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Juan Atkins & Moritz von Oswald Present Borderland - Transport (Tresor Records:Tresor.285CD)
Juan Atkins & Moritz von Oswald Present Borderland - Transport
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かつてドイツを代表するテクノレーベルと言えば、Tresor Recordsであった事に異論はないだろう。デトロイトとベルリンを結び付ける重要な役割を果たしたレーベルが今年で遂に25周年を迎えたが、そこにアニバーサリー企画の一環として迎えられたのは正にTresorに相応しいプロジェクトで、デトロイト・テクノの開祖であるJuan Atkinsとミニマル・ダブの御大であるMoritz von OswaldによるBorderlandの新作だ。既に2013年には1stアルバム『Borderland』(過去レビュー)をリリースしており、そこでは彼等の個性であるコズミックな浮遊感にミニマルの構成とダブの音響を肩の力が抜けたセッションによって融和させていた。それから3年、彼等はシンプルさの中にデトロイト・テクノの宇宙観とミニマル・ダブの音楽性に磨きを掛けて、よりテクノ的な音楽性を強調したこれぞ王道と言わんばかりの貫禄を持つ作品を創り上げた。始まりはアルバムタイトルである"Transport"で、タイトなベースラインが深海の奥底で鳴っているような暗さを演出し、重厚なシンセの反復音が黙々と続く。時折ドラッギーな電子音の残響が舞う事で奥深い空間演出も行うダブの音楽性が光り、余り展開の無いミニマルな構成はMoritzによる業だろう。続く"Lightyears"では引き締まったミニマルなグルーヴを貫きながらも一気に開放感を増し、控えめに情緒を発する揺らぐような上モノが浮遊感を生み出している。この作風はMoritzがエンジニアとして参加していたModel 500の『Deep Space』の延長線上になるが、その時以上に構成は研ぎ澄まされ単純なループによって深みにハマらせる音楽性は円熟の極みに達している。先行EPである"Riod"のデトロイトらしいスペーシーなシンセによる宇宙の無重力感や贅肉を削ぎ落とし引き締まったグルーヴのミニマル・ハウス性は、正に『Deep Space』の続編である事に間違いはなく、あれから20年を経て二人のパイオニアの成長がはっきりと現れている。一方でダブ・ステップらしき崩れたビートに催眠的な電子音の反復や微かなリヴァーブを用いて闇の深さを垣間見せる"Merkur"は、現代っぽさを取り込みながらもテクノである軸はぶれていない。ノイズのようなエグい電子音が唸りながらもJuanによるコズミック性が強く出た"2600"を経て、ラストは二人による自由なセッションを繰り広げたように夢想のメロディーが広がっていく"Zeolites"で、無限に広がる宇宙の星々の間を旅するようにロマンティックで穏やかな体験が待ちびわている。決して驚くべき展開がある訳でもなく終始淡々としたクールな作品ではあるが、トレンドも商業性も全く意識する事なくこれがパイオニアの伝統工芸だと言わんばかりの強度を持った音はテクノである事を物静かに主張しており、色褪せる事のないクラシカルなテクノとしての品格を漂わせている。



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| TECHNO12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Gonno & Nick Hoppner - Fantastic Planet (Ostgut Ton:o-ton95)
Gonno & Nick Hoppner - Fantastic Planet
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ベルリン最高峰のクラブと称されるBerghainが運営するレーベル・Ostgut Ton。今までの一般的なイメージとしては暗く冷徹なテクノというものであっただろうが、近年は比較的明るくキャッチーなハウスもリリースするなど何かしらの変化も見受けられる。本作もその一環と見做してよいだろう。日本から世界へと羽ばたいたGonnoと元レーベルマネージャーでもあるNick Hoppnerによる共作は、2015年の秋にHoppnerのスタジオで多数のビンテージ・ハードウェアを用いたセッションを行った結果として、お互いの個性が均衡を保つように溶け込んでいる。"Spocking Fivers"には光さえ放出するように複数の音色が豊かなメロディーとして躍動しており、その闇を振り払うようなポジティブかつバレアリックなヴァイブスはGonnoの影響を伺わせる。一方で揺れ動くブレイク・ビーツ気味なリズムは跳ねて、また透明感のあるパッド使いがディープさも演出するなど、そこにはHoppnerのディープ・ハウスの影響も感じ取れる。"Fantastic Planet"はチャカポコとしたパーカッションが鳴りつつもリズムは平坦に抑制され、管楽器風のメロディーがデトロイト・テクノを思わせる情緒的な響きをしており、疾走する勢いと共に至福のムードへと染め上げている。また"As Above, So Below"はよりグルーヴは均されてスムースな流れになっているが、ヒプノティックな電子音の中から牧歌的なシンセの旋律が下から上昇してくるように現れ、しっとりとした情感がありながらも多幸感が満ちた方向へ昇り詰める作風はGonnoっぽさが強いだろう。しかし、本作では感情を押し殺す事なくオプティミスティックに突き抜けるGonnoらしさは、Hoppnerによる影響もあるのか適度に抑えられており、全体的にDJツール性も意識したような機能的なグルーヴが備わっている点に共作の結果として現れているようだ。共作が必ずしも良い結果となる訳ではない事は多数の歴史により理解しているが、本作に於いては両者の釣り合いが取れて、リラックスしてセッションを行ったであろう親和性のある作品になっている。



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| TECHNO12 | 07:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Takkyu Ishino - Lunatique (Ki/oon Music:KSCL-2765)
Takkyu Ishino - Lunatique
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最後のアルバムが2010年にリリースされた『Cruise』(過去レビュー)である事を思い出すと、そんなに待たされた気持ちはないもののいつしか6年も経過していた事に驚くが、しかしその長い時間はアーティストをより熟成させる事に寄与していたのではないか。そう思うのも石野卓球によるこのニューアルバムが今までの作品の中でも、テクノという音楽性からはぶれずにしかし俗っぽい官能的な艶を洗練された今っぽさで表現し、勢いだけでもなく享楽だけでもない円熟の極みへと達しつつあるからだ。フランス語では「気まぐれな」を意味するタイトルの本作は、漫画エロトピアの1978年6月15日号の表紙となった横山明のイラストを宇川直宏がレタッチしたデザインをジャケットに起用しており、その見た目まんまに音楽性も快楽的で艶っぽさに溢れている。収録された曲は古いものでは2000年頃に制作された曲もあるそうで、100曲以上録り溜めたストックから性やエロスをコンセプトに10曲を選んだ事で、その結果として電気グルーヴとは真逆のダンス・トラックとしての統一感が卓球ソロの個性として表現されている。"Rapt In Fantasy"からして艶かしいシーケンスが蠢き、肩の力が抜けた柔らかいグルーヴの中から光沢感のあるシンセが現れると、ぐっと妖しい芳香が漂ってくるようだ。層になってふわふわと浮遊するシンセに惑わされる"Fetish"もあっさりとしたリズム感で、決して強迫的なグルーヴに飲み込むのではなく雰囲気で包み込む音楽性があり、大人びた落ち着きさえ漂っている。如何にも卓球らしい鈍く切り刻むようなエレクトロ・ビートの"Lunar Kick"、イタロ・ディスコ的な快楽的なシンセベースが滑らかに流れる"Fana-Tekk"なども、ルーツを掘り起こしつつも全体的にぬめっとした質感はやはりエロスを強く感じさせる点は本作の特徴だろう。序盤に透明感と清涼感を打ち出してアンビエントな空気が広がる"Die Boten Vom Mond"は、特に既存の卓球からは余り感じる事の出来なかった新しさが見受けられ、甘く誘うような女性の呟きによりすっと意識が天にも昇るようだ。勿論、テクノというダンス・ミュージックを前提にしながらも耳を惹き付けるキャッチーな響きはポップ・ミュージックとしての質の高さもあり、こういった音楽がメジャーとアンダーグラウンドの垣根を壊す事を期待させてくれるのだ。



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| TECHNO12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Trap10 - Interregnum EP (a.r.t.less:a.r.t.less 2184)
Trap10 - Interregnum EP

ベルリンのディープ・ハウスの深層部を突き進むMojuba Recordsが、よりデトロイト・テクノの方向性を突き進めるべく立ち上げていたレーベルがa.r.t.lessであり、察しの良い方ならばお気付きかと思うがKirk DegiorgioのART(Applied Rhythmic Technology)にもレスペクトを表している事から、その音楽性は推して知るべしだろう。レーベルの新作はライブユニットであるJanis & Fabianから成るTrap10による2枚目のEPで、前作も同様にa.r.t.lessからだった事を鑑みるとレーベルがプッシュしているユニットなのだろう。一年ぶりの新作は前作負けず劣らずにデトロイトからの影響、またはデトロイトへの敬意が感じられ、特に"Dimi"はピークタイム仕様の荒々しく骨太な勢いがありつつも幽玄な旋律による世界観は正しくデトロイト・テクノだ。曲の開始には硬質でロウなキックや鋭利なハイハットがエッジの効いた流れを生むも、少しずつ現れる情感の強いシンセが執拗に繰り返される事でエモーショナル性を伴い、そして不気味に蠢くアシッド・ベースも加わる事で真夜中の狂騒の中で映える仕様になっているのだ。裏面の"Tale Of Stu"も鈍く錆びたようなキックが膨れ上がりビートを激しく叩きだすが、うっすらと上辺に伸びる幻想的なパッドの使い方はデトロイトのそれらしく、更に揺れるように反復するシンセが加わる事でメロディアスな構成が完成する。”FRQ62”はミステリアスにも聞こえるアルペジオ風なメロディーが特徴でじわじわと侵食するような効果があるが、野太く粗いキックが非4つ打ちの厳ついグルーヴが激しく揺さぶりを掛けて、縦へ横へと肉体を鼓動させるこれもピークタイムに映えるテクノだろう。今風と言った雰囲気は無いどころか流行に惑わされないデトロイト・テクノへの妄信とも思える作風は、しかしそのロウな音質や心に訴えかける旋律による軸のぶれなさがあり、自分達の音楽性を信じているが故の強さがある。間違いなくこれはテクノだと声を大にして言いたい。



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| TECHNO12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Pampa Records Vol.1 (Pampa Records:PAMPALP011)
Pampa Records Vol.1
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レーベル初のショーケース・コンピレーションとは謳いながらも、レーベル外からもアーティストを招きこのアルバムの為に新曲を提供させて、しかしそれらは最終的には適切にレーベルらしい音源に纏まっている…という作品がドイツはベルリンのPampa Recordsのコンピレーションだ。2009年に設立とまだ7年程の運営ながらもレーベルを主宰するDJ Kozeを筆頭にAxel BomanやNathan FakeにLawrence、奇才と呼んでも差支えのないIsoleeにRobag Wruhme、マイナーながらも可能性を秘めるDurerstubenにDntelなど多くのDJ/アーティストの作品をリリースしてきたが、それらは単にDJとしての機能性だけではなく捻くれて奇妙なポップ性も包括した作風を確立した点で、Pampa Recordsのオリジナティーを認めさせた。当然そんな音楽性は本作にも存在し、フォークシンガーであるLianne La Havasの曲を奇才・Herbertがリミックスした"Lost & Found (Matthew Herbert Remix)"は、甘く清純な歌とポップな旋律に遊び心も感じられる構成があり、そしてダンス・ミュージックとしての滑らかに流れるハウスビートが心地良いグルーヴを生む。アルバムの中で最もポップでメランコリーなのはAdaが手掛けた"You And Me"であり、キュートで囁くような女性ボーカルとほっこりと暖かいシンセのメロディーが可愛らしい旋律が絡み合い、パーティーの朝方に使えばフロアを優しさに包み込むだろう。Pampa組のDntelは"Snowshoe"はチョップ気味なピアノや浮かんでは消える荘厳なシンセの動きが不思議なハウスを提供しており、奇妙な響きの中から優美な輝きが零れ落ちるようで、ユーモアと芸術性が混在している。Pampa外からの参入で目を見張るのが支離滅裂な電子音楽を創造するGold Pandaで、彼にしては随分と整ったハウスビートを刻む"Black Voices"は、しかしエレガントなストリングスが舞い踊り耽美なピアノが控えめに装飾する上品なダンス・ミュージックになっている。またメジャー側からはJamie XXが参加し、Kosi Kos(DJ Kozeの変名)と共同で"Come We Go"を手掛けているが、キラキラとしたレトロフューチャーなディスコの世界観と端正な4つ打ちにDJ Kozeの捻れた音響を持ち込んだ作風は、その奇妙さがやはりPampaらしくなるのだ。これら以外にも多数のアーティストが多様な音楽性を披露しており、それらは尚ポップとユーモアな感性を同居している点でDJ Kozeのレーベルを運営する上での審美眼が冴えており、本作によって信頼の置けるレーベルとしての評価を更に得るだろう。



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| TECHNO12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Mark Pritchard - Under The Sun (Warp Records:WARPCD244)
Mark Pritchard - Under The Sun
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恐らく彼の経歴の中で最も有名なGlobal Communication、そしてHarmonic 33やJedi KnightsにTroubleman名義など多数の名義を持つMark Pritchardにとって、活動20年以上を経てようやく本名でのアルバムが完成したのは意外だろう。その名義の多さはアンビエントやテクノ、エレクトロにニュージャズ、そしてジュークやグライムなど音楽性の幅広さを象徴しているが、本作ではその多様性がシームレスに溶け合い数々の名義が一つとなってPritchardの根源を表現するような印象が感じられる。アルバムの始まりを飾る"?"は厳かな音響が静かに湧き立つアンビエント性があり、重厚感の中にもムーディーな風景が広がる。続く"Give It Your Choir"ではレーベルメイトのBibioをフィーチャーし、随分とメランコリーで何だか教会の中で響くような荘厳な気高さがある。決してテクノだけではなく"Falling"のように可愛らしい電子音が子守唄のように響く曲もあり、2〜3年掛けて出来上がった曲を当て嵌めるように纏めたと言うのも納得だ。ロック方面からの目玉はThom Yorkeをフィーチャーした"Beautiful People"だろうが、悲壮感を含むボーカルと物憂げなトラックは救いを祈りにも聞こえる。その一方でBoards Of Canadaを思わせる何処でもない何処かにいるようなサイケデリアを演出する"Where Do They Go, The Butterflies"や、メロトロンが牧歌的な長閑さを生み穏やかな気分に包む"Sad Alron"など、Global Communicationの時代を思い起こさせるような曲調もある。フォークシンガーのLinda Perhacsをフィーチャーし、物哀しいアコギも導入した"You Wash My Soul"は、最早シンプルさを強調したフォークだったりと、テクノへの拘りは無く感情の赴くままにアルバムを制作したのだろうか。アルバムのコンセプトは特に無いと言う本人の説明通りに、確かに本作はある特定の音楽性に的を絞っている志向はなく、しかしメランコリーやムードを尊重した点での共通項があり、それらはサウンド・トラックの様に一場面がさくさくと移り変わる風景を喚起させる。欲を言えばもっとインストに拘って、敢えてボーカルを起用しないアルバムでも良かったのではと思うが、そこは何でもこなせる器用さがあるからこその挑戦に違いない。



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| TECHNO12 | 07:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Petar Dundov - At The Turn Of Equilibrium (Music Man Records:MMCD042)
Petar Dundov - At The Turn Of Equilibrium
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Labyrinthを代表するアーティスト/DJでもあり日本でも人気を獲得しているPetar Dundovは、しかし一体何処へ向かおうとしているのか。美しいシンセのメロディーラインや長尺な大作志向は得も言われぬトランス感を生み、彼の個性/武器とはなっているものの、ここ数年は成熟と言うべきか勢いのあるグルーヴ感よりも旋律を意識して聞かせる作風がベースになっている。2年半振りとなるアルバムも全くその路線から変わる事はなく、自身の作風の完成形を作り上げている。本作に於いてはKraftwerkやVangelisに影響を受けて制作をしたそうだが、特に後者の影響が感じられるのは"Then Life"だろう。ビートレスな構成だからこそ羽をゆっくりと広げるようなシンセの美しいメロディー、壮大さを演出する荘厳なストリングスの響きが際立ち、その音楽はサウンドトラックかまたは交響曲にも感じられる。"New Hope"はKraftwerkの影響だろうか、ユーモアの感じられる牧歌的なシンセが戯れるように鳴り、大きな展開を用いる事なく気の抜けたような作風は電子音楽を自由に用いたジャーマン・プログレを思わせる。勿論"The Lattice"のようにしっとりしたキックが刻むダンス・トラックもあるが、これにしても決して図太いリズム感がある訳でもなく、悲壮感にも感じられる繊細なメロディーを軸にストーリ性さえも含むようなドラマティックな展開で惹き付ける作風だ。他にも残響の広がりによる空間の奥深さに官能的なピアノが夜の艶を演出する"Before It All Ends"、生っぽいドラムの刺激にすっと伸びる光沢感のあるシンセが近未来のSF志向なイメージを植え付ける"Mist"、ダウンテンポなおかげでより哀愁の度合いが強くなった"Missing You"と、それぞれ繊細なシンセや音響を活かしながらもアルバムの中で変化を生み出す事にも糸目を付けない。どれも抑圧なグルーヴからは解放されながら、芸術的にまで思う程に綺麗な旋律とコード感を尊重している。この路線ではもうこれ以上は無いのでは?と思う程に完成されており、後は逆にフロアでの肉体的なグルーヴを打ち出した作風も久しぶりには聴いてみたいとも思うが、それは我侭だろうか。



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| TECHNO12 | 12:00 | comments(3) | trackbacks(0) | |
Asian Psilocybe Foundation - Water Vein EP (Mental Groove Records:MG115)
Asian Psilocybe Foundation - Water Vein EP
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「Water Vein」=「水脈」というタイトル、プロモ盤の碧々しい屋久杉が鎮座する森の風景を写したジャケット、そこから感じられるのは生命の息吹。数多くの才能を抱えるスイスのMental Grooveからおそらく初となる邦人アーティストのリリースとなったのが本作で、手掛けているのは今正にアーティストとして注目を集めるAsian Psilocybe Foundationだ。少し前にリリースされ初のソロ作品となった「Cosmic Dance EP」(過去レビュー)はダンスフロアの爆発力を封じ込めたような内容だったが、本作はよりAPFのパーソナルな音楽性が反映されているようで、前述した大地の霊的なパワーを受信し創造力溢れるテクノ〜アンビエントへと昇華したのだろうか。それぞれの曲には日本語でのタイトルがつけられており、インスピレーションの元になった場所がおおよそ想像出来る。"Forest Of Doshi"はスピリチュアルな鐘の音やシタールらしき民族的な音を基軸に、静かに深い瞑想へと誘うイントロ的な作品で、ここからもAPFの音楽性の背景が感じ取れるだろう。続く"Operation Bean(豆の舞)"は躍動的に振れるベースラインとあっさりと軽快な4つ打ちに導かれ、そこに素朴で柔らかい笛の音のようなフレーズが反復し、フィールド・レコーディングであろうあぶくの弾ける音も入ってくれば、まるで新緑茂る森の中を闊歩するような爽やかなテック・ハウスになる。富士の樹海を示す"Aokigahara"、ヒプノティックで土着感の強いリズムが大地の営みを感じさせ、そこにオーガニックな音色や透明感のある電子音が鮮やかな色彩を描き出す天然ダンス・トラック。最後はDJとして全国で活躍中のDJ YogurtとMojaによるリミックスの"Water Vein (DJ Yogurt & Moja Remix)"で、聞いた限りでは"Operation Bean"をダブ処理により奥深さを生む事で開放感ある野外向きのリミックスをしているようだ。清涼な水や空気が体の隅々まで行き渡るような綺麗なトランス感覚があり、水脈から生命力が溢れ出すような心地良さだ。レーベルの案内では「森林、水、土、太陽を感じて欲しい!」との記載もあり、APFが自然の中からインスピレーションとパワーを受けて制作した本作は、テクノという枠を越えたユニークな作品だ。



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| TECHNO12 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
James Holden & Camilo Tirado / Luke Abbott - Outdoor Museum Of Fractals / 555Hz (Border Community:48BC)
James Holden & Camilo Tirado / Luke Abbott - Outdoor Museum Of Fractals / 555Hz
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James Holden率いるBorder Communityは、本人とレーベルに属するアーティスト含め、発足当初の毒々しいサイケデリアを放つダンス・ミュージックから徐々にダンスにさえ依存しない音楽性を強め、異彩/奇才と呼ぶべき個性を発揮している。本作はそんなBCの奇抜な音楽性がより開花したアルバムで、現代音楽家/ミニマリストの巨匠であるTerry Rileyの生誕80週年を祝うイベントの為に作成された曲を、アナログ2枚組の両面に渡り2曲を各40分前後ずつ収録している。まずは近年リバイバルとなっているモジュラーシンセを担当したHoldenと、タブラ奏者であるCamilo Tiradoがコラボした"Outdoor Museum Of Fractals"は、ひたすらリフレインするシンセと豊潤な響きを聞かせるタブラが延々と穏やかに継続するニューエイジ的なインストだ。モジュラーシンセ独特のサウンドが当然キモではあるのだが、何か大きな展開を作るでもなく内へ内へと潜るような輪廻のフレーズと言うべきか、広がりではなく閉塞的なフレーズがより瞑想へと誘うようで、そこにエキゾチックなタブラが何か宗教的な成分も添加し呪術的な魅力を発するミニマルとなる。何だかRileyの"A Rainbow in Curved Air"を思い起こさえるムードもあり、フラットに延びる快適さは底抜けに多幸感のあるアンビエントとしても通用するか。一方でLuke Abbottによる"555Hz"やはりモジュラーシンセにチベタンゴングも用い、ぼんやりとした低音で響くゴングの音色に発信音のような電子音を被せて、より抽象度の高い音響インストメンタルを披露。その持続感は正にドローンだが快とも不快とも言えない不思議な音響はスピリチュアルで、何だか寺院の中で鳴っている密教音楽にも類似している。どちらの曲も最小限の楽器でモジュラーシンセの音を聞いて悦に浸るような音楽性だが、そこにBCらしいトランス感やサイケデリアがまぶされており、ドラッグを必要としないトリップ・ミュージックとして機能している。曲尺が長いのでアナログの両面に渡り収録する事で曲は切れてしまっているが、アナログ盤にはDLコードが付いてくるのでご安心を。



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| TECHNO12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Alex Danilov - Noises EP (Arma:ARMA 12)
Alex Danilov - Noises EP
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ロシアン・ハウスの台頭を代表する一人・Alex Danilovは、RawaxやRough House Rosieから少しばかりアシッディーかつロウで、そして心地良い残響が広がるダブ処理を伴ったハウス作品をリリースしている。浮遊感なりアンビエントな感覚なりも含むその音楽性はロシアン・ハウス一派に多く共通するものであり、濃霧で惑わすようなアブストラクトな音像が特徴だ。そんな地域のアーティストが躍進したここ2~3年、しかしDanilovは一切作品をリリースしなかったのだが、2年半ぶりとなるこの新作はややテクノ寄りとなるダンス・フロアを強く意識している。それが表れているのが"Inside"で、鋭利なハイハットとアシッドな電子音のリフで引っ張って行く冷気ささえ漂うトラックは、しかし勿論微かな残響も加えて空間の奥行きを感じさせる。しかし過去の作品と比較すればやはりミニマルな要素が強く打ち出され、淡々と無機質な響きがツール性を強固にしている。一方で彼らしい作品は"Noises"だろう、弛緩した4つ打ちの上に寒波が吹き荒れるようなぼんやりとしたサウンドが覆い、奇妙な電子音が刺し込むアブストラクトな作風は未知なる世界を突き進む深遠さがある。両者の中庸にあるのが裏面の"Unknown Numbers"で、アブストラクトな音像とジャジーながらもかっちりしたキックを組み合わせ、足元が浮くような心地良い浮遊感を生むディープ・ハウスだ。そんな曲をリミックスしたのが今や飛ぶ鳥を落とす勢いのFred P.で、重いキックの4つ打ちを導入し地響きの如く揺らしをかけながら層になって伸びていくような幻想的なパッドを加えた"Unknown Numbers (Fred P reshape)"は、アンビエントな空気感もあって完全にFred P.の作品として生まれ変わっている。尺も長くDJ向きの構成になり、本作の中で最も踊れるダンス・トラックになのは言うまでもない。



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| TECHNO12 | 20:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |