMCD008)
Karim Sahraoui - Faith
Amazonで詳しく見る(日本盤)
 Amazonで詳しく見る(MP3)
2019〜2020年にかけて精力的をリリースを行ってきた福岡を拠点とするBlue Arts Music。特にデトロイト・テクノ、またはそれに影響を受けたアーティストにフォーカスし、EP主体のこの業界に於いて積極的にアルバムを手掛ける事はそれだけで評価すべき事だ。そんな一連の作品の一つが本作、かつてはDjinxxやElectronic Resistanceとして活動していたフランスのKarim Sahraouiによる初のアルバムだ。一時はこの業界に失望し身を引いていた彼が、しかしTransmatに手を差し伸べられ復活するとそれを機に積極的に音楽活動を行うようになり、今ではデトロイト・フォロワー系の中では特に高い評価を獲得するにまで至っている。さて、この名義では初となるアルバムだが、おおよそファンの期待を裏切らない直球エモーショナルなデトロイト影響下のテクノが軸となっているが、単にフロア機能性重視やツール向けとはならずにアルバムという形態を活かして豊かな要素を取り込んでリスニングとしても最適な内容だ。"Ready (Theme)"はオーロラのような美しい重層的なシンセのシーケンスによってじわじわと盛り上がっていくビートレスな作風で、アンビエントな雰囲気も纏わせながらこの先のドラマ性を予感させ、オープニングに相応しい曲だ。続く"Holy Jazz"はその曲名が示唆するように跳ねるような複雑なジャジーなリズムが印象的で、シンセベースやヒプノティックなシンセも細かく配置され、非常に躍動感に満ちたファンキーさとエモーショナル性が融合した曲だ。"Brotherhood"は某大物DJもリリース前からプレイしていたそうで、9分にも及ぶこの曲はアルバムの中ではかなりダンスフロアを意識した曲だ。序盤はパーカッシヴ性の強い4つ打ちで引っ張りつつ少しずつ幻想的なシンセが浮かび上がり、遂に熱き感情が迸るピアノコードも加わってくると完全にデトロイトのテクノソウルが出現するなど、特にSahraouiのエモーショナル性が顕著に現れた曲で、間違いなくフロアを感動と興奮に包み込むだろう。そういった曲も素晴らしいが、荒々しくも変則ダウンテンポのリズムの中でしっとり情緒的なピアノや切ないピアノでぐっと感傷的に染め上げる"Out Of Confusion"や、ブロークン・ビーツを意識してしなやかなリズムを刻みつつ激情を込めたピアノが熱く唸り声を上げる"Jericho"など、普段の4つ打ちから外れた曲はアルバムにおいて多様性を含む事となりSahraouiが才能あるアーティストである事を証明している。途中色々な作風で豊かなエモーションを披露して盛り上がり、そしてラストは実にジャジーで大人っぽい円熟味で包み込む"The Plaza (outro)"で締め括るなど、アルバムの起承転結な流れも上手く考えられている。デトロイト・テクノが好きな人にとっては間違いないが、テクノやハウスのみならずダウンテンポやジャズといった要素もある音楽性で、より広く多くのリスナーの心にエモーショナルなテクノソウルが届く筈だ。



Check Karim Sahraoui
| TECHNO15 | 21:30 | comments(0) | - | |