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Walt J - Simplicity (Sounds Of The City:SOTC-WJ01)
Walt J - Simplicity

実にややこしい事に同名のアーティストがいるので勘違いしやすいが、今日紹介するのはデトロイトの古参アーティストであるWalter JonesことWalt J。一般的なデトロイト・テクノやデトロイト・ハウスの流れに組み入れらるというよりは、今思うとちょっとしたカルト的な扱いもあったように思われ、事実2010年以降にはデトロイトのFitから過去の名作の復刻が続いている。2014年には17年ぶりの新作となる「Resurgence EP 」が発表されたが、今度は新興レーベルであるSounds Of The City(Brian Hardenらもリリースする)から更なる新作がリリースされている。そのカルト的な扱いとは対照的に作品自体はちょっと懐かしみのあるレトロ感がありながらもエモーショナルで、特に時代に流される事なく普遍的な価値を見い出せるようなハウスが中心だ。"Test Your Limits"はやけに残響の強いリズムがライブ録音を思わせるが、希望に満ちたような明るいシンセのコード展開や高らかに祝福を奏でるトランペットのメロディーなど、闇を振り払う煌きが眼前に広がるディープ・ハウスで朝方のフロアに適しているだろう。裏面の"Simplicity (The Atkins Tribute)"はそのタイトルが示す通り、デトロイト・テクノの生みの親であるJuan Atkinsへと捧げられた曲だが、これはLos Hermanosを思い起こさせるガツガツとした野性味溢れるビートと躍動的なシンセのメロディーが存在し、製作時もデトロイト・テクノを意識したのではと想像せずにはいられない。一方で"Bypolar"は予てからのWalt Jの作風を引き継ぐもので、奇妙ではあるが可愛らしいシンセのフレーズや落ち着きながらスムースなハウスのグルーヴが継続し、途中にはジャズ風なブレイクも織り込んで刺激的な展開も作っている。過去の作品に比べると当然今っぽさはあるものの、やはり流行り廃りとは無縁な音楽性が確立されており、Walt Jがデトロイトの中でも独特な存在感を放っていると感じずにはいられない。



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| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Francis Inferno Orchestra - Where Will You Be Spending Eternity? (Superconscious Records:SCR004)
Francis Inferno Orchestra - Where Will You Be Spending Eternity?
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決して多作ではないもののディスコ~ブギーな懐かしみのある曲からモダンでジャジーヴァイブス溢れるハウスまで、作品毎にハウスを軸に異なる要素を盛り込んでくるオーストラリアはメルボルン発のGriffin JamesことFrancis Inferno Orchestra。初期にはUnder The ShadeやSleazy Beats Recordingsなどのディスコの要素の強いレーベルから、近年ではDrumpoet CommunityやFina Recordsなどテック・ハウスの性質も伴うレーベルからと、やはり時代によって多少の音楽性の幅を持っている。そしてこの新作は自身で主宰しているSuperconsciousからのリリースとなるが、ここでも彼にとっては新機軸となる要素を盛り込んでおり、またちょっとした注目を集めてもおかしくないのではと感じられる。それが顕著なのが"Kalamari Desert"で、ドリーミーな甘いストリングスと壊れかけのドラムマシンが唸っているようなリズムが不釣合いながらも同居し、荘厳な音響で包み込むアンビエント色もあるハウスはDJプレイの始まりとしても嵌るような曲だ。"Harmony"も華麗なストリングスを用いて華やかさがあり、太いキックが入った4つ打ちリズムで跳ねるようなグルーヴが爽快なこの曲は、以前からの作風に近いディープ・ハウスだ。対して裏面はまた色合いが異なる曲が収録されており、切り刻むような粗いハイハットやスネアに鈍いベースラインが響く"Kamakama"は昨今のロウ・ハウスの風合いがあるが、そこに呪術的でヒプノティックなシンセのフレーズが散りばめられて何か禍々しさも滲み出ている。そして、それを同郷のSleep Dがリミックスをした"Kamakama (Sleep D's Mycellium Mixx)"は、金属的なざらつきは残しながら幾分かダビーな音響を加える事でムーディーさも兼ね備えたディープ・ハウスへと変化している。本作で少々アーティストの個性を掴むのは難しいかもしれないが、フロア対応型の粒揃いなEPではあるし、ある程度の幅の広ささえもアーティストへの今後の期待に繋がる用に感じられる。



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| HOUSE11 | 19:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Simoncino - Amazon Atlantis (Creme Organization:Creme LP-12)
Simoncino - Amazon Atlantis
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イタリアきってのシカゴ・ハウスのオタクと言えばSimoncinoを挙げても差し支えはないだろう。古いシンセやドラムマシンを用いて垢抜けなくも何処か懐かしい音質を打ち出し、ぶれる事なく初期のシカゴ・ハウスを追求し続ける偏執狂だ。それは彼が起用するリミキサーにも現れており、今までにRon TrentやLarry Heard、Dream 2 ScienceにVirgo Fourなどオールド・スクールなシカゴ・ハウスの才人らを選ぶ審美眼からも、彼がどれだけ初期のハウスに惹かれているかは分かる筈だ。そんな彼にとって2年ぶり3枚目となるアルバムが、シカゴ・ハウスの変異性を受け継ぐCreme Organizationよりリリースされている。この新作でもRoland TR-808やYamaha DX7にAkai S900などのローファイでありながら名機と呼ばれるマシンをベースに、ロウな質感を残す素朴なシカゴ・ハウスを手掛けており、その流行に全く左右されない信者のような身の捧げ方には感嘆する他にない。その観点から言うと新作であってもいつもと変わらないので驚くべき点は無く、冒頭の”Images”はカタカタとした乾いたリズムマシンの音と憂うような物哀しいシンセのメロディーが先導する錆び付いたロウ・ハウスで、徹底してオールド・スクールを貫いている。それでもゲストを起用する事で、ちょっとしたアクセントが無いわけでもない。Legoweltをフィーチャした"Planet Paradise"は簡素なビート感ながらも勢いのあるテクノ風に攻撃的ではあるし、シカゴ・ハウスのベテランであるVincent Floydをフィーチャーした"Memories Of Summer"は荒ぶるリズムが前面に出ながらも幽玄なディープ・ハウスとなっていたり、全体のムードを壊す事なく刺激的な変化を加えている。それ以外にもアトモスフェリックな上モノとブレイク・ビーツ気味のビートで揺れるアンビエント・ハウス風な”90's Theme”や、ドタドタとしたマシンビートと奇妙なシンセによるリズム中心のツール特化な"Space Tape"など、アルバムというフォーマットを意識して単調に陥らない尖った特徴さえ見受けられる。だがしかし全体としては現在のロウ・ハウスに繋がる初期のシカゴ・ハウスの系譜にあり、ここまで徹底してその音楽性を追求する強靭な姿勢は、好きな人にとっては徹底して愛すべきモノなのだ。



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| HOUSE11 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Lars Bartkuhn - Music For The Golden Age (Neroli:NERO 029)
Lars Bartkuhn - Music For The Golden Age

前にEPをリリースしたのは2008年、それから既に7年が経過してようやくLars Bartkuhnによる新作がリリースされた。2000年前後に高い評判を得ていたディープ・ハウスのユニット・Needsのメンバーであり、耽美かつ華麗なその音楽性は多くのDJを魅了したものだった。残念ながらユニットは空中分解し、それ以降はPassion Dance Orchestra名義でバンドアンサンブルなフュージョンをプレイしたりもしていたが、やはり期待していたのはNeedsのような煌めくフュージョン・ハウスだろう。新作はイタリアのNeroliからのリリースとなるが、両者がその優雅な音楽性で共通項があるのだから、相性の良さは抜群と言う他にない。さて、実際に"Golden Age (Cosmic Resonance Dub)"から聴いてみると完全にNeedsの音楽性が現代へと蘇っており、美しいピアノの旋律や細かく編み込まれたパーカッションによる大胆なグルーヴ感、コズミックなシンセを用いてエレガンスを極めたフュージョン・ハウスを展開している。何処までも昇り詰めるような高揚感、闇を振り払う眩い煌き、壮大な展開とドラマティックなハウスはパーティーで受ける事は間違いないだろう。対して"Daybreak Contemplation"はぐっとテンポを落としたダウンテンポで、滴り落ちるようなシンセの旋律やフルートらしき優美な笛の音色が絡み合いながら、じんわりと郷愁が沁みるアーバンテイスト溢れる曲だ。裏面には別バージョンとなる”Golden Age (Full Experience)”が収録されているが、こちらは何となく生っぽさが打ち出される事でラフな感もあり、豪華な装飾性を適度に抑制しながら控え目に優美なフュージョン・ハウスに仕上がっている。どれもこれも失われつつあったNeedsの要素を取り戻した事で、再度Bartkuhnがディープ・ハウスの業界へと戻ってくるのかと期待せずにはいられない。言葉を失う程に素晴らしい。



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| HOUSE11 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Oskar Offermann - Le Grand To Do (Mule Musiq:mule musiq cd 50)
Oskar Offermann - Le Grand To Do
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Oskar Offermannが主宰するWhiteは盟友であるEdwardをはじめとした奇異なアーティストを率いて、ドイツの底の見えないアンダーグラウンドなディープ・ハウスを手掛け、ダンストラックではありながらも快楽的なパーティーとは対照的な機能的な美学を追求する点において個性を発揮していた。当然Offermannが制作するトラックもその路線上にあり、そして人肌の温もりが伝わるメロウな性質も伴って、ベルリンのモダンなディープ・ハウス一派の急先鋒であった。とは言いながらもやはりというか、特に日本での知名度はまだまだであったものの、2枚目となるアルバムは日本が世界に誇るMule Musiqからのリリースとなるのだから、もはや目を背けるわけにはいかないだろう。本作は生活リズムが不安定なDJ故の不眠な生活から脱却すべく、菜食主義と瞑想を始めた頃に制作された曲が纏められているそうで、そんな生活の変化が本作には影響しているそうだ。奇妙な夢の中にいるようなシンセと自身の呟きによるイントロの"August '14"から始まり、ロウなマシンビートの上に眠くなるようなシンセが浮遊する繊細なディープ・ハウスの"Find Yourself"と、アルバムの序盤からやはり強烈なグルーヴ感よりもじわじわと沁みるメロウな性質が聞こえてくる。続く"Carol's Howl"は歯切れの良いハイハットやすっきりした4つ打ちが滑らかなグルーヴ感を生んでいるが、深い精神世界へと誘うような微睡みの上モノは幻惑的だ。もこもこと篭ったキックと執拗な呟きの反復による覚醒的な"Banunanas"や、エレクトロ気味の尖ったビートと奇妙なシンセの複合が織りなすトリッピーな"Embrace The Condition"など、勢いのあるグルーヴは無くとも実験的な要素を織り込みながらディープに嵌める展開は、内省的でありながら艷やかだ。アルバムの最後はスムースなハウスグルーヴの中に滴るような繊細なピアノのメロディーを落とし込んだ"Understandable"で、最後まで夢から覚めないようにメランコリーな世界を継続させる。前作である『Do Pilots Still Dream Of Flying?』(過去レビュー)から大きな路線の変更はなく、安息の日々が続くかのような落ち着いてリラックスした感は、(実際にクラブでDJが使用するではあろうが)リスニングとして聴いても楽しめるメロウネスがある。勿論、Offermannがはまっていると言う瞑想のお供にも適しているであろう。



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February & Mars (Mojuba Records:mojuba cd 4)
February & Mars
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ドイツにて深遠なるディープ・ハウスを極めるMojuba Recordsから、まさかこのようなアルバムがリリースされるとは誰も予想だにしていなかっただろう。この聞き慣れぬFebruary & Marsならユニットはアイルランドを拠点とする二人組のようで、2010年にはJohn Dalyが主宰するFeel MusicからEPをリリースしているが、その他の情報が殆ど無く実力は未知数といってもよい。それがいきなりMojubaからのアルバムリリースとは一体全体どうなっているのかと驚きだが、その音楽性はディスコやシンセポップを中心としたレトロなものなのだから、更に驚くのは当然だ。ビンテージなドラムマシンやアナログシンセを用いて生み出す音を彼らは"spaced-out soul"と呼んでいるが、その懐かしさは確かにある種の中毒的でぼんやりとしたソウルのようなもので、アルバムを聴けば青春の甘酸っぱさを思い出す筈だ。出だしのブイブイとうねるシンセベースが強烈な"Secret Storm At The Edge Of Night"からしてイタロディスコのような快楽性があり、その機械的なシーケンスの上に色っぽい男性のボーカルや享楽的なシンセによる派手な展開が繰り広げられ、メランコリーを誘発する。"Sex Guest"は一転して少々ファンキーなギターカッティング風の音が目立つが、ここでも甘いボーカルや甘美なシンセのコード等が感情を締め付けるような切なさを発し、エレクトロニックな質感ながらも実に感情豊かに展開する。"Jump City"では間違いなくギターがリフを刻み、もうディスコではなくAORかポップスか、またはブルー・アイド・ソウル状態で大人の男性も噎び泣くような切なさが溢れ出す。同様に開放的なギターを用いて空間の広さを誇張した"Lick The Bag"は、昨今のInternational Feelにも通じるバレアリック感があり、そして何処までも平穏な地平が続いている。Mojubaのようなストイックなハウスを追求するレーベルがどのような背景をもってして本作をリリースしようとしたのか、その意図を窺い知る事は困難だ。しかし単純に音楽的な質から述べるのであれば、恥ずかしげもなくレトロな時代感を再現するこのアルバムは、ディスコ〜シンセポップ世代の心を刺激する事は間違いない。



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Miruga & Fulbert - Suzaka Motor City EP (Rawthenticity:CITY08)
Miruga & Fulbert - Suzaka Motor City EP

フランスはパリを拠点とするRawthenticityの新作は、レーベルを主宰するTimothee VictorriことFulbertと邦人アーティストのMirugaによる共作だ。前者は今絶好調のLocal Talkの初期に作品をリリースするなどモダンでエモーショナルなハウスを手掛けており、後者はEthereal SoundからRough House RosieにBalance等からディープかつダビーなテクノ/ハウスをリリースして粛々とその活動を広げている。このMirugaは2013年にもRawthenticityからFulbertとのスプリット盤をリリースしている事もあり、レーベルからの信頼を得ているアーティストの一人なのだろう。その結果として本作はスプリットではなくFulbertとの共作へと至ったのではないかと推測するが、その影響だろうかそれぞれの曲毎に異なる音楽性が現れている。何と言っても先ず印象に残るのがタイトル曲である"Suzaka Motor City"で、片面をたっぷりと使用した15分にも及ぶ大作だ。須坂にあるMirugaの父とそのガレージ(ここで収録されたそうだ)に捧げられたという本作は、エレクトロニックなハウスにジャズのヴァイブスを取り入れたように聞こえ、ぐっと前に迫り来るベースに可愛らしいヴィブラフォンのメロディーや幽玄なシンセを散らしながらも、不鮮明な風景が広がるようなアブストラクトなディープ・ハウスを形成する。パーティーで盛り上がるようなダンス・トラックと言うよりは、早い時間帯にディープな流れに移り変わる時間帯に映えそうなタイプだ。裏面の"Inside"はMiruga単独による曲だが、これは彼の中でもかなり爽快でエモーショナルなディープ・ハウスで異色の出来栄えだ。空へと広がるような笛の音色と美しく耽美なピアノのメロディーが交互に現れながら、エネルギーが弾ける小気味良いグルーヴでぐいぐいと疾走し、気分は高揚を続けるばかり。そして"Ghost Of Oiwa"は攻撃的で変則的な低重心のビートに揺さぶられつつ、ぐぐっと分厚いシンセが放出される事で荘厳さも含み、荒々しくも情緒的なブレイク・ビーツ×ディープ・ハウスな面白い作風だ。作品としても素晴らしくありつつ面白みもあるのだが、残念ながら日本には殆ど入荷されていないのがもったいない。



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| HOUSE11 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Daniel Wang - Everybody Get Dancin' - Daniel Wang's Personal West End Megamix (OCTAVE LAB.:OTLCD5096)
Daniel Wang - Everybody Get Dancin - Daniel Wangs Personal West End Megamix
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2015年3月にSalsoul Recordsの音源を使用したMIXCD『Orchestral Madness & Laughter』(過去レビュー)をリリースしたDaniel Wangが、今度はWest End Recordの音源のみを使用して再度メガミックスを試みている。レーベルの背景や各音源についてはおおよそライナーノーツでWang自身によって語られているので、敢えてここでの詳細な説明は不要だろうが、大雑把位に言うとMel Cherenによって1976年に設立されNYダンス・クラシックスとなる多数のディスコ名作を生み、ガラージ〜ディスコの発展に大きく寄与したレーベルである。現在のような機能性を重視したというよりは、4つ打ちながらも煌めくような装飾や温度感のある生演奏を重視して、実に感情豊かにダンスさせる曲が特徴だ。だからこそ、サンプリング中心の楽曲よりも人の手によって奏でられるディスコの偏執狂であるWangが、こういったディスコ・クラシックスによるメガミックスを手掛ける事に異論はない。だがこの余りにも著名なレーベルが故に今までにも多くのMIXCDやコンピレーションが制作されており、そこにWangが入り込む余地があったのかと思わなくもないが、結果的には非常にWangらしい只々ラブリーかつハッピーな笑顔溢れる世界観を作り出す事は出来たようだ。オープニングは一緒に踊りに行こうと誘われる甘くもファンキーな"Let's Go Dancin' (Club Version)"で始まり、優雅に舞うようなストリングスが美しい"Speak Well (Tom Moulton 12" Mix)"、ストリングスにギターにピアノやトランペットなどが豪華に彩る"Mary Hartman, Mary Hartman (Instrumental)"など、序盤からこれが喜びに満ちたディスコだと言わんばかりの展開だ。また中盤の"Heat You Up (Melt You Down) (Melt Down Mix)"はコズミックなシンセの使い方がプロト・ハウス的で、レトロ・フューチャーを感じさせる。本作では敢えてクラシックス中心ではなくWangの審美眼に適った変化球的な曲も多いが、勿論クラシックスも盛り込まれており、世界初のゲイ讃歌"I Was Born This Way (Tom Moulton 12" Mix)"(後にEarth PeopleのDanceにサンプリングで使用されている名曲)なんかはきっと耳にした事がある人は多い筈だ。後半からは少しずつ緩いグルーヴになり、センチメンタルな気分に染まる"You Can't Have Your Cake And Eat It Too (Instrumental Cake Mix)"など夕暮れ時の切なさが溢れ出してくる。ここに収録された曲は現在のダンス・ミュージックと比べると決して洗練されているものではないが、筆者自身が特にWest End Recordに詳しい訳ではないのでこういった古い曲も新鮮に聞こえつつ、そこにWangの愛らしさや陽気な気分が反映されている事でディスコ/West End Recordの魅力が十分に感じられる内容に上手く纏まっている。ディスコ好きは勿論、ディスコを全く知らない人にこそ聞いて欲しい一枚だ。

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| HOUSE11 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(1) | |
Crackazat - Crescendo (Local Talk:LTCD002)
Crackazat - Crescendo
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飛ぶ鳥を落とす勢いとは正にLocal Talkの事だろう。元Raw Fusionを主宰していたMad Matsが2011年に新たに立ち上げたLocal Talkは、エレクトロニックなハウスを軸にテクノやブレイク・ビーツにフュージョンなどの要素散りばめながら、古い懐かしさと新しい未来的な感覚を両立さえてスウェディッシュ・ハウスの最先端を突き進んでいる。そんなレーベルにとって初のアルバムが2015年3月にリリースされた本作で、UKはブリストル出身のBenjamin JacobsことCrackazatが手掛けている。Crackazatは元はジャズミュージシャンとしてのバックグラウンドを持ちつつ、2012年に初の作品をリリースしたのを皮切りに2014年からはLocal Talkの元から強力なプッシュにより3枚のEPをリリースし、若くして注目を集めていた。その成果としてそれらのEPからの曲や新録も纏めたのが本作であり、レーベルの初アルバムとしてCrackazatを起用する辺りに、レーベルの一押しな気持ちが伝わってくる。実際にアルバムの素晴らしさは確かなもので、Mad Mats曰く「Los HermanosとFloting Pointsを足して2で割った感じ」と述べているそうだ。それが事実かどうかはさておき、アルバムの冒頭の"Moon Ballad"からして8ビット的なシンセのメロディーとヒップ・ホップのようなざっくりしたビートを用いたメロウな曲調が面白く、しかしうっとりと耳を傾けたくなる魅力を放っている。続く"Somewhere Else"は確かにデトロイトのようなコズミック感溢れる小刻みに揺れ動くメロディーが特徴だが、あっさりと軽快なジャジーグルーヴが爽やかだ。同様の路線が"Eye Light"で優美で光沢のあるシンセの使い方は古いフュージョンを聞いているようで、確かにミュージシャンとしての力量を的確に発揮した流れるようなキーボードワークが華麗なメロディーを紡いでいる。と思えば西ロン系のブロークン・ビーツを思い起こさせるソウルフルな歌モノを用いた"Brother Bond"は、ラフなビート感と温かみのあるシンセが複雑に絡み合い、洗練されながらもゴージャスな色彩を伴い盛り上がっていく。このようにLocal Talkというレーベルの多様性をCrackazatも継承するように、テクノやハウスにブロークン・ビーツの垣根を越えて、そしてダンスとリスニングのバランスを上手くとったデビューアルバムとは思えない完成度なのだ。デジタル配信のみでヴァイナル等もリリースがないのは謎だが、今から聴いておいても遅くはない。



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| HOUSE11 | 19:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Professor Inc. - From Scratch To Formula (Boe Recordings:BOE029)
Professor Inc. - From Scratch To Formula
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シカゴ・ハウスやデトロイト・テクノから影響を受けモダンなハウスを手掛けるBoe Recordingsや、デトロイトの老舗レーベルであるSoiree Records International、そしてフランスの新興ハウスレーベルであるPhonogramme等からリリース歴のあるProfessor Inc.。本名はFrederic Poixであるフランスのアーティストは、2010年頃からリリースを開始し作品毎に生々しく粗さのあるビートダウン・ハウスやソウルフルで洗練されたハウスに、耽美でモダンなテック・ハウスまで作風は固まっていないものの、安定した品質を保証しながら定期的に新作を送り出している。本作は3年ぶりにBoe Recordingsへと帰還してのEPとなるが、ここでは跳ねるようなふくらみのあるハウスの4つ打ちと耽美な上モノを綺麗に聞かせるモダンなハウスが中心だ。荒くれるダビーなパーカッションと太く端正な4つ打ちのグルーヴィーなリズムをバックに、少々悲しげながらもアンビエント感のある上モノを用いた"Crazy"は、パーティーの深い時間帯にもすんなりと馴染むタフなディープ・ハウスだ。"Underground"はもっとリズムが弾けていてその軽さが爽やかにも感じられ、そこにすっと透明感のあるパッドが伸びてくる事でふわりと空へと浮かび上がる浮揚感さえ漂わす。"Life After Asylum"も優美なストリングスがややミステリアスさを伴いながら使われているが、そこに時折入る奇妙なサンプリングの相乗効果でパーティーの早い時間帯に合いそうだ。最も特徴的なのは"Put Up the Vibe"だろうか、効果音的なコズミックなシンセやうっすらと浮かび上がるパッドなどが繊細にレイヤー風に編み込まれ、静謐なムードを纏いながら動きのある展開を繰り広げるディープ・ハウスは官能的でさえもある。非常に尖った個性を感じる作品ではないが、どれもフロア志向で粒揃いなのは間違いなく、まだ比較的若手ながらも作品を多く手掛けているだけの事はあるものだ。



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