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Porter Ricks - Biokinetics (Type:TYPE100)
Porter Ricks - Biokinetics
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ミニマルダブの極北であるBasic Channelの傘下に作られたChain Reaction、そのレーベルのアルバム第1弾が実はPorter Ricksによる本作である。アンビエント・ノイズ系のThomas KonerとエンジニアであるAndy Mellwigから成るPorter Ricksは、1996年にそれまでにリリースしたEPも纏めて"Biokinetics"としてリリースしたが、その頃は高い知名度を誇っていたとも言えず今ではプレミア化していた隠れた名作だ。ようやく今になってリイシューされた訳だが不思議と隔世の感を覚える事もなく、ミニマルにディープな音響を組み合わせたPrologue等のレーベルが流行っている現代にも適合しているミニマルダブだ。アルバムの中で殆どの曲は明確なメロディーは無く、ハートビート風にゆったりとしたモコモコしたビートが永遠と鳴り続けていて、その上をぼんやりと不鮮明なノイズが薄く覆い尽くしている。無感情に冷えきった音で隙間なく埋め尽くされたドローン系ではあるが、"Port Gentil"や"Nautical Zone"で聴ける甘美なノイズにはアンビエントな微睡みさえ感じられるであろうし、それ以外の曲では一体どれ程深い空間で音が鳴っているのかと思う位に抽象性を極限まで高めたダブ音響を聞かせる。多くのBasic Channelフォロワーが単なるダブ音響の中で個性を埋没させてしまったのに対し、ノイズから生まれる荒涼とした世界をダブの音響で空間を押し広げた作風で、例えば今ドイツの一部で盛り上がっているノイズを薄く忍ばせる音響を得意とするPrologue系テクノの先駆的存在に思えるのである。全く時代を感じさせないどころか、今が旬にさせ聴こえる早過ぎたドローンだったのでしょう。

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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Da Sampla - West Side Sessions (Wild Oats:WO-SH8K)
Da Sampla - West Side Sessions

Da Sampla、初めて耳にするアーティスト名ですが、実はデトロイトのAnthony Shakirの変名。本作は97年にリリースされた作品を同じくデトロイトのKyle Hallがリイシューし、更にはKyle HallとAnthony Shakirの共作も収録した7インチも付けた特別版です。A面には"pursuit mix 3"とそのバージョン違いの"pursuit mix 2"収録されていますが、どちらもドラムサンプルやディスコサンプルを用いてフィルターハウス化した荒くて安っぽくて、しかしディスコティックなテクノ。手数の多いドラムサンプルが忙しなく差し込まれ、モコモコとしたフィルターの掛け具合で展開を広げていくミニマルな作風でもありますが、兎に角勢いがあってフロアでの爆発力は間違いないでしょう。B面の"Over"も典型的なフィルターハウスでディスコの上物をサンプリングしてループさせただけの単純な作品ですが、ファンキーなボーカルの使用やパンピンなリズムトラックからはシカゴハウスの影響も感じ取れます。"Track 4"は更にリズムトラックが図太いパンピンなテクノ、音自体は古臭いけれどシンセやリズムの温かいアナログ感が懐かしくてカッコいい。7インチには二人の共作である"G.J."と言う曲が収録されているのですが、こちらはDJツールとして使用する為の「GJ」と言う呟きが執拗に繰り返されるサンバ風なリズムのトラックとなっております。その裏面の同じく共作である"Frictional Beat #6 (KMFH 808 DUB)"は、不鮮明なフィルターを用いたミニマルダブなDJツールとして機能的で、7インチの方は正にDJに使って下さいと言う意図が込められているようでした。

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Joris Voorn - Incident (Miyagi) (Rejected Music:REJ016)
Joris Voorn - Incident (Miyagi)
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2004年にリリースされた"Incident"はその年を代表するアンセムとなり、Joris Voornの人気をトップクラスに押し上げた彼の出世作である。そして2011年、東日本大震災に見舞われた日本の為にと自身の代表作を即座にリミックスし、デジタル配信を行いその収益を全てを寄付した。そんな心温まる背景を持つ作品がデジタル配信から1年を経て、ようやくアナログ化されリリースされた。わざわざアナログ化されただけあって、ブルー・マーブル・カラー・ヴァイナルの特別仕様であり見た目にも心脇踊るモノがある。内容の方はと言うとオリジナルの切れ味と突進力に溢れたアンセム感は控え目に、質感やグルーヴ感は滑らかにテックハウス化されフィルターの開閉で抑揚を付け上品に仕立てあげている。勿論あのサンプリングしたピアノの旋律もしっかりと入っているが、ボイスサンプルも追加されたりダブなエフェクトが施されたりした分だけ空間の広がりが感じられ、勢いよりも聞かせる事に比重を置いたリミックスになっている。オリジナルの良さには敵わないのは重々承知しているが、これはこれでエモーショナルだし今のフロアのモードにも適しているのかなと思う。

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| TECHNO9 | 12:00 | comments(2) | trackbacks(0) | |
Hiroshi Watanabe - Contact To The Spirits 2 (Octave Lab:OTLCD-1760)
Hiroshi Watanabe - Contact To The Spirits 2
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5年前にKaito名義でリリースした"Contact To The Spirits"(過去レビュー)はKaitoの魅力と、そしてKompaktとの共同プロジェクトとしてKompaktの魅力を世に伝える意味で特別であった。そして本作はそのタイトルの続編ではあるが名義は本名でとなり、Kompaktの制約も無くなるなど相違はあるが、やはり特別である事は曲目を見て気付くはずだ。一目見て気付くのは彼との繋がりもそれ程なさそうであったデトロイト・テクノやシカゴ・ハウスが導入されている事で、リスナーからすれば少々意外な印象を受けるだろう。しかし本人から聞かせて頂いた話では元々NYでの活動時代からそれらを好んで聴いていた訳で、本人の中ではデトロイト・テクノと結び付く事はなにも意外な事ではないと伺った。となると今それらが表面化してきた事は、レーベルや名義での制約から解き放たれ自分自身の中に常に存在する音楽を、自然と手繰り寄せミックスした結果なのだろう。だからと言って本作がデトロイト系のミックスであるとも思わない。やはりここで聴けるのはワタナベヒロシと呼べる音であり、それは優しく包み込み包容力やそれに相反する沸き起こる力強さを伴うテクノ/ハウスである。これまで以上にリズム/グルーヴの変化の付け方は深みを増し、幻想的なトランス感を呼び起こす音から生々しい肉体感を感じさせる音まで広がりを聞かせながら、曲と曲とを多層的に被せる事で未知なる展開を生み出す事に成功している。また一瞬足りとも気の抜けない流れの中で、最後には日本人の曲が3曲並んでいる事は同じ日本人として喜ぶべきだろう。無理な展開は感じさせずにそれらは当たり前の様に自然とミックスされているが、そこにワタナベさんが日本のダンスミュージックの期待を一身に背負っている気概は伝わってくるだろう。彼にとってもう6枚目となるMIXCDであるのに、停滞とは全く無縁であるどころか明日へと前進を尚続けている。

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| TECHNO9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Laurent Garnier - Timeless EP (Ed Banger Records:ED058)
Laurent Garnier - Timeless EP
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フレンチテクノシーンを開拓してきたLaurent Garnierの2年ぶりの新作はEd Bangerより…との情報を耳にした時、まずEd Bangerが何かを知らなかった。Ed Bangerがどんなレーベルかをネットで調べてみると、フレンチ・エレクトロの流行りを作ったレーベルであり、あぁダンスミュージックのレーベルの中では大手なのだねと感じた。一体ガルニエが何故このレーベルからリリースするに至ったかは分からないが、フランスと言う共通の国であるからなのか、またはガルニエの音楽性がそう行った方面に傾いているからなのか。"Jacques In The Box"は段々とビルドアップしていく多段のリフを反復させながら、ブレイクで一旦溜めてからのギラついた歪んだシンセが先導する大箱受けするであろうトラックだ。ガルニエらしい上り詰めていく昂揚感もある、がしかしどうしてもロックファンが好きそうなダンスミュージックと言う印象を拭えない。数年前に手を組んでいたIMNERVISIONSでやっていた時には違和感は無かったのに、Ed Bangerと言うレーベルに対する思い込みも影響しているのかガルニエにしては派手過ぎではないかと思うのだ。"Our Futur(Loud Disco Mix)"も野暮ったく音がギラつき、もっさりしたグルーヴは少々下品にさえ聞こえてしまう。そのタイトル通りに未来への未知を切り開くべく、前進する力強さや絶対的な希望は感じ取れるのだが、昔からのガルニエファンが求めている音とは違うのではないかと思うのも本音だ。そう言えば2ヶ月前の来日プレイも妙に上げていて攻撃的だった気がするけれど、既にそこから予兆はあった訳だ。音楽業界が不況に苦しむ中で、ガルニエはそれでも前に進もうと自らを鼓舞しているのだろう。ならばこその大仰で派手なトラックだと言う事なのかもしれない。

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Voices From The Lake Feat. Donato Dozzy & Neel (Prologue:PRGCD001)
Voices From The Lake Feat. Donato Dozzy & Neel
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日本では野外レイヴを代表する"LABYRINTH"への出演で知られているイタリアのテクノアーティストであるDonato Dozzy。昨年は単独でアンビエントアルバムである"K"(過去レビュー)をリリースしたものの、方向性を定める事が出来ずに期待には及ばない作品で残念だったのですが、新作ではそこでマスタリングを手掛けていたGiuseppe TillieciことNeelと"Voices From The Lake"なるユニットを組んで改めてアンビエントアルバムを作り上げました。前作から一点して新作は見事までの統一が成されており、特にハートビート風な胎動とも取れる一定したリズムが延々と続く間にうとうとと夢に落ちてしまい、寝る時のBGMとしても最高に機能するアンビエントと言えるでしょう。変化は無いと言うよりは本当に繊細な変化をしながら無機質な発信音の執拗なループによって時間軸を意識させずに、気付くと何時の間にか次のループへと移っていきます。面白いのは荒廃すら漂う電子の発信音を聞かせながらも優しい音質であり、深い森の中に誘われる感覚やパーカッシヴな土着な香りも感じさせ、無機と有機が混在しながら冷たいとも熱いとも言えない温度感が続く事。だから気分は昂揚するでもなく鎮静するでもなく、意識が音に溶けこんで行く感覚に陥りイージー・リスニングとしての機能性は抜群です。音自体もそうですが全てが刺激を生み出さない為の方向性を向いており、ゆったりとグルーヴィーなアンビエントは全てがミックスされる事で、それによっても永続的な心地良さを生み出しているのでした。

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Screen - We Are Screen (Malicious Damage Records:MD705)
Screen - We Are Screen
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"We Are Screen"と高らかに宣言されても誰なんだと突っ込みたくなるでしょうが、実はThe OrbのAlex PatersonとChester TaylorとGaudiと言うアーティストが手を組んだ中年オヤジの新ユニットです。The Orbでも作品毎に外部からアーティストを招き入れ常に変化を繰り返してきましたが、本作はなんとダブ/レゲエに焦点を当てたエレクトロニックミュージックを展開するプロジェクトだそうで。しかし考えてみると元々Patersonはダブやレゲエを好んで聴いていたレイヴカルチャー世代を代表する人間であり、雑食性のある音楽は彼にとって求道的な事なのです。寧ろ本作を聴けば直ぐに分かるでしょうが、ここ数年のThe Orbの作品の中では初期のダブ/レゲエ色が強かった頃のThe Orbに最も近い作風であり、その意味では懐かしさすら感じられるダブテクノです。まああの頃の様なエクスタシーから生まれるこの世のものとは思えない美しき音響の世界は既に忘却の彼方に消えているが、しかし大衆を嘲笑う悪意にも似たユーモアから生まれるトリッピーなサンプリングやSEはぶっ飛んでおり、しかし何故か地に落ちゆく重く粘るボトムに引きずられてレゲエの沼へとようこそです。中には重力から解き放たれたアンビエントもあったりしますが、基本的にはぶっといキックで夢から醒めさせられるようにあくまでリアリティー重視ですね。う〜ん、しかしこれはどう聴いてもThe Orbだよね、中年不良オヤジの悪っぽいノリが本当にカッコいいです。

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Orbital - Wonky (Beat Records:BRC-323LTD)
Orbital - Wonky
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レイヴカルチャーの申し子、ハートノル兄弟によるOrbital。エクスタシーとアシッドの狂乱の最中で産声をあげたOrbitalサウンドは、初期のトランス調テクノで人気を獲得しブレイクビーツやロック、ドラムンベースなど折衷主義的に様々な要素を吸収しながら、クラブミュージックの枠を越えてロックファンも巻き込むまでになった稀有なテクノユニットだ。最初に言ってしまうとアンダーグラウンドな曲がプレイされるクラブで体験するテクノと言うよりは、大箱や野外フェス、または何でもありのレイヴでこそ映える大仰でド派手なサウンドが特徴ではあるが、しかしその完成度の高さ故に自分も古くからOrbitalサウンドにやられてしまったファンの一人だ。8年ぶりとなる本作に於いても彼等は高らかに復活を宣言するように、プリミティブな電子音を鳴らし叙情と幸福感を誘発するメロディアスでトランシーな世界を展開していた。アナログ機材も多く導入したと言いながらもそれとは対照的に洗練され美しく響き渡るシンセ音、またスパイスとなるビキビキとしたアシッド音も変わらず導入されており、これぞOrbitalと言う底抜けにポジティブなアルバムだ。レイヴ世代である彼等らしい何でもありの姿勢も失わずに、節操はないが現在市場で流行っているダブステップを取り入れた"Beelzedub"ではサイバーで悪っぽいテクノを鳴らしている。かと思えばオープニングの"One Big Moment"はポップなメロディーが可愛らしく輝くブレイクビーツで、"Never"ではしんみりと郷愁を漂わせながら徐々に盛り上がっていく涙腺を刺激するテクノだ。また"New France"の様に幻想的な女性ボーカルを起用したハウシーで麗しい曲もあれば、これぞOrbitalな"Stringy Acid"のハイエナジーなトランスとアシッドの絡み合いは本作のハイライトと言えるだろう。様々な要素はOrbitalの一部分であり全てなのだと言えるアルバムの構成からして、彼等がリスナーを楽しませる事を熟知した真のエンターテイナーである事を証明している。こんな曲構成で演奏されたら、ライブが盛り上がらない訳がないに決まっているテクノの遊園地的な作品である。で限定盤には完全ダンス仕様化されたライブ盤が付いてくるが、こちらは彼等のクラシックが長尺で収録されており目眩く恍惚の世界が広がっている。

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Los Hermanos - On Another Level (Gmi Productions:LHCD-001)
Los Hermanos - On Another Level
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今週土曜にVisionでの久しぶりのフルバンドライブを控えたLos Hermanosだが、2004年にリリースされた彼らのデビューアルバム(過去レビュー)がリイシューされている。日本盤はCiscoからリリースされていたのだがレーベルが倒産した為、本作も廃盤となっていたところのリマスター済みでの復刻は嬉しい事だ。このアルバムには自分も複雑な思いを持っていて、デトロイトテクノ/ハウスにおける希望と情熱を高密度で具現化するのを結実させた素晴らしいアルバムではあるが、しかしその一方でアルバムがリリースされる頃には(リリース当時は気付かなかったが)メンバーの内部分裂が実は始まっていたのだ。その影響は音楽性にも顕著に現れており、当初のLos Hermanosは"Jaguar"を大ヒットさせたDJ Rolandoのユニットと言う触れ込みで、EPもクラブトラック/DJツールとして機能的なグルーヴにプログラミングによるデトロイトらしい感情を揺さぶる美しいシンセのメロディーを多用したりと、どちらかと言うとDJ RolandoのDJ的な側面を残す音楽性ではあったと思う。しかしアルバムを聴けば分かる通りで、アルバム初収録となった曲の多くはもう一人のオリジナルメンバーであるGerald MitchellのDJではなくプレイヤーとしての演奏力を基にしたバンドセット調のファンキーでメロウな音楽性を打ち出している。またオリジナル盤の方でもDJ Rolandoの名はMixed &Edited By DJ Rolandoとしか記載はないが、このリイシュー盤ではそのクレジットも消去されてしまう程にメンバー間の亀裂は深い様だ。そんな事もあって今でももどかしい気持ちは残っているが、しかしそんな問題を除けば本作は電子楽器によって黒人音楽をデトロイトテクノへ進化させた物を、更にそこから原点を見つめ直し再度人間の手による演奏によって血肉沸き踊る黒人音楽へと復権させた、バンド形態でのデトロイトテクノの指標となるべき素晴らしい作品だ。正確に言えばアルバムではまだプログラミング中心ながらもバンド風に表現しているのだが、その真価は土曜のフルバンドライブを体験すれば言わんとする事を理解して頂けるはずだ。兎に角初期のヒットしたEPからも多くを収録しているから良い曲が揃っているし、クラブミュージックである前提を抜きにして多くの人に希望の火を灯すだろう傑作だ。

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Vince Watson - Every Soul Needs a Guide (Everysoul Records:ESOL003)
Vince Watson - Every Soul Needs a Guide
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前作"The eMotion Sequence"(過去レビュー)から早5年、EPと言う媒体では継続的に新作を送り出してVince Watsonも、この新作アルバムを完成させるまでには苦労が多々あったようだ。最も大きな問題は元々はLaurent Garnierが主宰するF Communicationsの為に用意されたアルバムだったものの、レーベルの活動がストップしたせいでリリースも頓挫してしまった事だ。しかしそこから再度時間を掛けて作品を見直したおかげで、彼自身も「90年代にスタートさせた僕の音楽人生の中で、もっとも完成度の高いものになるだろう」(clubberia参照)と言わしめるアルバムを完成させた。Vinceの十八番と言えるシンセストリングやパッドの美しい伸び、調和を成すスムースなコード展開などは当然健在だが、更に前作でも芽を出していたブロークン・ビーツやジャズ・ヴァイブスと電子の融合が深みを増して4つ打ちからの解放を目指している様に思われる。またピアノやローズの強い存在感はテクノと言う無機質な言葉に爽やかな清涼感、そして魂の情動を誘発するノスタルジアを付与する事に成功し、ダンスフロアの為だけでない内面を見つめ返す繊細な音楽性へと歩みを進めている。それは決してダンスフロアからの離脱ではなく、ダンスとリスニングを綱渡りする事でVince Watsonの音楽人生の集大成として、またアルバムと言う形式でテクノに於ける感情表現を最大限に聞かせる結果なのだろう。リリースまでには相当の時間が経ってしまったが、その空白期間を埋めるだけのTECHNO SOULに満たされた素晴らしいアルバムだ。

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