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Good Mellows For Sunrise Dreaming (Suburbia Records:SUCD1004)
Good Mellows For Sunrise Dreaming
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週末の海辺〜海辺の夕暮れ時〜月明かりの下のランデブーと刻々と時間の経過を辿ってきた『Good Mellows』、次なるシリーズは真夜中の眠りから目覚め、朝日の到来と共に訪れるまだ瞼の重い夢の様な時間帯、それが『Good Mellows For Sunrise Dreaming』だ。メロウというコンセプトを様々な風景・時間帯で演出してきた橋本徹が、目覚めの為に用意した音楽はシリーズの中でも特に穏やかで、そして透き通るような透明感を持った清純な響きが静寂の中に広がるようだ。アルバムの冒頭は夢から優しく現実へと引き戻すMiguel Atwood-Fergusonによる"Intro Eternity"で、引いては寄せる波の音や鳥のさえずりと共にか弱いピアノの音色が夢現な状態にそっと目覚めを告げる和みのインストで、刺激を与える事なくゆっくりと心身を起床させる。続くWooによる"A Little Long Way"、気の抜けた笛の音色と牧歌的な電子音からなる現代で言うフォークトロニカと呼ぶべきか。夢の余韻を残しながら続く"Brasil (Abel's Gavea Mix)"では開放感を演出するアコギが爽やかなバレアリック感を生み、少しずつ肉体にも力が入るようにビートが流れだす。中盤ではクラブ・ミュージック性の強いディープ・ハウスであるDeep88による"Harmony"、Optikによる"Illusions"が続くが、この辺の浮遊感溢れるアンビエンスや清純な透明感は、今までのシリーズの中でも特に群を抜いており本作のコンセプトを象徴するようでもある。後半にはジャズ・ピアニストとその仲間のBugge & Friendsによる"Breed It"が待ち受けており、繊細で憂いに満ちたピアノソロから徐々にアフロなパーカッションも加わわってドラマティックに盛り上がる流れは、穏やかな興奮を誘うだろう。そこから哀愁のトライバルなハウスや落ち着いてエレクトロニックなハウスを通過して、最後はUyama Hirotoによる"End Of The Road"が魂を揺さぶるスピリチュアルな世界観のダウンビートを刻み、心の拠り所を見つけたように安堵なムードでラストを飾る。踊り疲れた後のチル・アウト…とも異なるこれからの活動を促すための促進剤と呼ぶべきか、開放的でバレアリックではあるが休むのではなく体に静かに活力を生む音楽性で、正に一日の始まりを告げる内容なのだ。

Tracklistは続きで。
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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Lay-Far - How I Communicate (House of EUREKA!:ERKCD002)
Lay-Far - How I Communicate
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日本の新進気鋭の若かりしパーティー集団・Eureka!の強い後押しの影響もあってか、国内でもLay-Farの存在感は日に日に強くなっている。2011年頃にデビューしたLay-Farはロシア出身モスクワ在住のロシアン・ディープ・ハウスを代表する一人ではあるが、単にそれだけではなくヒップ・ホップも含めたデトロイトのモータウン感覚を吸収し、そこにヨーロッパのブロークン・ビーツやフュージョン等の優雅な空気も纏い、レトロとモダンを難なく同居させる新世代のハウサーだ。本作は彼にとっての3年ぶり2枚目となるアルバムだが、海外でのリリースは蜜月の関係を築いているLocal Talkからと満を持しての内容だ。そして喜ばしい事に海外では2枚のEPに分けてリリースされたアルバムが、ここ日本ではEureka!の支援により纏めてCD化されたのだから、通して聴く事を可能とするCD版を買わない訳にはいかないだろう。アルバムは優雅さが薫り立つような静謐な"Intro"から始まり、直ぐにスウィートな女性の歌と艶かしいベースラインが躍動するフュージョン風な煌きもある"Like the First Time"へと繋がり、優雅さを振り撒きながら心地良いダンス・グルーヴを刻み出す。華麗なストリングスに心が踊りどっしりブギーなビートに体が揺れる"Dva Kolca Dva Konca Interlude"による短いインタールードを挟んで、エレピがそっと耽美な空気を添える"Lock and Rock"やざっくり生っぽい変則ビートも伴ってライブ感溢れるノリを生む"Slope (Upbeat)"と、どれもこれも耽美なキーボードの旋律や豊かな音色と複雑かつ肉体的なビート感が融け合ったクロスーオーヴァーな路線は既に円熟の位置にある。中には少々重心低めでロウなビートにぶりぶりとしたシンセのベースが電子化を強めたディープ・ハウスの"Submerging"や、湿った歌も相まって温かさに包まれるダウンテンポの"Drop The Time"など、アルバムの中にちょっとしたアクセントを添える曲もある。アルバムの華々しさや豊潤な構成は勿論Lay-Farの実力があっての事だが、それを支えているAshley BeedleやMark De Clive-Lowe、Phil AsherやSean McCabeら実力者のサポートも加わる事で、本作は見事なまでに現代のクロスーオーヴァーな音楽性を成し遂げている。となれば、90年代に栄華を誇った西ロンのブロークン・ビーツにはまっていた人にも、この音楽はきっと高らかに響くに違いない。





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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 19:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Good Mellows For Moonlight Rendezvous (Suburbia Records:SUCD1003)
Good Mellows For Moonlight Rendezvous
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橋本徹が設立したSuburbia Recordsは、正にこの『Good Mellows』シリーズの為であったのだろう。由比ヶ浜にあるバーガーショップ“Good Mellows”でのDJ経験を基に、貴重な音源を用いながらも根本はメロウな音楽の領域を広げる事を目的としたこのシリーズは、橋本が予てから手掛けている『Free Soul』のファンとは異なるクラブ・ミュージックのリスナーにもアピールする内容だ(だからこそ、逆に『Free Soul』のファンにも聴いて頂きたい)。第1弾の"週末の浜辺"から第2弾の"夕暮れ時の感情"へ、そして本作では遂に"月明かりの下のランデブー"へと夜の時間へと入った事を示す内容だ。ありがたい事に毎回アルバムには橋本自身による丁寧な曲解説が収録されているので、こんなレビューを読むよりはもうアルバムを買って聴いて読んで…と思うばかりだが、当方からも作品の紹介はしたいと思う。冒頭には2015年に残念ながら亡くなられた横田進による"Amanogawa"が配置されている。横田と言えばテクノやハウスのみならずアンビエントやディスコなど、奇才とでも呼ぶべき多彩な才能を発揮していた日本のクラブ・ミュージックに於ける先駆者の一人であり、その才能は早くから海外でも認められていた程だ。ここでは正に月明かりに下にいるような、柔らかく優しい音色が天の川のよう連なるアンビエントな曲で、今回のシリーズの幕開けに相応しいだろう。続くLexxによる"All That Is Now"、哀愁のギターが広がるフォーキーな雰囲気でぐっと湿っぽさを増す。次のDonsoによる”Waati”ではアフリカらしい民族的な歌やパーカッションも聞こえるが、可愛らしいエレクトロニクスの使い方のおかげで随分とモダンにも思える。アルバムの途中にはMark BarrottやEddie CにAndrasなど話題のアーティストの楽曲も収録されているが、夜の雰囲気ではありながらもどれも落ち着いていてパーティーの喧騒からは離れた静謐な世界観が発せられる。そして中盤のメロウさがピークに達するPortableによる"Surrender"は、全く無駄のないすっきりとした構成でメロウネスを浮かび上がらせるボーカル・ハウスで、胸を締め付けられる程に切ない。後半の聞き所と言えば間違いなくMarcos Valleによる"1985 (Theo Parrish Remix)"だろう。原曲のメロウネスを全く壊す事なくざらついたビートダウンへと塗り替えた本作は、力強いビートながらも優しく包み込む包容力に満ちあふれている。最後はジャズ・ピアニストのJessica Laurenによる"A Pearl For Iona"で、これまた波以外の音が消え去った浜辺で、しんみりと月を望むような風景が浮かび上がる情緒的な曲でラストに相応しい。多くの曲が初CD化と音楽的に貴重である事は抜きにして、ただただ橋本による夜の風景を喚起させるような想像力のある選曲が素晴らしく、『Good Mellows』という言葉通りの内容にジャンルを越えて愛すべき作品だと感じずにはいられない。さて、次は一体どんな場面、どんな時間帯へと移り変わるのだろうか。

Tracklistは続きで。
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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 08:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Wu15 - Wu15 EP (Eglo Records:EGLO48)
Wu15 - Wu15 EP
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破竹の勢いに乗るFloating Pointsが共同主宰しているEglo Recordsの新作は、WU15なる耳にした事のないアーティストだ。実はこのユニットはKyle Hallの主宰のWild Oatsからも作品をリリースしたK15、そしてEglo Records傘下のHo Tepから作品をリリースしたHenry Wuによるもので、ロンドンの新世代が手を組んだ企画なのだ。両者とも温かみのある素朴なディープ・ハウスやメロウなヒップ・ホップやR&B、そして小気味良いブロークン・ビーツまで手掛ける柔軟性があり、今注目を集めている若手である。本作はコラボとは言いながらもそれぞれのソロ作も収録しており、K15による"Love's Gambit"は優美なエレピやパッドに素朴なシンセなどのメロディーが融け合うように重なり、金属的なざらつきのあるマシンビートはヒップ・ホップやジャジーな雰囲気を発し、非常に手作り感のある構成やビートはラフながらも温かみが伝わってくる。Henry Wuによる"Shahada"はもっとMPCのプログラミングによるヒップ・ホップ寄りなビートでエッジを効かせており、そこにフュージョン風な煌きのあるシンセのメロディーがしっとりと入る事で、ファンキーなのにメロウな大人の味わいだ。WU15名義では2曲収録されていて、コズミックなシンセが反復する上に物哀しいエレピが場末の酒場感を生むねっとりダウンテンポの"Space And Time"、動きのあるメロウなエレピやシンセとジャジーな臨場感のあるビートが強調された"The Anthem"と、これらもやはりヒップ・ホップやフュージョンにジャズの要素を盛り込んでいるのが特徴だ。とても若手とは思えない渋くて大人びた世界観で、新世代ビートメイカーとしての面目躍如なる作品だ。



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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 13:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Lars Bartkuhn - Passion Dance Orchestra (Ropeadope Records:RAD 249)
Lars Bartkuhn - Passion Dance Orchestra
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90年代末に突如としてデビューを果たし、00年代前半にディープ・ハウスの業界を席巻したドイツはフランクフルトのユニット・Needs。繊細に作りこまれた曲と大胆かつ麗しい展開を伴うそのハウスは多くのDJにもプレイされ、今も尚その音楽をクラブで耳にする事は少なくない。残念ながらユニットは空中分解してしまったものの、メンバーの一人であるLars Bartkuhnはその後もフュージョンやポストロックの要素が強いバンド・アンサンブル重視のアルバムを手掛けて、Needsの余韻を残しながら音楽活動を続けている。本作は海外では2014年にリリースされたLarsにとっての7年ぶりのアルバムで、日本国内では2015年末になってようやく発売されたものだ。アルバムのタイトルは『Passion Dance Orchestra』、これはNeedsがかつて使っていたプロジェクト名でもあり、その言葉が示す通りに情熱的でオーケストラのように豊潤な音色を聞かせるダンス・ミュージックを意図しているからこそ、敢えてこれをタイトルに命名したのも的外れではない。NeedsとしてはDJやダンス・ミュージックとしての面を表に出していたものの、やはりソロではよりパーソナルな指向が打ち出されるのか、フュージョンやジャズなどの生演奏スタイルを重視してアーティストとしての側面を素直に表現している。Lars自身はギタリストとして即興的にギターをプレイし、他にローズピアノにベースやドラム、弦楽器や管楽器などのプレイヤーを起用して、生のルーズさも含みながら各楽器の一体感と豊かなハーモニーやコードを生み出して爽やかな情熱を体感させる。極めてセッション的というか堅苦しい展開や気負いは一切無く、気心の知れた仲間と楽しみながら演奏しているかのようなリラックスしたプレイからは、熱量の高さよりも和やかなムードが先行してすっと耳に入ってくる優しさが心地良い。ジャンルとしてはディープ・ハウスではないのだが、Needsの特徴であった耽美なメロディーはそのまま残っており、その気品と洗練はまるで変わっていない。欲を言えばその性質をディープ・ハウスで体験出来たらという思いはダンス・ミュージックが好きな人には少なくないのだろうが、アルバムだからこその表現としてLarsはここでルーツを見つめ直しているのだろう。



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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
St Germain - St Germain (Warner Music France:0825646122011)
St Germain - St Germain
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失礼であるのは申し訳ないが、忘却の彼方にあったと呼ばれても誇張ではないアーティストがLudovic NavarreことSt Germain。フランスのFnac(後にLaurent Garnierが主宰するF Communicationsの前身)からデビューし、ジャズやラテンの風合いを持ち込んだディープ・ハウスを繰り広げた『Boulevard』(過去レビュー)、そして前述のGarnireやShazzとはChoice名義での永遠のクラシックである「Acid Eiffel」を共同で制作するなど、つまりはフレンチ・ディープ・ハウスの立役者の一人でもある。がしかし2003年のトランペット奏者とのコラボ作である『Memento』は旧来のアシッド・ジャズへと回帰してしまい、一般的な評価で言えば決して芳しくはなく、そのまま表舞台からは久しく姿を消す事になってしまった。それから12年、いや完全なソロ作では15年ぶりとなるアルバムの本作で、St Germainは見事に華麗なる復活を果たした。15年という歳月は決して短い時間ではないものの、その空白の埋めるには十分過ぎる程の力作である事を先ずは祝福したい。元々制作には様々な演奏家を招いていたようにこの新作でもギターやベースにパーカッションだけでなく、ンゴニやコラなどアフリカの演奏家も参加し、アフリカはマリの音楽性とも融和した最新のディープ・ハウス/フューチャー・ジャズとして刷新する事に成功した。St Germainの音楽性で特筆すべきはこのように演奏家をフィーチャーしながらも、決してバンドスタイルのみへと帰結するのではなく、根本にはNavarreのプログラミングによるダンス・ミュージックのグルーヴがある事で、決してDJが陥りやすい不自然なバンド・アルバムにはなっていない。先行EPである「Real Blues」を聴けば分かる通り確かにメロディーやパーカッションはエキゾチックで生々しく感情を揺さぶる質感があるが、そこに感じられるのはディープ・ハウスとしての雰囲気であり、ライブ演奏のノリではない。"Sittin Here"ではハウスの太いキックが顕著で、そこに官能的なギタープレイや魂を揺さぶるボーカルが情熱的な展開を繰り広げるアフロなディープ・ハウスで、その艶かしさはこの上ない。逆にアフリカンな雰囲気が強調された"Hanky Panky"はリズムも自由に躍動し、"Mary L"では夜の帳が下りる頃の湿った色気を放つダウンテンポを展開するなど、決してハウスだけではなく枠を大きく広げた懐の深さは以前からの持ち味だ。ハウスとジャズとダウンテンポにアフリカの音楽まで加わって事で、滑らかにクロスオーヴァーする音楽はより一層の大人びて熟成を帯びたものとなり、正に完全復活を約束する事だろう。アルバム名にユニット名を冠している事からも、本人の自負も感じられるのだから。



Check "St Germain"
| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Good Mellows For Sunset Feeling (Suburbia Records:SUCD1002)
Good Mellows For Sunset Feeling
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「週末の海辺」から「夕暮れ時の感情」へ、橋本徹による『Good Mellows』シリーズの第二弾は少しずつ時間の経過を現すようだ。メロウというテーマを軸としたシリーズではあるが、この企画に為に新たに立ち上げられたSuburbia Recordは、入手困難な作品やアナログのみの曲を積極的に紹介する方針があり、本作では収録された曲の半分は初CD化とその意味でも大変意義のあるコンピレーションだろう。ただしそれが単にレアな作品を紹介するというだけには留まらず、『Free Soul』の切なく心に染みる音楽をクラブ・ミュージックの方面から解釈したならばとも仮定出来る音楽性は、ダンス・ミュージックが単に踊りの為の快楽的なものだけでなく感情的な面で訴えかける要素がある事も示している。オープニングを飾るのはポーランドの新星であるDas Komplexによる"Like A Fish"で、正にタイトルが示すように船が大海原をゆっくりと航海するような長閑なバレアリックで、旅の始まりとしては適切だろう。続くは近年クラブ・ミュージック側にも影響を及ぼしているイタリアのアンビエント・アーティストであるGigi Masinによる"Clouds"で、寂しげなシンセのリフレインと滴り落ちる切ないピアノのメロディーが、何処までも穏やかな地平が続く世界を喚起させる。中盤のSeahawksによる"No More Raindrops (Steel Pan Dub)"は爽やかなスティール・パンや残響揺らめくギターが空間の広がりを感じさせ、有機的で生暖かいダブ・ハウスといった趣きだ。そこから続くJose Padillaの"Adios Ayer"からMark Barrottの"Deep Water"の流れは、現在のバレアリックを先導するInternational Feel関連の音としての纏まりがあり、また大自然の営みを感じさせる優しいアンビエンスが素晴らしい。アルバムの後半には、頭角を現し始めているAndras Foxによる初期シカゴ・ハウス的な簡素な味わいのメロウさが特徴な"Running Late"、そして最後にByron Stingilyによる軽快なパーカッションと囁くような甘美なファルセットボイスで魅了するボッサ・ハウスの"Flying High (MAW Brazilian Vocal)"と、ハウスのグルーヴで憂いと高揚を伴いながらすっきりと余韻を残す事なく終了する。アンビエントからバレアリック、ハウスからジャズやダブまで景色が移ろうか如くジャンルの変遷も見せながら、全てをメロウで抱擁する夕暮れ時の切ない音楽観には誰しもうっとりと溺れるに違いない。

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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 13:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Calm - From My Window (Music Conception:MUMOCD-027)
Calm - From My Window
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特に久しぶりの新作という思いは全く無かったが、気付けばCalm名義のでのオリジナルアルバムは5年ぶりだと言う。前作以降はK.F.名義やfield.echo名義でも作品をリリースしていたので、"深川清隆(=Calmの本名)の音楽"を追っている者にとっては、その時間の経過は強く感じる事は少なくなかったに違いない。しかし5年の歳月はCalmに変化をもたらすには十分な時間だったのだろう、前作『Calm』(過去レビュー)やK.F.名義がCalm単独で作り上げたパーソナルな作品だったものの、この新作ではまた初期のCalmのようにMoonage Electric & Acoustic Ensembleという音楽家を率いて、バンドサウンドを持ち込みながらエレクトロニクスとの自然な共存を果たしている。しかしながらそれが単に生演奏を強調したバンド的なサウンドをやりたかったと言うよりは、Calmと言う指揮者に仲間の音楽家が自然と加わったように感じられ、決して生演奏を強調するようなものではない。その意味ではアンサンブルを強調した傑作『Ancient Future』とは似ながらも少々異なり、あれから15年の歳月は同じようなバンドサウンドにも変化をもたらしている。『Ancient Future』は非現実的で桃源郷のような夢の世界を見せる音楽だったが、本作ではそのような浮揚感は抑制されもっと現実的で大地にしっかりと根を張ったような雰囲気だ。決してメロウな感覚が失われたのではなく、その表現方法が変わったと考えるべきだろう。ゆっくりと湧き立つように揺らぎ、光煌めくシンセのサウンドが織りなす幻想的な"Room With A View"でアルバムは開始するが、続く"Night Ride"では早速生のベースやピアノにフルートが参加して、電子音によるトラックに生命力が溢れ出るような熱い感情を加えている。そして"Love Velocity"では心地良い電子音の揺らぎにスティール・パンによる可愛らしいメロディーが加わり、人懐っこいポップスのような親近感が感じられる。それまでの電子音のアルペジオが鳴りを潜めた"Cosmic Language"では控えめにジャジーなリズムが現れ、繊細に優雅な旋律をなぞるピアノと熱い感情を吐露するトランペットが、コズミックな電子音の上で融け合っている。アルバム全体としてはビートは希薄化し大河のようにゆったりと水が流れるようなグルーヴが強いが、"Cosmic Wind"ではドラムやパーカッションも加わって大きなうねりを生み出し、嬉々とした感情が溢れ出している。このように本作は様々な音楽家が参加したアルバムではあるが、それでも尚伝わってくるのはCalmのパーソナルで内省的なムードであり、スタイルとしてはバンド的な面もありながら大袈裟に生演奏をひけらかす事もなく、Calmの内に秘めたる感情がフラットに吐露されるているのだ。

Calm "from my window" (MUCOCD-027) - Focus Point Listening by Farr_Calm on Mixcloud



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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 16:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Good Mellows For Seaside Weekend (Suburbia Records:SUCD1001)
Good Mellows For Seaside Weekend
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ジャンルに拘らずに良質な音楽をコンパイルする『Free Soul』シリーズを立ち上げ、そして現在のカフェ・ブームの発端となった仲間と寛げる場所である『Cafe Apres-midi』を手掛けた事で知られる橋本徹。そんな彼が新たに立ち上げたSuburbia Recordsは、入手困難ながらも良質な音楽をアナログ化、またはアナログ音源のみをCD/配信の商用に乗せるなど、彼が素晴らしいと思う音楽をフォーマットの領域を超えて広げていく事を目的としているようだ。そんなレーベルの第一弾は由比ヶ浜にあるバーガーショップ“Good Mellows”でDJを行なった時の経験を端緒としているそうで、タイトルからも分かる通り海辺の夕暮れ時のメロウな感覚を表現おり、『Free Soul』との違いはよりバレアリックやチルアウトの成分が強い事だろうか。オープニングにはいきなりJoe Claussell率いるMental Remedyによる"Just Let Go"を持ってきており、溶けるように絡み合う清らかなアコギとピアノの甘美な調べからは正に夕暮れ時のしみったれた感情が染み出し、人がコントロールし作り出す事の出来ない神聖な風景が目の前に広がるようだ。続く期待の若手であるAxel Bomanによる"Fantastic Piano"も、やはりピアノがフィーチャーされた桃源郷のような世界が広がるダウンテンポだが、単に甘いだけでなく癖のある奇抜な作風がイージーリスニングとは一線を画している。そしてバレアリック最前線のInternational FeelからL.U.C.A.による"Blue Marine"が続き、海鳥の鳴き声と波の音のイントロから始まり広大な海へとのんびりとした航海を始めるような大らかなダウンテンポにより、ジャンルを越えて音楽の旅へと繰り出していく。その後も優美な輝きを放つアシッド・ジャズ、しっとりと有機的なフュージョン・ディスコ、フォーキーなダウンテンポ、夢に浸るアンビエント感のあるニュー・ディスコなど垣根を越えながらも、メロウと言うコンセプトの元に週末の浜辺の長閑ながらも切ないムードに染めていく。アルバムの最後には正に真夏の一曲である憂愁が満ち溢れる"Summer Daze"を橋本徹がエディットしたものを配置したおかげで、しんみりとした余韻を残して最高の流れで幕を閉じる。派手なミックスを必要とせずに一曲一曲をフルにプレイするスタイルは、選曲重視で存分に曲の良さを引き出しながら、海辺のサウンド・スケープを描き出すへと繋がっているのだ。

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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
77 Karat Gold - Wannafunkwitu (Jazzy Sport:JSPCDK-1028)
77 Karat Gold - Wannafunkwitu
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ヒップ・ホップやファンクにハウスなど多種多様な音楽を一つの流れに組み込むJazzy Sportのgrooveman Spot、そして新世代ビート・ミュージックにて頭角を現しているsauce81 aka N'gaho Ta'quia、一際ビートに対しての拘りを持つ二人の自由気ままなセッションから始まったプロジェクトは遂にアルバムへと結実する。ブラック・ミュージックをルーツにし自由自在なビートを鳴らす共通項を持つ二人なればこそ、このアルバムはジャンルを細分化させるような色々なスタイルを曲を展開しつつも、それがばらばらになる事はなく音楽の深さと豊かさを表現するような作品に仕上がっている。ジャンルの隙間を埋めるような構成と共にダンス曲とリスニング曲がバランス良く収録されており、一先ずアルバムとしては多方向へ訴求するであろうソウル&ファンクな内容だ。アルバムは繊細なエレピや甘いパッドでまったりメロウに包み込む"I Want You Close By My Side"で静かに始まるが、続く"Her Answer"は古き良き時代を思わせるシンセ・ベースのシーケンスが走るミニマル・ディスコで、だが無駄のない洗練されたミニマルでひんやりとした作風が現代的だ。そこから転換してビートメーカーらしいずれたリズムで揺さぶるジャズ・バンド的な"We Click The Time"、ぐっとテンションを下げて色気あるエレピ・コードで緩やかメロウに円熟味を見せるソウル・ミュージックな"Sunshine"と、曲毎に様々な顔を覗かせる。アルバムの中で特に愛くるしさを放つのは先行EPとなった"Memories In The Rain"だろうか、繊細な眩きを放つ生音と電子音を選択しながらエレガントなビートダウン・ハウスを聞かせて、アルバムがソウルフルな音楽である事を強く実感させる。かと思えばロウなマシン・ビートと不気味にうねるアシッド・ベースによる彼等流のアシッド・ハウスな"No Mo Lies, Normalize"や、近年のMoodymannを思わせるサイケデリックな黒さの中から猥雑さが滲み出るディスコな"WANNAFUNKWITU"など、濃密で貪欲なダンスの精神も感じられる。一人ではなく二人だから相乗効果として、よりアルバムはスタイルに幅を持ちながら、しかし二人のブラック・ミュージックのルーツが存分に根を張っているのだろう。




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| CROSSOVER/FUTURE JAZZ2 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |