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The Gherkin Jerks Compilation (Alleviated Records:ML-9016)
The Gherkin Jerks Compilation
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最近はめっきり新作が途絶えているシカゴ・ハウスの精神的支柱であるMr.FingersことLarry Heardだが、その代わりにリイシューやらリミックスやらはちょくちょくとリリースされている。それに追い打ちを掛けるようにリリースされたのが、彼が1988〜89年にGherkin Jerks名義でリリースした「Stomp The Beat」と「1990」の2枚のEPに未発表曲3曲を追加して纏めた本コンピレーションである。何故に今リリースなのかと言う疑問に対しては新作が出ない分の代替品であろうかと言う憶測は捨てきれないものの、昨今アンダーグラウンドな方面では注目を集めているロウハウスの流れを利用して、そのプロトタイプとも言える初期シカゴ・ハウスを世に紹介すると言う役目を果たしているのだろうと思う。前半の「Stomp The Beat」は正に原始的なシカゴ・ハウスで、アナログのドラムマシンが生み出すたどたどしい簡素なリズムと不安が募るような不気味なアシッドベースをフィーチャしており、剥き出しで粗雑さを敢えて強調したロウハウスの源流と言っても差し支えないだろう。Larry Heardを名乗る前のFingers Inc.やMr.Fingersで活動していた頃は、思慮深く情緒的なハウスではなくまだハウスが衝動で突き進んでたいた音楽性を体現していたのだ。後半の「1990」からはトラック物ではなくより音楽性を重視したLarry Heardに近付いてきており、チージーな音質とさっぱりした構成ながらもコズミックなメロディーが芽を出し、Larry節とも言える情緒的なディープ・ハウス前夜の作風が見受けられる。未発表3曲は完全に狂ったアシッド・ハウスで、ドラムマシンもベースマシンも壊れたように奇っ怪な音を鳴らしていて、シカゴ・ハウスがおおよそ普通のハウスとは言えない変異体であった事を思い起こさせるようだ。ロウハウスが一風変わった作品として期待を集めているが、それと共にこのようにルーツである音楽に目を向ける機会として、レア作品のリイシューは大変ありがたく思う。

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| HOUSE9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Jay Daniel - Scorpio Rising (Sound Signature:SS051)
Jay Daniel - Scorpio Rising

セオ・パリッシュによるSound Signatureから初めて聞く名のアーティストの作品がリリースされた。Jay Daniel、まだリリース歴は3年で22歳だそうで次世代とでも呼ぶべき存在だが、実は彼の母親はNaomi Danielだ。その名を聞いてピンとくる人は間違いなくデトオタだが、Naomi Danielと言えば20年程前にカール・クレイグがプロデュースして素晴らしい歌モノクラシックを残している人で、アーティストとしての血筋が息子にも引き継がれたのだろう。Jay Daniel自身は現在若手の中では最も注目を集めているKyle Hallとパーティーを共催し活動しているそうだが、そこから見つけられる共通項として本作にもロウハウス的な荒々しさは表れている。テープレコーディングを行った影響によるのだろうが、"No Love Lost"からはディープ・ハウスの幻惑的なメロディーが妖艶なムードを醸しつつも、それとは対照的にリズムはシカゴ・ハウスのそれで非常に荒く刺々しく突き刺さるようだ。"Brainz"に至ってはマシンガンから歪な弾が連写されるようにハイハットやスネアにキックが連打されるだけの原始的なシカゴ・ハウスなのだが、シーケンサーに頼らずにMPC1000を使用したと本人は述べている。もしかするとパッドを手で叩きまくったのかもしれないが、その野性的で厳ついマシンビートは今流行っているロウ・ハウスを、流行としてではなく素で体現しているようにも思われる。"I Have No Name"では何とラリー・ハードの"Stars"をサンプリングしスピリチュアルなディープ・ハウスを披露しているが、やはりローファイな感覚が通底しておりアナログの洗練はされていない温もりを感じさせる。確かにセオ・パリッシュの目に止まったのも納得なざらつきの強いシカゴベースなハウスが収録されており、デトロイトの旧世代に求めていた原始的な初期衝動がJay Danielからは見受けられる。フロアの爆音の中で全身で浴びてこそ最高な曲だろう。



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| HOUSE9 | 09:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Webster Wraight Ensemble - The Ruins Of Britain (Miso Records:Miso 027)
Webster Wraight Ensemble - The Ruins Of Britain
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UKのベテランハウスアーティストのCharles Websterは様々な名義を用いて膨大な作品を残しているが、トラックメーカとしてはここ暫く名前を聞く事は減っていた。本作はそんなWebsterからの久しぶりの新作で、Matthew Herbert Big Bandでアレンジャー兼指揮者を務めていたPeter Wraightも加わり、本格的にジャズバンドとして取り組んでいる。タイトル曲はWebsterらしい甘いメランコリーが漂う楽曲で、艶のある女性ボーカルやストリングスにホーンなどゴージャスに装飾を纏いながらも、けばけばしくなる事なくエレガントに仕立て上げる作風で、スタイルは変わっても方向性としては以前から一貫している。ただ聴くのであればやはりアルバムの流れの中でが適切であり、本EPの注目はフランスの奇才ハウスアーティストのPepe Bradockによるリミックスだろう。跳ねるようなリズムも入ってフロア仕様に生まれ変わっているが、Pepeらしい狂ったように変容するエレクトロニックでダビーな音響空間を創り上げていて、原曲のエレガントな空気とPepeによる不気味な空気が侵食していく様に耳を奪われる。完全にPepe Bradockのトラックとして成立していて、この狂おしくも美しい個性は唯一無二の存在だ。またそのリミックスからビートを抜いたアカペラも収録されており、こちらはより不協和な音響を堪能する事が出来るようになっている。

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| HOUSE9 | 16:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Simoncino - For My Father (Creme Organization:CREME 12-70)
Simoncino - For My Father
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今ハウスシーンで確実にキテいるのがロウハウスと呼ばれる、アナログ感を強調した未加工状態的な洗練されていない音楽で、かつてのシカゴ・ハウスにも共振するその荒っぽさが何故か受けている。早くからその流れを作り出していた一端とも言えるのが、イタリアからシカゴ・ハウスを猛烈に愛するSimone Vescovoだろう。複数の名義を用いつつSkylax、Quintessentials、Mathematics、L.I.E.S.など見過ごす事は厳禁なハウスレーベルから膨大な作品をリリースし、質と量の両面から(海外では)注目を集めている。そして新作でも、やはりシカゴ・ハウスへの敬意を感じるトラックが並んでいる。タイトル通りにインターバルとして短いトラックではあるが、デトロイト・テクノを思わせる未来の予兆を感じせさせるストリングスが美しい"Interval I"で幕が開ける。次の"Tape I"ではドタドタとやかましいシカゴ・ハウスをベースにしたリズムトラックが脈打つ中で、増幅された極太ベースがうねりミステリアスなシンセのメロディーが不安を誘うが、たかが外れたように衝動が溢れ出る雰囲気は正にシカゴ・ハウスの系列だ。"Tape II"は生っぽいドラムマシンのリズムが迫り来る中で、幻惑的なシンセのリフレインが空間を埋め尽くすように広がり、ぐっと胸を締め付けるような郷愁が心憎い。そしてまた短い"Interval II"を挟んで、最後にはもやもやとした浮遊感のあるパッドが揺蕩う下で相変わらずアナログ感全開のラフなリズムがドタドタしている"Tape III"が待ち受けている。音的には目新しさもなく一見流行に乗っているだけにも思われるかもしれないが、活動当初から作風が一貫していて逆に流行とは無縁のぶれない芯の強さを感じさせる。

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| HOUSE9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Todd Terje - Spiral (Olsen Records:OLS004)
Todd Terje - Spiral
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2012年のメランコリーなディスコ名曲"Inspector Norse"、2013年のサマーブリーズとなった"Strandbar"と立て続けにヒット曲を世に放ち、ノルウェーのコズミック・ディスコ方面では最も注目を集めているTodd Terje。キラキラとした眩い光を放ちロマンティックなディスコを聞かせる作風が十八番だが、2013年の暮れにとどめとでも言うべき作品をリリースした。それが本作、"Spiral"と"Q"のたった2曲を収録したEPだが、ここでもTerjeによる涙が零れ落ちそうになるロマンティックなディスコを我が物としている。特に涙を誘うのが"Spiral"で、パーカッシヴなリズムが先導する長いイントロで焦らされた後に徐々にシンセのシーケンスが現れ、下から持ち上げるようにディスコティックなベースラインが浮かび上がり、エレクトロニックなアルペジオの反復やらシンセのコードなどが被さる…つまりはDJ仕様に則した単純な展開の上に非常に豪華に装飾されたコズミック・ディスコではあるが、これだけコテコテな作品にもかかわらずむさ苦しさは一切感じさせない。それどころか何度でもターンテーブルをリピートさせる程に、哀愁が込み上げ琴線に触れる麻薬的な感動が詰まっていて、"Strandbar"が夏向けの曲であれば"Spiral"は秋の郷愁と言えるだろう。もう1曲の"Q"は対照的に開放感と疾走感が勝っているニュー・ディスコで、やはりこちらも肝となるのは耳に残るトランシーなシンセのリフ。トランシーではあるが悪っぽくなく洗練された清潔なサウンドが疾走し、広大な空へとふわっと飛翔していくような爽快さに身も軽くなる。さて、もう準備は万端だろう、残すは今年に予定されている初のアルバムに期待が高まる。

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| HOUSE9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Los Hermanos - Descendants Of The Resistance (GMi Productions:LHCD003JP)
Los Hermanos - Descendants Of The Resistance
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デトロイト・テクノの中心的存在であるMike Banksが沈黙を守る中、その代わりと言うべきかURのスピリットを伝承し歩みを止めずに前進を続けるLos Hermanos。Gerald Mitchellが中心となってバンド形態で活動をするユニットの6年ぶりのアルバムとなるが、2011年にもGerald Mitchellソロ名義でアルバムを出しているので、そんなに待たされた気はしない。「レジスタンスの子孫」と名付けられた本作はSoul SaverやThe DescendantにG. Mitchellと言ったユニット名を使い分ける傍ら、様々なアーティストとの共同制作も行い、共同体となって魂の伝承をするような傾向が見受けられる。勿論中心にいるのはGeraldではあり、内容に関して言えばシャッフル感の強いエモーショナルなデトロイト・テクノや血潮がたぎるハウスに、ファンクやラテンやジャズを前面に出しバンドが演奏しているようなライブ感を打ち出し曲など、これまでのLos Hermanosが辿ってきた道をそのまま真っすぐに進んでいる。一聴して以前よりも陽気でポジティブな要素が強く感じられ、デトロイトらしい耳に残るメロディーも自由に踊っており、DJとしてではなくプレイヤーとして楽器を演奏出来るが故の豊かなコード展開やラフな臨場感のあるサウンドがしっかりと息衝いている。ただ少し気になったのは何となく以前にも聴いたようなメロディーが度々登場し、その場のセッション的なプレイをそのまま収録したようにも思えてしまう事だ。デトロイトのアーティストにありがちな体の奥底から湧き出るノリ、それは衝動と言ってもよいものだが、本作ではそれが勝ち過ぎていて全体の構成が以前程練られていないようにも聞こえてしまう。躍動感のあるダンサンブルな曲がたっぷりと詰まっていて、Geraldらしいゴスペル風手弾きピアノも炸裂しているし、Los Hermanosがあくまでバンドである事を表現する意気込みは伝わってくる。だからこそ、スタジオに籠もってより完成度を高める事が出来たのではないかと言う心残りもある。ライブバンドなのだから、真価はライブで体験すべきと言う事なのかもしれない。

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| HOUSE9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
DJ Koze - Amygdala Remixes (Pampa Records:PAMPA 018)
DJ Koze - Amygdala Remixes
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2013年には一際注目を集めていたようにも思われるベルリンのPampa Records。熱心に聴き込んでいるレーベルではないので断言は出来ないが、単にDJツールと言う枠組みを超えたポップな作風も見受けられる面白いレーベルだと思う。そんなレーベルによる2013年の最後にリリースされた作品が、レーベルを主宰するDJ Kozeのアルバムからのシングルカットだ。リミキサーには以前にもDJ Kozeと絡みのあったMatthew Herbertと、ベルリンのディープ・ハウス系アーティストであるEfdeminを迎えている。目玉は何と言っても"Magical Boy (Matthew Herbert Not 'Till It Stops Mix)"だろう。これがHerbertにとっては黄金時代とも言える"Bodily Functions"の頃の作品を思い起こさせるラウンジ風ハウスとなっており、Herbertのポップな作風が花開いている。原曲にはMatthew DearとDani Sicilianoの歌もフィーチャーされていたが、リミックスでは新しく再録したものへと差し替えらているようで、より歌らしくとろける甘さを強調している。トラック自体も奇妙な赴きがあった原曲よりも、よりドリーミーで牧歌的なハウスグルーヴを強調しながらも、Herbertらしい音をこねくりまわすように様々な音を緻密に配置し、童心的な遊び心と曲のツール性を両立した往年の作風が戻ってきている。Herbertにはやはりこの路線のハウスが似合っているので、再度このスタイルでアルバム制作を期待したいものだ。裏面には"La Duquesa (Efdemin Cose Cosi Mix)"が収録されているが、こちらは闇に包まれた深海を進む潜水艦のソナー音のような音響が幻惑的なディープなミニマル・ハウスへと仕上がっている。原曲よりも滑らかなハウスのグルーヴを太く強調してツール性を増しながら、しかしミステリアスなメロディーが闇の奥底に誘い込むような深みを与えていて、更には最後には日本語による電車内のアナウンスが流れる展開が空虚さを付加している。



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| HOUSE9 | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
In The Dark : Detroit Is Back (Still Music:STILLMDCD011)
In The Dark : Detroit Is Back
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以前に比べると神格化された感もあったデトロイトの音楽に対する評価は落ち着いてきているように思われるが、それを尻目に一貫してデトロイトの魂を守り続けているレーベルも存在する。その代表として挙げられるのがJerome Derradjiが主宰するStill Musicで、レーベル自体は2004年にシカゴで生まれているものの、デトロイト周辺のアンダーグラウンドなアーティストに焦点を絞って作品を手掛けている。2005年にはデトロイト・ハウスの - 特に表舞台と言うよりは長年地下で土台を支えてきたような - アーティストの作品を収録した「In The Dark (The Soul Of Detroit)」と名付けられたアルバムを纏め上げたが、本作はタイトル通りにその続編となる2枚組のデトロイト・ハウスのコンピレーションだ。レーベルが提唱するには「デトロイトの地下クラブ、スタジオや倉庫で鳴っている音」だそうで、Delano SmithやRick WilhiteにMike Clarkらのベテラン勢から、Patrice ScottやKeith WorthyにDJ 3000などこれからの世代を担う人材まで、デトロイトのローカル色を強く打ち出したアーティストが集められている。デトロイトと言うとどうしてもベルヴィル・スリーやUR周辺に注目が集まりがちだが、本作を聴くとやはり現在の音楽制作的な面から見るのであれば世代は確実に変わってきている事を実感する。音的には世界の流れからは外れつつもエモーショナルな熱量を濃厚に煮詰め、アナログ感覚の強い温かい音質を打ち出したソウルフルなハウスを中心に纏められた本作には、デトロイトと言うブランドに頼らずとも評価されるパーティーに在るべき音楽が詰まっている。所謂クラブ・アンセムと言われるような派手な曲があるわけではないが、各アーティストの実直なデトロイト・ソウルが伝わってくる事もあり、デトロイト入門としてもお薦めしたくなる作品集だ。勿論アンダーグラウンドなデトロイト好きな人にとっては、長く愛せる作品となる事は言うまでもない。

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| HOUSE9 | 08:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
KMFH - The Boat Party (Music 4 Your Legs:IMFYL065)
KMFH - The Boat Party
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デトロイト・テクノ/ハウスの新生代を担うだけでなく、今では世界中から注目を浴びるまでに急成長を遂げたKyle Hall。2007年に僅か15歳でOmar-Sが主宰するFXHE Recordsからデビューを果たしていたが、その時点でどれだけの人が原石に気付けていたのだろうか(当方も全く知らなかった)。明らかに状況が変わり始めていたのは2010年にThird Ear Recordings、Hyperdub、Moods & Groovesなどのレーベルから作品をリリースした頃で、何だかとんでもない新人が出てきていると話題に上がる事が多くなっていた。もうそれ以降の説明は不要であろう、今では知る人ぞ知る…ではなく22歳にしてアンダーグラウンドな活動でありながらその著名度はデトロイトのベテラン勢に匹敵している。本作はそんな彼による初のアルバムで、元々アナログでリリースされていたのが幸運にもCD化された。テクノと言うよりはハウスに近い作品集ではあるが、まだ若いだけあって荒削りな印象は拭えない。例えばTheo Parrishにも通じるような粗雑で歪んだ音質と共に、厳ついアシッド風なテクノに無機的に冷えたエレクトロ、そしてデトロイトの過去を踏襲した感情的なハウスから狂ったゲットー・テックまで、何でも咀嚼するように手を出している。そのジャンルとして統一感の無さは今尚成長過程にある状態を示しているのだろうが、かと言って本作がムード的に散漫になっているかと言うとそうでもない。特に際立っているのがデトロイトと言う寂れた街のムードを音に投影させたかのようなマシン・ビートで、剥き出しにも思える荒削りなビートは決して整ってはいないが、しかしそれは理性ではなく衝動から生まれたファンクを鳴らしている。それは初期のシカゴ・ハウスにも通じるものがあり、若さ故のパワフルなビートは今流行のロウハウスに含める事も不可能ではないが、それにしたってKyleの野性的で粗暴なサウンドは余りに個性的で、良い意味で周りから浮いているのだ。これが天然なのか狙った上での結果なのかは分からないが、今までのデトロイト世代には無い貪欲なスタイルの吸収と、ラフなマシン・ビートの組み合わせが、デトロイト・ソウルの光を鈍く放っている。



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| HOUSE9 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Unknown Artist - One (D3 Recordings:D3ROO1)
Unknown Artist - One

2011年に設立されたフランスのヴァイナル・オンリーで運営するVibes And Pepper Recordsは、デトロイトのテクノ/ハウスに力を入れているようで、今までにもTerrence ParkerやClaude YoungにNorm TalleyやSynchrojackなどベテラン勢の新作や旧作のリイシューに務め、注目を集めている。が今度はその傘下としてD3 Recordingsを設立し、そこから未知なるアーティストの作品を第1弾に抜擢した。アーティストも曲名も名付けられていない全くの詳細不明の作品ながらも、しかしその内容はとびきりのデトロイト・ハウスだ。力強く刻まれる正確な4つ打ちのキックの上に華麗にカーブを描くパッドのコード展開、そして未来感を描き出すシンセストリングスがハイテックでもあるA1は、レーベルの門出を祝福するような趣さえある。対して裏面の2曲は少々抑制されているが、ソフトなディープ・ハウスとしての陶酔感がある。上昇気流に乗るようなパッドのコード展開が美しくも、カチカチしたハイハットと少々崩したリズムが強調されたトラックからファンキーな要素が感じられるB1、逆にマイナー調のコード展開と湿ったキックが温かみを演出しつつボイスサンプルがアクセントとなっているB2と、デトロイトだけならず欧州の洗練されたハウスとも相性は良いだろう。招待不明ながらもこの内容であれば有名なベテランの作品である気はするのだが、一体誰の作品なのだろうか。レーベル、アーティスト共々に今後も気になる存在だ。

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| HOUSE9 | 08:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |