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Gonno × Masumura - In Circles (P-VINE Records:PCD-24714)
GONNO × MASUMURA - In Circles
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ロックとダンスの融合という試み自体はもはや新しい挑戦でもなく既に使い古された感もある中で、しかしこのアルバムを聞いた時にはそこにまだまだ未知の領域があるのではと痛感させられる程に、生ドラムと電子音によるコラボレーションは衝撃的だった。手掛けているのはInternational FeelやEndless Flightからのリリースによって世界でも高い評価を獲得しているGonno、そして日本の既に解散してしまったポストロックのバンドである"森は生きている"のドラマーである増村和彦だ。元々ダンスミュージック外のリミックスも手掛けるなどダンスの外へより世界を広げる為の動きもあったGonnoは、実は2014年には"森は生きている"の曲をリミックスしていた事もあり、そこでの邂逅で何か得る物があったのだろうかこの増村との共同作業へと繋がっている。アルバムは増村による生ドラム演奏によってテクノの4つ打ちから逸脱しながら生き物が脈打つように変幻自在なリズムを叩き出しているが、それは始まりである"Circuit"からして5拍子という事でも体感出来る。そこにGonnoによる催眠的な電子音のループを被せながら、一方でループではない躍動的で渦巻くように上昇していくドラミングと絡み付きながら両者が融解するように混沌の中に突入していくこの曲は、肉体を震わすダンス性やロックのダイナミズムがありながらも、単純なダンス×ロックだけでは表現出来ない個性を獲得している。続く"In Circles"は7拍子とここでも変拍子がキモになっているが、モジュラーシンセらしきやや毒々しいシンセのメロディーが覚醒感を煽り、動きのあるドラミングは迫力がありながらもずぶずぶと沼地にハマっていくような粘性の高い一曲だ。"Promoter Said Like It's All About Public Images"は増村のドラムが強調されていて、ダビーな処理によって残響も奥へと伸びていくダブやレゲエの要素も感じ取れるが、上に乗ってくるGonnoの電子音は飄々としており嬉々とした明るさが感じられる。執拗に電子音の反復を用いた"Wirbel Bewegung"はテクノらしいミニマル性と共に、その下では激しく脈打つビートを刻む変則リズムのドラムが蠢いて、電子音のひんやりとしたループに生命力が芽生えるように豊かな響きを加えて、オーガニックなダンス・ミュージックと化している。そして特にGonnoの多幸感、バレアリックな音が聞けるのが"Cool Cotton"で、輝きに満ちたポップな電子音の響きと爽快で安定したビートに導かれのどかな田園地帯を闊歩するようなこの曲は、比較的ダンス・ミュージックのフォーマットにはまる事から朝方のフロアに合いそうだ。二人のコラボはジャンルから見ればダンス×ロックという単純なものではあるが、その個性がばらばらになる事はなく互いのプレイがひりつくようなセッションをしているようでもあり、それが一つの個性となり過去のどのダンス×ロックとも異なる音楽へと進化している。この多幸感に溢れながらもスリリングなセッションは、きっとライブで更に映えるに違いない。

Check Gonno & Masumura
| TECHNO13 | 14:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jon Dixon - Erudition: A Tribute to Marcus Belgrave (Planet E:PLE65392-6)
Jon Dixon - Erudition : A Tribute to Marcus Belgrave
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デトロイトのUnderground Resistanceのプロジェクトの一つであるジャズハウス・ユニットのTimeline、その現在のメンバーでもあるJon DixonはURの次世代アーティストの一人だ。テクノの聖地的な存在であるデトロイトに於いてはなかなか世代交代が上手くいっているとは言い難い状況ではあるが、Dixonは電子音楽をジャズやヒップホップ等他の要素を融合させるべく4evr 4wrdなるレーベルも立ち上げて、未来への視点を持って音楽活動を行う期待すべき存在だ。新作は同郷のCarl Craigが運営するPlanet Eからのリリースと言う事だけでも十分な話題性があるが、デトロイトのジャズ・トランペット奏者であるMarcus Belgraveへと捧げられた作品という観点からも、デトロイト・テクノとジャズの結び付きを体験出来る音楽として興味深い。Belgraveについては当方は詳しくはないもののスピリチュアル・ジャズで名高いアーティストだそうで、あのThe Detroit Experimentにも参加していたという事を知ればなる程と言う思いだが、本作には亡くなる2015年前にDixonとコラボした曲も収録されている。それがA面の2曲で、魔術的なスポークンワードの導入と控え目に鳴る耽美なピアノの装飾と硬質なハウスのビートを刻みつつ、そこに正にスピリチュアルで厳かな雰囲気を持ち合わせたトランペットがフリーキーに入ってくる"Erudition"は、表面的にはクールなテクノながらもじんわりと魂を熱くする情熱が込められている。もう1曲のコラボである"Wise Words"はややリズムが強く跳ねていて音の間をベースがうねっており、何よりもトランペットがより自由を謳歌するように鳴っていて、4つ打ちテクノのビートながらもジャズとしても成り立つようでないか。そしてB面にはURの中枢であるMike BanksをはじめDe'Sean JonesやKris Johnsonも参加した"When Belgrave Met Banks"という目玉曲もあり、大人びてムーディーなトランペットや繊細にビートを刻むハイハットらによってスペーシーなテクノの感覚とジャズが邂逅したような雰囲気があり、これもBanksが参加した影響のおかげなのだろう。ラストは力強く引き締まったハウスな4つ打ちを刻む"Summer Of 2001"で、ここでもスペーシーな電子音をバックに用いつつ前面にミステリアスで闇に潜っていくようなトランペットに誘われずぶずぶと深く沈んでいくような感覚は、ダンスフロアでも体を揺らすだろう。表面的な音だけではいつものPlanet Eの規格外かもしれないが、そもそもCraig自体もデトロイトのジャズに取り組んだ事もあったりと、やはり彼等のルーツを振り返りつつ先も見据えた点で評価されるべき一枚だ。



Check Jon Dixon
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Hiroshi Watanabe - Threshold Of Eternity EP (Transmat:MS090)
Hiroshi Watanabe - Threshold Of Eternity EP

世界中のDJ/アーティストが羨望の眼差しで見るDerrick Mayが主宰するTransmatは、しかしそのDerrickの鋭い審美眼によって選ばれる事は容易い事ではなく、ただ知名度があるだけではレーベルからのリリースは叶わない。知名度は一切関係なく、その音楽に心を震わす事、情熱的である事、熱い魂がある事などによって選ばれると言う点では、名高いベテランも実力を秘めた新人にとっても変わりはなく、ただ音楽のみが評価される世界。そんなレーベルから日本人として初のリリースに至ったHiroshi Watanabeこそエモーショナルな音楽でDerrickを震わしたアーティストであり、『Multiverse EP』(過去レビュー)はレーベルにとっても、またアーティストにとってもエポックメイキングな作品となったのは、例えば収録された銀河のスーパーノヴァらしい壮大な"The Leonids"が大御所によってパーティーのこれ以上はない場面でプレイされた事などを含めても間違いはない。そんなリリースから2年、Watanabeは更に進化を遂げてレーベルへと帰還したのだが、そこで披露されるのは果敢にもビートレスバージョンである"The Leonids Strings"だ。踊らせる事を前提としたダンス・ミュージックというジャンルにおいてビートレスな作品は挑戦にも近いが、ここで繰り広げられるクラシックのような弦楽器のシンフォニーは余りにも壮大で余りにも情熱的で、例え刻まれるビートが無くともそこには深く広大な宇宙の広がりのような世界観が投影されている。原曲のビートやシンセは取り除きながら麗しい弦楽器のアンサンブルだけを強調する事でその美しい旋律がより際立っており、真夜中のフロアでプレイされたとしても神秘的な時間を作り上げる事が可能だろうし、既に実際にDerrickやWatanabeらを含むDJによってプレイされていると言う。そして裏面にはこれぞと言うダンス・トラックの"Into The Memories"が収録されているが、琴線に触れる物哀しさにも近いしんみりとした旋律をなぞるシンセのライン、そして近年よく用いているアシッド・ベースも控え目ながらも導入する事で覚醒感も煽り、デトロイト・テクノに存在する叙情性と同じ世界観を確立させている。ビートの有無にかかわらずWatanabeの音楽は胸を打つ情熱的なもので、だからこそDerrickが魅了されるのも当然であり、Transmatから世界へと熱い魂が放たれるのだ。



Check Hiroshi Watanabe
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Mark Pritchard - The Four Worlds (Warp Records:WARPCD296)
Mark Pritchard - The Four Worlds
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伝説的なアンビエント・ユニットであるGlobal Communicationの一員であり、そして様々な名義を用いて多方面の音楽へ手を広げて活動を拡張させてきたMark Pritchardは、しかし2016年にようやく本人名義での初のアルバムをリリースしていた。そこでの手応えを感じたのだろうか、次なるアルバムである本作も本人名義でのリリースとなるが、前作の今までの雑多な音楽性を咀嚼した方向性から今度はメランコリー×アンビエントの静謐な音楽へと転換している。とは言いながらもアルバム冒頭の"Glasspops"だけは4つ打ちのビートが入ったプログレッシヴとアンビエントな雰囲気のあるテクノで、何でも5年の歳月を掛けて制作された11分にも及ぶ大作との事。ブリーピーなシンセが下からじわじわぐぐっと迫り上がってくるも決してアッパーにはならずに内部に情熱を貯め込むような感傷的なテクノは、シンフォニックな響きが荘厳な美しさも伴っており、確かにアルバムの中でもその個性は際立っている。がそれ故に残りのビートレスな7曲とのバランスはやや崩れてしまっているのも事実で、ピアノがリードする美しくも真夜中の不気味さと不穏な空気も漂ってくるクラシック的な"Circle Of Fear"や重厚なドローンがのしかかる中で暗い呟きが魔術的な"Come Let Us"らは、ビートが無い事も関連はしているがよりムード重視な音楽性でフロアからは乖離している。かと思えばハープシコードらしき明るい音の連なりとストリングスによって光に包まれる牧歌的な"The Arched Window"、無重力空間に電子音を放ち自由に漂わせるようなジャーマン・プログレ×アンビエント調の悲壮感漂う"Parkstone Melody II"など多少の外向的な雰囲気もあるが、アルバム全体のイメージはやはりメランコリーな室内楽的だ。尺も全体で30分弱と随分とコンパクトな構成で、トラック自体もPritchardに大して期待しているものからはややずれているようにも思われ、アーティストに対しての期待は大きいだけに物足りない。



Check Mark Pritchard
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
HVL - Hidden Valley EP (Rough House Rosie:RHR 013)
HVL - Hidden Valley EP
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グルジアのGigi JikiaことHVLは深遠でアブストラクトなディープ・ハウスな音響に特徴があり、それが評価を獲得したのかここ2〜3年は異なるレーベルから作品をリリースしていた。しかし1年半ぶりの新作は彼にとって古巣とも呼べるドイツはケルンのRough House Rosieからとなり、そのアンビエンスな性質もあるレーベルとの相性で言えばやはり間違いはない事からこの新作も期待する事だろう。しかし今までのゆったりとして深いアンビエンス性と意識的に聞くようなリスニング性を予想していると、A面の"Enslaver"にはやや驚きを覚えるかもしれない。変則的なビートでありながらもしかしそれは疾走するスピード感を得ており、そこにアシッドにも近い覚醒的なメロディーが明確なシーケンスで上昇と下降を繰り返し、もはやツール的なテクノとして響いている。薄氷のような繊細なパッドを潜ませてアンビエントな雰囲気を含ませながらも、このフロアを駆け抜けるような爽快感は今までのHVLには殆ど見受けられなかった性質だ。一方で"Distom Spook"は従来のHVLらしいと言うか、ヒプノティックなアシッドのラインやカタカタとした粗雑なリズムを用いた作風はアシッド・ハウスであるものの、そこに空間的の広がりを生む音を加える事で幻惑的なアンビエント感も生まれており、快楽的な中毒性に侵される。カタカタとしてエレクトロ・ビートが耳に残る"Lemon Stealer"もロウなハイハットやファンキーなビート感やに対し、すっと入ったり消えたりとする上モノはアンビエントの要素があり、ふわっと足元が浮かび上がるような心地好い浮遊感や陶酔感に繋がっている。そして最後は大らかなブレイク・ビーツを刻む"Crow Hill"で、スペーシーな効果音が浮遊する中にアトモスフェリックなパッドが濃霧のように満ちてきて、最もアンビエント性の高いディープ・ハウスはHVLらしい。深い空間創出を生む音響のディープ・ハウスに関してはやはりHVLの得意とするところであり、アシッドからテクノにエレクトロと表面的には違いはあってもどれに一貫した音響空間が存在している。



Check HVL
| TECHNO13 | 17:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Takkyu Ishino - ACID TEKNO DISKO BEATz (Ki/oon Music:KSCL-6299)
Takkyu Ishino - ACID TEKNO DISKO BEATz
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6年ぶりのアルバムとなった『Lunatique』(過去レビュー)はテクノという音楽からは全くぶれずに、しかし官能性を高めてアーティストとしての円熟の極みを見せ付けたような作品だったが、しかし音楽制作への意欲が更に増したように前作から1年半も待たずしてニューアルバムが送り届けられた。そんなアーティストこそ電気グルーヴの石野卓球で、その間にも電気グルーヴとしてアルバムをリリースしていたりする事を考えると結構なハイペースではあるが、だからと言って本作が手抜きだったり片手間に作った感は一切無い。それどころかやはり新作もDJとして活躍する手腕が反映された機能的なテクノ、それも底抜けに陽気でポジティブな世界観は、前作が夜の色気だとしたら本作はその時間帯を抜け出た朝から昼間の音楽的だ。アルバム名はアシッドでテクノでディスコなビーツだから何となく音楽性もイメージは出来るかもしれないが、決して全てがアシッドでもなく(寧ろニュアンスとして用いられてる位だろう)やはりテクノが軸にある。"BambuDo"は確かに陽気なアシッドが蠢きながら始まるが、引っ張っていくのはポップでカラフルな色彩を持った電子音のメロディーで、そしてズンドコと硬く引き締まった4つ打ちが安定感を作り、じわじわと盛り上げていくある意味では古典的な雰囲気も感じられる。続く"Pinoccio"はエレクトロ的なファンキーな音使いとじっくりと腰を据えたような粘りのあるビートがあり、中毒的なアシッドの反復性によってよりツール的な構成が卓球のDJ的視点が反映されているだろう。そして生々しくラフなビートや金属が歪んだような効果音がローファイな粗さに繋がる"DayLights"は、鈍く錆びたディスコティックなテクノか。"JackTaro"のように古典的なアシッド・ハウス/テクノな作品もあるが、ここまで来ると完全にDJが使用するためのツールとして機能性が磨かれつつも、アルバムの中で卓球の味としても活きている。シャッフル気味のリズム感で弾けファンキーなリフで飲み込んでいく"Kitten Heel"、モコモコと膨れ上がるようなアシッドをトリップ作用として用いながら多幸感のあるウワモノを広げて楽天的なテック・ハウスに仕上げた"Nicole_Nicole"など、他にもと言うかどれも卓球らしく無意味で楽しく踊れるテクノばかり。今までも流行には左右されない卓球らしいテクノという音楽であったが、本作も決して新しさを感じるどころか何処か懐かしさを感じさせるような趣きがあり、円熟という位にリスニングとしても耐えうるテクノなアルバムだ。

Check "Takkyu Ishino"
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Jasper Wolff & Maarten Mittendorff - Tesseract (Delsin:128dsr)
Jasper Wolff & Maarten Mittendorff - Tesseract
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2011年にアムステルダムで設立されたIndigo Aeraは現在ヨーロッパからデトロイト・テクノを最も訴求するレーベルの一つであり、完全なる新作のリリースから時代に埋もれてしまった作品の掘り起こしを行っているが、その時代に合わせて洗練された音楽性や独特のアートワーク等の目を見張る特徴によってカルト的な人気を博している。そんなレーベルを主催しているのがJasper Wolff & Maarten Mittendorffの二人で、レーベル運営を精力的に行う傍らで共同での作品も量は多くはないものの手掛けており、マシンソウルとでも呼ぶべき情緒と機能的なグルーヴを持ったテクノをレーベルの方向性を指し示すようにリリースしている。本作はIndigo AeraからではなくDelsinからとなるが、Delsinも同様にデトロイトへの造詣が深いレーベルであるから、この時点で品質の高さは保証されたも同然だろう。タイトル曲の"Tesseract"は10分にも及ぶ大作だが、序盤からビートレスな状態において繊細でメランコリックな旋律が絡み合うように反復して溜めを作りつつ、淡々としたキックが入ってくれば疾走感を得て、緩やかな音の抜き差しや強弱によって展開を作っていく構成は機能的にも洗練されており、デトロイト・テクノのよりモダンな姿にも思われる。"Astrava"は奥深い残響と変則的なリズムが目立つビートをバックに、繊細な金属音やヒプノティックなリフを鳴らしながら壮大に盛り上がっていくパッドを持続させて、宇宙の無重力空間で鳴っているようテクノで近未来的な風景も浮かび上がる。鋭利なハイハットのビートが目立つ"Hyperion"においても反復するメランコリーなメロディーが印象的で、音の数を絞る事で勢いではなく空間のアンビエント的な感覚も活きていて、それがディープなテクノにも繋がっている。そしてデトロイト・テクノにもコンタクトしていたSteve RachmadことSteracによる"Tesseract (Sterac Dub)"は、正にダブらしくメロディーは鈍く控え目に後退しその分だけ太いリズムを打ち出して淡々としたマシン・グルーヴへと作り変えられているが、空間の奥深さも生まれたりとミックス向けな仕様になっている。やはりここではオリジナル3曲が期待通りのマシン・ソウルを持ったテクノで、Indigo Aeraのボスたる風格を持っている。



Check Jasper Wolff & Maarten Mittendorff
| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Esteban Adame - Unofficial Discourse EP (Dolly:DOLLY 029)
Esteban Adame - Unofficial Discourse EP
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Steffiが主宰するDollyは取り分けオールド・スクールなデトロイト・テクノやシカゴ・ハウスを、現在のアーティストの視点から見直したような音楽性が特徴であったように思うが、それは遂にここに来て本場デトロイトのアーティストを招いた事でよりリアルなものとなった。新作に抜擢されたのはGalaxy 2 GalaxyやLos Hermanosのメンバーとしても活躍し、そして自身ではIcan等のユニットでも新世代の台頭をアピールしたキーボーディストのEsteban Adameで、DJしてよりはライブでの活躍も目立っているアーティストたる作曲家としての才能は新世代でも特筆すべき存在だ。タイトル曲の"Unofficial Discourse"でも彼らしいキーボードのスムースで温かいコード展開とすっと伸びるパッドを用いたデトロイトの情緒感を前面に出し、ざらついた生々しい質感とキレを持ったビート感で跳ねるように揺らすハウス・トラックは、デトロイトという街へのしみじみとした思いが馳せるような曲だ。そこに仲間であるGerald MitchellによるLos Hermanosが提供したリミックスの"Unofficial Discourse (Los Hermanos Remix)"は、前のめりで荒々しいビート感を打ち出してより鋭い攻撃性が目立つテクノ・トラックになっており、展開を抑えながら激しいパーカッションの響きや骨太なグルーヴ感を強調してミニマルなツール性を獲得している。"Throwing Signs"も躍動感溢れるキーボード使いとシャッフルする跳ねるリズム感が非常にファンキーで、途中から入ってくる望郷の念が込められたようなシンセソロによるドラマティックな展開はこれぞデトロイト・テクノだ。そして音に隙間を作りうねるようなシンセのメロディーがコズミックにも響く"Where's The Map Point"、こちらもすっきりと軽快なパーカッションやキックで疾走するツール寄りなハウスだが、未来への希望が感じられる明るい曲調に心も弾む。どれもキーボーディストの手腕が存分に発揮されたメロディーやコードが存在しており、これぞデトロイト魂と呼びたくなる作品だ。



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| TECHNO13 | 22:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Mark Flash - Corktown EP (Elypsia:ELY06012)
Mark Flash - Corktown EP
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デトロイトの反骨精神軍団であるUnderground Resistanceの新世代メンバー(とは言ってもアーティストとしてはベテランのようだ)であるMark Flashは、DJでありパーカッションやキーボードもプレイするプレイヤーでもあり、そして積極的に作曲活動も行うアーティストだ。その手腕からGalaxy 2 Galaxyへの参加、そしてMike BanksとのユニットであるDepth Chargeの一員としても活動するなど、積極的にデトロイト・テクノを鼓舞するように後押しを行っている。そんな彼の新作は予てからデトロイト・テクノ推しなベルギーのElypsia Recordsからと言う事もあり、デトロイト魂が炸裂する内容だ。タイトル曲である"Corktown Groove"はFlashらしい弾けるパーカッションが導入された躍動感溢れる骨太テクノで、勿論正統派らしいメロディアスなコード展開やシャッフルするリズム感も見受けられ、そしてエネルギーに満ち溢れたシンセソロのポジティブな感覚は闇を切り開くような希望そのものだ。"Elmwood Park"も似たようなタイプで直線的でエネルギッシュな4つ打ちビートにコズミックなシンセを散りばめ、そこに叙情的でうっとりするメロディーやエモーショナルなシンセソロが入ってくる典型的なデトロイト・テクノで、その力強さは如何にもFlashらしい。対して"Kairad"はややダークで下から迫り上がってくるようなシンセの用い方で、粘り強い低音の効いたグルーヴによってじわじわと盛り上がる持続性が強い。ラストの"Dequindre Cut"は希望に溢れた方のURらしいポジティブなシンセが弾け飛び跳ねるようなリズムに揺れるコズミック・テクノで、ある意味では古典的とも呼べるスタイルを踏襲しながらもその溢れるようなエネルギーは初々しくもあり、停滞するデトロイトのシーンに活を入れるようでもある。スタイル的には出来上がっているジャンルが故に新しさという物を感じる事はないが、むしろ実直に自分の道を見返しながら先へと進めていくような気概が感じられる。これがデトロイト・テクノだと言わんばかりに。



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| TECHNO13 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
DJ Koze - Seeing Aliens (Pampa Records:PAMPA 030)
DJ Koze - Seeing Aliens
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ダンス・ミュージックの界隈に存在する数少ない奇才の一人、Pampa Recordsを主宰するDJ Koze。単に変わって捻くれた事を目的にするのではなく、ポップな音楽性との調和を成立させ奇抜でありながらも決してリスナーを闇雲に遠ざけるような事はしない。テクノやハウスにダウンテンポやヒップホップなどジャンルに縛られる事もなくトレンドからも解放された、それはつまりDJ Kozeの個性とも呼べる確立された音は、むしろ親しみさえ感じられる程にポップなのだ。2015年のアンセム級トラックである"XTC"から2年、最近リリースされたアルバムの先行EPの一つである本作も、それにも負けず劣らずなサイケデリアと多幸感を持ち合わせている。それこそが"Seeing Aliens (Extended Breakthrough Version)"で、ノイズにも似た鈍いシンセサウンドが生み出す混沌の中にはメランコリーとサイケデリアが融和し、そこから弦楽器のような響きや奇妙な効果音に膨らんだベース音など様々な音が挿入されながら、捻れたようなエフェクトによって視界も歪む幻惑的な白昼夢に誘い込むこのハウスは、その奇怪な作風ながらも徹底的にメロウな感情に溢れている。シューゲイザー風な濁った音響のぼやけた世界観、そして溶けるように甘美なメロディーは非現実へと逃避させるには十分過ぎる程の陶酔を引き起こし、パーティーに於いてもやはり強烈なインパクトを残すであろう曲になる筈だ。そしてアルバムには未収録の"Nein Konig Nein"、こちらもバレアリックなメロウネスや多幸感という点では負けず劣らずだが、シタール風の流麗なシンセやエフェクトのかかった歌が前面に出て、ビートはやや削がれて身が軽くなった事で穏やかでポップなテック・ハウスになっている。2曲だけのEPにおいてもこれだけのオリジナリティーを存分に発揮しているDJ Koze、この後のアルバムでも更に強烈な世界観を展開している事は間違いないだろう。



Check DJ Koze
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