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Harvey Sutherland & Bermuda - Priestess / Bravado (Clarity Recordings:CRC-01)
Harvey Sutherland & Bermuda - Priestess Bravado

メルボルンからの昇り龍、Mike KatzことHarvey Sutherlandの実力をもはや疑う者はいないだろう。特にMCDEからリリースされた『Bermuda』(過去レビュー)でそれは決定的となり確かな知名度を経ているが、Juno 60等の温かいアナログシンセを多用したメロディーやライブ感のあるベースやドラムを用いて表現したセッション性の高いディープ・ハウスは、ハウスだけに括るにはもったいないブギーでフュージョンな音楽性で評価されるべきだ。アーティストとしての歩みは留まる事を知らず、最近ではドラマーや弦楽器奏者とのセッションへと果敢にも挑戦し(その動画はこちら)、その成果はリリースされる作品へも影響を及ぼしている。それが最新作である本作で、ここでも前述の奏者を起用しつつ更には9人のハンドクラップも導入するなど、クラブのダンス・ミュージックという枠を越えてより音楽的な旨味を成熟させる方向を推し進めている。"Priestess"は9分にも及ぶ大作で優雅に舞うストリングスや華麗なピアノの響きが前面に出て、そこに爽やかな響きを生むハンドクラップやざらついて生き生きとしたドラムのリズムが躍動感を生んでいく。既にハウスと言うよりは古典的でさえもあるディスコやファンクの要素の方が強いだろうが、それは懐古的なのではなくルーツへの理解を自信を持って表現した様に思われ、古臭く感じる事はない。もう一方の"Bravado"は振動するような図太いシンセサウンドやベースが特徴的で、ブギーでのどかなグルーヴを刻む4つ打ちの前半から中盤までは大人しめに引っ張りつつ、終盤に向かって渾然一体と様々な音色が煌めくような色彩の響きとなりドラムはけたたましくビートを叩き出して、一気にゴージャスなディスコ・ファンクへと突入する流れに誰しも盛り上がるに違いない。クラブのダンス・ミュージックの枠を越えてと述べたものの、しかしそれでも尚肉体を刺激するダンス・ミュージックである前提もあり、豊かな表現力を持ったDJではないアーティストである事を証明している。



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| HOUSE12 | 18:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Shinichiro Yokota Presents Do It Again and Again (Far East Recording:FER-06910)
Shinichiro Yokota Presents Do It Again and Again
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ジャパニーズ・ハウスの再評価の一人に寺田創一が居るのは周知の事実だが、それに連れられて続々とその波の大きさは増している。共鳴するように失われた作品が現代に一斉に浮かび上がってきているが、横田信一郎もその一人だ。寺田は自身でFar East Recordingと言うレーベルを主宰しており、そしてそのレーベルで行動を共にしていたのが横田だそうで、寺田からハウス・ミュージックやシンセサイザーの手ほどきを受けて共同の制作を行うようになり、複数のハウスをレーベルに残していた。但し寺田に比べると横田のリリースされた作品は決して多くはなく、言葉通りに歴史に埋もれてしまっていたアーティストだ。そんな彼の80年代後半から2000年以降の実に27年間にも及ぶ長い期間に制作された楽曲を纏めたのが本作であり、横田にとっての初のアルバムである。流石に時代的に古い楽曲が多い事もあって音楽的な目新しさは皆無だが、だからこそ90年代前後のNYハウスに影響を受けたクラシカルかつポップな作風が今になって評価される所謂ジャパニーズ・ハウスらしく、逆説的に新鮮に感じられるに違いない。始まりは正にタイトル通りに鐘の響きが特徴の"Bells"、リズムはすかすかでスリムながらもバウンスするように跳ねて数少ないシンプルな旋律だからこそ、ごまかしの無い楽曲性が際立っている。あの有名なハウスの声の部分をサンプリングした"Gotta Have House"、ブレイク・ビーツ気味なビートも相まって90年代のラフな質感のハウス・ミュージックのグルーヴそのもので、日本にもこんなセンスが埋もれていたかと思うと感慨深い。同じように日本の童謡をサンプリングした"Machibouke"も和の雰囲気を持ちながらもハウスになっていたり、三味線を用いてエキゾチック感炸裂な"Sora - Sky Magic"では江戸時代を匂わせる時代錯誤なユーモアもあったり、日本と言う背景をそのまんまハウスに投影させている。他にもロービートやダウンテンポまで披露しているが、基本的にはハウスによく見られるピアノの使い方や跳ねるハウスのビートに派手なサンプリングなど、90年代のUSのハウスの影響を彼なりに消化したように思われる。何故にこんな良質なジャパニーズ・ハウスが埋もれていたのか、それはきっと早過ぎたのかもしれないが、素晴らしい作品は今になっても色褪せる事はない。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Randolph - Not Gonna Let (Remixes) (Mahogani Music:MM-38)
Randolph - Not Gonna Let (Remixes)
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自身の作品だけではなくボーカリストとしてJazzanovaとの共演や、Innerzone Orchestraにはベーシストとして参加をするなど、デトロイトの中でもマルチな才能を誇るPaul Randolph。ハウスという枠組みに収まる事なくR&Bやファンクにソウルなど黒人音楽を自然と包括する音楽性をプレイヤーとしての技量で表現し、だからこそ他の多くのアーティストからもシンガーやプレイヤーとして起用されるのも当然の事なのだろう。さて、ソロとしては実に10年ぶりとなるアルバム・リリースに先駆けてリリースされる新作は、古巣Mahogani Musicへと戻りレーベル性も意識したのか以前にも増してセクシャリティーになった歌モノ作品で、リミックスも含めて期待を裏切らない。新作は2曲、その一つである”Not Gonna Let”は自身で色っぽく官能的な歌を披露するニューソウルとでも呼ぶべき甘い曲で、ヒップ・ホップ調のダウンビートにしっとりしたオルガンや凛としたピアノを合わせて、濃密な黒さで染めていくブラック・ミュージック。これまで以上にぐっと夜に生きる大人のような色気を増して、肌にしっとりと染みこむようなソウルフルな歌モノだ。一方で"Peace"も演奏は無しにRandolphによる歌とコーラスのみを合わせた曲で、ちょっとした息抜きと言うかインタールードと言うか、それでもRandolphの甘く誘うような歌が魅力的だ。さて、本作にはリミキサーにも強力が二人がフィーチャーされており、その内の一人はUKにて甘美なハウスならお任せのベテラン・Charles Webster。こちらのリミックスは原曲の溶けるような甘さを、ねっとりとした4つ打ちのディープ・ハウスへと変化させる事で、より濃密でお洒落さも増したWebsterお得意の色気爆発な音楽性が反映されている。方やMahogani Music繋がりでもあり同郷のDez Andresがリミックスした方は、4つ打ちではあるもののざっくりしたヒップ・ホップ感が爽やかなビートに繋がっており、Websterの粘性の高いリミックスとは逆に音を削ぎ落として控え目にメロウで小気味良いブギーな感覚のあるハウスに仕上がっている。どちらもアーティストの音楽性がはっきりと感じられるリミックスで、原曲とリミックスのどれもが異なる場面で使い方はそれぞれと、充実したEPであるのは間違いない。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
HVL - Bizarre Realms EP (Hesperian Sound Division:HESP003)
HVL - Bizarre Realms EP

ロサンゼルス発の新興ハウスレーベルであるHesperian Sound Divisionの新作は、Rough House Rosie等を中心に活動するロシアのディープ・ハウスで頭角を現すGigi JikiaことHVLによるもの。この数年は継続して年に2〜3枚のEPを前述のRHRを含む複数のレーベルから淡々とリリースしており、音響〜アンビエントを駆使したハウスを武器として個性的な音楽性を確立している。本作でもその路線を踏襲しつつ更にはKiyadama名義でのアシッド・ハウスの要素を持ち込んで、何処までも深化を続けている。特にその深くサイケデリックな音響が主張しているのが"Bizarre Realms"で、あぶくが立つような環境音に似せたシンセのフレーズに幻想的な響きを作る薄いパッドを伸ばしていき、そして淡々とした盛り上がりを抑制したロウな4つ打ちが続く中で時折強烈なサウンド・エフェクトを挿入する事で、引いては寄せる波のような盛り上がりを生んでいる。広がっていくような立体的な音響空間は正にディープ・ハウスだが、一転して"Escape In Time"ではアシッド・ベースを用いてシカゴ・ハウスな雰囲気もある作風を見せ、特に粗いハイハット等からはロウ・ハウスの影響も垣間見れる。"Sio"でも生々しいざらついたリズムを用いつつもグルーヴは溶けるような弛緩し、そこに揺らめくような官能的な上モノが波打つ事でアンビエント性の強いダブ・ハウスとなっており、その快適性は随一だ。"Sforzando Joy"では逆にKiyadama名義を継承する凶悪なアシッド・ベースが這いずり回る攻撃的なアシッド・ハウスとなっており、フィルターやレゾナンスによる過剰な変化で毒々しく頭もくらくらするような展開が刺激的だ。バリエーション豊かでアーティストとしての底の深さはまだ見えず、そろそろアルバムによる包括的な表現も期待したいものだ。



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| HOUSE12 | 15:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Trinidadian Deep - Native EP "V" (Neroli:NERO 034)
Trinidadian Deep - Native EP V

Volcovが主宰するイタリアのNeroliはブロークン・ビーツにしろハウスにしろ、しなやかなリズムと優美な響きを持って聴く者を魅了する実に洗練されたレーベルだ。特にここ2〜3年の間にリリースされた作品は外れがなく、レーベル買い出来る程に信頼に足る存在にまで成長している。そんなレーベルに於いて特に活発な活動を見せるのがUSのTrinidadian Deep、そうRon Trent直系と言うか愛弟子として育ったその人であり、タイトルが示す通りにNeroliから毎年リリースする作品は本作にて通算5枚目となる。オーガニックで爽やかなパーカッション使いや清らかで耽美な音色を武器に、自身の作風を貫くその連作は確かに似通ったものではあるが、だからこそリスナーの期待を裏切る事はない。本作でもやはり弾けて飛翔するようなグルーヴを生むパーカッション使いが目立ち、"Native Rebel"ではそのグルーヴに合わせて光沢のあるエレクトロニックなシンセのレイヤーに麗しいオルガン・ソロが力強くメロディーを描きながら、しなやかな躍動感と優美なエモーションが爆発するディープ・ハウスを展開する。B面の"Native Bruk"でも輝きのあるシンセのコードやライブ感のあるキーボードのプレイが色鮮やかに彩り、連打するような勢いのあるパーカッションやキックが走る事で疾走感と大らかな開放感を生み出し、青い大空の中へと飛び込んでいくようだ。"Native Uprising"は特に派手な音色が用いられており、ゴージャスなシンセやパッドがすっと伸びながら綺麗なフルートや耽美なピアノが絡んでいくこの上ない優美な構成で、本EPの中でも特段に輝かしくエモーショナルな装飾が施されたフュージョン風なディープ・ハウスだ。どれもこれも作風にぶれはなくここまでの統一感は逆に一本調子にも思わずにはいられないが、これこそTrinidadian Deepの個性であるという主張があり、アーティストとしての見据える先は定まっている。



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| HOUSE12 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Missing Soul - Regard / Across My Mind (Future Vision World:FVW004)
Missing Soul - Regard / Across My Mind

ダンス・ミュージックと言う場において静かに、しかし着実に再燃しているジャパニーズ・ハウス。我ら日本人ですらリリース当時には気付かずに歴史に埋もれてしまった作品が多々あり、そしてそれらは今になって世界各地のレーベルから掘り起こされ、当時の良質なハウスがようやく確かな評価を得ようとしている。このMissing Soulもその一人であり、今ではゲームミュージックを手掛けるYuji Takenouchiとして知られているが、かつてはMr. YT名義でApollo Records等から作品をリリースしており、2008年にはRon Trentが主宰するFuture Vision Recordsからのコンピレーションにも曲が収録されるなど、所謂ジャジー・ハウスーでは知る人ぞ知るアーティストだ。2014年からは今後予定されているアルバムの先行EPがFuture Visionからリリースされているが、そのアルバムがお蔵入りになったかどうかはさておき、取り敢えず関連するリミックスEPがリリースされている。リミキサーにはレーベル主宰のRon Trent、そしてその愛弟子とも呼べるTrinidadian Deepとジャジーな要素を持つ二人ならば、Missing Soulとの音楽的な相性の良さは言うまでもないだろう。Ronによる"Regard (Musicandpower Ver.)"、正式にはMr. YT名義の気品漂うエレガントなハウスの原曲だったが、ここでは水飛沫弾けるようなパーカッションを加えて揺れる躍動を作りつつ、透明感を継承しながら耽美なピアノが滴り落ちて酔いしれてしまうジャジーなディープ・ハウスへと味付けしており、RonとMissing Soulの要素が自然と同居する。一方でオリジナルはジャジーヴァイブス溢れた曲だったのを、"Across My Mind (Trinidadian Deep Remix)"では日本語のポエトリーも加えた上にゴージャスなシンセや爽快さ抜群のアフロな太鼓を被せ、テッキーかつトライバルで大空を飛翔するような壮大なハウスへと生まれ変わらせており、こちらはTrinidadian Deepの作風が前面に出ているだろう。かつてのジャパニーズ・ハウスを今になってディープ・ハウスの実力者である二人がリミックスするのは何だか感慨深いが、良いものは時代に関係なく良いという証でもあり、今こそMissing Soulが注目を集める時なのだ。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
A Band Called Flash - ABCF (Future Vision World:FVW003)
A Band Called Flash - ABCF
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シカゴのディープ・ハウスの大御所であるRon Trentが主宰するFuture Visionは基本的には自身が制作した音源をリリースするレーベルではあるのだが、だからこそこうやって他アーティストの作品をリリースする事は、それなりの自信や期待の現れに違いない。A Band Called FlashはJared Hinesがプロデューサーを務めるバンドのようで、2015年にRonの支援の下デビューを果たしたディスコ/ファンク・バンドだ。アーティストやユニットについての詳細が見つからないのでどういったルーツがあるのかは分からないが、作品を聞く限りではディスコ、それもその創世記のクラシカルな雰囲気を意識しつつ、AtmosfearやDinosaur Lといったジャズ・ファンクのバンドにも影響を受けているそうで、となればガラージにも特に影響を受けているRonが熱心にサポートするのも納得という訳だ。"Phantom"では確かにリズムにはダブっぽい処理が加えられており、力強いスラップベースも相まって懐かしさ満載のディスコ/ファンクという印象だが、伸びやかに煌めくシンセや爽快感のあるボーカル等からはRonの影響も投影されている。"Starfall"ではRonが共同プロデューサーに迎えられた事でよりRonらしい弾けるグルーヴ感のあるハウスとなっており、幻想の彼方に消えいくようなシンセの美しい使い方に更には哀愁のギターも加えて実にセンチメンタルな情景が浮かぶ。"Volans"では前作にも参加したAndrew Zhangがキーボードを担当しており、感情的なピアノコードや優美なシンセソロを披露してエモーショナル性を発揮し、古き良き時代のブギーを継承したディスコ・ダブ的な作品。そしてギターでNick D'Angeloが参加した"E.L.L.A."、湿ったドラムや光沢感のあるシンセに情熱的で染みる歌がレトロなフュージョンやファンクを思わせる。どれもクラブのツール性を重視した音楽性とは真逆の、豊かな響きとライブ感のある展開を伴うバンド・サウンドで、これは是非ともEPという小さな枠ではなくアルバムにまで拡張して聴きたくなる。



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| HOUSE12 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Cabanne - Discopathy (Minibar:MINIBAR 042CD)
Cabanne - Discopathy
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アーティストとしては2000年からリリースを初めているので、この初のアルバムリリースまで16年と随分と長い時間がかかっているが、その分だけベテランとしての貫禄やアーティストとしての個性が確立された内容になっており、期待に裏切らない作品だ。そんなアルバムを手掛けたのはフランスのCabanneで、Telegraphに7th CityやPerlon等からのリリースが指し示す通りにミニマル・ハウスを軸とした音楽性を武器にしており、そしてジャズ・ギタリストとしての側面も持っている事から本作では生っぽいサンプリングも多用したミニマル・ハウスを展開している。アルバムの開始はぐっとビートを落としたダウンテンポの"MC"だが、ここから生っぽさ溢れる音質のドラム・プログラミングやベース、そこにカット・アップさせたようなピアノやアコギを緻密に散りばめて、Akufenを思い起こさせるマイクロ・サンプリングを披露している。続く"My T"では細なスネアやハイハットの4つ打ちがスムースな流れ出すが、朧気に漂うような上モノが陶酔を誘うミニマル・ハウスだ。土着的で有機的なグルーヴの"Nastish"でも音数を絞った構成の中にカットアップしたような声や生音の細かなサンプリングを配置し、しっとりとした官能と共にファンキーな鳴りを生み出している。生々しく色気を誘うような声ネタの使い方は肝であるようで、"Minguz"でも湿って泥臭い4つ打ちに淡々とした呟きを用いつつ、そして耽美なピアノのコード展開を導入するなど意外にも情緒的な雰囲気が全体を包んでいる。またジャズ・セッション的な変則的なグルーヴを生むドラム・プログラミングの"RSO"では抽象的な鳴りをしつつ、次第にハウシーな4つ打ちへと変化していく実験的な要素も含んでいる。流麗な4つ打ちから落ち着いたダウンテンポにジャジーヴァイブスまで匠の技の如く使い分け、大人の色香を発する情緒を漂わせながらも繊細に揺れるダンスフロアに適合したグルーヴを鳴らすなど、アルバムは適度な起伏と振れ幅を持って実に心地良い。無駄を削ぎ落としたミニマルが、こうまでも淡い情緒を放つとは。



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| HOUSE12 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jay Daniel - Broken Knowz (Technicolour:TCLR018)
Jay Daniel - Broken Knowz
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Kyle Hallと双璧を成すJay Danielはデトロイト・テクノ/ハウスの新世代を代表する若手のアーティストで、何とまだ25歳と若くして知名度を得た実力者である。Sound Signatureから2013年にデビューを果たしてからまだ数年だが、既に日本への来日も果たすなどデトロイトに於ける新世代としての期待を一身に背負い、デトロイトのアフロ・フューチャリズムの伝統を受け継ぎつつ今のサウンドを創作する。母親はPlanet-Eから作品をリリースしていたあのNaomi Danielなのだから、血筋としても裏切るどころか期待された通りの結果を残しているが、しかし母親のうっとりする官能的な歌モノハウスとは異なり、Jayの音楽性はとびきりに粗い。若さ故の衝動的なパワーと呼ぶべきか、その粗さは例えばテープでの録音や古い機材を使っている事も影響しているのだろうが、敢えて綺麗に作品を纏めるような事はせずに剥き出し感のある粗雑な音が熱いソウルをより実直に感じさせるのだ。その方向性はドラムプログラミングの制約に限界を感じた事で、本作では自分でドラムを叩く事へと繋がり、それが結果としてJayのラフな音楽に拍車を掛けつつより人間味溢れる音を鳴らす事になったのだ。ハンドクラップや生々しく土臭いドラムのリズムに先導される"Last Of The Dogons"は、何か黒いものが蠢くようなアフロ感覚もあり、単にハウスと呼ぶには異形なオープニング・トラックだ。続く"Paradise Valley"は正にドラムスティックの乾いた音がリズムを刻んでおり、何が物悲しいメロディーと相まって胸を締め付けるような感情的なロウ・ハウスだ。"Niiko"も生き生きと躍動的なドラムのリズムが土着的で、最早デトロイト・ハウスというよりはエキゾチックな原始音楽のような生命力があり、肉体から汗が吹き出すような胎動が感じられる。逆にこれぞJayのロウ・ハウスらしくあるのは"1001 Nights"で、ざらついたハイハットの粗さや骨格が浮かび上がった隙間だらけの構成が、逆説的に骨太なグルーヴを生み出している。どの曲も簡素な構成が故にドライかつ抑揚が抑えられてはいるものの、4つ打ちを逸脱した妙なリズム感が揺れを誘発し、ライブ感のある音によって直接肉体を刺激する。デトロイトの先人達のソウルを受け継ぎつつ、しかし単なる物真似にはならないオリジナリティー溢れる音楽性があり、新時代を切り開くアーティストとして期待は大きくなるばかり。



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| HOUSE12 | 21:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Sun Palace - Raw Movements / Rude Movements (BBE Records:BBE389ACD)
Sun Palace - Raw Movements / Rude Movements
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過去の作品のリイシューという行為を単に懐古的と見るかどうかは人それぞれだが、少なくとも現在のダンス/ミュージックに興味を持ち、そこから遡って埋もれた作品に辿り着く事を促すリイシューには十分な価値がある。本作は正にそんな遺産の発掘であり、1983年にMike Collins & Keith O'ConnelからなるユニットのSun Palaceがリリースした"Rude Movements"らのオリジナル音源に多数の未発表曲やデモ音源を加えてアルバム化した作品だ。何でもタイトル曲はダンス・ミュージックのDJとして始祖である故David Mancusoも愛用したというロフト・クラシックだそうで、最初期のドラムマシーンやアナログシンセを用いて制作されており、ギタリストや鍵盤奏者である二人のプレイヤーが生み出した音楽はディスコというダンス/ミュージックをベースに、ファンクやフュージョンの要素も持ち合わせて所謂ツール的なモノではなく音楽的に豊かな展開を伴っている。本作の元になった"Rude Movements"にしてもふにゃふにゃとした光沢のあるシンセや優しくタッチするエレピが甘い調べをなぞり、ドラムマシーンがシンプルでローファイな4つ打ちを淡々と刻み、ディスコと言うよりは楽天的なムードが溢れるコズミック・フュージョンとでも呼ぶべきか。古臭さは熟して今になり豊潤な響きとなるような、決して懐古的になるのではなく埋もれた名作が今も尚輝く事を証明している。恐らくそのデモ・バージョンとなる"Raw Movements"はまだラフなスケッチの如くセッションの途中のような荒削りな印象もあり、オリジナルへと繋がる過程が感じ取れる。未発表曲も粒揃いでデモとして埋もれたままにしておくにはもったいなく、メロウで繊細なエレピ使いや渋いギターのカッティングにより哀愁漂わせる"What's The Time"や、優美な笛の音色とぐっと迫る分厚いベースでうっとり陶酔モードのフュージョンな"I'm Going To Lie Down"、染みるギターリフーやコズミックなシンセの効果音が甘くセクシーに染める"Love Train II"など、どれもこれも音楽的な展開や演奏を尊重したダンス・ミュージックだ。あれこれ綺麗に装飾し洗練された今のダンス・ミュージックとは異なり、まだ荒さを残しつつもその素朴な音色や単純な構成が何とも心に沁みてくる名作だ。



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| HOUSE12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |