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Trinidadian Deep - Guidance EP (Rough House Rosie:RHR 011)
Trinidadian Deep - Guidance EP
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ロシアのディープ・ハウス勢から日本のアンダーグラウンドなアーティストまで独特の審美眼により文字通りディープな音楽を追求し、またクララ・ボウのスタンプがレーベル印としても印象的なRough House Rosie。その音楽性は陰鬱とアンビエントの中間のようなディープさと、耽美さの中に仄かにエモーショナルな音色を含ませた慎み深いディープ・ハウスであったが、レーベルの最新作は何とFuture VisionやNeroliからの作品で一躍注目を集めているUSのTrinidadian Deepが手掛けている。Ron Trentの愛弟子とも言える彼の音楽性はやはりUS直系の黒さと飛翔するような爽やかさを含んだ優美なディープ・ハウスなので、RHRから新作が出ると知った時は?という思いであったが、実際にリリースされた作品を聞けばその良質な音楽を前にして突っ込みを入れるのも野暮だと知る。A面にまるまる収録された"Obi"は13分にも及ぶ大作で、如何にもなカラッと弾ける爽やかなパーカッションに導かれ軽やかに疾走する4つ打ちのハウス・ビートが疾走り、そして土着的な土煙の中から浮かび上がるオールド・スクール感あるオルガンによって心地良い酩酊状態へと誘われる。大きな展開を繰り広げる訳ではないが、途中でのテッキーなシンセのコード使いやスピリチュアルさ爆発のオルガン・ソロなどぐっと耳を惹き付けるライブ感溢れるパートもあり、長い曲構成が全く無駄になる事なく壮大なジャーニーの演出として成り立っている。B面の"Italness"も音楽的には変わりはなく、土着的なパーカッションが爽快な風を吹かせて軽やかさを演出し、そこに優美でスペーシーなシンセが流れ落ちていく事でコズミック感のあるハウスになっている。残りの一曲はレーベルの主力アーティストであるHVLが手を加えた"Obi (HVL's Robotic Edit)"を収録しているが、こちらはよりレーベルのアブストラクト性を打ち出した妙技と言うべきか、奇妙な効果音も加えながら深遠さを増したダウンテンポなディープ・ハウスへと見事な生まれ変わりを披露している。RHRらしいのは確かにHVLのエディットだろうが、Trinidadian Deepの空へと羽ばたくような浮遊感あるディープ・ハウスも当然お勧めだ。



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| HOUSE12 | 20:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Black Spuma - Onda (International Feel Recordings:IFEEL057)
Black Spuma - Onda
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丁度一年前にバレアリック・ミュージック代表格のInternational Feelからデビューを飾った新星・Black Spuma、それから一年を経て同レーベルからの待望の新作をリリースした。新星とは言いながらも実はTuff City Kids名義でも活躍するPhillip Lauerと、Hell Yeah等からもリリース歴のあるFabrizio Mammarellaの二人によるユニットなので、緩くバレアリックな音楽性に関しては彼等お得意である事は極めて自然だ。尚且つこの名義ではレーベル性に合わせてより開放感や弛緩したムードが強調されており、そこにイタロ・ディスコな性質を持ち込んでオプティミスティックな鳴りを響かせている。ぐしゃっとしたドラムマシンのビートと官能的なシンセベースから始まる”Metallo Nero”は、ゆったりとした4つ打ちのイタロ・ディスコ色を打ち出してきているが、透明感のある上モノや光沢のあるシンセのメロディーが叙情的で、清涼な空気を放出する如くの正にバレアリックな一曲。"Hundred Fingers Man"も特徴のあるエグいベースがシーケンスを刻むが、空へと飛翔するように伸びる幻想的なシンセ・ストリングスと和んだシンセのフレーズが牧歌的な雰囲気を作り上げる中、次第に爽やかなアシッド・ベースが蠢きだして快楽的な世界へと突入する朝方にぴったりな曲だ。タイトル曲の"Onda"はややアップテンポでうきうきするようなビートで、そこに豊潤なシンセ・ベースと綺麗目の上モノのメロディーでスムースな展開を作る明るいイタロ・ディスコと、目立った個性はないものの明るく弾ける曲調は野外にもぴったりだろう。最後のブレイク・ビーツと毒気のあるアシッド・ベースを用いた"Gabula"は本作の中では異色なブリーピーな作品だが、それでも浮遊感のある電子音がすっと心地良く昇天するような感覚も含んでいる。どれもダンス・トラックでありつつリスニングにも耐えうる作品で、これならば更に多様性を展開出来て聴き込めるアルバムも期待せずにはいられず、是非ともアルバムを待ちたいアーティストだと思う。



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| HOUSE12 | 20:30 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Antenna - Primavera (Beats In Space Records:BIS023)
Antenna - Primavera
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2016年も歩みを止める事なく複数の新作をリリースしたBeats In Space、本作はその中の1作でアムステルダムを拠点に活動するAntennaのEP。ウクライナ出身のSasha Renkasとオランダの歌手であるEline Makkerから成るユニットで
2012年頃から活動をし始めてまだ4枚程のリリースしかないものの、過去の作品を聴いてみた限りでは可愛らしくキャッチーなメロディーを用いつつややオールド・スクールな風合いのハウスが持ち味のようで、実際に80/90年代のハードウェアを使用して制作を行っているそうだ。さて、この新作はオーストリアの田舎での驚くべき体験を元に制作されたそうで、確かにそんな説明の後に聴いてみると何だか和やかで牧歌的な雰囲気も漂っているような。"Primavera May"では霧の中から現れるような爽快さと美しさを伴う電子のメロディーが甘い夢を誘い、しかし一方では軽いアシッドなベースが適度な覚醒感も引き出して、現実と虚構の狭間にいるような不思議なディスコティック・ハウスを聞かせる。カタカタとしたパーカッションとドシッと硬いキックがロウな質感を生む"Before I Fall Aleep"は一見シカゴ・ハウスらしくも思えるが、しかし幻想的な上モノやパッドに儚い声が何だか悲壮感さえ漂わせ、それがヨーロッパの耽美な感覚に繋がっている。最も強いビートを刻む"Primavera April"は硬めのキックやアッパーな流れのおかげでテクノらしくあり、星空を駆けるように美しく延びるストリングスが心地良いが、その足元では強烈なアシッドが連打される陶酔と狂乱のアシッド・テクノだ。そして最後にはアナログシンセらしき極彩色の電子音がうねるアンビエント調の"Acceptance Snow"が待ち受けており、そのドリーミーな世界観はのどかな田舎の田園風景から感じるものと近似しており、白昼夢に包まれながら穏やかにクローズする。アンビエントとアシッドとディスコの交錯は、美しくも狂っているように現実と夢を行き来し、Antennaというアーティストの個性として聴く者を魅了する。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Detroit Swindle - The Circular City EP (Heist Recordings:HEIST020)
Detroit Swindle - The Circular City EP
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2013年にDetroit Swindle自身が設立したHeist Recordingsはまだ発足から3年足らずなものの、自身の作品と共に未来ある新星のアーティストもフックアップし、ブギーかつエモーショナルなハウスとしては一大勢力となるレーベルまでに成長している。本作はHesitからリリースされたDetroit Swindleの作品として当然注目を集めない訳はないが、その上に鬼才・Matthew Herbertがリミキサーとして参加しているのだから、自然と手が伸びてしまうのも仕方ない。先ずはDetroit Swindleによる"Circular Cityだが、どっしりと重心低めでざらつきのある4つ打ちが安定感を備えており、そこにうねるマッドなベースやキレのあるカットアップ風なサンプルを持ち込み、そこにアシッド風なメロディーが乗ってくる事でキャッチーなだけではなく悪っぽさもあるファンキーなハウスとして十分な魅力を持っている。しかしHerbertが手を加えればそれは彼自身の音となるのは周知の通りで、"Circular City (Matthew Herbert's Let Yourself Go Mix Featuring Zilla)"では新たにボーカリストを起用した事でポップさを加えつつ8ビットらしい上モノも響き、Herbertらしいユーモアやキッチュな音が打ち出たエレクトロニック・ハウスへと生まれ変わっている。裏面では官能的な音から始まる"Sugar Sugar"は、しかし直ぐに切れのある4つ打ちやファンキーなベースラインがうねりながらブギーな躍動を見せ、耽美な上モノを散りばめる事で優雅さも兼ね備えたハウスとなっている。ざっくりしたビートの生っぽい質感や光沢感のある上モノの使い方もあって何だかフュージョン風な要素もあり、所謂クラブトラックではありながらも温かい響きに人間味を感じさせている。そして"Runningoutof..."もやや前のめりで勢いのあるビートに引っ張られつつも、妙な動きをするベースラインが軸となったミニマルな展開のハウスで、ツール性重視ながらもブギーな雰囲気が満載だ。Herbertのふざけたような独特の世界観を持ったリミックスは言うまでもなく素晴らしいが、Detroit Swindleもそれに負けずと彼等らしいブギーな音楽性に磨きを掛け、どれも魅力あるハウスとして十分な一枚だ。



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| HOUSE12 | 12:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Andras Presents... H.O.D. - House Of Dad (House Of Dad:HOD 001)
Andras Presents... H.O.D. - House Of Dad

今やオーストラリアはメルボルンを代表するアーティスト/プロデューサーと言っても過言ではないAndrew Wilson、その躍進する勢いに乗って手掛ける新作はHouse Of Dadなるレーベル兼別名義で、また彼の多彩な才能が表現されている。Andras FoxやA.r.t. Wilson、またはWilson Tannerなど多数の名義やユニットで活動する彼の音楽は素朴なニューエイジやアンビエント、時に粗さが打ち出たロウ・ハウスなど多岐に渡るが、その音楽性の豊かさの中に控え目な慎ましさや静謐な響きが通底する。この新作は「オーストラリアの歴史的・文化的事物に影響を受けた作風」との事だが、それが何を意味するのかは理解は及ばないものの、比較的エレクトロニックな響きやダンス・ミュージックの体裁に拘らないビート感が前面に出ている。不思議な叫びや不協和音的なピアノで始まる"Entrance to the Garage"は、背景に不気味なSEや歪なパーカッションが配置され規則的なビートを刻む事なく、何だか工事をしているような奇っ怪な響きを織り成すインストルメンタルだ。そしてようやく軽快なビートを刻み微睡んだ電子音が浮かび上がる"Water Diviner"でダンス色を強めるが、軽いアシッドを忍ばせながらもスカスカの構成はロウ・ハウス的な要素を感じさせつつ、耽美な上モノによって仄かにエレガントな空気を振りまく。また、すっと延びる美しいストリングスときめ細かいざっくりとしたビートが小気味良いハウスの"Hard Working Man"は、Andrasらしい控え目な美しさが映え、特に途中から挿入されるか弱いピアノの響きがより耽美なムードを強くしている。裏面にはざっくりとしたダウンテンポのリズムに生っぽさを感じつつも甘い夢に落ちていくようなアンビエント感もある"Stereo Dunnies"、ビートレスな中で夢現な電子音がうねる完全なるニューエイジの"Roof Metal Corrosion"、そして最後に4つ打ちのハウスながらも遊び心と可愛らしさを閉じ込めた"P.O.E.T.S. Day"と、リスニングからダンスまで肩の力が抜けつつさらっと自然に聞かせてしまうBGM的な感覚が素晴らしい。抑圧から開放されるように日常の中で元からあったように自然と鳴っているような存在感で、ユーモアも盛り込みながらドリーミーな空気で優しく包み込む響きが心を落ち着かせる…まるで安眠剤のように。



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| HOUSE12 | 18:31 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Tiger & Woods - On The Green Again (T&W Records:RBTWCD-1)
Tiger & Woods - On The Green Again
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センスこそ全て、イケてるディスコ・サンプリングの作風を基に一躍その手のシーンにおいてトップへと躍り出たTiger & Woodsは、当初はホワイト盤のみのリリースと正体不明の二人組というミステリアスなカルト性もあって人気に拍車をかけていた。実はその二人組というのはイタリアの古参であるMarco PassaraniとValerio Delphiである事が判明したが、その神秘的な霧が晴れてしまった後もその素晴らしい音楽性があるからこそ、全く人気が衰える事はなく今も尚絶大な信頼を集めている。その人気も相まって今ではライブも積極的に行うまでになっているが、多忙が故に新作のリリースは以前より減っているのも事実であり、そんな状況において5年ぶりのアルバムはファンの渇望を満たすには十分な内容となっている。アルバムは映画の始まりかのようなゴージャスなシンセオーケストラによる"Intro"で幕開けすると、もっさりと生っぽいキックが4つ打ちを刻み、奇妙なロボットボイスとブイブイとしたイタロ的なベースラインがファンキーな鳴りを生む"RockMeLoveMe"へと突入し、序盤からTiger & Woodsらしいディスコティックな愛くるしさが爆発する。"Ginger & Fred"のシンセベースのシーケンスは何だかGiorgio Moroderのそれを思わせる所もあり、ファンキーなボーカル・サンプルの執拗なループによって機能性を重視しつつ、キャッチなコード展開も加わる事でディスコに対する懐かしさも含んでいるのだ。"Come And Get My Lovin'"はBarbara Fowlerによる1984年作のカバー…と言うよりはカットアップ・エディットとでも呼ぶべきか、原曲の素材を使いながらも細かく散りばめた事で面影を残さずにファンキーかつ煌めきを上積みさせたディスコ・ハウスへと生まれ変わらせ、これぞTiger & Woodsのディスコ・リエディットのセンスの業だと言わんばかりだ。"RadioTiger"もカットアップのようにぶつ切りしたような目立つが、キックは80年台のシンセポップのようなアタックの強さがあり、そしてシンセ・ファンクらしい色彩感溢れる電子音や甘くキャッチなボーカル・サンプルで郷愁に満たされる、そうセンチメンタルな空気がふんだんのディスコ・ハウス。アルバムの最後の"Outro"は初まりと同じようにシンセ・オーケストラによる感動的な瞬間が待ち受けており、ポップ感が爆発しつつファンクでブギーなアルバムはあっという間に聞き終わってしまうだろう。作風は見事なまでの金太郎飴的なディスコ・ハウスで、機能的だからといってそれが単調になる訳でもなく、センスの良いサンプル使いによるメロディーも耳を強く惹き付ける魅力があり、ダンス/リスニングの両面から十分に楽しめるだろう。



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| HOUSE12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Telephones - Vibe Telemetry (Running Back:RBCD08)
Telephones - Vibe Telemetry
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2014年にRunning Backからリリースされた「The Ocean Called EP」(過去レビュー)を契機に、その後はJose Padillaによる久しぶりのアルバムでの共同制作も行い一気に注目を集めたノルウェーのHenning SeverudことTelephonesは、バレアリックの新風の中で特にアルバムの完成が待たれていた一人だろう。その音楽性は真夏の弾けた多幸感、トロピカルかつドリーミーなリゾートの雰囲気、澄み切った青々しい爽やかさ、輝かしい程の太陽光に包まれたオーガニックな感覚などいわゆる閉鎖空間で圧迫感のあるクラブとは真逆の開放感溢れる野外でこそ映えるであろうバレアリックなもので、だからこそ本作は真夏のシーズンに間に合っていればという思いはあるが、それを差し引いても期待に答えた素晴らしいアルバムだ。幕開けはノンビートのアンビエント系である"147 Stars"で、遠くに南国の鳥の囀りも微かに聞こえつつ色彩豊かな電子音がねっとりと融けて徐々に胎動を始めるような曲は、この後の大らかなバレアリック・ジャーニーを予感させる。続く"Sierra"ではキレのあるハイハットや安定感あるキックによって軽やかにリズムが弾け、そして輝かしくピュアな響きのピアノコードが嬉々とした感情を誘発し、ややイタロ・ハウス的なゴージャスさも持ち込んで一気に視界は開けていく。奇妙な電子音のリズムに引率される"Tripping Beauty"はマリンバのミニマルな反復がエキゾチック感を生み、未知なる世界が待つ密林奥地へと足を踏み入れるトロピカル・ハウスだ。アルバムには複数のインタールも用意されており、虫の鳴き声らしきサンプルなど環境音が用いられた"Highs and Bungalows"や意識もカラフルな電子音の中に融解するドリーミー"Expanse"など、ダンスの合間にはほっと一息ついてリラックス出来る瞬間もある。アルバムの後半でも底抜けの多幸感が色褪せる事はなく、トライバルな太鼓が爽やかなグルーヴを刻み澄んだ電子音が湧清水のように溢れ出してくる"Entropikalia"や、正にイビサ・バレアリックを体現する黄昏時の切なさが滲み出るディープ・ハウスの"Dtmf"など、アルバムのラグジュアリーでリゾート感覚に統一された世界観はTelephonesに期待していた物が見事に反映されている。本の束の間の南国への旅行は心身を解放へと導き、穏やかな至福の時間を作る事は間違いなく、イビサを体験した事がない者にもバレアリックな感覚を少しでも味あわせてくれるだろう。



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| HOUSE12 | 13:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Kevin Reynolds - Fembehyahget (Yoruba Records:YSD81)
Kevin Reynolds - Fembehyahget
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ここ数年のアフロかつトライバルな、そして深遠なる黒きディープ・ハウスをリードするのはOsunlade率いるYoruba Recordsである事に異論を唱える者は少ないだろう。Osunladeのみならず多数のアーティストが、中には普段はテクノ的な作風を得意とするアーティストでさえ、このレーベルに対しては漆黒のディープ・ハウスを提供し、Yorubaというレーベル性をより強固にする事に寄与している。そしてこのKevin Reynoldsの新作もその例に洩れず土臭さも漂うアフロ・トライバルな作風を披露し、レーベルを正しく認知させる事に成功している。Reynolds自身は2006年、2011年とでEP3枚程をリリースしているものの決してアーティストとして名が馳せているわけではないが、彼のFacebookによればデトロイト出身のアーティストでTransmatの運営にも携わっていたクルーかつエンジニアであり、決して全くのニューカマーではなさそうだ。この5年ぶりとなる新作においても青臭さは全くなく、寧ろ老獪ささえもある豊熟した黒いハウスはレーベルの他の作品にも全く引けをとらない。ラテン系の生っぽいパーカッションが弾けるイントロから始まり覚醒感が滲み出るエレクトロニックなシンセのメロディーに引っ張られる"Dodging A Clip"は、生音と電子音が同居しながら宗教的な祭事の怪しさを漂わせて、中盤以降はドラッギーな快楽が現れる黒々しいテック・ハウスだ。よりアフロ・パーカッシヴで手拍子も加わって弾けるリズム感を生む"Fembehyahget"は、民族的な女性ボーカルのサンプルと単純なコードの反復によって、展開は抑えながらも呪術的な不気味さによってじんわりとドープにはめていく。"Travelled"も同じく歌モノだがこちらでは男性の祈りにも似た歌が用いられ、そして美しく流麗なシンセのコード展開とビリンバウの訝しい響きがしっとりとした質感のあるディープ・ハウスへとしている。最後はその名も"Vibe Samba"というサンバを意識したハウスで、薄っすらと幻想的なパッドが漂う中を刺激的な複数のパーカッションが入り乱れ、リズム重視のツール系トラックとして効果的な構成だ。どの曲もアフロ、テック、ディープな要素が融合し電子と有機が自然と混在する作風で、Yorubaのレーベル性を主張するようでもあり、そしてReynoldsの音楽的才能を証明している。



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| HOUSE12 | 18:00 | comments(0) | trackbacks(0) | |
Modaji - Belle Epoque EP (Utopia Records:UTA - 002)
Modaji - Belle Epoque EP

設立されたばかりながらも寺田創一やLars Bartkuhnの作品をリリースし一際注目を集めているUKのUtopia Records、その勢いに乗ってリリースされる第3段も間違いなく注目を集めるであろうModajiの9年ぶりの新作だ。今となっても燦然と輝く2000年前後のフューチャー・ジャズやブロークン・ビーツが繁栄していた時代、特にその中で一際注目を集めていたLaws Of Motionを代表するアーティストの一人で、情熱的な響きとしなやかなブロークン・ビーツによる洗練された音楽性が特徴で、それは先進的で都会的な雰囲気を含んでいた。ここ10年程は西ロンドンのフューチャー・ジャズのシーン自体も落ち着いており、Modaji自身も一向に新作を出す事なくもはや引退していたのではと思っていたが、まさかここに来て新作を引っ提げて帰還するとは誰も予想だにしなかっただろう。そしてその新作は期待に違わず素晴らしく、タイトル曲の"Belle Epoque (Belleville)"は透明感のあるパッドのコード展開とスムースに疾走する4つ打ちを軸にしたハウスだが、柔らかいオーガニックな質感と一転の曇りもないピュアな響きの電子音によってエレガントに装飾されており、当時のフューチャー・ジャズよりフロア寄りで直線的ではあるものの開放感が心地良い。Big Chill関連のBruce Bickertonがリミックスした"Belle Epoque (Alucidnation Remix)"はビートを抑えながら豊潤でカラフルな色彩を帯びたメロディーを付け加え、穏やかに引いては寄せる波のようなリラックスしたアンビエント感で纏め上げ、そして更にコズミックなシンセが煌めく"Belle Epoque (Ambience)"はもはやバレアリック的だ。ボンゴかコンガか、爽やかさを纏ったパーカッションが刺激的に弾ける"Espiritu Santo (Dance)"はスピード感に長けており、じわじわと継続する流麗な上モノから時折暴れるように激しいパーカッションのブレイクも現れたり、うっとりする程の耽美な雰囲気の中にも力強いグルーヴが走っている。そして最後の"17"は完全なるアンビエントで、蜃気楼のように朧気な風景を描き出すサウンド・スケープは、儚い哀愁を滲ませている。往年のModajiに比べると随分とハウスとアンビエントが前面に出ているが、全くフュージャー・ジャズの要素が無いわけでもなく、時代に合わせてモダンに進化したフュージョン・ハウスと呼んでも違和感はない。何よりもその小洒落て優雅な佇まいは、今も健在なのだから。



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Sound Patrol - Sweetened No Lemon (Arts And Labour:SPRX01)
Sound Patrol - Sweetened No Lemon
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シカゴ・ハウスの重鎮、Derrick L. Carterが1994年に残したSound Patrol名義の最初で最後のアルバムである本作は、長らく廃盤となり手の届かない存在であったものの、リリースから20年を経て奇跡的な再発が行われた。それもリマスタリングに加え、未発表曲も追加となるアナログでは3枚組のボリュームで、端的に言えばこの再発の機会をみすみす逃すのは勿体ないと言うわけだ。Carterに対する一般的なイメージは恐らくシカゴ・ハウスのDJだからゴリゴリとした厳つい音楽性というものだろうが、特にこの時期のこの名義ではシカゴ・ハウスの枠に収まりきるものではなく、曲によっては昨今のミニマルのドープな感覚を軸に、デトロイト・テクノの叙情性にアシッド・ハウスの狂気やディスコの愛くるしさなどを含み、ハードな勢いではなく実に豊かな音楽性を持っている事を示している。

かつてCarterが手掛けた日本盤のMIXCDのライナーノーツで彼自身が下記のように書いていたが、本作にも同様の聴き方が適切と感じるのはあながち思い違いではない筈だ。
聴け…偏見を捨てて
楽しめ…心おきなく
吸え…もし"それ"を持っているなら…

圧巻は何と言っても18分にも及ぶ大作の"Tripping Among The Stars (A Necessary Journey)"で、ゆらゆらと揺れる幻惑的なベースラインと重心が低くねっとりしたハウスのグルーヴに意識も酩酊状態のような呟きやが挿入され、ミニマル・ハウスのようなディープ・ハウスのような幻惑的なこの曲は正にドラッグの為の音楽なのだろう。"Cruisin' With The Top Down (Lazy Sunday Edition)"も16分の大作だが、こちらは一転して弾ける切れのあるリズム感がファンキーなハウスで、ブレイクでの乾いたピアノがさり気なく小洒落たムードも生み、これは燦々とした太陽光を浴びるようなサンフランシスコは西海岸系のハウスを思わせる。と思えば今で言うならばビートダウン・ハウス的なテンポが遅く粘性の高いリズムトラックにディスコ・サンプリングを混ぜ込んだようなどす黒い咆哮が漂う"Long Ass Zitz Groove Ay"や、硬いアタックを用いた事でテクノらしさも浮き出てファンキーなツール系の"Cantina Benny's (Underground Extravaganza)"に、TR系の乾いたリズムにうねりまくるアシッドのベースラインとふざけたような上モノが乗ってくるこれぞシカゴ・アシッドな"Griff's Opus"など、現在のCarterからは信じられない程にその作風は自由で豊かだ。本作でようやく日の目を見た未発表曲も、ロウ・ハウスの原型的な安っぽさが懐かしくもあるハウスや黄昏時の郷愁を体感させるムーディーなシカゴ・ハウス等があり、ただDJが使うだけでなくアルバムとしての聴き込んで陶酔に浸る楽しみ方も十分にある。DJとして一流なのは従前の通りだが、このアルバムによって実はトラックメーカーとしても比類無き才能を持っていた事を、知る人も少なくはないだろう。本年の価値あるリイシューの一つである事を断言したい。



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