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Nick Anthony - Battle Of The Beats EP (Rowtag Records:RTG 004)
Nick Anthony - Battle Of The Beats EP

日本ではいまいちパッとしないものの、ここ数年自分が追いかけ続けているイタリアのNick Anthony Simoncinoは、オールド・スクールなシカゴ・ハウスやデトロイト・テクノを愛し、ヴィンテージなドラムマシンやシンセを愛用する偏執的なアーティストとして名高い。Mathematics RecordingsやSkylaxにL.I.E.S.やCreme Organizationなど、その他にも多くのレーベルから作品をリリースしており、非常に多作ながらも全くと言ってよい程にぶれない作風は、正に彼の偏執狂な音楽センスを示している。という訳でやはりなのかこの新作もヴィンテージなアナログ機材を用いた作風だそうで、いつも通りの変わらないレトロで何だか時代を感じる古臭いハウスが並んでいる。作品の頭にはドラマティックな幕開けを演出する"Jarre Tape"が待っており、SF的な未来の街の風景を喚起させるシンセが美しいノンビートの曲でぐっと心を鷲掴み。そこに続く"Escape From Area"では物哀しいアナログシンセのフレーズが絡みながら、ドタドタとした辿々しいキックやパーカッションがビートを刻む初期シカゴ・ハウスのような味わいを感じさせ、その音の古臭い鳴りがより一層哀愁を強めている。"Il Sole Boogie"もはやり簡素な質のキックなもののビートはよりハウシーで、絡み合うような綺麗な流れのシンセやしっかりと低音を支えるベースなど、もっさりと垢抜けない懐かしみがあるオールド・スクールを体現するシカゴ・ハウスだ。裏面にはやたらと手数の多いパーカッションが目立つも陽気なムードのメロディーが温もりを生む"La Luna Boogie"や、切れのあるハイハットとジャッキンなベースが前面に出たリズム重視のファンキーな"Bite The Bass"と、これらも当然レトロな時代感が堪らない。新作であろうが金太郎飴のような作風には一切の気負いはなく、Simoncinoにとってはただただ修行僧のように丹念に繰り返しルーツを追い求め続ける事が、彼の音楽人生のように思えるのだ。



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| HOUSE11 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Brawther & Alixkun - ハウス Once Upon A Time In Japan... (Jazzy Couscous:JC02)
Brawther & Alixkun - ハウス Once Upon A Time In Japan...
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今から約5年前、突然Facebook上でメッセージを送ってきて、日本のコマーシャルではないアンダーグラウンドなハウスを教えてくれと言ってきた外人がいた。ほんの短い時間ではあったがお互いの好きなアーティストを紹介し合ったのだが、その人こそ古きジャパニーズ・ハウスをこよなく愛するBrawtherだ。フランスはパリで活動しChez Damierに認められBalanceから作品をリリースし、今ではよりミニマル性の強いDungeon Meatを立ち上げて、DJ/アーティストとしての活躍の場を広げている。そしてもう一人、東京在住のフランス人DJであるAlixkunも同様に日本のハウスに心酔しており、Ele-king等でもかつて和製ハウスについて語っている。そんな二人が2010年頃に出会い、全国各地のレコードショップを歩き周り、歴史に埋もれ埃を被っている日本のハウスを掘り起こす作業を数年に渡り行っていたそうだ。その深い愛情の結果として生まれたのが、日本の80年代後半から90年代前半のハウスに焦点を当てたコンピレーション、「HOUSE」ではなく「ハウス Once Upon A Time In Japan...」だ。KatsuyaやT.P.O.に福富幸弘などの名のあるアーティストから近年のリイシューで名を知られるようになった寺田創一、逆に相当のマニアでも知らないであろう名前を耳にした事のないアーティストの曲まで多く収録されている。90年代前後と言えば丁度NYハウスが世界的に盛り上がっていた時期で、日本のクラブシーンでもそれに対し羨望の眼差しはあったのだろうか、本作に収録されたアーティストのようにNYハウスを目指したハウスを作り出すアーティストがぽつぽつと現れていたようだ。ただやはり日本人は日本人、ディープであったり跳ねたファンキーさもあったりするも決してNYハウスには成りきれず、いや、だからこそそんな作品はHOUSEではなく日本らしい味わいを持ったハウスになったのだろう。実際に本作に収録された曲からは確かに心に訴えかける温かみ持ったソウルフルなハウスや、軽い浮揚感を持ったディープ・ハウスに覚醒感のあるアシッド・ハウスまで、その当時のハウスの聖地を目指すような意識は含んでいる。しかし何故だかハウスのルーツである黒人音楽らしい香りは希薄で、逆に何だか日本の郷土愛が感じられる懐かしみがあるのが、ジャパニーズ・ハウスなのだろう。何にせよ、二人の情熱が無ければ知らないままであった当時のハウスが、本作で正に時代を越えて蘇った事はハウスを愛する者にとって、当然祝福すべき事象以外の何事でもない。昔を知る者もそうでない者にとっても、日本のハウスへの興味を抱かせるには十分過ぎる作品だ。



Tracklistは続きで。
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| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Moomin - A Minor Thought (Smallville Records:SMALLVILLE CD 11)
Moomin - A Minor Thought
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レーベルのカタログに名を連ねているアーティストを見れば、Smallville Recordsの音楽性はおおよそ理解出来なくはないだろう。フロアでやかましく鳴り強迫的に躍らせる曲はほぼ無く、派手は飾り気は無くとも優しい音使いと流麗なメロディーを用いて心にじんわりと染みる叙情性や淡い色彩を感じさせる世界観があり、例えばデトロイトやシカゴのハウスの要素をヨーロッパ風に精錬して綺麗に磨き上げたような作風だろう。Moomin自身は2010年にAimやWhiteといった同様に幽玄なディープ・ハウスを手掛けるレーベルからフックアップされデビューしており、その意味ではSmallvilleとの相性の良さは言うまでもなく、無事Smallvilleから4年ぶり2枚目となるアルバムをリリースした。アルバムの幕開けは打ち寄せる波の音から始まる"123"で、次第にリフレインするホーンのメロディーやカチッとしたシャープな4つ打ちが入ってくると、清涼感と透明感をたっぷりと含んだ朗らかで優しいディープ・ハウスが姿を現す。ビートは決して激しくはないが硬く尖った鳴りが軽快さを生んでおり、"Loop No. 1"でもそのリラックスはしつつも切れ味のあるリズムに上品さに満ちた優雅なエレピのメロディーが絡めば、白昼夢にへと溺れるようなうっとりとした世界を望む事になる。目覚めを爽やかに彩る美しいパッドと官能的なトランペットのメロディーが正にタイトル通りな"Morning Groove"は、朝からうきうきとするジャジー・ヴァイブス溢れるグルーヴを刻み、何だかレトロな味わいが感じられるストリングスやベースが躍動的な"Woman To Woman"は陽気な気分を生み出し、アルバムは常にそよ風が吹き続けるような爽やかさに溢れている。快楽的かつ熱狂的なダンス・トラックは無いからこそアルバムに大きな山場も無いのだが、静かに耳を傾けて聞きたくなる情緒的な音楽性はこれぞSmallvilleらしい。日常の中に自然と存在する空気のような、そんな安心して聴けるディープ・ハウスなのだ。



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| HOUSE11 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Magnus International - Echo To Echo (Full Pupp:FPCD012)
Magnus International - Echo To Echo
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Prins Thomasが主宰するFull Puppはノルウェーのニューディスコを手掛ける著名なレーベルの一つで、本人の作品のみならず輝きを放つ前の原石とも呼べるアーティストまで発掘し、今も尚活発な活動を続けている。本作はそんなレーベルの初期から散発的に作品をリリースしているMagnus InternationalことMagnus Sheehanによる初のアルバムで、彼がレーベルから初めてEPをリリースしたのが2006年なのだから、当初からファンだった人にとっては随分待たされたに違いない。当方はこのアルバムでSheehanの存在を知ったので特に待った訳ではないのだが、しかし初めて耳にするだけでも耳を惹き付けたのだから、その才能は推して知るべしだろう。何でも本作の制作中には古いテクノやハウスを聴いており、そんなダンス・ミュージックのフィーリングをアルバムに取り込みたかったそうで、特にデトロイト・テクノやLFOにAphex Twin等のWarp Recordsの音にも影響を受けたそうだ。そんな背景もあってか如何にもFull Puppらしいディスコ・フィーリングは弱いものの、レーベルの光沢あるキラキラした音も伴いつつモダンなテクノ〜ハウス路線のブレンドは、ニューディスコのファン以外にも訴求出来るような音楽になっている。ミッドテンポで長閑なグルーヴから切れのあるファンキーなベースが躍動し、そこから煌めくゴージャスなシンセが浮かび上がってくるオープニングの"Big Red"から、既に爽快かつ開放感のあるハウスで空へとゆったりと羽ばたくようだ。滑らかなパッドのコードの上を舞い踊るように流麗なシンセが奏でられる"Energi"、か弱くふんわりとしたストリングスをバックに奇妙なボコーダーや煌めくシンセのフレーズが彩る"Rise Above"など、緩くはあるが地に足の付いた安定感のあるディスコ系ハウスなど、やはりその緊張とは無縁な世界観はFull Puppらしくもある。奇妙なシンセを効果音として用いつつブリブリしたベースが地を這う"Metroid Boogie"は正にコズミックなニューディスコの典型だが、シャッフル調に弾けるゴージャスなメロディーや快活なリズム感が程良い高揚感を生む"A Man Called Anthony"はTodd Terjeらしい茶目っ気が感じられる。豊かな色彩を感じさせるメロディーや音色、それは決してケバいものではなく上品な華麗ささえも感じられ、一聴して耳を離さないメロディアスな作風は本作の特徴だろう。



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| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Koloman - Impressions (Sound Mirror:SM-003 EP)
Koloman - Impressions

Live At Robert JohnsonやInnervisionsからも作品をリリースするフランクフルトのニューカマー・Orson Wellsが、2015年に立ち上げたレーベルがSound Mirrorだ。レーベル初の作品はWellsによる物だったが、その第2弾は聞き慣れぬアーティストであるKolomanが手掛けている。Kolomanは2015年にKoloman Trax名義でデビューしたばかりで、Soundcloudの音源を聴く限りでは荒削りでシカゴ・ハウスにも似たロウなビートとアトモスフェリックな上モノを軸にしたハウスを手掛けているようで、本人の詳細については全く語られていないものの若手アーティストなのではないかと予想している。本作でも何だか懐かしみのある、つまりは音自体は少々安っぽささえ残る初期のシカゴ・ハウスやデトロイト・テクノを思わせる所もあり、その青臭ささえ愛らしい。カタカタとした乾いたリズムから始まる"Impression I - The Sea"は、穏やかに伸びる情緒的なパッドや切なさが胸を締め付けるシンセのメロディーが入ってきて、その大らかな海のような静けさを持つディープ・ハウスは永遠だ。スペーシーなメロディーが揺れるほんの束の間の休憩である"Interlude"を挟んで、"Impression II - An Autumn Day"でもやはり簡素なリズムが淡々とビートを刻むものの、その上には正に秋の一日を思わせる郷愁に満ちた憂いのメロディーがしみじみと広がり、豪華な飾り気は無くとも丁寧に展開するクラシカルな作風は実に音楽的である。裏面の"Impression III - Sleeping Beauty"では更にビートは緩まりスロウダウンし微睡みを誘うパッドが薄っすらと鳴り続け、最後の"Aquatic Beings"では透明な水が静かに流れる清涼感が感じられるアンビエント・ハウスを披露し、やはり全体としてオールド・スクール感は強いものの叙情性も同居しているからこそより懐かしみが伝わってくるのだろう。音だけでなく、ラベル面はハンドスタンプ仕様な手作り感も強く、レーベルの素朴な音楽性が伝わる一枚だ。



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| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Ripperton, Carlos Nilmmns and Niko Marks - Various Characters EP (Character:character004)
Ripperton, Carlos Nilmmns and Niko Marks - Various Characters EP
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スイスの人気DJであるDeetronが2014年に設立したCharacterの新作は、同じくスイス繋がりのRippertonとデトロイト・ハウスのベテランであるNiko Marks、そしてSkylaxやOrnamentsでの活動が注目されるCarlos Nilmmnsが参加したスプリット盤だ。元々Deetron自体がデトロイト・テクノからの影響を色濃く残すアーティストであり、更に本作を制作した面子からもデトロイト色が濃厚である事から、やはりその路線で来るのかと興味は尽きない。Rippertonと言えば元々Lazy Fat PeopleとしてBorder CommunityやPlanet-Eからサイケデリックかつトランシーなハウスを送り出し、新人としては破格の注目を集めていたアーティストである。ここに収録された"I'm Gonna Make U Love Me"はかつて程のドラッギーな成分は抑えながらも、派手なシンセが羽開くように壮大なメロディーで包み込みながらナルシスティックなボーカルで官能に染めるプログレッシヴ・ハウス寄りの曲で、ああやはりこの人はいつも通りの作風だなと逆に納得してしまう。エモーショナルと言うような人間臭さは少ないものの大箱で受けるであろう荘厳さが際立ち、フロアを妖艶さに染めてしまう魅力がある。裏面にはかつても共同制作をした仲であるNilmmnsとMarksが、再度一緒に制作をした曲が2曲収録されている。"Night Not To End (Nilmmns Message Mix)"はスポークンワードにサクソフォンや情緒的なシンセのコードを用いて、そこにボコボコとした土臭さも漂うファットなリズムが加わればこれぞ漆黒のデトロイト・ハウスとでも呼ぶべき曲で、二人の音楽性が分かり易く反映された内容だ。一方で"Dark Ages"は毒々しくも妖艶なシンセや惑わすような声も入ったエレクトロニック寄りのハウスで、こちらの方は前述のRippertonの作風に近いように感じる。やはりNilmmnsとMarksの二人による音楽というものは黒くてファンキーさが滲み出るデトロイト・ハウスがらしいと思うものの、"Dark Ages"のようなドラッギーな沼に嵌るディープ・ハウスも悪くはない。



Check "Ripperton", "Carlos Nilmmns" & "Niko Marks"
| HOUSE11 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Carlos Mena - Deep Forever More (Yoruba Records:YSD78)
Carlos Mena - Deep Forever More
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Osunladeが主宰するYoruba Recordsのここ数年の充実ぶりは、目を見張るものがある。かつてのレーベルのイメージといえば、アフリカはヨルバ族をルーツにしたスピリチュアルで黒いハウス中心だったのだが、ここ最近はかつての有機的な音楽性も残しながらエレクトロニックな要素も強めて、ハウスにテクノやラテンの味付けを加えながら良質なダンス・ミュージックの量産体制を確立している。そんなレーベルの新作はOsunladeとも交流が深く、Ocha Recordsを運営するCarlos Menaによるものだ。Mena自身は過去にヒップ・ホップのアルバムも手掛けていた事もあるアーティストのようで、近年目立った活動がない為に詳しい音楽性を知る事は出来ないが、この新作自体は正にYorubaらしいハウスを体現しておりレーベルの音楽性を反映している。Osunladeがボーカルを務める"Bang It"は、レーベルの最近の流れであるエレクトロニックとオーガニックな温かみが自然と融合した柔らかいディープ・ハウスで、綺麗に展開するコードと幻想的なシンセがすっと延びて非常にエモーショナルな曲調だ。Osunladeの艶やかな声にも魅了されるし、まろやかに研磨された美しいシンセの音色も色っぽく、そこに土煙舞うようなトライバルなリズムがYorubaらしさを加えている。次の"Elegba"はOsunladeとの共作という形が反映されて、より民族的なボーカルやアフロなパーカッションが強く打ち出されているが、湿っぽく感傷的なエレピやフルートのメロディーが心に染み入るようだ。裏面のタイトル曲である"Deep Forever More"もやはり爽快なパーカッションが鳴っているが、その下では滴り落ちるジャズ・ピアノの旋律や官能的な呟きが色気を発し、そして地面を蹴る力強い4つ打ちで爽快に疾走するディープ・ハウスになっている。どれも人肌の温かさを含むエモーショナルな音楽性が貫いており、単に上げるのではなく心から暖まるようなソウルフルな作風で統一性があり、この名義では実に久しぶりの新作なものの十分に手応えを感じれられる。



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| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Freaks - Let's Do It Again (Part 2) ( Music For Freaks:MFF15002V)
Freaks - Lets Do It Again (Part 2)
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UKはロンドンのアンダーグラウンド・ハウスを長きに渡って引率するMusic For Freaks。その主宰者であるJustin HarrisとLuke SolomonによるユニットがFreaksであり、シカゴ・ハウスとも共振しながらアシッドやエレクトロも取り入れ、UKベースのハウスを開拓している。但しレーベル自体はここ数年動きが無かったものの、ようやく動き出した末にリリースされたのがFreaksの過去の曲を新たにリミックスし直した企画で、本作はその第2弾。第1弾に続いてリミキサーに抜擢されたのは奇才には奇才をという意味が込められているのかRicardo Villalobosと、そしてUSの新世代ディスコ・デュオであるSoul Clapだ。当然注目すべきはVillalobosによる"Eighties Throwback (Villalobos Greiner Remix Two)"で、元々は4分にも満たないダーティーで卑猥なディープ・ハウスが、リミックスによって14分越えの麻薬的なミニマルへと変容しているのだ。序盤こそ奇妙なボイス・サンプルを交えて滑りながらも明確な4つ打ちを保つミニマルなものの、木魚か何か怪しげなパーカッションが奥で鳴りながら、後半ではビートが削ぎ落とされて形あったものが融解していくような変化を見せる。長尺さを全く感じさせないその効果は正にドラッギーな覚醒感、いや、精神を麻痺させる麻酔薬だろうか、FreaksとVillalobosの相乗効果でトリップ感はこの上ない。"Washing Machine (Soul Clap's Static Cling Mix)"も期待以上の出来ではないだろうか、原曲の陽気に弾けるノリを更に強調した上で、綺麗なシンセのメロディーが華々しく花開くモダン・テック・ハウスは勢いが感じられる。メロディーの分かり易さと共に爽快なパーカッションが心地良く響き、ピークタイムにも合わせられる高揚感を纏っている。"Robotic Movement"は1stアルバムに収録されていた曲だが、ブレイク・ビーツ気味のビートの上に郷愁を帯びたメロディーが薄っすらと広がるハウスで、Freaksにはこんな作風もあるのかと新鮮な思いだ。ちなみにアナログに収録されている"Eighties Throwback (Villalobos Greiner Remix Two)"は、何故か配信音源では"He's Angry (Argy & Honey Dijon Remix)"と差し替えになっているのだが、一体どういう理由なのだろうか。ならば当然買うのはアナログしかないだろう。



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| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Map.ache - The Golden Age (Giegling:GIEGLING 17)
Map.ache - The Golden Age

日本に於いては、特にメインストリームからはやや外れたダンス・ミュージックを聴かない人にとっては、このレーベルの存在を知らなくてもおかしな事ではない。だがしかし、2014年度のResident Advisor Poll部門で1位を獲得したという文句があれば、僅かでも興味を抱いても損はない筈だ。そのレーベルこそドイツ・ワイマールを拠点とするGieglingで、VrilやEdwardらもカタログに載るように奇才揃いなのである。そしてテクノやハウスのみならず、アンビエントやヒップ・ホップにまで手を広げつつも、そのどれもが工芸品のような美しさの中に仄かなメランコリーがあり、ただ踊れれば良いという以上の音楽性を秘めている。本作はJan BarichことMap.acheによるもので、過去にはヨーロッパの繊細な美的感覚を打ち出したディープ・ハウスもリリースしていたようだが、このGieglingからの作品ではそれを継承しながらも、レーベルの奇抜な性質も強めながらメランコリーに染め上げている。何と言ってもタイトル曲の"The Golden Age"が素晴らしく、つんのめるような変則的なビートの上に滑らかに展開するエモーショナルなシンセのコードの構成は、星空が広がる下の夜道を闊歩するような何だかウキウキとするムードがあり、ドラムのリズムとシンセのリズムの相乗効果で不思議な感覚の揺らぎで陶酔させられる。"Give Peace A Change"はぼんやりとして陰鬱な夢のようなシンセがリフレインするディープ・ハウスだが、ビートにはざらつきがあって生々しく、ロウな質感が曲にちょっとした刺激を加えている。と思っていると、裏面の"Message from Myself"ではまた弾けるようにキックやパーカッションが入り乱れ、そこに浮遊感を生む淡い色彩のシンセが情緒を添えて、何だか騒がしくもありながら軽快なグルーヴで晴々しいハウスを披露している。最後の"You Are The Bonus"は壊れた楽器が鳴っているような電子音が不協和音的に構成されたビートレスな曲で、これは踊るための音楽ではないかもしれないがメランコリーが感じられ、パーティーの朝方にプレイされてもおかしくはない。Gieglingらしくストレートなダンス・トラックは無いのだが、これら工芸品のような曲がミックスされるとDJの中にスパイスとして作用するのではと思わせられるし、実に面白い音楽だ。



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| HOUSE11 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Mood II Swing - Strictly Mood II Swing (Strictly Rhythm:SRNYC022CD)
Mood II Swing - Strictly Mood II Swing
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90年代のNYハウスは正に黄金時代、兎にも角にも雨後のタケノコようにハウス・ミュージックが量産され、そしてそれらは今も尚燦然と輝くクラシックとして現代へと語り継がれている。多くのアーティストが生まれ、育ち、一時代を築き上げたが、そんな時代の空気を目一杯吸い込んだ作品が、Mood II Swingによる3枚組コンピレーションの本作だ。Lem SpringsteenとJohn Ciafoneの二人組によるユニットは、Nervous RecordsやKing Street SoundsにCutting Traxx等のハウスの名門レーベルから作品をリリースし、またその手腕が買われハウスのみならずR&Bやポップ方面からもリミキサーとして起用され、そのアーティストとしての音楽性は評価も名高い。つまりは彼等は完全なるプロダクション・チームであり、NYハウスと呼ばれる音楽の立役者の一人(いや、二人か)と呼んでもよい存在だ。作風自体が何か特徴があるかと考えるとそうでもなく、スムースーなハウスの4つ打ちの上に丁寧なコード展開やメロディーを載せて、実直に温かくソウルフルな雰囲気に染めるシンプルかつ丁寧な、つまりは非常にクラシカルなスタイルを貫いている。だからこそ、今になってこの様にコンピレーションが企画されても、時代に影響を受けない音楽性がある事でハウスの素晴らしさを伝える事が出来るのではないか。冒頭の"Do It Your Way"からして滑らかなハウス・グルーヴと控え目に耽美なリフを軸に囁くようなボーカルを用いたベーシックを守るハウスであり、決して派手さを強調する事はない。続く"Living In Ecstasy (Mood II Swing NY Mix)"はもっとソウルフルなボーカルが前面に出て、飛び跳ねるような軽快な4つ打ちと綺麗目のメロディーが伸びる心がウキウキとするハウスで、もうこの時点でハウスの魅力が全開だ。更に数々のMIXCDに使われるハウスのクラシックである"Closer (King Street Moody Club Mix)"は、このシャウトするような熱量の高いボーカルに情熱的に展開されるコードや生っぽさも残したラフなビートも相まって、体の芯から熱くするようなソウルフルな感情が爆発する。オリジナルの素晴らしさは当然として、ハウスへと系統していた時代のEBTGやトランシーなBTの曲等を見事にアンダーグラウンドなハウスへと生まれ変わらせたリミックスも収録しており、それらもMood II Swingらしい人間味と温度感のあるハウスなのだから、リミックスと言えでも彼等の音楽性が十分に反映されたものとして見做してよいだろう。全33曲で4時間20分のお腹いっぱいなボリュームでオリジナルとは別にダブバージョンでも収録されている曲があり、もう少し曲を絞った方がより質を高めつつ聴きやすくなるのではと思う点もあるが、Mood II Swingの魅力を伝える観点からは問題はないだろう。ハウス・ミュージックの入門としても適切な作品だ。



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| HOUSE11 | 12:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |