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Ben Sims - Fabric 73 (Fabric Records:fabric145)
Ben Sims - Fabric 73
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時代と共にシーンに寄り添うアーティストも入れば、そんなのはお構いなしと愚直なまでに自分のスタイルを貫き通すアーティストもいる。Ben Simsは間違いなくその後者に属するアーティストで、90年代後半のハードミニマル隆盛の時代からシーンの最前線へと飛び出し、00年代に入ってから周りがエレクトロやディープなテクノへと転身する中で、今でもスタイルを守りつつ残っている数少ない存在だ。ヒップホップのDJからスタートしたと言う彼の芸歴は本作でも活きており、3台のCDJを使用してライブミックスを行った上にエディットを施し、それらを最終的にAbletonでミックスし直した事で怒涛のハードグルーヴが渦巻くミックスとなった。ベテランからアンダーグラウンドなアーティストまで44曲にも及ぶトラックを使用し、その中には自身によるエディットを含め18曲も未発表曲が含まれていると言う事実は驚愕だが、音自体はBen Simsと言わざるを得ないどこか古臭さも残りながら野性的で図太い。執拗なまでの4つ打ちを貫きつつ矢継ぎ早にミックスされる事で、全体を通して一つの音楽となるような曲の境目も気にならない痛快なプレイだが、恐らく現在のシーンと照らし合わせるとやはり何処か野暮ったいと言うか時代から取り残されている感は否めない。しかしこの音こそがBen Simsを個性付けているとしたら、疑う事なく自身の道を歩み続ける彼の気概は本物だ。エレクトロやシカゴ・テクノのファンキーさとハードテクノのシャッフルする疾走感、そこに少々のミニマルのディープな要素も織り交ぜつつ、後半に進むに連れて草を刈り取る芝刈り機のように全てを巻き込みながら爆走するグルーヴ感の前には抗う事など出来やしない。ハードなだけの音楽には飽きつつもある当方だが、たまにこんな愉快痛快で突き抜けたミックスを聴くと何だか心が沸き立ってくる。

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| TECHNO10 | 10:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |
The Field - Cupid's Head (Kompakt:KOMPAKT CD 110)
The Field - Cupids Head
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今までリリースされた3枚のアルバムジャケットはどれもスウェーデンの雪景色をイメージするかのように白で統一されていたが、この4枚目のアルバムでは突如として無表情な真っ黒に染まり、何かしらの変化を予兆させているThe Field。2005年にKompaktからThe Fieldとしてデビューしてからは一貫して白のイメージを保ち、多幸感溢れる開放的なホワイトノイズ=シューゲイザー・サウンドと執拗にも思えるループを駆使しして、幻想的な夢の世界に連れて行ってくれる音楽を展開していたAxel Willnerに一体何が起きたのだろうか。特に前2作ではドラムやベースの生演奏も取り込み立体感のあるバンド的な要素も持ち込んでロックファンも魅了していたが、本作ではデビューアルバム時と同じくハードウェアを駆使して一人で完成させたアルバムだと言う。しかし実際の音としてThe Fieldらしいサウンドに大きな変化を遂げているわけではないが、恍惚の階段を上り詰めて行く開放感と言うよりはどことなく心の隅に陰鬱なムードを抱え込んでいるようで、内向的で密室に閉じこもるような音が聞こえてくるのだ。ハードウェア中心の制作となった影響だろうか、安定したリズムを刻み疾走するリズムも変わってはいないが、やはり抑揚や感情はコントロールされながらミニマルな方向性をより強めているのはテクノにも感じられる。"Black Sea"を聴くと序盤は確かにThe Fieldらしい快楽的なフレーズの反復に懐かしさを覚えるものの、終盤ではどんよりと暗いベースラインが浮き上がり不穏な空気に包まれる。"No No…"では晴れない灰色のフィードバックノイズが浮遊し歪なリズムが刻まれて、その世界は不協和音を奏でているようだ。アルバムのラストを飾る"20 Seconds Of Affection"では、深遠な暗闇の底から湧き立つ圧倒的なドローンノイズと重苦しいキックが爆発し、開放的ではないがそのゆっくりと満ちる膨大なエネルギーに平伏してしまう。正直に述べると、先日のライブではこのアルバムからの曲は客受けが悪かった。恐らく多くのファンが求めていたのは明るく広がる多幸感だったと思うし、ロック的な躍動感だったのだろう。本作に於ける機械的で平坦な展開はテクノ的であり、暗くアブストラクトな世界観は決して多幸感に満たされるわけではない。しかし変化を厭わないKompaktと言うレーベル性から考えても、本作はThe Fieldが殻に篭もる事なく進化をしていると作品として私は前2作以上に気に入っている。



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| TECHNO10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Kaoru Inoue - Etenraku (Quantonic Remix) (Seeds And Ground:SAGV032)
Kaoru Inoue - Etenraku (Quantonic Remix)

井上薫が掲示する"A Missing Myth"="(未来の)失われた神話"と謎めいたタイトルを付けられたアルバムから、その神話が未来へと続くようにリミックス作品がシングルカットされた。アルバムに収録されていた"Etenraku"は越天楽という雅楽の演目から名付けられているそうで、アフリカンな躍動感のあるパーカッションを用いながらもどことなく和の神妙な香りを放っていた。それをリミックスしたのがCitiZen of Peace名義でも活動するIgnat Karmalitoで、今作ではQuantonic名義を用いてトラベラー気質なトランス感を打ち出した音楽性を添加する事で、和の音色を含みながらもよりワールド・ミュージック的な異文化を感じさせる音楽へと昇華している。ベースとなるリズム自体がフロア寄りの4つ打ちへとなった事で当然の如く疾走感溢れるダンス・ミュージックに変わっているが、それと共に恍惚感溢れるぶっといシンセが重層的に織り込まれ体の内側からエネルギーが溢れ出るような勢いは、世界各地を旅して体験した原始的な衝動が反映されているようだ。ワールド・ミュージックと言う音楽的な相性で考えても、井上薫とIgnatの相乗効果がトランス作用として働いている。裏面にはEsoteric Movement名義で2曲が収録されているが、こちらはより井上薫らしい人間の奥底に眠る踊る欲求を呼び覚ますような、一般的なクラブ・ミュージックとは異なるも踊る為の音楽として取り組んだ成果が表れている。本人の発言では日本の伝統的な祭り音楽をモチーフにダンス・ミュージックとして制作したそうだが、人間に生来備わっている本能の解放を目指す爆発的なエネルギーは、確かにダンス・ミュージックのそれと同じものなのかもしれない。原始的で土着的な分だけむしろ本能を刺激する効果は高く、井上薫によるワールド・ミュージックへの造詣が感じられる作品だ。



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| TECHNO10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Dettmann - Dettmann II (Ostgut Ton:OSTGUTCD28)
Dettmann - Dettmann II
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ベルリンテクノ隆盛の一端となっているレーベルのOstgut Ton、そしてクラブのBerghain、その両者に於いてカリスマ的な存在にまで上り詰めたMarcel Dettmann。今年のDJを聴いた限りではオールド・スクールなテクノやロウハウスにシカゴ・ハウスをプレイするなど、最先端を切り開くと言うよりは原点回帰のような傾向が見受けられていたが、3年ぶりとなったアルバムはどうだろうか。他のOstgut Tonのアーティストが単にDJツールとしてではなく、音楽性の幅を広げながら新たなファンを獲得するようなアルバムを制作しているのに対し、Dettmannはデビュー・アルバムから一貫して淡白でモノクロームなサウンドスケープ的な世界観を表現している。自身で「DJであってプロデューサーではない」と断言している事からも分かる通り、恐らく豊かな演出に拘るよりは機能美を追求しているのだろう。この新作も前作と同様に徹底して灰色や漆黒に染め上げられた退廃的なミニマル・テクノが中心となっており、俗っぽい享楽を限りなく排したストイックな作品となっている。オープニングに配置された"Arise"は闇の中で何かが生まれる胎動にも似たビートレスな曲だが、そこから続く"Throb"や"Ductil"などは無駄を排して一定のリズムを刻むシンプルなミニマル・テクノとなっており、豊潤な成分を取り込むのではなくミニマルとしての純度を高めている。その合間にはインタールード的な曲も幾つか配置され、アルバムにある程度の展開を付けてはいるが、それでも闇の中で蠢いているような密閉空間を維持しているのだ。単調さを極めたリズムと闇の中に浮かび揺らめく仄かなメロディー、そして控え目なドローン音響の組み合わせによる簡素なテクノは正にDettmannの個性として確立され、この頑ななスタイルの維持にはDJとしてのプライドさえ聞こえてくるようだ。アルバム全体の流れが最高だとは言わないが、1曲1曲に「テクノ」と言う音楽を主張する魅力が感じられる。

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| TECHNO10 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Psyche / BFC - Elements 1989-1990 (2013 Remastered Version) (Planet E:PLE65353-0)
Psyche / BFC - Elements 1989-1990 (2013 Remastered Version)
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デトロイトと言うテクノの聖地から生まれ、そしてデトロイト・テクノの制作活動面で最も才能を発揮し続けているCarl Craig。その活動の長さゆえか、または潤沢なアイデアを持ち合わせているゆえか、初期の音楽性と現在のそれとは明らかに相違が見られる。もし一般的に言われるデトロイト・テクノと言う観点からC2の音楽を体験したい人にとっては、本作こそ聴くべき一枚だろう。この作品はC2の変名であるPsyche/BFC名義による作品を纏めて1996年にリリースされた編集盤ではあるが、1989年に制作された曲も含まれるC2の音楽活動に於ける最初期の結晶である。一旦は廃盤化していたものの今年の春頃にめでたく復刻され、ようやく誰もが入手出来るようになったのは喜ばしい限りだ。アルバムの冒頭を飾る"Elements"は最初に世の中にC2の存在を刻みつけた作品がではあるが、まだまだ若さと言うか精錬されていない素朴さが残るものの、このエモーショナルで柔らかいシンセ音と叙情的で思慮深い世界観は正にデトロイト・テクノとして象徴されるべきものであろう。そして初めて制作したと曲であると本人が語る"Neurotic Behavior"、この時点での深い瞑想世界を描き出すアンビエンスな空間を作り上げており、ダンス・ミュージックの定型に拘らない作風は既に見受けられる。弾けるブレイク・ビーツやパーカッションが爽快ながらも、セクシーかつ華麗なムードにはうっとりする"Crackdown"、今尚DJが使用する程にツール性とエモーショナルな要素を兼ねた"Galaxy"など、全てが20〜21歳頃に手掛けた作品ながらもその音楽的センスでは完全に異才を放っている。しかしどうやら当時は余りにも早過ぎたようで、彼の功績が正しく認められたのは90年代前半のUKで発生したインテリジェント・テクノの方面からであり、その意味でも確かに特異であったのかもしれない。アルバムの最後にはジャーマン・プログレ風に自由に電子音を操りながら、夢心地なサウンドスケープの中にいびきが挿入される"Sleep"が待ち受けているが、こんなユーモアを持ちながらもアンビエントとして完成させる才能は最近の彼には感じられないものだ。もしテクノと言う音楽を愛しながら、しかしCarl Craigの初期の作品に触れた事が無い人は、是非とも本作で電子音楽の自由な創作活動を体験して欲しいと思う。

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| TECHNO10 | 21:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Kirk Degiorgio Presents Sambatek (Far Out Recordings:FARO176CD)
Kirk Degiorgio Presents Sambatek
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インテリジェンス・テクノからデトロイト・テクノ、果ては本格的なフュージョンやジャズにまで造詣の深いKirk Degiorgioが新たに向かった先は、ブラジリアン音楽の一つであるサンバだ。実は以前にFar Out RecordingsからOffworldプロジェクトとしてAzymuthと共同制作したアルバムをリリースしているが、今回のプロジェクトに関して言えばサンバのリズムを取り込んだ"テクノ"である。本作でもOffworldプロジェクトにも参加していたAzymuthのメンバーであるIvan Contiが楽曲提供を行い、Kirkはあくまでプロデューサーとしての立場であるそうだが、結果として出来上がった音はKirk流のモダンなテクノとなっている。Ivanが作曲したブラジリアン音楽をKirkが現代のテクノへと変換する作業は、サンバの乱れ打つリズムで揺れる躍動感を保ったまま、Kirkらしい洗練されたテックな音を付加する事で完成を見ているが、そこにはブラジリアン音楽とテクノの乖離は全く見られない。強烈かつ執拗に弾けるパーカッションはKirkの作品にしては珍しいが、テクノの音として自然と取り込んでしまうその手腕は、フュージョンやジャズなどの古典音楽にも傾倒し理解が深いからなのだろう。またUKテクノのピュアで洗練された感覚だけでなく、現在のテクノの中枢であるベルリンシーンをも意識したような、暴力的な唸りを上げるミニマルなトラックもあり、アルバムの大半の曲はフロア向けのDJツール的な要素も増長されている。Kirkらしいしなやかで優雅なインテリジェンスな要素は少ないが、そう言えばEP単位ではハイテックな作品を量産していたKirkも、純然たるテクノのアルバムはここ10年近く出していなかった。そう思うとここまでパーカッションの力強いリズムが活きたテクノを聴くと、素直に嬉しく思う。オリジナル曲以外にもRick Wilhite、Jonas Kopp、NX1のリミックスを収録しており、これらはより踊るための機能性に絞った作風で要注目だ。

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| TECHNO10 | 12:00 | comments(1) | trackbacks(0) | |
Audio Tech - Dark Side (Metroplex:M-040)
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にわかにざわめき立つデトロイトのJuan Atkinsと、そしてドイツのBasic Channel一派の絡み。先立ってJuanとBCからMoritz Von Oswaldがコラボレートを果たしたが、今度はJuanとBCのもう一人であるMark Ernestusが、Audio Tech名義で共演を果たした。そもそもがこの名義はJuan単独の変名だったものの、16年ぶりの新作では何故かMarkも加わっての名義となっているのは謎だが、相互作用は予想以上の相乗効果を発揮している。浮遊感のあるスペーシーなシンセ使いとモノトーンな呟きはJuanのものであるが、そこに生音ぽいベース音や滑りのあるダブ的なリズムの付加は恐らくMarkによるものであろう。叙情的なパッドが薄く伸びながらも、まるでRhythm & Soundのようなぬちゃぬちゃと湿り気を帯びさせた生っぽさが、宇宙を飛翔するデトロイト・テクノとはならずに泥沼に埋もれるミニマル・ダブらしさを強調している。そして本作がより注目を集めているのは、ここ暫くタッグを組んでいるMax Loderbauer+Ricardo Villalobosによる"Vilod Remix"であろう。12分にも拡大解釈されたリミックスは、もはや元の様相を保っておらずに乾いたパーカッションが複雑なリズムを構築し、様々な音が絡み合いながらまるで芯を抜かれた生物のようなふにゃふにゃとしたグルーヴ感を醸し出している。指の隙間からこぼれ落ちるようなとらえどころのなさが不思議な恍惚を生み出しているが、細部まで丹念に編み込まれた繊細なトラックは芸術的ですらある。4つ打ちから融解するように解け、そして再度徐々に定型を成すように4つ打ちへと変遷していくトラックは、12分と言う長い時間をかけてじっくりと堪能とする事で、何時の間にかトリップする蠱惑的なミニマルだ。

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| TECHNO10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Kaito - Until The End Of Time (Kompakt:KOMPAKT CD 111)
Kaito - Until The End Of Time
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個性を守りぬく事と個性を塗り替える事は相反するように思われるが、4年ぶりのKaito aka Hiroshi Watanabeの新作はそれを同時に成し遂げているように思われる。今までのトレードマークであったアルバムジャケットに息子のカイト君が登場しない事は、Kaitoの再スタートとしてイメージを刷新する事を示唆しているが、このアルバムではKaitoらしい大らかな包容力や優しい温もり、そして感動的ですらある性質としてのトランス感を携えている。その一方で、今までにはあまり聞けなかった内向的なダウンテンポが増えるなど、ダンスフロアを以前よりも意識しない私的な作品としての性質も浮かび上がっている。前作「Trust」で開放感のある晴々しい作風として一旦はピークを迎えた感もあったKaitoの音楽性だが、精神的な意味で仕切り直しを実行した事で、よりワタナベ氏がKaitoと一生を共にすると言う決意の重みを増したムードが強まっているのだ。そう言った意味でも本作に於ける密度の高いムードには、爽やかで至福が満ちた開放感と言うよりは、自身の内面と向き合った真摯な気持ちが込められているようで、表面的には突き抜ける多幸感で覆われているわけではない。先行シングルとなった"Run Through The Road In The Fog"にしろ"I'm Leaving Home"にしろ、明確なメロディーと言うよりはもやっとした叙情で包み込むような作品だ。勿論メロディアスなKaito節が炸裂する"Star Of Snow"では神々しくオーロラに包まれるような幻想的な世界観は圧倒的で、フロアでこそ映えるドラマティックなダンストラックとして成り立っている。また本作に於ける変化を象徴する曲が先行シングルの"Behind My Life"と、最後に用意された"Smile"だろう。前者はノイジーなギターサウンドらしい咆哮が切ないダウンテンポであり、特に後者はアコギを指弾きしたようなメロディーが耳に残るラストを締め括るのに相応しい曲で、新生Kaitoの存在感を強く表している。陳腐な表現になってはしまうが、アーティストとして円熟を迎えた上でより進化が感じられるアルバムであり、いつにも増してシリアスな心情が投影されている。



Check "Hiroshi Watanabe"
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Joris Voorn - Ringo (Green:GR15)
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活動初期の頃とは打って変わって最近は制作活動は控え目に、世界各地をDJ業で渡り歩いているオランダのテクノ貴公子であるJoris Voorn。一度人気が出てしまえば、時間を掛けてトラックを制作するよりもお金になるDJ中心になるのはこの業界の宿命だが、トラックメーカーとして本当に素晴らしい才能を持つJorisにはやはりトラックメーカーとしての期待をせずにはいられない。そんな要望に応えたのが久しぶりの新作である"Ringo"。何とも可愛らしいタイトルだが、暫く続いていたディスコ・ループなDJツール特化的な曲ではなく、初期のようにデトロイト・テクノらしい叙情が際立つメロディアスな音楽性へと回帰しているのは嬉しいばかり。物憂げで切なさが込み上げるしっとりしたメロディーが強く軸として浮き出ており、対して鋭いリズムトラックがしゃっきりとしたビートを刻み、ツール的な要素を保ちながらも耳に鮮烈に残る楽曲性はJoris Voornの才能が光っている。そして"Ringo (Rework)"はよりサンプリングによる強力なアレンジが施されており、弾けるパーカッションや刻まれたボイスサンプリングが散りばめられ、大仰な展開を繰り広げる事でピークタイムを飾るに相応しい曲となっている。フロアでの時間帯、そして盛り上がりによって使い分けの出来る2バージョン収録されているが、どちらもJoris Voornに期待していたメランコリーな音楽性が戻ってきており、文句無しの内容だ。



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| TECHNO10 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Flare - Dots (Sublime Records:XQLP-1003)
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今年で活動20周年を迎える世界のテクノゴッド(死語かな?)ことKen Ishiiが、その20周年企画として続けてきたシリーズの恐らく最後に、長年ファンが願い待ちわびていたFlare名義を復活しさせてアルバムを送り出した。Ken Ishiiが世界へと飛び出すに至った背景には、テクノにおけるそれまでにない実験的で個性的な - 日本と言う国からしか成し得ない - サウンドがあったのだが、それを更に推し進めて自由なマインドを拡張したのが初期のFlareであったと思う。が世界的な評価を獲得したKen IshiiはDJとしての活動へとシフトし、トラックメーカーとしてもDJ向きの作品が中心となった事で、Flareは永遠に封印されたかとファンはやきもきしていた筈だ。それが遂に17年の時を経てFlare復活となったのだが、流石にこれだけ時間が空いていれば初期のFlareとは音楽性も全く一緒と言うわけではない。ダンスに拘らずにコンセプトも設けずここ数年の間に気ままに製作したトラックを纏めたと言うだけあって、曲調には寄り添う統一感は無くある意味では遊び心とユーモアが見え隠れするリラックスした作品だ。初期のFlareには如何にエクスペリメンタルなテクノを突き詰めて枠を壊していくかと言う野心的な探究心が強く感じられたが、本作では氏の活動的も長くアーティストとして成熟しているおかげか、そのような挑戦に拘らずにランダムに生まれる音をスケッチしたように聞こえる。よって作品としては確かに既存のダンス・ミュージックからは外れているが、かつてのFlareのように狙ったような実験的なテクノという雰囲気は少ない。その上で淡くも光沢感のある精錬された電子音が連なるフリーフォームな音楽性であり、これならばKen Ishiiではなく確かにFlareとなるのも自然な事だろう。初期のFlareとは確かに同一ではないのが、Flareらしい想像力を喚起する幾何学的な電脳空間が広がっており、既成概念と言う枠を取っ払って音と戯れている氏の姿が浮かんでくる。

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