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Trinidadian Deep - Native EP "V" (Neroli:NERO 034)
Trinidadian Deep - Native EP V

Volcovが主宰するイタリアのNeroliはブロークン・ビーツにしろハウスにしろ、しなやかなリズムと優美な響きを持って聴く者を魅了する実に洗練されたレーベルだ。特にここ2〜3年の間にリリースされた作品は外れがなく、レーベル買い出来る程に信頼に足る存在にまで成長している。そんなレーベルに於いて特に活発な活動を見せるのがUSのTrinidadian Deep、そうRon Trent直系と言うか愛弟子として育ったその人であり、タイトルが示す通りにNeroliから毎年リリースする作品は本作にて通算5枚目となる。オーガニックで爽やかなパーカッション使いや清らかで耽美な音色を武器に、自身の作風を貫くその連作は確かに似通ったものではあるが、だからこそリスナーの期待を裏切る事はない。本作でもやはり弾けて飛翔するようなグルーヴを生むパーカッション使いが目立ち、"Native Rebel"ではそのグルーヴに合わせて光沢のあるエレクトロニックなシンセのレイヤーに麗しいオルガン・ソロが力強くメロディーを描きながら、しなやかな躍動感と優美なエモーションが爆発するディープ・ハウスを展開する。B面の"Native Bruk"でも輝きのあるシンセのコードやライブ感のあるキーボードのプレイが色鮮やかに彩り、連打するような勢いのあるパーカッションやキックが走る事で疾走感と大らかな開放感を生み出し、青い大空の中へと飛び込んでいくようだ。"Native Uprising"は特に派手な音色が用いられており、ゴージャスなシンセやパッドがすっと伸びながら綺麗なフルートや耽美なピアノが絡んでいくこの上ない優美な構成で、本EPの中でも特段に輝かしくエモーショナルな装飾が施されたフュージョン風なディープ・ハウスだ。どれもこれも作風にぶれはなくここまでの統一感は逆に一本調子にも思わずにはいられないが、これこそTrinidadian Deepの個性であるという主張があり、アーティストとしての見据える先は定まっている。



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| HOUSE12 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Missing Soul - Regard / Across My Mind (Future Vision World:FVW004)
Missing Soul - Regard / Across My Mind

ダンス・ミュージックと言う場において静かに、しかし着実に再燃しているジャパニーズ・ハウス。我ら日本人ですらリリース当時には気付かずに歴史に埋もれてしまった作品が多々あり、そしてそれらは今になって世界各地のレーベルから掘り起こされ、当時の良質なハウスがようやく確かな評価を得ようとしている。このMissing Soulもその一人であり、今ではゲームミュージックを手掛けるYuji Takenouchiとして知られているが、かつてはMr. YT名義でApollo Records等から作品をリリースしており、2008年にはRon Trentが主宰するFuture Vision Recordsからのコンピレーションにも曲が収録されるなど、所謂ジャジー・ハウスーでは知る人ぞ知るアーティストだ。2014年からは今後予定されているアルバムの先行EPがFuture Visionからリリースされているが、そのアルバムがお蔵入りになったかどうかはさておき、取り敢えず関連するリミックスEPがリリースされている。リミキサーにはレーベル主宰のRon Trent、そしてその愛弟子とも呼べるTrinidadian Deepとジャジーな要素を持つ二人ならば、Missing Soulとの音楽的な相性の良さは言うまでもないだろう。Ronによる"Regard (Musicandpower Ver.)"、正式にはMr. YT名義の気品漂うエレガントなハウスの原曲だったが、ここでは水飛沫弾けるようなパーカッションを加えて揺れる躍動を作りつつ、透明感を継承しながら耽美なピアノが滴り落ちて酔いしれてしまうジャジーなディープ・ハウスへと味付けしており、RonとMissing Soulの要素が自然と同居する。一方でオリジナルはジャジーヴァイブス溢れた曲だったのを、"Across My Mind (Trinidadian Deep Remix)"では日本語のポエトリーも加えた上にゴージャスなシンセや爽快さ抜群のアフロな太鼓を被せ、テッキーかつトライバルで大空を飛翔するような壮大なハウスへと生まれ変わらせており、こちらはTrinidadian Deepの作風が前面に出ているだろう。かつてのジャパニーズ・ハウスを今になってディープ・ハウスの実力者である二人がリミックスするのは何だか感慨深いが、良いものは時代に関係なく良いという証でもあり、今こそMissing Soulが注目を集める時なのだ。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
A Band Called Flash - ABCF (Future Vision World:FVW003)
A Band Called Flash - ABCF
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シカゴのディープ・ハウスの大御所であるRon Trentが主宰するFuture Visionは基本的には自身が制作した音源をリリースするレーベルではあるのだが、だからこそこうやって他アーティストの作品をリリースする事は、それなりの自信や期待の現れに違いない。A Band Called FlashはJared Hinesがプロデューサーを務めるバンドのようで、2015年にRonの支援の下デビューを果たしたディスコ/ファンク・バンドだ。アーティストやユニットについての詳細が見つからないのでどういったルーツがあるのかは分からないが、作品を聞く限りではディスコ、それもその創世記のクラシカルな雰囲気を意識しつつ、AtmosfearやDinosaur Lといったジャズ・ファンクのバンドにも影響を受けているそうで、となればガラージにも特に影響を受けているRonが熱心にサポートするのも納得という訳だ。"Phantom"では確かにリズムにはダブっぽい処理が加えられており、力強いスラップベースも相まって懐かしさ満載のディスコ/ファンクという印象だが、伸びやかに煌めくシンセや爽快感のあるボーカル等からはRonの影響も投影されている。"Starfall"ではRonが共同プロデューサーに迎えられた事でよりRonらしい弾けるグルーヴ感のあるハウスとなっており、幻想の彼方に消えいくようなシンセの美しい使い方に更には哀愁のギターも加えて実にセンチメンタルな情景が浮かぶ。"Volans"では前作にも参加したAndrew Zhangがキーボードを担当しており、感情的なピアノコードや優美なシンセソロを披露してエモーショナル性を発揮し、古き良き時代のブギーを継承したディスコ・ダブ的な作品。そしてギターでNick D'Angeloが参加した"E.L.L.A."、湿ったドラムや光沢感のあるシンセに情熱的で染みる歌がレトロなフュージョンやファンクを思わせる。どれもクラブのツール性を重視した音楽性とは真逆の、豊かな響きとライブ感のある展開を伴うバンド・サウンドで、これは是非ともEPという小さな枠ではなくアルバムにまで拡張して聴きたくなる。



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| HOUSE12 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Cabanne - Discopathy (Minibar:MINIBAR 042CD)
Cabanne - Discopathy
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アーティストとしては2000年からリリースを初めているので、この初のアルバムリリースまで16年と随分と長い時間がかかっているが、その分だけベテランとしての貫禄やアーティストとしての個性が確立された内容になっており、期待に裏切らない作品だ。そんなアルバムを手掛けたのはフランスのCabanneで、Telegraphに7th CityやPerlon等からのリリースが指し示す通りにミニマル・ハウスを軸とした音楽性を武器にしており、そしてジャズ・ギタリストとしての側面も持っている事から本作では生っぽいサンプリングも多用したミニマル・ハウスを展開している。アルバムの開始はぐっとビートを落としたダウンテンポの"MC"だが、ここから生っぽさ溢れる音質のドラム・プログラミングやベース、そこにカット・アップさせたようなピアノやアコギを緻密に散りばめて、Akufenを思い起こさせるマイクロ・サンプリングを披露している。続く"My T"では細なスネアやハイハットの4つ打ちがスムースな流れ出すが、朧気に漂うような上モノが陶酔を誘うミニマル・ハウスだ。土着的で有機的なグルーヴの"Nastish"でも音数を絞った構成の中にカットアップしたような声や生音の細かなサンプリングを配置し、しっとりとした官能と共にファンキーな鳴りを生み出している。生々しく色気を誘うような声ネタの使い方は肝であるようで、"Minguz"でも湿って泥臭い4つ打ちに淡々とした呟きを用いつつ、そして耽美なピアノのコード展開を導入するなど意外にも情緒的な雰囲気が全体を包んでいる。またジャズ・セッション的な変則的なグルーヴを生むドラム・プログラミングの"RSO"では抽象的な鳴りをしつつ、次第にハウシーな4つ打ちへと変化していく実験的な要素も含んでいる。流麗な4つ打ちから落ち着いたダウンテンポにジャジーヴァイブスまで匠の技の如く使い分け、大人の色香を発する情緒を漂わせながらも繊細に揺れるダンスフロアに適合したグルーヴを鳴らすなど、アルバムは適度な起伏と振れ幅を持って実に心地良い。無駄を削ぎ落としたミニマルが、こうまでも淡い情緒を放つとは。



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| HOUSE12 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jay Daniel - Broken Knowz (Technicolour:TCLR018)
Jay Daniel - Broken Knowz
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Kyle Hallと双璧を成すJay Danielはデトロイト・テクノ/ハウスの新世代を代表する若手のアーティストで、何とまだ25歳と若くして知名度を得た実力者である。Sound Signatureから2013年にデビューを果たしてからまだ数年だが、既に日本への来日も果たすなどデトロイトに於ける新世代としての期待を一身に背負い、デトロイトのアフロ・フューチャリズムの伝統を受け継ぎつつ今のサウンドを創作する。母親はPlanet-Eから作品をリリースしていたあのNaomi Danielなのだから、血筋としても裏切るどころか期待された通りの結果を残しているが、しかし母親のうっとりする官能的な歌モノハウスとは異なり、Jayの音楽性はとびきりに粗い。若さ故の衝動的なパワーと呼ぶべきか、その粗さは例えばテープでの録音や古い機材を使っている事も影響しているのだろうが、敢えて綺麗に作品を纏めるような事はせずに剥き出し感のある粗雑な音が熱いソウルをより実直に感じさせるのだ。その方向性はドラムプログラミングの制約に限界を感じた事で、本作では自分でドラムを叩く事へと繋がり、それが結果としてJayのラフな音楽に拍車を掛けつつより人間味溢れる音を鳴らす事になったのだ。ハンドクラップや生々しく土臭いドラムのリズムに先導される"Last Of The Dogons"は、何か黒いものが蠢くようなアフロ感覚もあり、単にハウスと呼ぶには異形なオープニング・トラックだ。続く"Paradise Valley"は正にドラムスティックの乾いた音がリズムを刻んでおり、何が物悲しいメロディーと相まって胸を締め付けるような感情的なロウ・ハウスだ。"Niiko"も生き生きと躍動的なドラムのリズムが土着的で、最早デトロイト・ハウスというよりはエキゾチックな原始音楽のような生命力があり、肉体から汗が吹き出すような胎動が感じられる。逆にこれぞJayのロウ・ハウスらしくあるのは"1001 Nights"で、ざらついたハイハットの粗さや骨格が浮かび上がった隙間だらけの構成が、逆説的に骨太なグルーヴを生み出している。どの曲も簡素な構成が故にドライかつ抑揚が抑えられてはいるものの、4つ打ちを逸脱した妙なリズム感が揺れを誘発し、ライブ感のある音によって直接肉体を刺激する。デトロイトの先人達のソウルを受け継ぎつつ、しかし単なる物真似にはならないオリジナリティー溢れる音楽性があり、新時代を切り開くアーティストとして期待は大きくなるばかり。



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| HOUSE12 | 21:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Sun Palace - Raw Movements / Rude Movements (BBE Records:BBE389ACD)
Sun Palace - Raw Movements / Rude Movements
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過去の作品のリイシューという行為を単に懐古的と見るかどうかは人それぞれだが、少なくとも現在のダンス/ミュージックに興味を持ち、そこから遡って埋もれた作品に辿り着く事を促すリイシューには十分な価値がある。本作は正にそんな遺産の発掘であり、1983年にMike Collins & Keith O'ConnelからなるユニットのSun Palaceがリリースした"Rude Movements"らのオリジナル音源に多数の未発表曲やデモ音源を加えてアルバム化した作品だ。何でもタイトル曲はダンス・ミュージックのDJとして始祖である故David Mancusoも愛用したというロフト・クラシックだそうで、最初期のドラムマシーンやアナログシンセを用いて制作されており、ギタリストや鍵盤奏者である二人のプレイヤーが生み出した音楽はディスコというダンス/ミュージックをベースに、ファンクやフュージョンの要素も持ち合わせて所謂ツール的なモノではなく音楽的に豊かな展開を伴っている。本作の元になった"Rude Movements"にしてもふにゃふにゃとした光沢のあるシンセや優しくタッチするエレピが甘い調べをなぞり、ドラムマシーンがシンプルでローファイな4つ打ちを淡々と刻み、ディスコと言うよりは楽天的なムードが溢れるコズミック・フュージョンとでも呼ぶべきか。古臭さは熟して今になり豊潤な響きとなるような、決して懐古的になるのではなく埋もれた名作が今も尚輝く事を証明している。恐らくそのデモ・バージョンとなる"Raw Movements"はまだラフなスケッチの如くセッションの途中のような荒削りな印象もあり、オリジナルへと繋がる過程が感じ取れる。未発表曲も粒揃いでデモとして埋もれたままにしておくにはもったいなく、メロウで繊細なエレピ使いや渋いギターのカッティングにより哀愁漂わせる"What's The Time"や、優美な笛の音色とぐっと迫る分厚いベースでうっとり陶酔モードのフュージョンな"I'm Going To Lie Down"、染みるギターリフーやコズミックなシンセの効果音が甘くセクシーに染める"Love Train II"など、どれもこれも音楽的な展開や演奏を尊重したダンス・ミュージックだ。あれこれ綺麗に装飾し洗練された今のダンス・ミュージックとは異なり、まだ荒さを残しつつもその素朴な音色や単純な構成が何とも心に沁みてくる名作だ。



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| HOUSE12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Amp Fiddler - Motor City Booty (OCTAVE LAB.:OTCD-5886)
Amp Fiddler - Motor City Booty
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ダンス・ミュージックの聖地であるデトロイトと言えばテクノ/ハウスに於けるオリジネーターやイノベイターが存在し、他にも数多くの才能がひしめき合って発展を遂げてきた。黒人音楽由来のファンクを電子化したのがそれらなのだが、現在形のアーティストであるデトロイトのAmp Fiddlerは、よりファンクやソウル等のルーツを打ち出したプレイヤー兼シンガーだ。プレイヤーとしてGeorge Clinton率いるP-Funk軍団への参加を初め、メジャーなアーティストからアンダーグラウンドな方までサポートを行っており、このシーンに於ける裏方では重要な存在と呼べるだろう。Amp Fiddler名義で個人の作品をリリースし出したのは2000年以降の事だが、前述のようにその芸歴が長い事もあり音楽的にはテクノやハウスを軸にしながらもそれらはより黒人音楽的なディスコやファンクやソウルの要素が自然と強くなるのだろう。アルバムの始まりはミッドテンポのニューディスコ風な"Return Of The Ghetto Fly"で、ブイブイとしたシンセベースがファンキーで、そこにFiddlerの渋い歌声も加わり何ともメロウな曲になっている。続く"Superficial"でややビートは上がりだしてハウス色の強い歌モノだが、ベースやキーボードのクラシカルな展開はやはりプレイヤーとしての経験に裏打ちされたものだ。一転してまた緩めのグルーヴに戻る"Slippin On Ya Pimpin"は、シンセ・ベースはもとよりブラスやコーラスを用いたゴージャスな輝きのあるソウルフル・ディスコで、Pファンク由来のごった煮なパーティー感が堪らない。そして今尚クラブで定番としてプレイされるジャズ・ハウス名作の"1960 What?"のカバーもあり、原曲の熱いソウルなムードはそのままに4つ打ちのPファンク/ディスコへと生まれ変わらせ、今風のダンス・ミュージックと呼べるだろう。ジュークのような素早くキレのあるビートが攻撃的で、しかし感情的なコーラスにPファンク精神が宿る"Soul Fly Part 2"、逆にビートが落ちてどっしりと安定感のあるグルーヴに賑やかで華やかなコーラスやしっとりしたピアノが乗る"Steppin'"では温かいソウルに染められる。"Funk Is Here To Stay"ではGeorge Clintonも制作に加わっているが、ハウス・ミュージックがベースながらもブイブイと主張する個性的なベースやコズミックなシンセ、そして熱き感情を吐露するコーラスなどからはPファンクの音楽性が存分に感じられる。どれもこれもメロウなりファンクなりの感情的な歌モノで、デトロイト・テクノ/ハウスがよくエモーショナルと言われるのも、きっとそのルーツがそうなのだから自然の事だと再認識させられる。Pファンクが好きな人にお勧めするのは当然として、デトロイトのテクノ/ハウスの熱心なファンにも絶対に聴いて頂きたい一枚だ。



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| HOUSE12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Silver City - Projections (Catune Records:CATUNE61)
Silver City - Projections
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9dwによって2001年に設立された東京を拠点とするCatune Records、元々はポストロック寄りのインディーレーベルだったものの何時しかリリースされる音楽はクラブでプレイされるにも耐えうるダンス性を備えるようになり、今ではレーベルカラーとしてロックのライブ感とディスコやファンクのダンス性が融和したハウス・ミュージックが定着している。そんなレーベルが満を持して送り出すアルバムが20:20 Visionでも活躍するFernando PulichinoとJulian SanzaによるSilver Cityで、既にCatuneより爽やかなバレアリック感もあるディスコ・ダブを主とした2枚のEPを送り出しており、その集大成として制作に2年の歳月を掛けたと言うのが本作だ。レーベル公式の案内によれば新旧のモノフォニック・シンセにリズムマシン、そして彼等の音の響きを豊かなものにしているギターやベース等の楽器の生演奏も含み、即興的なプロダクションはCatuneのレーベルカラーを端的に表しているようにも思われる。アルバムの冒頭を飾るのは"I See You"、生っぽいドラムの4つ打ちは間違いなくディスコが根底にあり、そこに爽快に伸びるギターサウンドや光沢感のあるシンセ使いとFernandoの懐メロ的な歌が、アルバムの中でも特に感傷に引き込まれる曲だ。アルバムの為に制作された"Projections"もディスコの風味はあるものの、捻れたシンセや浮遊する電子音からはサイケデリックな芳香が漂っており、ビートダウンらしい粘性の高さも相まって中毒的だ。"Ride Away"や"Country Boots"辺りは非常にSilver Cityらしいと言うべきか、ロック風の躍動に満ちたドラムやファンキーなベースが脈打っており、そこに豊潤な響きのシンセや電子楽器も加わる事でライブ感に満ちた開放的なディスコ・ダブになっている。8分越えの大作である"Shadow"も整った4つ打ちだが、角の取れたまろやかなキックはハウス寄りで、そこに軽やかに広がっていく青々しいギターや眩いエレクトロニクスが彩ればそれはもうニュー・ディスコである。アルバムにはリミックスも収録されており、Is It Balearic?のCoyoteが原曲よりもオーガニックな温度感を増してバレアリックに仕上げた"Loading (Coyote Extended Remix)"、International Feel一派のPrivate Agendaが生っぽく湿り気を帯びたディスコ風にした"Do You Want (Private Agenda Remix)"と、リミックスも原曲の味を損なう事なくバレアリック性を強めてアルバムの中に自然と収まっている。ディスコ・ダブやニュー・ディスコが今となっては溢れ返る時代に決して彼等だけの個性的な音…と言うものがある訳ではないが、音楽性豊かでクラシカルなアルバムでありリスニングとしても十分に耳を満たすだろう。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Session Victim - Matching Half EP (Delusions Of Grandeur:DOG55)
Session Victim - Matching Half EP
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名門Freerange Recordsのモダンなハウスへと特化したサブレーベルであるDelusions Of Grandeurは、最早本家よりも評価を得ているハウス・レーベルであり、数多くの実力ある若手からベテランまでがこのレーベルからリリースして勢い付いている。そんなレーベルの主力アーティストの一人がドイツ人ユニットであるHauke Freer & Matthias ReilingによるSession Victimで、活動的は決して長くないものの既に2枚のアルバムもリリースし、サンプリング重視のブギーでファンキーなハウスが好評を得ている。本EPは一年半ぶりとなる新作だが、相変わらずの生音のサンプリング使いが効果的で、煌めくようなゴージャスさと熱きエモーションが渦巻くファンキー・ハウスで素晴らしい。パーカッシヴに若々しく弾けるリズム感の"Matching Half"はメロウなエレピのループに優雅なストリングス使いや豪勢で豊かなブラスが一体となって熱き感情の流れを誘発するハウスで、そしてしっかりと音楽的にも展開のある構成で機能性とリスニング性のバランスの良さにも長けている。裏面の"Up To Rise"は更に感情的で郷愁さえも感じさせるメロウな作風で、ジャジーな生々しいビート感に乗っかる悲哀のシンセメロディーが琴線を震わし、そしてブレイクでの泣きのサックスが炸裂する瞬間のドラマチック性によって感情の昂ぶりはピークへと達する。そして本作にはリミキサーとしてSound SignatureやWild Oatsからの作品で注目を集めているキーボーディストのByron The Aquariusが参加しており、"Matching Half (Byron The Aquarius Remix)"では元にあった耳に残るメロディーはそのまま引用しつつも、生っぽく粗いリズムを強調しフュージョンらしいキーボードも加えて、ジャジーでファンキーなライブ感溢れる作風へと違和感なく転調させている。両者のライブ感溢れる音楽性があるからこそ、原曲の良さを損なう事なく新たに魅力を付加したリミックスとなるのだろう。本EPは予定されている三枚目のアルバムの試金石となるカットであるが、これを聞けば期待を裏切らないアルバムになるに違いないと確信する。



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| HOUSE12 | 23:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Rebirth 10 - Compiled And Mixed By Larry Heard A.K.A. Mr. Fingers (Rebirth Records:REB036CD)
Rebirth 10 - Compiled And Mixed By Larry Heard A.K.A. Mr.Fingers
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シカゴ・ハウスのレジェンド…とだけで括るのでは恐れ多い、時代を越えて何時までも残る曲を制作する音楽家として孤高の位置に存在するMr. FingersことLarry Heard。初期シカゴ・ハウスのロウで荒ぶれる作風から、次第にそこにツール性のみならず趣深い情緒や琴線に触れるエモーショナル性を加えた張本人であり、伝説的な存在として尊敬の眼差しを浴びながらも今も音楽家として制作を続け、求道的な生き方を続けている。アーティストとしての技量は言うまでもないが今までにDJとして公式にミックスをリリースした事はなく、活動歴30年を経てようやくMr. Fingers名義でのミックスがここに届けられた。オフィシャルでの初のミックスである事は非常に貴重ながらも、今回はイタリアのレーベルであるRebirthの10周年を記念した作品とあって、あくまでレーベルの音楽性を伝えるショーケースが前提になっている。レーベルからの作品にはテクノからハウスにディスコ、USから欧州まで幅広い要素があり、レーベルを追い続けている人でなければその全容を計り知るのは困難だろう。しかし決してDJとしては超一流という訳でもないLarryが、ここでは穏やかで慎み深い点で音楽的には親和性のある事をベースに、ショーケースとしては十分に魅力あるミックスを披露している。ショーケースというコンセプトが前提なのでトリッキーさや派手な展開はほぼ皆無で、曲そのものの良さを打ち出す事を前提としたミックス - それは普段のLarry Heardのプレイでもあるのだが - で、幽玄なディープ・ハウスからアシッド・ハウスに歌モノハウス、またはディープ・ミニマルも使用して、穏やかな地平が何処までも続くような優しさに満ちた音楽性だ。丁寧に聞かせる事でしっとりと体に染み入るような情緒性を含みつつも、勿論ダンス・ミュージックとして体が躍り出すようなグルーヴ感もあり、Larryらしい大らかな包容力とレーベルの美しく幽玄な音楽性が見事にシンクロして相乗効果を発揮している。リスニングとしての快適性が故に部屋で流していて自然にさらっと聞けてしまうBGM風にも受け止められるが、それもLarryやレーベルの音楽性としてはあながち間違っていないのかもしれない。願わくば次はショーケースとしてではなく、よりパーソナリティーを打ち出したMIXCDも制作して欲しいものだが、さて今後の活動を気にせずにはいられない。



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Tracklistは続きで。
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| HOUSE12 | 12:00 | comments(2) | trackbacks(1) | |