2015.03.31 Tuesday
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冬の風物詩、身も凍える寒冷の中でリリースされるほっこり温まるアンビエント・シリーズ"Pop Ambient"。ドイツはKompaktからレーベル創設者であるWolfgang Voigtによって選び抜かれた曲は、アンビエントの指標となるべきシリーズの一つだろう。流石にこれだけの長い期間に渡ってリリースされているとマンネリ感を避ける事は難しいが、それでも尚アンビエントにありがちな観念的な宗教性を排除しながら、純粋にBGMとして元からその場に自然と存在するような環境音的なアンビエントを送り続けており、その質の高さは保証されている。注目は冒頭に続けて2曲提供している新鋭のThore Pfeifferで、粘度の高い液体が蠢くような抽象的な動きを見せる"Wie Es Euch Gefallt"と引いては寄せる波のように静かに現れるアコースティックギターを導入した"Nero"と、穏やかな揺らぎを体感させるアンビエントを披露している。続くKompakt関連のアーティストであるDirk Leyersは"Daydreamer"と言うタイトル通りに、白昼夢に溺れていると錯覚する高揚を抑えて静かに美しいメロディーを反復させたサウンドトラック風な曲を提供。また同シリーズに幾度と無く参加しているUlf Lohmannによる"Refresh"は特に素晴らしく、鮮烈で新鮮な色が混ざり合ったような音色を発しながら涙が零れるまでの郷愁を誘うアンビエントは、ポップな要素もありながら黄昏時の景色を喚起させる。そしてLeandro Frescoによる"Nada Es Para Siempre"は深い場所で濃霧のような朧気な音響が鳴っているだけではあるが、落ち着きのある温もりが継続する正にアンビエント・ミュージック的だ。ひたすら淡くぼやけたノイズやドローン音響に美しく幻想的なシンセサイザーの音が立ち込めており、眠る時の安眠剤として効果的な一枚であろう。
Tracklistは続きで。