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MEZZANINE REMIX TAPES 98 [12 inch Analog]
MEZZANINE REMIX TAPES 98 [12 inch Analog] (JUGEMレビュー »)
Massive Attack
名作MEZZANINEリリース時に予定されていたマッド・プロフェッサーによるダブ・バージョンが、今になりリリース。こちらはアナログ盤。
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FRKWYS Vol.15: serenitatem
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Ron Trent - Warm (Future Vision World:FVW-009)
Warm - Warm
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Ron Trent主宰のFuture Visionから初耳のWarmなるアーティストの新作、これがこのレーベルにしては随分と肩の力が抜けてバレアリック寄りな作品で素晴らしい。レコードのラベルにはWarmというアーティスト名しかないが、ドラムやキーボード、そしてプロデュースにはTrentの名前があり、各レコードショップもRon Trentの名義で販売しているので恐らくTrentの変名なのだろう。いつもの爽快でアフロなパーカッションが炸裂し大空を飛翔するような壮大なディープ・ハウスではなく、スパニッシュやフュージョンにバレアリックといった言葉が連想されるダンス・ミュージックは、これまでの作品の中でも正にタイトル通りに温かくオーガニックな響きをしており、サウダージを誘発する。軽やかなパーカッションとレトロなドラムマシンのリズムから始まる"Night Ride"、そこに優美なシンセのコードや生っぽくしっとりしたベースラインと色っぽい呟きが加わり、更には華麗に彩るピアノと様々な音色によって実にメロウな演出をするブギースタイルのディスコは、バンド演奏的な雰囲気もありその生っぽさがより肌に染みる。本作ではギターも大々的に用いており、しっとりとスローなビートの"On A Journey"では滴り落ちるような哀愁が滲むギターが感情を吐露するように爪弾きされ、透明感あるシンセのコードと溶け合いながら、夕暮れ時の海辺を望むようなバレアリック感に溢れたEPの中でも特に印象に残る曲だ。"Exhale"でも咆哮しつつも咽び泣くようなギターが主導する曲で、爽やかに軽やかに走りパーカッションも心地好く広がるビートが刻まつつギターソロが深い情緒を生む作風は、ソフトロックや元来持っているフュージョン・テイストの延長線上で、それでもやはり普段の作風より緩い雰囲気に開放感が感じられる。ああ、確かに『Warm』と付けられたタイトル通りの温もりに満ちた曲たち、どれも暗闇が支配するダンスフロアから抜け出して、青空の広がる下の屋外で聞きたくなるロマンティックな世界観だ。どうせならこの路線で一枚のアルバムを聞いてみたくなる。



Check Ron Trent
| HOUSE14 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Cosmonection - Menorca EP (Delusions Of Grandeur:DOG70)
Cosmonection - Menorca EP
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もはや親レーベルであるFreerange Recordsよりも確固たる地位を築き上げたDelusions Of Grandeur、ブギーからビートダウンまで駆使しフロア即戦力となるハウスのグルーヴが高く評価されるレーベルは、ベテランから若手まで多彩なタレントが揃っている。絶対とまではいかないでもレーベル買いしても損は無い程にリリースされる作品の質は高く、筆者もおおよそリリースされる作品はチェックが欠かせない。このCosmonectionは2018年初頭にデビューしたばかりのパリの新星で、本作はまだアーティストにとって2作目ながらもその才能の片鱗をはっきりと感じ取る事は容易な程に印象的なEPだ。タイトル曲の"Menorca"はずっしりと安定感のある大らかなハウスビートの4つ打ちと軽やかなパーカッションに合わせて、デトロイトの影響を思わせるうっとりするパッドのコードと未来感や宇宙感のある叙情的なシンセの旋律が一つとなり、穏やかな雰囲気ながらも大空を舞い踊るようなバレアリック性もあるハウスだ。"You"はドタドタと忙しないドラムやパーカッションによってリズムは躍動してキレがあり、そこにぼんやりもやもやしたシンセが空間を浮遊する事で人肌の温度感を生み出していてるが、基本的には前の曲と同様に大らかに包み込む優しさがある。EPの中で最も印象的なのは"Light"である事に異論はないだろう。イントロから持続するコズミックで壮大なアルペジオに引っ張られながら透明感のある美しいコードが被さり、TR系の軽快なキックやタムもリズムを作って徐々に盛り上がっていくロマンティックなハウスは、パーティーにおける真夜中の狂騒を通り過ぎた先に朝日が昇り始める頃の多幸感にも似た感覚があるバレアリックな曲で、または現在形の陽気なアンビエント・ハウスと呼んでも差し支えはない。またリミキサーとしてDelusions Of Grandeur筆頭格のSession Victimが曲を提供しており、"You (Session Victim Remix)"は原曲から大きな作風の変化は無いものの、温かみをそのまま尊重しながら全体を上品にトリートメントしながらジャジーバイブスで包み込んでいる。どれもパーティーでのDJ仕様であるのは前提としてあるものの、何か強い特徴や個性が光るというよりはクラシカルなハウス・ミュージックに対しての愛が伝わってくるような、流行に左右されない普遍的な良質さがある音楽だ。



Check Cosmonection
| HOUSE14 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Brawther - Transient States (Negentropy:NGYLP1)
Brawther - Transient States

活動初期にはBalanceからリリースされた優雅に大らかな海を揺蕩うようなディープ・ハウスで注目を集め、その後はMy Love Is UndergroundやCabinet Recordsからミニマル性の強いディープ・ハウスでよりフロアを意識した方向性も見せ、実際に近年はFumiya TanakaのChaosにもゲストとして招かれるなどミニマル・グルーヴを武器に名声を高めているBrawther。その一方で日本の古き良き時代のハウス・ミュージックをこよなく愛し、その思いは『ハウス Once Upon A Time In Japan...』(過去レビュー)というコンピレーションで結実を果たすなど、ジャパニーズ・ハウスの再興を担うDJ/アーティストという側面も持っている。さて、そんな彼による2018年にリリースされた3年ぶりとなるアルバムは、1stアルバムである『Endless』(過去レビュー)が編集盤としての意味合いで寄せ集め的な感覚が強かったのに比べると、ここでは近年のミニマル・グルーヴを実直に盛り込みながらもDJユースにこだわらずに変化球的な作風も用いてより深い表現力を発揮している。遠くでディレイによる残響が鳴っているようなアンビエント・ダブの"Flow"によってアルバムは幕を開けてドラマ性のある演出だが、そこに続くダブな残響を活かしながらも音の間を活かしたミニマル・ハウスな"Another Dub"は如何にもBrawtherらしい曲で、ずっしりシンプルなキックの4つ打ちに繊細でか弱いギターも用いてファンキーな要素を付け加えている。しかしスクラッチやトランペットも導入した"Theme From The Dungeon"では一転してヒップ・ホップやダウンテンポの流れを組んでおり、もっさりとしたロービートながらも艶っぽく官能的なメロウネスがアルバムに豊かな演出を加える。"I Can't Explain"では近年活躍中のJavonntteがボーカルとして参加しているが、しっとりとしたソウル性の強い歌と優美なエレピのコードが情緒を添える実に洗練されたブロークン・ビーツとなっていて、今までのBrawtherの作風からすると意外ではあるが決して小手先には陥っていない。そして本人がシカゴ・ハウスから影響されたと述べる"Jaxx Freaxx"、ここで骨太なキックを打ちながらもスカスカな構成のミニマルを極めたハウスによって再度ダンスフロアへと振り戻される。"Hazy Groove"も音を削ぎ落としミニマル性がありながら、薄っすら耽美な上モノや色っぽいボイス・サンプルが用いられたオールド・スクール調のハウスで、そこから最後は勢いは弛緩しながらも残響心地好いダブ・ハウスのグルーヴに妖艶なギターが空虚に響く"Pickney"で静かに幕を閉じていく。アルバムは想像よりもバラエティーに富んでいて、ミニマルというスタイルを軸に他のスタイルも盛り込んだ事で単調さを回避し、単にDJツールとして提供する以上に聴き込める内容となったのはアルバムとして適切だろう。クラシカルな風格さえあるハウス・ミュージックだ。



Check Brawther
| HOUSE14 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
ROTLA - Waves (Inc Mark Barrott & L.U.C.A. Remixes) (Edizioni Mondo:MND009)
ROTLA - Waves (Inc Mark Barrott & L.U.C.A. Remixes)
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Edizioni Mondoというレーベルは公式でもライブラリーミュージックに触発されたと述べており、ハウス・ミュージックの特に有機的な側面やバレアリック性をアピールしながら、リスニング志向の強い音楽性も追求している。そのレーベルからリリースされる作品はどれも注目すべきではあるが、このイタリアのアーティストである
Mario PierroことRaiders Of The Lost ARPによる新作EPは特に目が離せない。ROTLAと言えば過去にはUnderground Resistance一派がリミックスを手掛けた時にも少なからず注目を集めていたが、それもコズミック感溢れるディスコな性質があったからこそURと共鳴する点もあったのだろう。近年はFar Out RecordingsやEdizioni Mondoからの作品を聞く限りではよりバンド風な演奏のあるオーガニックかつバレアリックな方向へと向かっており、最早ダンスでなくとよい聞き込める音楽性を重視しているように思う。その流れは本作でも同様で、タイトル曲の"Waves"はサウダージを匂わせる切ないシンセのメロディーやコードにギターカッティングやベースの生っぽい湿っぽさを合わせ、肩の力が抜けたミッドテンポで緩やかなビートを刻むバレアリック・ディスコは、そのオーガニックな響きも相まって非常に感情性溢れる曲調になっている。揺らぐ波の表面にオレンジ色の光が反射するようなキラキラとした、そんな真夏の夕暮れ時の海辺を換気させる爽やかながもメランコリーに満たされるバレアリック感に、感傷的にならずにはいられない。"Babashh"はInternational Feel、特にMark Barrottの作風を思わせるニュー・エイジ/アンビエント志向な曲で、スローなダウンテンポのビート感に大空をゆったりと広がっていくようなシンセのメロディーやアコースティックギターの朗らかな音色により、オーガニック感も打ち出して自然の中で息衝く。そして本作の目玉はそのMark Barrottがリミックスを行った"Waves (Sketches From An Island Healing Hands Remix)"で、キックレスにビートを削ぎ落としつつ彼らしいネイチャーサウンド宜しくなエキゾチックなパーカッションの響きや咽び泣くようなギターに青々しく爽快な声も加えて、トロピカル感爆発なイビサ・バレアリックへ生まれ変わり完全にBarrott色へと染まった見事なリミックスを披露している。またレーベル・オーナーであるL.U.C.A.(Francesco De Bellis)が手掛けた"Waves (L.u.c.a. Quirky Version)"は逆に原始的なアフロ・リズムが躍動するディスコ・サウンドで、大地と共鳴するような力強いグルーヴとファンキーなギターのうねりに揺さぶられながら、陽気なバレアリック感に包まれるこちらのリミックスも素晴らしい。全曲文句無しの出来でバレアリック好きなら当然必聴なEPだが、もうそろそろアルバムもリリースされる情報もあり、期待は高まるばかりだ。



Check Raiders Of The Lost ARP
| HOUSE14 | 21:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Park Hye Jin - If U Want It (clipp.art:CLIPPV002)
Park Hye Jin - If U Want It
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レコードショップのウェブで試聴をしていると年に数回あるかないかではあっても、驚くべき輝く才能を持ったアーティストに出会う事があり、一聴して耳を惹きつけられてぞっこんになってしまう。この韓国の弱冠24歳のシンガーソングライターでありラッパーでありDJでもあるPark Hye Jinのデビュー作は、正にクラブ・ミュージックという大きな夜空に稀にしかない見つからない新星だ。メルボルンのclipp.artはほぼ毎週新作を出す事を心情としているが、逆にそのスピード感がために基本的には配信でのリリースとなるのだが、そんなレーベルから2018年末に配信された本作はその人気が故に2019年4月にはアナログ化されるという快挙を果たし、Jinに対するアーティストとしての評価が決定付けられたという事でもある。音楽的に何か新しいスタイルであるという事はないが、しかし曲そのものの出来が圧倒的に素晴らしい。ストレンジなシンセの鳴りから始まり、綺麗にトリートメントされたコード展開とすっきり硬めの4つ打ちハウス・グルーヴに入っていく"If U Want It"は、韓国語の歌が艶っぽくそれに合わせて抑えめにエモーショナルなコードで実にモダンな雰囲気を発しており、熱くならずにひんやりクールな感覚ながらも心に訴えかける。耽美なピアノが舞いパーカッシヴなリズムが爽やかなハウスの"ABC"は、英語での甘く誘うような歌が単純な言葉が故に耳に残り、言葉も曲の構成も単純な繰り返しでダンス・ミュージックのツールとしての面でも優れている。また"I Don‘t Care"は語り口調の気怠い歌が印象的で、シンセ・ポップのような可愛らしいシンセのメロディーで始まるが、対してどすどすと骨太なキックを刻みながらやや陰鬱で暗めのコード展開を用いる事で、内向的に心の内に潜っていくようなフロアを意識したディープ・ハウスだ。そしてメランコリーなピアノに揺られ、ロウでざっくりなビート感のヒップ・ホップ色が強い"Call Me"は、そのゆったりとしたテンポも相まって特に胸を締め付ける如く感傷的な曲。どの曲も雰囲気は異なれど彼女自身の歌が感情を吐露しながらとても艶っぽく印象的で、またベースとなる曲自体も時代に左右されないであろう耳を惹き付けるなメロディーやコードがある事で、流行云々の流れに依らずに普遍的な魅力を持つのだ。



Check Park Hye Jin
| HOUSE14 | 20:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Luciano - Sequentia Vol.2 (Cadenza:CADENZA 119)
Luciano - Sequentia vol.2

チリアン・ミニマルのLucianoが2018年の夏頃にリリースした『Sequentia Vol.1』(過去レビュー)は、自身で主宰するCadenzaの15周年記念の一環としての作品で、ミニマルを踏襲しながらもLucianoらしいオーガニック性を前面に出しながら繊細さと優美さを兼ね備えた芸術的なダンス・ミュージックだった。Vol.1と冠されていたのでシリーズかとは思い込んでいたがどうやらそれは間違いなく、その続編であるVol.2が2018年12月に配信のみでリリースされている。このシリーズはレーベルインフォによれば一年の各季節に捧げられているとの事で、前作は夏で本作は秋が主題になっており、そのせいかVol.1よりも何となくしみじみとした郷愁を感じられなくもない。本作も大作揃いで冒頭の"Sphere"は15分にも及ぶが一切リズムは入らずに、物悲しい弦楽器らしきリフのループに合わせて悲壮感漂う繊細なピアノが展開する子守唄のような雰囲気の曲だが、Lucianoらしい美しさは光るもののダンス・トラックの快楽的な持続間もなく展開も殆どなくやや冗長ではないだろうか。それに続く"Idilicia"は湿っぽいドラムがジャジーなリズムを刻んでおり、そこに艶のあるエレクトロニックなリフに分厚いシンセが胸を締め付けるように情緒的な旋律を聞かせるメランコリーなダウンテンポで、秋のしんみりとした切ない雰囲気と重ねられる。"Aether"もゆったりと大らかでオーガニックなリズムが入っており、点描のような耽美な電子音の装飾や仄かに温かいシンセのメロディーを音の隙間を活かして用いて、その構成もあって随分と開放感も感じられるオーガニック・バレアリックといった印象を植え付ける。最もLucianoらしいダンス・トラックはスイスのシンガーソングライターであるBastian Bakerをフィーチャーした"My Fantasy"で、情熱的で軽やかなラテン・パーカッションに合わせて感情的な歌やメランコリーなギタフレーズを重ねて、線の細さを活かして優美な装飾のような音響を浮かび上がらせたラテン・ミニマルは機能性と芸術性が両立している。真夜中のパーティーで使える曲は最後の曲位なもので全体としては随分とリスニングに傾倒しているので、やや物足りなさは残るもののそれでもLucianoの芸術性と秋という季節感は伝わってくるので、コンセプト自体は正しく表現されているのだろう。



Check Luciano
| HOUSE14 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Joseph Ashworth - Trooper EP (Life And Death:LAD041)
Joseph Ashworth - Trooper EP
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AnjunadeepやNeedwant Recordingsを含む様々なレーベルからリリースをしているロンドン出身のJoseph Ashworth、公式サイトの案内ではテクノやハウスにエレクトロニカの狭間に存在する独特の音楽を制作し…という記載もあり、確かに過去の作品を聞いてみても力強いクラブトラックからメランコリーなリスニングまで手掛けている。当方はこの作品までアーティストの存在自体を知らなかったもののバナナののほほんとしたバレアリックなムードのジャケットと、そしてシカゴ・ハウスのレジェンドであるRon Trentがリミックスを行っている事に惹かれて購入した次第だ。タイトル曲の"Trooper"はシューゲイザー風な音響の甘いメロディーとズンチャズンチャと軽快なリズムによる明るいエレクトロ・ハウスといった趣きで、大きな展開は無くのびのびとフラットな流れで心地好さが続く。対照的に"Laminated"は爽快なパーカッションが力強く空間に響くトライバルな要素の強いハウスで、中盤にぐっと艷やかなシンセのメロディーが入ってきてドラマティックなブレイクが挿入されているが、基本的にはグルーヴ重視のツール特化型でありフロアを確実に揺らすのは間違いない。だがやはり圧巻はRon Trentのリミックスである"Trooper (Ron Trent Remix)"で、太く力強いキックの端正な4つ打ちが走りつつ陶酔感のあるパッドがすっと伸びていく(まあいつもの彼の作風ではあるのだが)壮大なディープ・ハウスは、色っぽい呟きや優美なシンセの響きも導入しつつエレクトロニックなトリートメントを施されながら、余りにも広い宇宙の中を旅行するようなハイテックな感覚に包まれる。もう一つのリミックスはLife And Deathを運営するDJ Tennisとの共作もしているSebra Cruzによる"Trooper (Sebra Cruz Remix)"で、原曲の雰囲気を変える事はないが音を削ぎ落としてミニマル性を強めながら上モノのメロディーを浮かび上がらせて、すっきりタイトな作風へと生まれ変わっている。オリジナル2曲とリミックス2曲、それぞれにアーティストの個性が表現されていてどれも魅力があり、メロディアスなダンス・ミュージック好きな方には是非とも。



Check Joseph Ashworth
| HOUSE14 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Papeete Sun - Pacific Soul (Voodoo Gold:VG 007)
Papeete Sun - Pacific Soul

顔面がコラージュされた怪しいジャケットだけを見ては食指は動かないが、試聴をしたところローファイながらもLarry Heardばりの憂いに満ちた切ないディープ・ハウス路線に魅了され、即座に購入を決意した一枚。Papeete Sunなるアーティストについては全く耳にした事がなかったのだが、オランダのエレクトロ・レーベルであるVoodoo Goldからのリリースであり、Voodoo Gold自体がAmazon ClubやAquarian MotionにJeremiah R.といったMarvis Deeの変名の作品をリリースしている事から、どうやら本作もMarvis Deeの変名活動の一つのようだ。様々な変名を用いて膨大な作品をリリースしているDee、切れ味鋭いオールド・エレクトロから情緒の強いシカゴ系のディープ・ハウスにアンビエントな雰囲気やテクノの質感も伴っていたりとその名義の広さと比例して音楽性も幅広いが、どれもオールド・スクールなリズム・マシンの味わいという点で共通項を持っている。さてこのPapeete Sun名義でのデビューアルバムは前述の通りシカゴのディープ・ハウス路線の音楽性が強く、冒頭の"Island Sunset"はビート無しの幽玄なシンセパッドが望郷を誘うアンビエントな曲で、静かな幕開けとして雰囲気を作っている。続く"Pacific Soul"では乾いてカタカタとしたTR系のリズムも入ってきて早速シカゴ・ハウスを見せつけ、そこにHeardばりの胸を締め付けるような切ない感情性豊かなシンセのメロディーも入ってくれば、この時点で心は鷲掴みされるだろう。続く"Life"も全く同じ路線で安っぽいリズム・マシンによる4つ打ちのビートが空虚に響き、そこに悲しみに黄昏れるようなシンプルなコードラインの上モノを配して、メロウさを際立たせたディープ・ハウス。"Exploring Rivers"はややダウンテンポにも寄り添った落ち着きのあるビート感で、シンプルなコード展開とほのぼのとしてベースラインも相まって穏やかさを演出している。裏面も対して大きな変化はなく、"Voices In Your Head"はチャカポコなパーカッションが爽やかに響く中をドリーミーなアナログシンセが夢現な幻想に浸らせるように鳴り、これもいかにもHeardらしいアンビエント感あるディープ・ハウスだ。そして荒れた質感のリズムにスリージーなシカゴ・ハウスらしさが現れている"Expedition"はほんのりと情緒漂うシンセのメロディーも効いていて、悪びれた激しさの中にも優しさが感じられる。最後の"Voices From The Past"ではアルバム冒頭に戻ったかのように再度リズムは無くなり、アンビエント感に満ちたシンセが揺らいで霧に包み込むように微睡みながら消えていく。LPで9曲と実質アルバムとしての作品なのだろう起承転結らしい流れがあり、また1曲1曲がリスニングとダンスのバランスをとったそつのない作りで、この名義でのデビュー作ながらも非常に聴き応えのあるアルバムだ。古典的なディープ・ハウスやシカゴ・ハウス好きな人には、有無を言わさずお勧め出来る。



Check Papeete Sun
| HOUSE14 | 10:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Pepe Bradock - Exodus 8 (Atavisme:ATA 018)
Pepe Bradock - Exodus 8
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配信でのリリースが勢いを増すこのご時世にアナログでのリリースにこだわり、そしてアルバムを制作する事なくEP単位でのフロア即戦力となるべきダンス・トラックに重きを置き、奇怪なリズムと音響で聞く者を興奮させ惑わすフランスの奇才・Pepe Bradock。2018年には2枚のEPをリリースしたが本作はその1枚目となる作品で、片面1曲ずつの僅か2曲のみの収録ながらも相変わらずのアブストラクトで奇妙な音響を用いた変異体ハウスによって強烈な個性を発している。"Is This Really A Party?"は鈍いキックが前のめりかつ崩れたビートを叩き出して勢いのある曲だが、序盤から蠢く不気味なベースの低音や摩訶不思議な音響コラージュが炸裂し、明確なメロディーを聞かせる事もなくもやもや抽象的なアブストラクトな雰囲気のままビート感重視で貫く。定形というものが存在しないに等しく常に色んな効果音や響きが現れては消えるコラージュ、掴みどころのない変容性に惑わされながらも、しかし刺激的でアップテンポなグルーヴに体が突き動かされるダンスフロアへと向かう完全にBradockの個性に染まった曲だ。逆サイドの"Grandgousier"はテンポは落ち着きがありフラットな4つ打ちハウスでややクラシカルな趣きもあるが、仄かに情緒的な上モノを配しながらトリッピーで細かいボイスサンプルも織り交ぜつつ、中盤からは幽玄なストリングスも浮かび上がってきて名曲「Deep Burnt」を思い起こさせる上品で優雅なディープ・ハウスになっている。しかしそんな単純な流れだけには当然収まらず、終盤のブレイクで音は一旦全部消失してからダウンテンポを通過し、マッドかつアシッドなハウスへと展開するなど、やはり一筋縄ではいかないのがBradockらしい。両面奇才の才能が現れた変異体ハウス、唯一無二の個性と呼ぶに相応しい。



Check Pepe Bradock
| HOUSE14 | 20:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Rai Scott - Detached Observation (Church:CHURCHW016)
Rai Scott - Detached Observation
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Seb Wildblood主宰のChurch Recordsはアンビエントやバレアリックといった流れを汲む新興ディープ・ハウスのレーベルとしては勢いがある一つで、リリースするアーティストもベテランよりはこれからの世代を担うであろう存在が多い。そして2019年の初作はユニットである2DeepSoulとしても活動するスコットランドの女性アーティストであるRai Scottによるもので、過去にはInner Shift MusicやTH Pressingから透明感ある美しいサウンドによる叙情的なディープ・ハウスをリリースしており、おおよそ統一されたその世界観は大らかに包み込むアンビエント性さえ感じ取る事が出来る。ソロ作としては3年ぶりとなる本作もその流れからぶれる事はなく、A面に収録された"Paradise Of Crane"は深い古された言葉で表現するならアンビエント・ハウスといったところか。しかしその緩やかなグルーヴ感は浮遊感が心地好く、大らかなアンビエンス性は澄み切った程に綺麗で、靄がかかったようなパッドの薄い層の上に仄かに情緒を漂わせるシンセが遠くで鳴りながら、深遠な夢の中へ誘う瞑想系ディープ・ハウスはひたすらフラットで安堵の時間が続く。ベルリンからディープ・ミニマルを実践するValentino Moraがリミックスをした"Paradise Of Crane (Valentino Mora Remix)"は硬いリズムによって上下の揺れが生まれてややテクノ化しているが、原曲の大きな空間の感覚を損なわずに、それどこからディレイやダビーな残響を用いる事でより奥深い鳴りを作り出して、体をゆっくりとしかし大きく揺らすダブ・ハウスへと生まれ変わっている。"Lazy Sunshine"も作風は同様で穏やかでフラットなビート感が何処までも伸びていき、しかしここでは薄っすらしたパッドの上にメランコリーな笛らしき音色の旋律がドラマチックな景色を見せる。最後のタイトル曲である"Detached Observation"、フラットな感覚はこれも変わらずだがビートはやや躍動感を増し、そしてパッドの層は厚みを増して空間に充満するように湧き出して、じわじわと壮大に盛り上がっていくスケールの大きさもありEPの中では最もダンスフロア寄りだろうか。どの曲もやや似ている所もありもう少しバリエーションもあると曲毎の個性も際立つかとは思うが、しかし滑らかでフローティング感あるアンビエント・ハウスが彼女の作風でもあり、十分にアーティストの魅力が込められている。



Check Rai Scott
| HOUSE14 | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |